蜜雨

「みんなもう空港着いてるはずなんだけど…どこだろ」
―っっ!!!」
「わひゃあああ!!!」

後ろからにゅっと大きくて白い手が出てきたと思ったら胸を鷲掴みされた。 こんな公衆の面前でセクハラを挨拶代わりにする人なんて一人しかいない。

「アレックス!!」
「ひっさしぶりだな!相変わらず背ぇ小さいくせして立派なもんこさえてんな!!」
「こら、アレックス。タイガとタツヤが見てんだろ」
「なんだお前らものおっぱいさわりてーのか?」

アレックスの後ろにはお兄ちゃんとタイガとタツヤという懐かしいメンツが勢ぞろいしていた。 アレックスが変なこと言うからなんだか2人は微妙な顔してるし、アレックスの後頭部にチョップしたお兄ちゃんも苦笑いだ。

「アレックス、ただいま!」

お兄ちゃんのチョップで緩んだ手からアレックスの方に向き直してハグしてチュー。
アレックスもわたしにチューし返してくれる。

「お兄ちゃんも!」

普段こんな事しないけど、久しぶりに会ったからちょっと特別。 タックルするみたいに勢いよく抱き締めて、といってもホールドできるほどの腕の長さはわたしにはなかったが。 ジャンプしてお兄ちゃんの首に捕まって、チュー。面食らってるお兄ちゃんを放置して次!

「タイガーっ!!」

またわたしを置いて大きくなってるタイガによっかかって額にチュー。ラストは!

「タツ…っっ!??」

腕を引っ張られてタイガの胸からタツヤの胸へ素早く移動させられると、タツヤはにっこり笑ってわたしの額と鼻筋、そして唇に軽くリップノイズを交えてチュー。 タツヤがこんなことしてくるなんて、珍しい。いつも涼しい顔してハグもキスもあっさりなのに。タイガも目を見開いてる。

「おかえり、

とっとりあえず、ただいまアメリカ!


(おおー、タツヤ早くも一歩リード!)(あいつ俺の目の前でいけしゃあしゃあと…っっ!!)(なつる、拳しまえよ)


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