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作品ID:346
こちらの作品は、「感想希望」で、ジャンルは「一般小説」です。
文字数約3344文字 読了時間約2分 原稿用紙約5枚
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正しい退屈の潰し方
作品紹介
とある場所にいる、とある者の一例。
窓の外は曇天だ。分厚い灰色の雲が、バケツを引っくり返したように土砂降りの雨を降らす。雨の降る音だけが、私の部屋に響いている。
「退屈だな…」
私の部屋には私しかいない。当然だけど。自室だから。雨のせいで窓の外は灰色一色。今、外に出たら濡れ鼠だろうな…。出かけたいけど、土砂降りじゃ無理だ。
「ああ、本当に退屈…」
誰もいない空間に私の声は消える。静かに、でも凄く速く。空間に溶けてなくなった。余りの暇さに私はベットの上でばたばた暴れ始めた。私の部屋ははっきり言って殺風景。背の低い衣装棚に、簡易ベット。それだけ。寝て、着替えるだけの部屋。そんなの自室という人はそう多くないだろう。
「あぁぁぁぁぁぁ!! 暇、暇、暇だぁぁぁぁぁ!!」
叫んで暴れて。これくらいしかやることがない。宿題もない、家事も無い、出かける場所もない、出かけるお金は腐るほどあるけど。でも濡れるのは嫌。ああ、どうしよう…。と思案する。
誰もいないことをいい事に、普段からのクセ――――その場をぐるぐる立ち回る奇行を始める私。他人から見れば単なる変人だろう。
「ああ、こうなったらお姉ちゃんでも叩きのめすか…」
最終手段、私は自分の姉に喧嘩を吹っ掛けることにした。今、家にいるのは何人かの使用人と姉と私と、兄。兄は駄目だ。あの人は私を見るなり問答無用に襲い掛かってくる。押し倒す目的で。身内に欲情できる病気らしいから仕方ない。あんなのに関わってたら私の人生に関わる。
「…どうせ、寝てるだけだろうし。寝込みを襲い掛かった方が長続きするだろうな」
私は自分の部屋を出た。襖を開けるとき、音を立てないように注意する。何せ、姉の部屋はすぐ隣だ。忍足で廊下を数歩進み、姉の部屋の襖をそっと開ける。
「…………すぅ………すぅ」
案の定、姉は可愛らしい寝息を立てて寝ている。よし、チャンス到来。常日頃、積年の恨みをここで晴らす。と、思ったのに。
「……お嬢様? 何をなさっているのですか?」
「!」
後ろから声を掛けられた。部屋の中を覗き込んでいたから、完全な不意打ち。慌てて振り返ると、使用人さんがいた。怪訝そうな顔で私を見ている。
「あ、お姉ちゃんに用事。何でもない」
「そうですか…。お休みになられているので、あまり刺激しないで下さいまし」
「分かった」
本当は刺激しまくるつもりだ。暇を潰すには、姉との喧嘩が一番長続きする。兄は論外。襲われるなんて、真っ平ごめんだ。あんな欲情した兄など、発情期の猿以下だ。変態だ。汚らわしい、汚物そのものである。
「…にっしっし」
それはさておき、相変わらず可愛い寝息を立てている我が姉は、私の思惑を知らずに暢気に眠っている。時々『…駄目に決まってんでしょお馬鹿…』とか『んー…。キスくらいなら…許してあげる…』とか寝言を言っている。大方、彼氏とデートしている夢でも見ているのだろう。何という可愛さ。我が姉ながらこの可愛さは異常だ。
「……」
ぽきりぽきりと指を鳴らしながら、ゆっくりと近付く。抱き枕に熊のぬいぐるみなんて抱きついている姉は子供っぽい。いうとすぐに否定するけど。
「さて…」
と、やろうとして気が変わった。姉を見ていると、幸せそうに眠っているのに私は何をやっているんだろう。という気持ちになった。暇なら使用人を呼んでゲームでも何でもすればいい。態々姉を叩き起こして喧嘩する必要もない。
「やめた」
もう少し、マシな方法で時間を潰そう。いくらでも手段はあるのだ。と、言っても思いつかない。ああ、暇だ…。
「……あ」
あった。私が出かれないなら、呼び出せばいいんだ。どうせ、暇な奴がいる。早速私は居間に向かった。居間に電話があるためだ。到着し、すぐに受話器を持ち上げる。
『もしもし?』
「もしもし、私です」
『? ……ああ、お前。どうした?」
「暇、相手しろ」
『いきなり何だよ? というか何で命令形…?』
「拒否権は与えない。彼女が遊びたいといっている。さっさと来い」
『行きたくねえ…。お前の兄貴、めちゃめちゃ怖いだろうが!』
「兄なら来るまでに殺しておく」
『物騒この上ない…。頼むから穏便にな?』
「あんな人間、ゴミ以下のクズ野郎確定。別に将来の兄貴だからと味方しなくてもいい」
『普通にひでえ扱いだな…。分かった、5分で行く』
「分かった」
やることは決まった。兄の排除。電話の相手は私の許婚。親同士の決めた結婚相手である。今時政略結婚とはよく言ったものだ。反発するのが普通なのだろうが、生憎私は彼を気に入っているので、今のとこは順調に交際している。
「さて。にいさぁぁぁぁぁぁぁぁんっっっ!!!!!!」
私はその場で大声で叫んだ。すぐに遠方からどたどたとこちらに走ってくる音が聞こえる。すごい速さでこちらに迫ってくるのが分かる。
「どうした愛妹よ! ついにこのボクとの結婚を――」
襖を開けて飛び込んできた兄に、問答無用のドロップキックをぶちカマス。相変わらず私は兄に対しての攻撃速度が速いみたいだ。
「ぎゃぉう!?」
まともに受け、受身すら取れずに兄は畳に沈む。が、まだ生きていた。ぴくぴくと死に掛けの蟲よろしく痙攣している。
「わ、我が愛しの妹よ…。これは、お前の愛だと言うのか…?」
「哀れみの哀だけどね?」
「くっ…妹よ…このボクは…」
「うるさい、師ね」
どこっ! と容赦なく情けなく躊躇い無く兄の頭を踏み潰した。潰れはしないが畳に顔がめり込む。
「ぎゃおぅ!?」
「汚い悲鳴ね」
冷たく言い放ち、玄関の方に向かった。兄は頭から煙を上げて死んだ。多分今度こそ死んだと思う。頼むから今日一日は復活されないで欲しい。
「よっ」
「遅い」
「ごめんごめん。来るまでにちょっと遅れた」
「何で濡れてる?」
私の指摘どおり、彼はびしょ濡れだった。髪からぽたぽた雫が垂れている。
「悪ぃ。傘とかさすの面倒で、走ってきた」
確かに彼は微かに息が荒い。はぁはぁと言っているのが微かに聞こえた。
「何で御曹司のクセに走ってくるの? バイクは?」
「うるせえ。バイクからこの間事故って修理中。仕方ねえだろ。親父からバイク禁止令だされたんだがら」
彼はぶつぶつ文句を言いながら座った。私もそれに続いて正座する。
「んで、暇だから来たわけですが。俺は何をすればいい?」
「子作り」
「はぁ!?」
「冗談」
「冗談に聞こえないぞ! いい加減俺をからかって遊ぶな!」
「暇だからどこかに連れて行け」
「てめえスルーか!? そして命令形なのは何故!?」
「嬉しいでしょ? 彼女からでーとのお誘いですよ」
「話を聞け!」
「ちなみに私はこれでも結構恥ずかしい」
「何でそこだけ純情なんだお前…」
「だから速く連れて行け」
「……はい、了解しましたお嬢様」
「だーれーかー。おーそーわーれーるー」
「何で突然叫びだす!? 棒読みにも程がある!」
「たすけてー。だれかー」
「だから棒読みやめ――――」
「誰だぁ!? 愛妹に手を出す輩はぁぁぁぁ!!!!」
兄貴、血眼で登場。目が完全にイっている。
「げっ、お兄さん…」
「貴様! また愛妹に手を出したな!? 毎度毎度! 懲りずに貴様は!」
「え? 俺の話を」
「問答無用ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「ぎゃあああああああああああああ!!!!!!」
日々是好日。今日も平和に私の暇つぶしは終わったのだった。
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