※組織壊滅後
※カッコいい降谷零不在。キャラ崩壊注意
※ほんのり前半ヒロイン攻要素あり
※ただのエロコメディ。深く考えずに頭をパーにしてお読みください
組織を壊滅して、一応表面上はFBIとも和解し、上手くやっているとは思う。元から世渡り上手だし、人当たりも良いし、仕事も出来る。そんな僕が、実力主義の欧米人に認められない訳がなかった。加えて心身共にタフで、ルックスも完璧だ。僕が登庁する姿を見掛ける度に、いつも女性達が頬を染める。注目の的になっているのは周知の事実であった。
いや、僕の話は置いといて、だ。
大変腹立たしいが、FBIにも僕と同等の実力者が今日本に二人いる。一人は言わずもがな、いつも余裕ぶったスカし煙草野郎赤井秀一。もう一人は、元軍人ハッカー女、である。コイツは女だが、元軍人なだけあって僕と殴り合えるぐらい強いし、高い言語能力とハッキングの能力も持ち合わせている。しかもあの風見が、の事務処理能力を抽出したロボットが欲しいと言うくらい、合理性を極めた事務処理能力を持っていた。
おっと、話が逸れたな。とにかく、まあ、自身はムカつくが、僕の隣に立っていても遜色ない実力者である事は確かであった。ただ、コイツとの仲は最悪だ。どのくらい最低最悪かと言うと――
相手のいい所は?
「「顔」」
と互いに断言するくらい好感度は底辺だ。ああ、こりゃあていへん(大変)だ。思わずこんな薄ら寒いギャグを言ってしまうほどに。
禁断のキャラ崩壊を犯してまで、なぜ僕がここまで熱弁したかというと、正直、はっきりと最初から結論を提示する勇気がなかったのさ。社会人としてのプレゼンとしては最悪だね。こうやってつらつらと講釈を垂れ、結局何が言いたいのかわからないまま終了。のいた軍でこんな事していたら、即刻除隊を命じられるだろう。だって彼女のいた軍では「まず結論から話せ。次の瞬間、お前が死んだら誰が結論を報告するんだ」って教えられているだろうからね。だからそろそろ僕が死なないうちに結論を言おうとしよう。
「童貞を卒業したい!!!」
というか死ぬ前に魔法使いになりそうなんだけど(29歳)。
降谷零はイケてるナリして童貞です(タイトル)
そりゃあ僕だってこんな顔だから、女の子と付き合ったことくらいある(自分から告白して付き合ったことはないけれど)。でも、どうしても最後まで出来なかった。それどころか、キスすら出来なかった。デートして、手を繋いで、抱きしめて――僕の恋愛はいつもここで終わる。女の子と段階が進むたびに、先生の顔がちらついて、どうしてもそこから先に進めなかったんだ。そうして最後は女の子の方から別れを告げていった。それが今、組織を壊滅したことで先生への気持ちにも折り合いがついた。これでまともに恋愛が出来ると思っていた。しかし、そこで問題が浮上したのだ――
恋愛ってどうやってするんだっけ?
いやいやまてまて。この天下の降谷零が何を血迷っているんだ。ポアロでも、職場でも、たとえ雑踏の中でも二度見三度見される男だぞ?選り取り見取りではないか。僕が「今夜一緒に食事でもどうかな?」と壁ドンしながら言ったら、一発KO間違いなしだ。だが、その先は?その先の段階に進んで、もし僕がトチりでもしたらどうなる?キスもド下手、女性の下着のホックもまともに外せない、童貞くそ野郎の降谷零に男としての価値はあるのか?というか誰もそんな僕を見たくないだろう。だって僕はなんでもスマートにこなせる完璧人間だと思われているのだから。
ただ、本当に、本っ当に認めたくはないが、僕に理想を抱いてもいなければ、生理的に波長が合わないとまで言われているだったら、僕を抱かせてもいいと思ってしまった。アイツだったら僕も気兼ねしないし、今更カッコつける必要もない。しかも元カレのロシア人に尻の穴からポルチオまで開発されていると確かな筋からの情報があるし、セックスの相手には最適ではないだろうか。
今振り返れば頭おかしいし、大分ぶっ飛んだ思考だったと思う。だが、僕はそれほどまでに切羽詰まっていたし、危機感を覚えていたんだ。
「で? わざわざコーヒーまで買って、こんな人気のない場所で何の会議が始まるんです?」
普段の僕の態度が災いしてか、は僕が買ってきたコーヒーを訝しげな顔をしながら飲んでいた。可愛くねえ。僕にコーヒーを奢ってもらって、こんな厭味言うのお前位だからな。シンプルにムカつく女。やっぱり、このままコイツ無視して帰ろうかな。でもここで踏み止まったらコーヒー奢っただけになって癪だし、言うしかないか。漢だろ、降谷零。
「……」
「はい?」
「僕を抱け!!!」
一瞬しんと静まり返ったが、すぐにが落ち着いた様子で口を開いた。
「あー……っと……一応聞きますけど、何か事件に巻き込まれたとか、変な薬飲まされたとかでは……」
「ああ、そうだな……事件と言えば事件だな。こんなウルトライケメンである僕がいまだに童貞である事や、よくあるエロ同人のように潜入時代に催淫剤の類を飲まされてキメセクしなかった事は、よくよく考えれば大事件だよな……」
「……大体の事情はわかりました。つまり、アナタは初恋を引き摺り過ぎてまともに恋愛をしてこなかった。んで、やっと吹っ切れていざ恋愛しようと思ったけど、いつも完璧なアナタが童貞のまま女性を扱って、もし失敗でもしたら降谷零の名にキズがつく。だったら一番どうでもいいクソムシのでさくっと童貞卒業して、テクニックを磨いてやろう。そういう事ですね?」
「わーっ流石僕とタイマン張れる女ですね!」
「わからいでか!」
僕が精一杯褒めてやったのに全然嬉しくなさそうだ。なんだよ、僕の思考を見事に読み上げたお前はなかなかだと思うぞ。ちなみにこの天使の様な可愛い子ぶった笑顔は、あむぴかあいいーとポアロに通うナウなヤングにバカ受けだった。
「それで、返事は? 僕だって恥を忍んでお前が吐いた二酸化炭素を吸いながら顔つき合わせて喋ってんだからな」
「前から思ってましたけど、アナタの私に対する態度、赤井さんより酷いですよね」
「今あのニット帽の話はしてないんだよ。返事は?」
お前は僕と違って元軍人なんだから結論から話せよ。ああもうイライラする。特に僕と同じくらい綺麗な青い瞳がたまらなく僕をイラつかせる。くそっ、こいつ本当に顔だけはいいよな。性格は一ミリも僕と合わないけど。
「はあ……(アナタが私に頼るほど切羽詰まった魔法使い寸前童貞クソ野郎だっていうのは)わかりました。後日回らないお寿司に連れて行ってくださいね。あと、コンドームの準備だけお願いします」
こうしては僕の華麗なる策略に陥落した。
僕は(癪だが)に言われた通りコンドームを準備して、彼女が選んだホテルに連れられた。それはビジネスホテルではない、ラブリーなホテルの方だった。潜入捜査以外で入ったことがない僕は、柄にもなく緊張していたのだけれど、こんな時に感情を表に出さない訓練をしていて本当に良かったと思う。
は部屋の中に入った途端、なんの前触れもなく僕のネクタイを引っ張って軽く口をくっつけてきた。完全に気が抜けていた僕の唇はいとも簡単に彼女に奪われたのだ。彼女の意外に女性らしい指先が僕の耳や頬をそわりと撫でる。それだけで僕は、感じたことのない甘い寒気に襲われた。更に彼女の薄い舌が僕の唇の隙間を縫って奥深くへ侵入してくる。意外にも僕は彼女を気持ち悪いとは思わなかった。それどころか、うわーうわーっ!僕キスしちゃった!しかもすっごくディープなやつまで経験してる!今僕は着実に音を立ててレベルアップしてる!とドーパミンをどばどば出しまくっていた。
脳内が慌ただしいかわりに、現実の僕は棒立ち状態でのキスを受け入れていた。彼女は構わずに舌を絡ませながら僕のジャケットのボタンを外す。体を撫でながらジャケットをするりと脱がし、床に落としたところで口を離した。僕と彼女の間にいやらしい粘液の糸が出来上がり、段々と細くなってやがてぷつりと切れた。ここまであまりにも官能的且つ、スマート過ぎて吃驚している。えっ次は僕がこれを女性にするのか?
「最終警告です。嫌ならここで逃げて下さい」
髪を搔き上げるがあまりにも男前すぎて「ふぇ……」とか言いそうになったのは内緒だ。そうか、さてはお前ゼロシコ見たな?雨にうたれた超絶カッコイイ僕の真似をしたな?僕に憧れて練習したんだろ?うん、なるほどこれはメスになる。
「っ……いいから早く僕を抱けよ!」
「(言ってることが完全にBLの受けなんだよなあ……)」
なんとか台詞だけでもカッコつけられてよかった。
僕を試すように致したキスの後、シャワーを浴びるよう勧めてきた。この流れは僕の想像範囲内だったので、大人しくバスルームに引っ込む。彼女は僕がシャワーを浴びている間に、コンビニで買ってきたお弁当を食べるらしい。潜入捜査した時はまじまじと見る事なんてなかったけれど、最近のこういったホテルはすごい。電子レンジやウォーターサーバーなんかもあるし、シャンプーやボディソープに至っては大衆浴場にある物よりいいのが揃ってる。
「あれ? コレって……」
浴室の壁には、大きなビニール製のマットが立てかけられていた。ソープマット――あっ、これ違法風俗店を検挙した時に見たやつと同じだ!(あっ、これ進研ゼミでやったところだ!と同じノリ)へーえ、一緒にローションまで置いてある。へーっ……世の男共は僕がパソコンと睨めっこしている間、夜な夜なこれで可愛い女の子とエッチな遊びを享受している訳か……へぇー、一生懸命日本の未来の為にお仕事している僕は童貞なのに、ねえ……
「降谷さーん、私も入りたいんで早く上がって下さーい」
こんな僕の気持ちなんて到底わからないがバスルームのドア越しに声を掛けてきた。多分弁当を食い終えたのだろう。相変わらず早い。あれだけ僕がよく噛んで食べろと口酸っぱく言っているのに、ちっとも直らないんだ。直そうともしないばかりか、うちのMummyは口煩くてかなわんといった態度をとるから余計に腹が立つ。僕がお前の言うMummyなら、お前は正真正銘のMother f*ckerだよ!
備え付けてあったバスローブを身に纏ってバスルームから上がると、案の定短時間で綺麗に弁当を平らげていたは、リモコンを僕に押し付けるように渡してきた。
「じゃあ私もシャワー浴びてくるので、その間にお弁当でも食べながら準備しといて下さいね」
そう言ってはバスルームに消えていった。準備と言っても、ベッドサイドにゴムを準備するしかないじゃないか。リモコン片手に首を傾げていると、さっきまで彼女が見ていたであろうテレビ画面が目に入る。そこは一面女の子達の肌色で埋め尽くされた、どぴんくな世界が広がっていた。この間まで探偵業をやっていた僕の冴え渡る推理を披露するとすれば、これは彼女なりの気遣い。毛嫌いしている相手じゃ雰囲気もなにも、まず勃たないだろうから、今のうちにテンションを上げておけということだろう。それを含めて彼女は準備しておけと言っていたのだ。
アイツも殊勝なところがあるじゃないか。確かに言われてみれば、同じ空間にいるだけでもストレスが溜まる相手に抱かれるとなったら、勃起するモノも勃起しないよな。でも、僕はあんまりわざとらしいAVってのが好きではない。抜くのだって、イライラしてたらいつも突然ムラムラにすり替わって、いつの間にか抜いている時が多い。そうか、イライラすれば僕は自然と勃起しているのか。イライラすると言ったら、まずの顔を思い浮かべて、殴りかかってくるアイツの口を塞いで、押し倒して、着ているシャツを脱がして、最近よく履いているお尻のラインがはっきりわかるタイトスカートをずり上げて――まてまてまてまて!!!僕は今何を想像していた?!それよりも、いつも僕は何を想像して射精してたんだ?!!おかしい……どれだけ僕の豊かな想像力を膨らませてもの顔に精子が……いやいやいやいや!!!!これはきっとケフィアだ!!選ばれるのはいつだってケフィアなんだから!!!
もしかしてだけど、何かの間違いだとは思うけど、僕がに対して溜まってたのってストレスじゃなくて、フラストレ「降谷さん? ご飯も食べないで何してるんですか?」
「ぎゃあ!」
「えっ(どんだけ驚かせようとしても鼻で嘲笑うだけの降谷さんが今ぎゃあって言った? ぎゃあって言ったよね?)」
「お前ッ、どれだけシャワー早いんだよ! そんなに僕を抱きたかったのか?!」
「はぁ……あの、(死ぬほど相手すんの面倒だし、なんなら気を遣って三十分以上時間掛けてシャワーを浴びた事にも気づいてないくらいテンパってるようなので、)もう抱きたいってことでいいです。幸い下の準備も万端なようですし」
持っていたリモコンは放り投げられ、はベッドに座っていた僕の隣にしな垂れかかってきた。僕と同じシャンプーやボディーソープを使った筈なのに、彼女から香っているというだけで、やけに煽情的に感じる。近づいてきた彼女が次は何を仕掛けてくるのだろうと見つめていたら、僕のに似ている空色の瞳がキッと細まった。
「アナタを抱くのは簡単ですが、それじゃあ次に繋がらない」
私は甘くない女ですよ、と囁いて、唇を寄せた。ただそれだけだ。僕から動かなければ、きっと一生このままだ。
僕はのバスローブの下に眠る筋肉質なのにやわらかい感触を感じながら腰を抱いて、そろそろと唇をくっつけた。それが合図になった彼女は、僕と視線を交えて真似をしろと訴えた後、感覚を研ぎ澄ませるように目を閉じた。
の頬に掛かる邪魔な髪の毛をよかして小さな耳に掛けながら、彼女に従って無我夢中に唇を食んでいく。彼女が舌で上顎をなぞって僕の舌を吸えば、僕もそっくりそのままお返ししてやる。元々容量が良かった僕にとっては、至極簡単な事だった。
「っん、……零、そのまま私を押し倒して……」
あのが僕の名を呼んでベッドに誘う。
ベッドの上ではいつだって女は嘘を吐くと言うし、今の彼女が仮初だとしても、それでも僕は頭が沸騰していた。有り体に言えば、興奮していたんだ。この僕が、あのクソ女と罵っていたに、たかが名を呼ばれただけで。
「呼んで、って……あなたのとびきり、甘い声で……」
は強請るように僕の金色の髪の毛に指を通しては頭部を撫で上げ、通しては撫で上げを繰り返していた。その仕草は無邪気な子供のようだった。きらきらとしたスカイブルーが、僕をとびきり誘惑してくる。前々から思っていたけど、僕に似ているようで似ていない彼女の瞳が正直苦手だった。あまりにも透明度が高すぎて、なにもかも見透かされそうだからだ。
「……なに、考えてるの?」
「のことだけど?」
「ふうん? アナタも少しはわかってきたみたいね」
僕は本当のことを言ったまでなのに、なぜかは嬉しそうに目を細め、僕の頭をいい子いい子と撫でた。戯れが終わると、彼女ははだけてしまっていた僕のバスローブをすっかりと寛げた。鏡のように僕ものバスローブを脱がすと、彼女の均整の取れたセンシュアルな体が露わになった。今でも鍛えているだけあって、健康的に引き締まっている。
「零、好きにして……?」
が僕の耳元で甘ったるく囁くと、僕は自分を見失ったように、気が付いたら本能のまま彼女を蹂躙していた。なんかもう、僕は完全に頭が沸いていたんだ。訳わかんなくなるくらいコイツは可愛い声で啼くし、埋もれたくなるくらい胸は柔らかいし、僕の愛撫に素直に反応する花園はびしゃびしゃに濡れてるし――もしかして、もしかしなくても、僕は今まさに世界で一番幸せな童貞喪失を迎えようとしているのかもしれない。
「ぁあッ! ひゃ……ぅうん……れぇ、きもちっソコ! れぇ、いいっ、ソコ……またっ~~~!!」
あの僕には果てしなく辛口なが、今や舌っ足らずに僕の名前を必死に連呼して、大事な所を舐められた挙句に、ぎゅうっと押し付けながら涙を流してイっちゃうなんて、誰が想像出来ただろうか。いや、誰も想像しなくていい。僕だけの記憶に焼き付けておく。
「ね、れぇの……ナ、カに……」
息も絶え絶えで腰をひくつかせ、両膝をもじもじとさせて意地らしく訴えてくるに、僕も思わず生唾を大きく呑み込む。い、よいよだ。
スキンを付ける練習を入念にしておいた僕は、やはり本番であってもスムーズに装着出来た。
がそっと自分のナカへ導くように僕のに手を添える。僕は焦らず、ゆっくりゆっくりと挿入していくと、熱く蠢くのナカの感触が鮮明に伝わってくる。なんだろうこれ。なんだろうこの、やっと自分の半身をみつけられたような、やっと長年の隙間を埋められたような、今まで一度も味わったことないし、これから先、彼女にしか、この気持ちを抱かないような、とても不可解な感覚。セックスって全人類こんなになるもんか?
「ぜ、んぶ……はいった……」
これで僕は魔法使いにはならないし、童貞を卒業した。無事目的が果たされた訳だ。泣くほど嬉しいって表現があるけれど、今の僕にセックスが出来て泣くほど嬉しいという表現は相応しくはない。だから僕のこの涙は、きっとまた別の何かだ。だって、彼女も僕と同じようにぼろぼろと涙を溢れさせている。彼女の瞳が空色だからか、まるで土砂降りのようだという表現がとてもしっくりきた。
「わかん、ない……けど、……わたし……れいに、思いっきり抱きしめられたい……」
「ああ……っ、僕も思っていたところだ……」
ふたりがひとつになるように、ぴったりとくっつきあうと、すごく肌に馴染んだ。おかしいな、僕とは生理的に受け付けないと互いの存在を否定していたのに、今じゃしか考えられない。セックスするだけでこんなに脳が溶けるんだったら、今すぐ法律で制限した方がいいんじゃないか?
「手、繋ぎながらシて……」
「ん……」
相変わらず涙が止まらないまま、と指を絡ませながら時折キスを落とし、好き勝手に腰を動かした。どんな体位であっても、の器に僕のが浸透していくようで、ずっと快感が止まらなかった。
「あっあ゛っ! ン、あっ……はぅ、うんん!」
ぱちゅぱちゅと泡立つほどの愛液で滑りが良くなったのをいいことに、僕は手前まで引き抜いて、一気に奥に突き入れてから、とんとんと再度子宮口をつついてやる。
「イっ! て、るぅ! もぉ、イってりゅ……ッからあ!! あっは、ぁあ!」
さっきからナカが痙攣しっぱなしのは、恐怖を覚えるくらいイっている。経験の浅かった僕も、に関しては随分わかるようになってきた。がくがくと腰を揺らし、最後ぐうっと背中をのけ反らせたの白くて丸い胸がふるふると彼女の動きに合わせて揺れる。僕にこんなあられもない姿を晒しているが今や可愛くて仕方がなかった。僕にいいようにされ、何度も潮を噴かされ、枯れるくらい嬌声をあげるが愛おしい。ずっとこの時間が続けばいいとさえ思えた。
最終的に気絶するように眠ってしまったは少しすると目を覚ました。僕と彼女は枕に頭部を沈め、向かい合うかたちで横になっていた。手は、繋いだままだ。どうしても外せなかった。
「……あの、降谷さん」
僕はまだのことをと呼んでいるのに、は降谷さん呼びに戻っていた。それが酷く悲しい、だなんて。数時間前の僕だったら考えもしなかっただろう。きっと繋がれた手も、汚らわしいと言われて即刻振り払われるに決まっている。
「すみません……」
こんな眉を寄せて苦しそうな表情を浮かべ、謝罪をしているを初めてみた。人を小馬鹿にするような、謝罪とも言えない謝罪なら何回かされたことはあるけれど。
信じられないことに、は手を振り払うどころか、反対に強く握り締めてきた。僕の手の関節という関節をバキバキにしてやろうという握り方ではない。自分でも抑えられない気持ちを伝えようとしてくる力強さだ。
「アナタが他の女性を上手に抱けるように指導するつもりだったんですが……どうやら私とアナタの体の相性が死ぬほど……本当に冗談抜きで死ぬほどよかったみたいで……」
にしては珍しく視線を逸らしてもごもごと喋る。
「多分、他の女性と寝てもこうはならないと思います……」
「……つまり、僕とお前の体の相性がよかったから、僕の技術がどれだけ稚拙であろうと、お前は気持ちいいし、僕も涙を流す程の快楽を得られたってわけか?」
「そうです……だって、挿入しただけでお互い自然と涙が出るなんてないもの」
「じゃあ、やっと自分の半分が見つかった感覚も、が僕の体の一部になってしまう感覚も、ずっと気持ちよくて脳みそが溶ける感覚も、がだからなのか?!」
「……零……今まで手を繋いでこんなにぴったりハマる感覚ってあった?」
「……ない……」
いくら僕だって何人かの女の子と手を繋いできたけど、どの女の子とも違う。なんでだろう、僕はまた無性に――
「泣いてしまいそうだ」
「私もよ、零」
今まで嫌い合っていたのは、この美しくも神々しい琴線に触れるのが恐ろしかったからだろうか。
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