「ねえアレックス。タツヤなんかおかしくない?」
「ハハッ、んなもんのせいだろー?」
「はあ?わたしぃ?」
「しょせんアイツもクールぶっててもただのガキだからな!」
「いや、ぜんっぜんわかんないんだけど…」
呆れた目でこっちを見るだが、あんなにタツヤがわかりやすくアタックしても全く気づかないお前にオレはその目を向けたい。
多分タツヤは焦ってる。日本に行くことをギリギリまで黙ってたオレに普段温厚なアイツがブチギレたくらいだし。
タツヤが立ち直ったをこれからどう口説き落とそうと画策してる時にの日本行きを伝えた。
はタツヤとタイガのおかげであそこまで立ち直って、両親の住んでいた日本に住むことを決めた。
その後押しをしてしまったのが自分なのだから、タツヤも複雑なんだろう。
自分のおかげでは前を向いて生きていこうと歩きだしてくれた。
そう割り切ってとりあえず自身を落ちつけていたみたいだが、いざを目にした途端アイツは暴走しまくりだ。
今のアイツは頭も心もホットだ、沸いてやがる。
「もねちっこい男に惚れられたもんだ」
「さっきから何言ってんの?アレックス」
泡風呂の泡で遊んでいたはさっきから失礼な視線しか寄こしていないのだが、これからこの神懸かったニブチン相手に弟子共がどう出るか傍観者側からすればすっげー面白いから許してやる。
コンディショナーを流しながらニヤニヤするオレをやっぱりその呆れた眼差しで見るだった。
「さって、ちゃあん?その育ち盛りのおっぱいでこの凝り固まった背中洗ってくれねぇか?」
まだ泡を楽しんでいたの手首を掴んで無理矢理立ち上がらせる。
身長もケツもくびれもまだまだ貧相なのに、なんでおっぱいだけはこんなに育ってしまったんだろうか永遠の謎だ。
タイガも空港でさらに成長した胸を押しつけられて顔赤くして放心状態に陥ってたし、タツヤはやはり一個年上の威厳なのかその感触を楽しんでいた節が見られたが。
「へっへんたい!おっぱい星人!裸族!キス魔!」
「へっへっへ、よいではないかよいではないか~!」
ボディソープ片手に迫れば、は苦し紛れに横にかけてあったタオルに身を包んでしまった。っち。
「せめてっせめてタオル越しでお願いしますっっ!!」
半泣きするもカワイイから今日のトコは勘弁してやる。初日だし、いくらでもチャンスはあるってもんだ。
結局、生乳じゃないなら掌の方がマシなのでそれで洗ってもらって、の体を隅々まで洗ってやった。文字通り、隅々までな。
「アレックス…わたしちゃんと下着と着替え用意したよね?なんでないの?」
若干げっそりしているがタオルを身体に巻きつけて、ワゴンを覗き込んでいた。
そこには何もなかった。着替えも、下着すらも。
「ああ、これのことか?」
ぴらりとが準備していた白いパンツを見せると、はすぐに取り戻そうとオレに飛びついて来た。
が、オレがそんな簡単に取らせるわけもなく、のパンツを高く掲げたまま脱衣所を出た。
もそれに続いて脱衣所を出て楽しい鬼ごっこのはじまりだ。
「っちょ、まじふざけんなアレックス!」
「ふざけられる大人って素敵だろ?」
「さいあくだぶあっかっっ!!」
広い家の中をパンツ一丁の女とタオルを巻いてはいるけど尻チラしてる女が走る光景ってすっげー楽しいなぁ。
愛しい彼女と妹のためにと料理しているなつるが、さっきのみたいに残念な視線でオレらを見ていたが、そんなの気にしていたらマジモードのに捕まっちまうので構わずキッチンを走り抜けた。
直線コースの廊下に出るとは勝負をかけてきたので、オレも加速する。
オレらを、主にを見てわたわたしているタイガを華麗に避けると、はスピードを落とせずタイガと正面衝突した。
オレは勝利を確信したが、なぜか廊下に放置してあったバスケットボールに躓いてうっかりパンツから手を離してしまった。
「っつー!…って、タイガ大丈夫?うわ、ちょ、鼻血鼻血!」
「いっててて、久しぶりにこんなおもっくそこけた…」
「ねぇ、これどういうこと?」
こけた先にはタツヤが氷の微笑みをたたえて立っていた。
オレの思わぬパスをしっかり受け止めたらしく、その手にはのパンツがあった。
タイガはのタオル越しのおっぱい直撃に耐えきれなかったみたいで、鼻血を垂らしながら気絶している。うん、タイガも本望だろう、愛しのの胸で死ねて。
「これのパンツ?ずいぶん可愛いのはいてるんだね」
「タツ、タツヤ?なに言って…?」
「俺、自分偽るのやめたからさ。これからはもっとストレートにいくよ」
「(うわぁこいつオレよりも絶対に上をいく変態になるな…)」
「はい、パ「そんなきれいな顔でパンツ言うなあああ!!!」
「ほんっと、かわいい」
泣きそうな顔でいやもうむしろ泣いてるけど、そんな顔でタツヤの手からパンツをひったくる。
最後の呟きはには聞こえなかったみたいだが、とりあえず頑張れ。
あ、タイガ忘れてた。
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