「俺…ずっととこうしたかった。しあわせすぎて、夢みたいだ」
の小さくてふわふわの唇をすべて包み込むと苦しそうに口を開けるから、俺は本能に従ってその中に舌を差し込むと、それ以上の侵入を防ぐかのようには舌を押し付けてきたのだけれど、その行動がさらに俺をつけあがらせることをまだ君は知らない。
「ん、ぁ、ふぅ…っあ」
の舌を吸い上げて咥内に舌を巡らせると、俺の身体にまだ残っていた服を掴む力が強くなってふるえていたけれど、の顔を見ればそれは行き場のない気持ち良さをごまかそうと必死なのが読み取れた。
恥ずかしそうに舌を伸ばして俺のと絡めて、舌の形を縁取るように丁寧に丁寧に舐め合っていたらさすがに息が苦しくなったみたいだから、最後に強く吸いついてから離れた。
「っは、は、…っん、はあ…っ」
頬をピンクにさせてとろんと瞼を半分ほどおろして一生懸命に息を整えるを凝視する。
それに気づいたはむっとした顔をする。
「タツヤの余裕そうな顔ムカつく」
「なに言ってんだ。余裕なんて俺もないよ」
その証拠に俺の下腹部はさっきからどうしようもないくらいの熱を帯びて、を求めていやらしく拍動している。
ああ、好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ好きだすき、あいしてる。
言葉にしたらどれほどこのおもいは軽くなるのだろうか。息を吸う回数くらいと繋がって、そして愛してるとずっとずっと囁いていたい。
「、、…愛してる」
全部吐き出して、受け止めて、受け入れて、の全部を俺にちょうだい。
「愛してる、タツヤ…きて…きてっ!おきて!!起きてっ!!!」
ああ、起きているよ、きちんと。だってこれは夢じゃない。
「タツヤ起きろーっっ!!!」
「!!???」
胸から腹部にかけて身に覚えのある重みに襲われた。
久しぶりにまともに喰らった、お得意の背中ダイブ。
ジャンプ中に身体をひねることにより美しさを演出し、被害者の身体に背面から飛び込むことで背骨の突起が肋骨に刺さって鋭い痛みとなる。
いや、冷静に解説している場合ではなかった。は今、俺の、とても際どいところの傍に、いる。
「あ、タツヤ起きた?寝坊なんてめず「どっ…どっせーーーい!!!」
「うわっ!!」
危うく俺の汚らしい雄にの手が何気なくあたるところだった。いや、たぶん気のせいなんだろうけれど。たぶん、俺の意識し過ぎなんだろうけどっ。
あああああ、クールで冷静沈着で大人びていてミステリアスで泣きぼくろがチャーミングな格好よろしいいつもの俺はどこにいったんだっていうかどっせーいってなんだよっどっせーいってこんな台詞誰も言わないよ!
少なくともクールで冷静沈着で大人びていて落ち着いた雰囲気で泣きぼくろがチャーミングな格好よろしい人間はどっせーいなんて生涯口にしないよ!!とっさに出た言葉がどっせーいはいくらなんでも死にたくなる。しにたい。はずかしぬ。
「あの…タツヤ?ほんと今日どうしたの?」
「え、あ、いや…今ここら辺でこの掛け声流行っててさ…ほら、日本の相撲でもどすこいって言うだろ?みんなそれの真似してるうちになんか尾ひれがついてどっせーいってみんな言ってるんだよ」
一呼吸のうちに言いきった嘘を聞いて、はわたしも相撲好きだよ!とどこか間の抜けた事を可愛く笑いながら言うもんだから今すぐ抱きしめたい衝動に駆られたけど、今の俺は爆弾を抱えているため動けなかった。
「それじゃ、次タイガ起こしてくるから着替えて下に降りてきてね」
俺が突き飛ばしたせいで床に尻餅ついていたは軽やかに立ち上がり部屋を出て行ったことをしっかりと見届けてから、ベッドサイドに置いてあるティッシュを手にとって暴発した残骸を処理することに専念した。…のパンツ、何色だったっけ…。
<<