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作品ID:296
こちらの作品は、「お気軽感想希望」で、ジャンルは「一般小説」です。
文字数約1184文字 読了時間約1分 原稿用紙約2枚
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桜の下で
作品紹介
未設定
十四歳の誕生日の日。
私は、丘の上の桜の木の下で、眠りこけていた。
お昼時。平日の昼間とあって、誰もいない。たまに、散歩で通る赤ちゃんを連れた女の人や、おじいさんが、私を見て変な顔をして通り過ぎていく。
私の格好は、中学生のそれだった。紺色のセーラー服に、白いスカーフ。二本線の入ったえり。運動靴は、白。靴下も白。ひだスカートが、春の穏やかで生ぬるい、コタツのスイッチを切ったすぐあとのような風で舞い上がる。それと同時に、私の夏場にまったく外に出ない室内型の証拠である、白く輝く頬をなでていく。
この風に、桜の花びらは舞わない。まだ咲いていない。
M盆地の春は、全国的に遅い。京都で早めに修学旅行に行って帰ってくると、二回も満開の桜を見れる。……と、委員会の先輩が言っていた。
そう、服装の通り、私は並木第二中学校の生徒だ。ちなみに中二。
別に、学校をサボっているわけじゃない。
昼休みだから、えっちらおっちら学校の裏にある自然公園目指して昇ってきて、軽く昼食をすませた後、昼寝をしているだけだ。
一時間くらいある昼休みを有意義に過ごすには、これしかない。屋上も図書館も人でいっぱいで、落ち着かない。
十分くらい昇って、定位置の桜の下に寝そべる。
M市を一望できる特等席にもかかわらず、景色なんてまともに見ていない。
私は、じりじりと熱をすって暑くなる制服に耐えられず、起き上がった。
「はあぁ。よく寝た」
二度寝をする気もないので、お尻の下に敷いたダンボールの端っこを持った。
「そう、れっと」
そのまま、斜面を下る。
公園にいた人たちがびっくりする声が聞こえたけど、聞こえないフリ。
ザー!
勢いよく草地を抜けて、フェンスの前でうまく止まる。
竹林のところにある、竹製の柵の穴から、しゃがんで学校の敷地内に行く。
ダンボールを頭に乗っけて走っていくと、授業開始五分前のチャイムを聞いた。
「せーふ!」
校庭に面した窓から教室内に右手を支点に軽やかに飛び込むと、そこにあった上履きを履いた。
ウチの学校は二年A組の教室が、他の教室とは違って古い校舎の一階にある。
なぜなら、台風の影響で教室が壊れたからだ。
そんな教室の一番後ろの窓側に座って、真面目にノートと教科書を出す。
「はーい、授業始めんぞー。……おい、学級長が遅れてどうする」
先生が入ってきて、その後ろからこっそり入ってきた学級長がクラスの笑いを誘った。
「あははー。やっちゃった」
隣の席に座った学級長を冷ややかな目で見ながら、
「面白いんだからいいんじゃない」
と、慰めてやった。
「それじゃあ、教科書開けー」
そうして、今日も穏やかな昼休みが幕を閉じる。
私は、丘の上の桜の木の下で、眠りこけていた。
お昼時。平日の昼間とあって、誰もいない。たまに、散歩で通る赤ちゃんを連れた女の人や、おじいさんが、私を見て変な顔をして通り過ぎていく。
私の格好は、中学生のそれだった。紺色のセーラー服に、白いスカーフ。二本線の入ったえり。運動靴は、白。靴下も白。ひだスカートが、春の穏やかで生ぬるい、コタツのスイッチを切ったすぐあとのような風で舞い上がる。それと同時に、私の夏場にまったく外に出ない室内型の証拠である、白く輝く頬をなでていく。
この風に、桜の花びらは舞わない。まだ咲いていない。
M盆地の春は、全国的に遅い。京都で早めに修学旅行に行って帰ってくると、二回も満開の桜を見れる。……と、委員会の先輩が言っていた。
そう、服装の通り、私は並木第二中学校の生徒だ。ちなみに中二。
別に、学校をサボっているわけじゃない。
昼休みだから、えっちらおっちら学校の裏にある自然公園目指して昇ってきて、軽く昼食をすませた後、昼寝をしているだけだ。
一時間くらいある昼休みを有意義に過ごすには、これしかない。屋上も図書館も人でいっぱいで、落ち着かない。
十分くらい昇って、定位置の桜の下に寝そべる。
M市を一望できる特等席にもかかわらず、景色なんてまともに見ていない。
私は、じりじりと熱をすって暑くなる制服に耐えられず、起き上がった。
「はあぁ。よく寝た」
二度寝をする気もないので、お尻の下に敷いたダンボールの端っこを持った。
「そう、れっと」
そのまま、斜面を下る。
公園にいた人たちがびっくりする声が聞こえたけど、聞こえないフリ。
ザー!
勢いよく草地を抜けて、フェンスの前でうまく止まる。
竹林のところにある、竹製の柵の穴から、しゃがんで学校の敷地内に行く。
ダンボールを頭に乗っけて走っていくと、授業開始五分前のチャイムを聞いた。
「せーふ!」
校庭に面した窓から教室内に右手を支点に軽やかに飛び込むと、そこにあった上履きを履いた。
ウチの学校は二年A組の教室が、他の教室とは違って古い校舎の一階にある。
なぜなら、台風の影響で教室が壊れたからだ。
そんな教室の一番後ろの窓側に座って、真面目にノートと教科書を出す。
「はーい、授業始めんぞー。……おい、学級長が遅れてどうする」
先生が入ってきて、その後ろからこっそり入ってきた学級長がクラスの笑いを誘った。
「あははー。やっちゃった」
隣の席に座った学級長を冷ややかな目で見ながら、
「面白いんだからいいんじゃない」
と、慰めてやった。
「それじゃあ、教科書開けー」
そうして、今日も穏やかな昼休みが幕を閉じる。
後書き
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