白き魔女は死にたがり
※ワンピにわかによる、子作りエッチを迫りたいだけのシリーズ
※逆ハーあり複数プレイありのどちゃくそエロい話かと思いきや、ただ一方的にセッと殺人を強要している話。
※絡ませたい(麦わらの一味、シャンクス、ベン、ロー、キッド、エース、マルコ、サボ、ミホーク、クザン、スモーカー、クロコダイル、ドフラミンゴ、レイリー)
※軽いヒロイン設定(異世界からきた3500歳ほどの最強魔女。物腰は柔らかいが、常識と貞操観念がない)
第1波 / 第2波 / 第3波
第1波
酒を片手に散歩に出ていたレイリーは手持ちの酒が切れたのもあり、一度シャクヤクのバーに戻ろうと歩みを進めていた。そんな折、シャボンディ諸島の鬱然とした茂みのど真ん中で倒れている少女ほどの華奢な人間を見つけた。全身を包む闇色のワンピースとは対照的に、髪は真っ白で肌は更に白く輝いていた。
「おいおいお嬢さん、大丈夫か?!」
酒と美女と遊びには目がないレイリーもこの時ばかりは焦りを含んだ声を上げる。決して倒れていた人間が可愛らしい容姿をしていたから助けたわけではない。決して。
「うう……ん」
「おお! 気がついたか!」
「おっ……」
「お?」
「お腹空きました……」
冥王レイリーと呼ばれ、伝説の海賊王の海賊団に所属していた過去を持つ男も、この時ばかりはずっこけた。
レイリーは空腹を訴えてきた年端もいかない少女を抱え、シャクヤクのバーに駆け込むと同時にご飯を作るよう頼んだ。海賊よろしく人攫いかとはじめは訝しげな表情を浮かべたシャクヤクをなんとか説得し、料理を作ってもらう。出来立ての温かな料理がカウンターに並べられると、ソファに寝かせられていた少女は匂いにつられて跳ね起き、目にも留まらぬ早業で食べ始めた。その華奢な体のどこに収納するのかと思うほど、その食いっぷりは凄まじかった。ようやく落ち着くと口元をナプキンで拭き、席を立ってスカートの裾を持ち上げて頭を下げた。
「この度は大変お世話になりました。私はと申します。私を殺してくれる者を探しに異世界から来た魔女です」
にっこりとあどけない笑顔で丁寧に挨拶をするが、レイリーとシャクヤクは耳を疑った。今この少女は間違いなく自身を魔女と称し、殺してくれる者を探していると言い放ったのだ。
「異世界からわざわざ自分を殺してくれる奴を探しに来た魔女さんとは驚いたな」
まさかの展開にレイリーも、はは、と乾いた笑みを零すしかなかった。シャクヤクは、少女と女の狭間にいるような風貌のの真意を測りかねていた。
「あなた、魔女というからには魔法か何か使えるのかしら? だったらここの食事代払えるんでしょうね?」
物腰は穏やかだが、声には鋭い棘が含まれていた。ここは凶悪な海賊が集うシャボンディ諸島。騙し騙され、お人好しは殺され、海に沈む。元海賊のシャクヤクはの言葉を簡単には信用できなかった。あのレイリーが警戒心を解いている時点で悪人ではない可能性が高いが、念には念を。見た目は可愛らしいが、御伽噺でしか存在しない魔女と宣う彼女はシャクヤクたちにとって脅威となるのか見定めたい。
「おいシャッキー」
「レイさんは黙っていて。ここでのルールは私よ。言っておくけど、私の店は高いわよ」
「美味しいお料理の対価をお支払いすれば宜しいのですね?」
「そうね。本物の魔女さんは金でも出してくれるのかしら?」
「あなたが望むのならば」
敵意も悪意も拭い去るような純白な笑顔だった。まず手始めに、水が入っていたグラスの縁をなぞると、みるみるうちに金の杯へと変わった。今までとシャクヤクのやり取りを傍観していたレイリーはぽかんと口を開き、シャクヤクもまた目を見張った。
「これだけでは足りないでしょう?」
無邪気な笑みを浮かべ、くるりとスカートを翻すように回ると、ドアを指差す。指を差されたドアはひとりでに開き、は何かを招くように指先をちょいちょいと何度か屈曲させると、重力を無視してただの石がの元へ集まってきた。無造作にカウンターに並べられた石ころにシャクヤクは声を上げる。
「なっ何をする気?」
「こうするのです」
ぱちんと指を鳴らすと、一瞬にして色とりどりの輝きを放つ宝石へと姿を変えた。思わずシャクヤクが触れると、確かになんの変哲もない石だった物が本物の宝石になっていた。これで先程の金の杯は幻ではないことが証明されたのだ。
「……はっはっはっは! 私は本物の魔女は見たことはないが、こりゃ本物の魔女だ!!」
「、試すようなことを言ってごめんなさい。改めてあなたを歓迎するわ」
「じゃ、じゃあお料理のおかわり頂けますか?!」
「追加料金よ」
今度こそシャクヤクはに笑顔を向けるのだった。
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第2波
「が魔女なのはわかったが、なぜわざわざ殺されにこの世界に来たんだ? その力を使えばどうとでもなりそうなものだが……」
レイリーとはカウンターに並んで座り、レイリーは酒を、はアップルジュースで口を潤す。舌の滑りが良くなったは、ここに来て初めて顔を曇らせた。なにか事情があるのは一目瞭然だ。
「魔女は、魔女にしか殺せません」
それは、魔女であるが故の呪いでもあった。
「の世界に魔女はいなかったの?」
「いいえ。魔女しかおりませんでした。その世界を私自身が滅ぼしてしまいました」
はグラスの中で揺れるアップルジュースに視線を落とすと、ポツリと呟く。
は創世の魔女と祀られるほどの魔力を持ち、高度な魔術を使いこなす、魔女たちの頂点に立つ立場であった。ある日、は予言した。この世界は混沌の闇に呑まれ、やがて無に帰すだろう、と。の絶対的な予言に絶望し、気が狂った魔女たちは殺し合いを始めた。やがて自分の他に魔女がいなくなったは死ぬこともできず、独り取り残されていると、突如大津波が世界を襲った。は悟ったのだ。予言とはこの大津波のことで、この世界に見切りをつけた自身が津波を闇に変え、世界を無に帰すのだと。そうしては、自分を殺してくれる者を探しに異世界の扉を叩いた。
「予言の自己成就か……」
の予言により魔女たちはその予言通りに行動し、もまた自身の予言通りに行動した結果、回避できる可能性があった予言が現実になってしまったのだ。
「私があんな予言をしてしまったばかりに、みんなを死なせてしまいました……」
「だから死にたいの?」
自身の罪滅ぼしのために、同胞である魔女に殺してもらおうなんて考えが甘い。シャクヤクは重く険しい表情を貼り付けると、は頭を振った。
「罪滅ぼしではありません。世界を滅ぼすほどの力を持つ私が死ななければ、また歴史は繰り返されるだけです。私を殺してくれる魔女を見つけたら、私もその魔女を責任持って殺します。私たち魔女は滅ぶべき存在なのです」
静かに落とされた言葉にの覚悟を感じる。
「しかし、。私はこの世界でたくさんの国や島を見てきたが、魔女なんて見たことがないな」
「魔女がいないなら、誰かと共に創ってもいいんです」
「……? それはどういうことかしら?」
「創世の魔女と言われた私でも、1から魔女を生み出すことはできません。だから異世界で魔女を探すか、交尾をして魔女の血を分けた子を成し、我が子に殺してもらうしか方法はありません。この場合、子供は魔女の血が混ざっているだけなので、ゆっくりと歳を重ね、自然と死ぬことも可能です。ある程度の魔法も使えますが、世界を滅ぼすほどの力は持ち得ません」
魔女とはかくも残酷な生き物だ。自分を殺してほしいがために性交し、子を産んだとしても、その子は生まれながらにして己の母親を殺す責が課せられる。こんなにも悲しい運命があるだろうか。
「ってことでレイさん私と子作りしませんか?」
「おっ……おお!? こんな老いぼれでよけ「レイさん、一体何を聞いていたのかしら? 生まれた子供に殺されたいと思っている子の誘いにホイホイ乗らないで頂戴」
「歳の差なら気にしないですよ!」
「、そういう問題ではないのよ」
「生まれて3500年以上経っていますが、基本的に強い魂を持つ雄なら性交対象です!」
あははとあっけらかんと笑うは、相変わらず女になりきれていない少女のような無垢さを持ち合わせていたが、発言は随分と開けっぴろげである。それよりも、だ。
「3500年って……本当に魔女は魔女に殺されない限り死ねないのね……」
「美魔女のシャッキーも驚きだな」
「魔女?! シャッキーさん魔女だったんですか!!? なら私を殺してください! 私も責任持ってシャッキーさんを殺してあげますから!!」
「滅多なこと言わないで、レイさん」
「はは、ついつい若い子に誘われて浮かれてしまったかな」
「は3500歳よ」
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第3波
この世界に降り立った時、は制約に縛られた。空腹時は魔法が使えない、魔力が底をつくと強制的に眠らなくてはならない、人間の女のように月経があり、月経時は使える魔法が制限される等といった制約だ。それでもは死にたくても死ねない、最強の魔女。だからこそ生半可な雄が契りを交わすと、魔女に取り込まれてしまうのだ。魔女、あるいは魔女を相手にできる強い魂を持った雄を探す旅が今始まろうとしていた――
「レイさんがお相手してくれたらこんな旅始めなくてもいいのに…」
「はっはっは、火遊びならいくらでも付き合うさ」
「、私に黙って死ぬんじゃないよ」
「はい。レイさんも、シャッキーさんにも助けてもらった恩義がありますし、きちんとお約束は守ります」
でも、あんたはどう転んでも死を選ぶんだろう。
口には出さず、シャクヤクは死にたがりの白き魔女をただその目に焼き付けた。自分の存在が再び世界を滅ぼさないように、歴史を繰り返させないために、は強大な魔女の力を絶とうと死を選ぶのだ。
「それでは、いってきます!」
「ああ、いつでも帰ってきてくれ」
「待ってるわ」
シャクヤクから貰ったデッキブラシに乗り、沢山の食料が詰まったバッグをぶら下げて空高く舞い上がると、みるみるうちにシャボンディ諸島が小さくなっていった。魔女と呼ばれる医者が雪深な島のサクラ王国にいることをレイリーが思い出し、早速は向かうことにしたのだ。しかし偉大なる航路を渡る装備として、デッキブラシと食料だけだなんてどこの命知らずだと鼻で笑いたくもなるだろう。だが、魔女であるにしてみれば海王類だろうが、灼熱地獄や絶対零度であろうが関係ないのだ。困りごとといえば、常に使えていた千里眼が使えない所為で、魔力を消耗して目的地を確認しつつ進まなければならないことくらいである。それもにとったら微々たる障害だ。食料が尽きない限り、彼女は敵なしである。そう、食料が尽きなければ。
「おっお腹が空きました……」
ドラム王国改めサクラ王国は年中雪が降る極寒の地。そのため常に暖と食料の確保が生活の中心となっている。そんな国で見た目よりも数倍食べるが満足するほどの食事ができるわけもなかった。なんとか食い繋いで魔力を保ちつつ、魔女がいる標高5000メートルもあるドラムロックまで飛んだのはいいが、たどり着いたと同時にふかふかの雪へと倒れ込んでしまった。魔力が空っぽになったは強制的に眠りについたのだ。当然意識のなくなったが、自分の元へやって来る人影に気づくはずもなかった。
「っは!! いい匂い!!」
「ヒーッヒッヒ、第一声がこれじゃあ色気もクソもないさね」
「ご飯! ご飯ですか?!」
「ああ、お前に必要な治療はこれだろうと思ってね」
「わあ! 感謝いたします! いただきます!!」
白く波打った長い髪を振り乱しながら目の前の食事にがっつく様は、とてもじゃないが可憐な外見からは想像もつかない。少しだけお腹が膨れたが、次に口にした言葉はおかわりであった。Dr.くれはは遠慮を知らない小娘を軽く小突くが、思ったような感触はない。まさかこんなトロそうに見えるが、Dr.くれはのツッコミを避けるほどの実力者なのだろうか。Dr.くれはに疑念が生まれる。
いや、違う。には決して死ねない呪いがかかっており、如何なる攻撃も無効化する障壁が張られているのだ。その障壁を突き破り、を殺せるのは同族である魔女か、魔女の血を分け与えられた子だけである。
「……あんた、何者だい?」
Dr.くれははに不気味さを感じていた。
「脈も心臓の音もない。体温もない。あたしゃ100年以上生きてるが、お前みたいな奴は見たことがない」
高い標高の山の上に建つ美しい城の入り口近く、吹雪の中倒れていたを見つけた時は、またどこかの海賊が病気でもしたのかと思った。容態を診ようと近づくと、お腹空いたと唸るに驚きを隠せなかった。こんな雪の中にもかかわらず薄手の黒いワンピース一枚で、体に触れると冷たくも温かくもなく、まさしく無感であった。凍傷を起こしている様子もない。それだけでなく、脈や心音も一切ない。本当に人間なのだろうか。人間の皮を被った何者かであろうか。どちらにせよ、死にそうな輩がいたら助けるのがDr.くれはの信条である。ただし、法外な報酬は取るが。
「私は魔女の。ここに魔女がいると聞いてやってきました」
「ほう……そりゃ何のためだい?」
「私を、殺してもらうためです」
Dr.くれははの真っ直ぐな言葉に目を見開いた。こともあろうに、は医者であるDr.くれはの前で死にたいと嘯いたのだ。
「……帰りな」
「え?」
「ここはお前みたいな奴が来るとこじゃあない。アタシは魔女と呼ばれちゃいるが、医者だ。病気の奴らを救うために生きてんだよ」
今度はが目を見開く番だった。
「あなたは魔女ではないのですか? 魔女ならば死ねない辛さも、途方もない年月を孤独に生きる苦しさもわかるでしょう?! 私を殺してください! 私もあなたを殺すから!!」
は懇願するようにDr.くれはの手を握りしめた。やはりの手からは何も感じ取れない。瞳に宿す熱も、冷たい白磁のような肌も、Dr.くれはにはなにも伝わることはなかった。
「お前、死ねないのかい?」
「魔女は魔女にしか殺せません」
だからは魔女と呼ばれるDr.くれはの元へと遥々やって来た。はレイリーたちに説明したようにDr.くれはにも事情を説明した。
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