蜜雨

琥珀に呑まれる

顔面部に埋め込まれたふたつの宝石を落とさんと気持ち良さそうに目を閉じて、欲望を象った肉棒を蜜壺に収めて出し入れを繰り返し、何度も何度もを貫く。セックス以外を排斥せんばかりのその必死な求愛行動が愛おしくて、汗で崩れた髪型を更に崩すように、掻き分けるように指を差し込む。男子高校生らしく髪型にはこだわりを持つ木兎は、普段ならば抗議をあげるようなそのの仕草も、今は熱に浮かされていて艶のある吐息を静かにこぼすだけだった。意外や意外、彼はことセックスに於いては集中すればするほど静かになるタイプであった。但し性欲は強く、獰猛だ。

「っあ、は、んん」
「はっはっ…っく」

腰の動きに合わせてふたりの呼吸が乱される。木兎の真剣な顔に心臓が跳ねる。だからはつい誤魔化すように、これ以上呑み込まれないように口を開くのだ。

「ねえ、光太郎。日本て一番セックスの回数が少ないんだって」
「ん…?あ、うん?」

の言葉に曖昧な返事しか出来ない。きゅうきゅうと締め付けられ、今まさに快楽の絶頂期に突入しようとしている木兎の日本語を処理する能力は著しく低下している。

「それでね、ギリシャが一番多いんだって。だから光太郎はもしかしたらギリシャ人なのかもね」
「んえ?ギリシャ?俺ギリシャ人なの?」
「さあ?」
「ギリシャ人になったらもっととエッチしていいのか?なあ?ギリシャ人はとエッチし放題なのか?」
「ギリシャ人じゃなくても光太郎は私とエッチし放題だよ」
とエッチし放題…ならいいや。じゃああと3回はする」
「え」

小難しい話題を振って木兎を萎えさせようとするの企みは見事消え去った。これからを待ち受けるのは寝不足と腰痛となったのだった。






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