「夏だ水着だ海だあああ!!!」
「わー」
「わー」
「わー…」
上から順にアレックス、、俺、タイガだ。ちなみになつるさんは練習で今日は不在。
アレックスのあまりのテンションの高さに若い俺たちはついていけない。普通逆なんだろうが。
アレックスに朝早くに叩き起こされて、適当に朝食を食べて、それはもうすごく荒々しい、アレックスに自動車免許を与えることに協力したすべての者を憎みたくなるような運転で海に来た。
タイガはほぼ瀕死状態、俺もも来るだけで疲れてしまった。
「何だお前らだらしねーなぁ、せっかくの海だぞ?もっと楽しめよ!」
「こういうことは前もって言ってくれれば俺たちもそれなりに準備したのに…」
「思い立ったら即行動あるのみ!!」
「あぁ…そうだったね…」
「タイガ、立てそう?」
「あ、ああ…」
酔い止めの薬を車内で飲ませると舌を思いきり噛む可能性があるため、車に乗る前に飲ませたかったがそんな暇もなく車に突っ込まれ、タイガは見事気分を悪くしてしまった。
さっきからに背中をさすってもらって俺も舌を噛む勢いで羨ましいと思ったが、ここは兄貴分らしく我慢だ。…ああ、我慢だ。
「おらタツヤ早くパラソル立てろ!はあとでオレと日焼け止め塗りあいっこな!」
「なんか嫌な予感しかしないんだけど…」
あれで素面なんだから本当にタチが悪い。
「ー、早く塗ってくれー」
「はいはい」
無事にパラソルも立て終え、タイガをシートに寝かせて冷たいタオルをのせてやれば幾分かマシになったみたいだ。
問題はどちらかというとこっちだ。
「んひ、っひゃはは、ちょ、ほんと、やめぅああっ!…はぁ、は、そこは、はあ、ダメだってばホント、ぃひ!」
うわあああああああ、ちょっもうっなんでそんなエロいのかなあああぁぁぁあぁ!!!!!!!!!!!ほんとね、ほんと今回だけはキャラ崩壊させてくれ!後生だから!
がくすぐったがりなのは知ってたけど、それをいざ目の前で見せられると…ああ…もう…なんていうか、こう、興奮するよね。
もういっそこんなナレーションとか放棄してを奪い去って、それから岩場に連れ込んで(以下自主規制)
「…タツヤ、お前に日焼け止めは塗らせねーぞ」
大丈夫だ、問題ない。
俺はもっと違うのをのに塗りたくるから。
「、野郎共はほっといて泳ぎ行くぞーっ!!」
「うわっ!」
ようやく日焼け止めを塗り終えたアレックスはの手を掴んで海へと走っていく。あぁ、まぶしいなぁ。
タイガもアレックスの騒がしさに目を開けてのろのろと起き上る。
鼻の毛細血管がブチギレそうな俺は自分の熱くなった身体を冷やすためとかわいい弟分の為に冷たい飲み物でも買ってきてあげようと、タイガに待ってるよう言って立ち上がった。
そしてお決まりの展開へと続く。
「嬢ちゃんたち、オレらと昼どうだ?」
「結構だ」
「よくシャメロン・ディアスに似てるって言われねーか?」
「言われる」
「この後一緒にドライブしよーぜ!な?」
「一人でやってろ」
復活したタイガを連れてたちのところへ来れば、案の定ナンパされていた。アメリカでナンパはもはや習慣的なものだが、なんともベタな展開である。
アレックスは自分よりも大柄な男でも気にせず冷たく突き放す。は我関せずと仏の顔になっていた。
「あー…そうだな、そこでバスケやってオレらに勝てたら考えてやらなくもねーぞ?」
「は、アレックス何言ってんの?!」
あまりにもしつこかったのか、アレックスは妥協案を出した。
親指で海辺に設置されているコートを指すと、たちに言い寄ってきた男共は顔を見合わせて下卑た笑みを浮かべる。
「相手が女子供とか鼻で笑っちまうぜ」
「相手すんのはオレじゃなくて、このと、アイツらだ」
視線をこちらに向ける。アレックスはニヤリとさも楽しげに口角をあげた。あの顔は最初から俺たちにバスケさせようと企んでた目だ。
じゃなかったら、用意周到にも俺たちのバッシュやジャージを持ってきてるはずがない。ほんと、アレックスには敵いそうにないな。
「何だお前らJapか?」
「だからなんだよ」
「イエローモンキーはさっさと負けてすっこんでろよ」
「日系の女はすぐ股開くんだろ?え、嬢ちゃんよお?」
「…」
「ん。初っ端ゾーン使ってくよ」
の瞳に光が灯る。
俺もタイガもただ勝つ気はない。圧倒的な強さをもって、コイツらに平伏してもらおうか。
アレックスが視界の隅で目を細めて不敵に笑った。
「「「ぜってー勝つ!!!」」」
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