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作品ID:320

こちらの作品は、「批評希望」で、ジャンルは「一般小説」です。

文字数約2846文字 読了時間約2分 原稿用紙約4枚


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小説の属性:一般小説 / 未選択 / 批評希望 / 初級者 / 年齢制限なし /

竜の思いと少女の涙

作品紹介

これも、随分前に書いたやつです、はい。

書きたいと思ったままに書いてみました。

多分、ファンタジー……?ラノベにも当てはまるのかもしれません。



未熟な文ではありますが読んでいただければ……



一応、手直しはしましたが、表現など、まだおかしいところがあればご指摘下さい。



これも自分の中では少し続きがあるんですけど、この話と続きまでの空白が埋まらないので連載できず……。






 町は燃えていた。どの家も、きっとすごいお金をかけてつくったであろう大きな会社のビルも、全て。形あるものは全て燃えていた。そんな中逃げ惑う人々。皆、もう火を消すのをあきらめていた。どれだけの人が水をかけても消えることはなかった。むしろ勢いを増しているとさえ思える。その町の上をゆっくりと細長いものが飛び回る。龍だ。澄んだ綺麗な青い鱗を持ち悠々と空を飛びまわっている。その上に黒いコートを着た男が立っていた。

「はっ……脆いものだな。こんなにあっさりと滅ぶものなのか。面白い……実に面白い……」

 そういい男は町を見下し馬鹿にするように笑った。

 そんな男を乗せ龍は半ばあきれたように軽くため息をつく。息と一緒に僅かながら火も吐いてしまい慌てて口を閉ざす。龍にとってこの男の考えていることなんて簡単にわかったし、それを愚かだとしか思えなかった。なにより、この自分をこんなことに使われ不愉快だった。そしてそれに対して従うことしかできない自分にも腹が立っていた。

「もうよいだろう。我をこのような愚かなことに使いおって。このまま振り落として業火の中に落としてやろうか」

 すると男は焦る様子もなく平然と言った。

「するがいい、できるものならな」

「強引に一方的な契約を結びおって・・・。魔術師として恥ではないのか」

「はっ、それが俺のやり方だ。世の中弱肉強食。強いやつが弱いやつを従えるのは当然。滅んでいくのも当然」

「……我を弱者とでも言いたいのか」

 すると男は高らかに笑って言った。

「ハハハ……、まぁ、俺のために頑張ってくれたまえ。」

 龍は小さく火を吐き町を見下ろした。町はもう灰と化していた。



―――これを我が・・・



 昔、竜は国の半分を滅ぼしたことがあった。ただ何かを壊したいという衝動に駆られただけで。しかし、その後人々の嘆き悲しみ、絶望する様子を見て、もうこのようなことはしないと決め、滅ぼした場所を作りなおし、自分の愚かさを改めるため自らをある1人の少女に頼み洞穴に封印したのだ。少女といっても何かが原因で年をとるが老けなくなった魔女だといっていた。

 ……眠る前、彼女と約束したのだ。

「もうこんなことはしないで……。いつか目覚めたら今度は一緒に空を飛びましょ」

 彼女は私が永い眠りにつくとき、泣いてくれた。その涙だけで私は充分幸せを感じた。永遠の眠りに付いたとき彼女と空を飛ぶ夢を見た。彼女と笑って過ごす夢を見た。そして、彼女のおかげで一度は滅ぼしてしまった国の人々と仲良くなり、一緒に空を飛ぶ夢を見た。幸せだった。夢の中だけでもこうなれて幸せだった。もうこのままでいいとさえ思えた。



 しかし、龍は目覚めた。ある1人の男によって。

 無理やり目覚めさせられ、無理やり一方的な契約を結ばされ、無理やり町を破壊させられた。



 ―――魔女よ、我は力不足のようだ……こんな男すらどうにもできない……すまぬ……セリア……



 自分でも気付かないうちに涙を流していた。その涙が1人の少女に落ちる。少女が顔を上げる。龍は目を見開いた。

「セ……セリア……‼」

 龍は男を振り落とし1人の少女のもとへ向かった。

 会いたかった。永い眠りの中ずっと思っていた。いつか一緒に空を飛ぶことを夢見ていた相手、セリア。

「くそっ」

 空中で体勢を立て直した男が両手を合わせる。その瞬間龍の体に激痛が走った。

しかし、龍を止めるにはあまりに小さすぎる痛み。

「セリア! 会いたかったセリア!」

 龍は少女の隣に降りた。当たり前だが、少女の目には恐怖以外映っていなかった。

「セリア! セリア! 我は――」

「あ・・・あ・・・あの・・・私は、レーナで……ひ、ひ……人違いです」

 少女が震えた声で必死に言った言葉。龍は言葉を失った。

「セリアでは、ないのか……。くっ」

 龍の体に再び激痛がはしる。

「おいおい……突然どうした。契約違反だろ?」

 男が腕を組み龍の前に立つ。

「はっ……契約など結んでおらん。おぬしの勝手な……くっ……」

「ふっ、ここまで思い通りになっといていまさら何を言う? 町、つぶしただろ? 」

 その言葉を聞き、レーナが目を見開く。

「ん、生き残り? よくあの中生きていられたな。しかし何故もっと逃げぬ? ここで死んでしまうではないか」

男は龍に向かっていう。

「命令だ。あいつを殺せ」

「くっ……」

 龍は体を必死に抑えようとするが、本人の意思とは裏腹に勝手に口が開く。このまま火を吐けば、この少女は確実に死ぬだろう。しかし殺したくなかった。セリアじゃなかったとしても、この少女を殺したくなかった。

「死……死ぬのは……貴様だ!!!」

 そういい龍は無理やり首を曲げ男に向かって自分の魔力の全てを使い火を吐く。首に激痛が走るがそんなの今は問題ではない。

 男は一瞬焦った顔をし、そのまま火の中に消えた。

「死んだ……のか……」

 龍は静かにつぶやく。

「残念だが、まだ死んでない」

 男は宙に浮かんでいた。しかし逃げ切れなかったのだろう。右腕は焼けただれている。

「よくも私の右腕をこんなにしてくれたな。まぁいい。今は見逃す。だが、必ずお前を殺す。せっかく下僕のひとつに入れてやったのに……。今のことを後悔するがいい」

 そういい男はフッとどこかに消えた。

 龍はしばらくそこを見つめていたが、隣にいる少女の方を向いた。

「レーナ、といったな。お主、大丈夫か? すまぬ……怖かっただろう……」

 少女は震えていた。目からは涙がとめどなく溢れている。

「だ……大丈夫……です。はい……大丈夫です。あ、ありがとうございます。あ、あなたの……名前は……」

 名前……龍は名前と聞かれすぐには思い出せなかった。セリアは我をなんと呼んでくれたのだろう……。しばらく目を閉じ昔の記憶を思い出す。

 

――「カーク。」



「……カーク」

少女はゆっくりと確かめるようにその言葉を繰り返した。

「カークさん……」

カークは静かに頷く。

「カークさん……ありがとう」

 レーナは柔らかく笑った

――やっぱりセリアに似ている……

 カークは改めてそう思った。そして感じた。我はこの少女を……レーナを守るべきじゃないだろうか……。

 この出会いをどうしても偶然だと思えなかった。思いたくなかった。偶然なんかで済ませたくなかった。

「レーナ……我はあいつのことを知っている。あいつもわれのことを知っている。かかわってしまった以上あいつは、またお主を……レーナを殺しに来るかも知れん。あの男からお主を守る……我と、契約を結ばんか?」

 彼女は目を大きく見開いた。そして、しばらくして……あの優しい笑顔を見せた。



後書き

未設定


作者 みず
投稿日:2011/05/01 18:01:56
更新日:2011/05/01 18:04:07
『竜の思いと少女の涙』の著作権は、すべて作者 みず様に属します。
HP『未設定

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