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GA 芸術科アートデザインクラス - 7巻

きららキャラットの2大看板として10年同誌を支え続けた美術4コマの代名詞。
ついに完結です!
戻らない時間を描き、美術部sideの過半数は3年生。
6巻の時点で秋でしたので遠くない未来、この日がやってくるのは予想がついていましたが・・・やはりいざ最終回となると寂しいです。
この作品に影響されて色彩に興味を持って色彩検定を受験したのはいい思い出です。
それくらい読み手に影響を与えるパワーを持った作品。

最終巻は前巻から引き続き文化祭から始まりです。そして、しばらくは再び日常へと戻っていきます。
ただ、美術部はやはり卒業を意識した雰囲気になっています。
5人中3年生が3人に2年生が2人。そして受験生の山場である冬。
この時期の3年生といえば本来ならとっくに引退済みですからね。
というわけで、今巻の3年生組、特にあーさんはシリアスだったりしんみりだったりする描写ばかりです。いつもの暴走部長っぷりは封印。
作品内で「進路」を描く際、数コマや数ページであっさりとした描写で済ませてしまうパターンと、じっくりと時間をかけて描くパターンがありますが、GAの場合は完全に後者。
非常に時間をかけて、丁寧に、繊細に描いています。
当人だけではなく、1年生組(というか如月ちゃん)を巻き込んで「本人でない視点からの進路の考え方」を交えて。
だからかもしれませんが、大人たちの描写でも「進路」がテーマになっています。
どうして教師になったのか、教師の役割とは。
そういうテーマがこの最終巻全体を包む空気になっています。
もちろん、きゆづき先生らしい賑やかで明るく、シリアス過ぎない「ちょうどいい空気」です♪
7巻全体を通じて「進路」という重いテーマを描きながら、それ以上に明るさと楽しさを感じさせるのは流石としか言いようがありません。

一度雑誌の方でも最終回を読んでいる筈なのですが、改めて1巻分を通して読んで最終回にたどり着くとまた違った感覚があります。
終わってしまったという寂しさはもちろんあるのですが、そこに至るまでに悩んで迷ってぶつかって。
「その時できる精いっぱい」の末に出した未来に立っている彼女たちと、そこから先に紡がれるだろう未来
。 一連の物語としてより強く感じることができました(先生の作品は物語性が本当に美しい。色彩や描写も美しいですが)。
きっと1話目から最終回まで一気に読むとまた違った感覚で読めるんでしょうね♪
それはまた長期休暇まで楽しみにとっておこうと思います。
読むのに時間のかかるタイプの作品ですしね。

どーでもいいかもしんないですが、最後に。
「琴崎ユヅキ」っていうのは「きゆづきさとこ」のアナグラム、つまり先生ご自身のことです。
それを認識したうえでカバーをめくってみようっ!

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