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作品ID:369
こちらの作品は、「お気軽感想希望」で、ジャンルは「一般小説」です。
文字数約3957文字 読了時間約2分 原稿用紙約5枚
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「俺の彼女は自殺願望があります」を読み始めました。
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俺の彼女は自殺願望があります
作品紹介
ハッピーエンドめざして頑張りました。
途中バットエンドに何回もなりかけました(笑)
途中バットエンドに何回もなりかけました(笑)
「ねーねーまーくーん!!」
俺の名前を呼ぶ元気はつらつとした声。
「何だよ深久。つか、まーくん言うな」
「えーやだあー」
えへへと笑いながら彼女は俺に、後ろからぎゅっと抱きついてきた。
「だってまーくん誠っていうんだからまーくんでいいでしょー」
「何がいいんだか…」
呆れて、ため息をつくと彼女はきまって言う。
「あー!!まーくん今幸せ一個逃ーげたっ!」
深久は俺の彼女だ。本当になんでこんなやつを好きになってしまったんだろうか。
「そうかよ。で、結局なんだよ」
そして、俺が冷たく言うのもいつものやりとり。
「なんかねー星がきれいだなあーって。このまま手を伸ばしたら月とか星とかに届きそうじゃない?」
彼女は、うふふーと笑いながら月をなぞる様に虚空に手を滑らせる。
確かに、今日は月が綺麗だった。
俺と深久は、外で天体観測をしている。
我侭なうちの姫が昨日突然いいだしたのだ。
俺が星を見るのが好きで、天体望遠鏡を持っていると言ったのが運のつき。
目を輝かせて言うものだから断れなかった。
「…このままこの空に溶けてしまえたら幸せだなあって」
「…まだ死にたいのか」
「…うん」
俺の彼女は、自殺願望がある。
俺と彼女が出会ったときもそうだった。
あれは蒸し暑い夏のことだった。
「あっちー死ぬなこれ」
部活の途中で、俺は手の甲をすりむいてしまった。
まあかすり傷程度なのであまり問題はない。
だがやっぱりちょっと痛いため、あるわけもないカットバン的な何かを探して教室へ戻った。
保健室へ行けばよかったのだが、不幸なことに保健室は閉まっていたのだ。
「ったくついてねーなー。カットバンとかあるわけねーよ」
愚痴をこぼし、片手に持ったスポーツ飲料を飲み干す。
そしてもう片方の手で教室の戸を開けた。
そんな俺の視界に映ったのは、カッターを手首にあてがい今にもリストカットをしそうな少女。
「な…にやってんだよ!!」
そう言って、彼女の元まで駆け寄ると怯えた顔をして後ずさりされた。
「落ち着け…な?リストカットなんてするな。痛いだろ?」
「…痛く…ないもん」
そういいつつも彼女は今にも泣き出しそうに、瞳に涙を溜めていた。
「毎日…やってるの」
彼女はこのクソ暑い中で長袖を着ていて、それをまくった。
そこには、真一文字にうっすらと残るたくさんの傷跡。
白くて細い腕にその無数の赤はあまりにも異質すぎた。
だから俺は思わず、彼女の腕を掴んでいたんだ。
「…っ!!」
そして、カッターを持っている手をそっと握る。
「やめろよ。せっかく綺麗なんだしよ」
高校1年にしては、少し大人びた顔立ち。
しかも、そこらへんの女子よりよっぽどかわいい。
「綺麗じゃないよ…私は…」
さっきまでこわばっていた彼女の顔は、少しだけど困ったように笑ったみたいに見えた。
このときに俺は恋に落ちたんだと推測される。
たぶんこのときの笑顔がすごく魅力的だったからだ。
しかし、いかんせん同じクラスだと思うが名前が分からないのだ。
「名前…教えてくれよ」
「深久…如月深久」
深久は、名前を聞くとちょっと驚いた顔をしてまた少し笑ってくれた。
「俺は中村誠だ…」
「誠…」
彼女は俺の名を呟いて、名前覚えたよと言った。
「あ…誠血が出てるよ」
「ん?あぁ気にすんな。たいしたことねえよ」
深久はちょっと待ってね、と言うと鞄からかわいらしい猫がついたカットバンを取り出した。
「はい、これで部活頑張ってね」
ぺたりと手の甲に猫のカットバンが張られる。
きっともれなく部活のむさい野郎どもからからかわれるだろう。
あぁ想像しただけで嫌だね。
これが、俺と深久との出会いだった。
それとむさい野郎どもからからかわれたということは言うまでもない。
「なあ深久…お前もう9時だぞ。帰らなくていいのか」
「…うん。まーくん私ね、まーくんが告白してくれて一緒に文化祭回ったり誕生日お祝いしてくれて嬉しかった。…楽しかったの」
「なんだよ。らしくないぜ」
なんだかいつも、こんなふうにはっきりそういうことはないので少し照れる。
「だってもし明日死んじゃうとしたら、今伝えておかなきゃ公開するなーって思っただけ!!」
にかっと笑って彼女は、くるくると回る。
「じゃあもう遅いし帰るね。まーくんまた明日あー!!」
「あぁ、送ってく」
彼女の家までついて、別れの挨拶をした。
そしてかえるはずだった。
「誠!!」
突然、まーくんでは無く「誠」と呼ばれた。
「なんだよ突然」
「好き…」
「は?どうしたんだよ突然…」
照れくさくて、ちょっと茶化すけれど彼女はいたって真面目だ。
「誠は…?私のこと…好き?」
「あたりまえだろ?」
なんだか深久にもう会えないような気がして、ぎゅっと抱きしめる。
「ありがとう…」
それから数日後のことだった。
深久があれから学校にこないのだ。
「えー…深久さんは実は心臓病でな。今日手術なんだ。皆も成功するよう祈るように」
先生が朝、授業が始まる前にそういったのだ。
知らなかった。だからあんなにおかしかったのか。
俺は授業とかそんなことを忘れていた。
頭には深久のことしかなかった。
急いで深久の携帯に電話をかけるも電源が入っていないそうだ。
「くっそ…深久…」
しかし、俺の住んでいるところには病院が2つ。
どちらも大きい病院だし、深久がどちらに行ってもおかしくない。
1つは大西病院。
2つめは菊池総合病院。
俺は大西病院を選んだ。
何故なら、天体観測をした場所にすごく近いから。
実に簡単な理由だ。
俺は院内で走ってはいけないのにも関わらず、全速力でカウンターかで走る。
「…はあ…如月…如月深久は今どこですか!!」
すぐに深久の場所を聞き、全速力でそこまで走る。
「深久!!」
病室の扉をいきおいよく開けて、彼女の名を叫ぶ。
「…!!誠…学校は…」
「そんなものどうでもいい!!なんで黙ってた…」
「え…」
俺は、彼女が自分にそれを伝えてくれなかったことに少し怒りを感じていた。
「何で俺に言わなかったんだ!!」
「だって誠心配するじゃない」
「当たり前だ!!…俺は…もうお前なしなんて考えらんねえんだよ」
俺の一言に彼女は驚いたように目を見開く。
「…私だって…私だってそうだもん…」
深久をもう離さないと言わんばかりにぎゅっと抱きしめる。
「私ね…心臓病だし、もう死んでもかまわないって思ってリストカットしてた…でもね…生きたい理由ができちゃったの…」
「私…私…死ぬのが怖いよ…誠」
彼女の細い体は小刻みに震えていて、今にも泣き出しそうだった。
「深久…これ」
ずっと渡せなかった。
今なら渡せる気がする。
「誠…これ…」
「前にお前欲しがってたろ」
どこだかのブランドの指輪。
可愛いな欲しいなと何回も言うもんだから、つい買ってきちまった。
「手術…頑張れよ」
「…うん!!あのね誠…お願い。誠がこれ…はめてくれる?」
彼女は左手を差し出した。
「あぁ」
薬指に指輪はぴったりと収まった。
「似合ってる?」
「当たり前だろ…」
そして、手術は行われ成功した。
俺は彼女が手術室から出てくるまで心が休まらなかった。
成功、と聞いたときはホントに嬉しくてちょっぴり泣いてしまった。
次の日も学校をさぼり、彼女の元へいく。
「深久!!手術…よかったな」
「うん…誠のおかげだよ!!…ありがとう」
彼女の満面の笑みはやっぱり可愛かった。
「なぁ深久…まだ死にたいか?」
「ううん生きてたい」
「そうか…」
後日俺が先生にこっぴどくしかられたことも言うまでもないだろう。
俺の名前を呼ぶ元気はつらつとした声。
「何だよ深久。つか、まーくん言うな」
「えーやだあー」
えへへと笑いながら彼女は俺に、後ろからぎゅっと抱きついてきた。
「だってまーくん誠っていうんだからまーくんでいいでしょー」
「何がいいんだか…」
呆れて、ため息をつくと彼女はきまって言う。
「あー!!まーくん今幸せ一個逃ーげたっ!」
深久は俺の彼女だ。本当になんでこんなやつを好きになってしまったんだろうか。
「そうかよ。で、結局なんだよ」
そして、俺が冷たく言うのもいつものやりとり。
「なんかねー星がきれいだなあーって。このまま手を伸ばしたら月とか星とかに届きそうじゃない?」
彼女は、うふふーと笑いながら月をなぞる様に虚空に手を滑らせる。
確かに、今日は月が綺麗だった。
俺と深久は、外で天体観測をしている。
我侭なうちの姫が昨日突然いいだしたのだ。
俺が星を見るのが好きで、天体望遠鏡を持っていると言ったのが運のつき。
目を輝かせて言うものだから断れなかった。
「…このままこの空に溶けてしまえたら幸せだなあって」
「…まだ死にたいのか」
「…うん」
俺の彼女は、自殺願望がある。
俺と彼女が出会ったときもそうだった。
あれは蒸し暑い夏のことだった。
「あっちー死ぬなこれ」
部活の途中で、俺は手の甲をすりむいてしまった。
まあかすり傷程度なのであまり問題はない。
だがやっぱりちょっと痛いため、あるわけもないカットバン的な何かを探して教室へ戻った。
保健室へ行けばよかったのだが、不幸なことに保健室は閉まっていたのだ。
「ったくついてねーなー。カットバンとかあるわけねーよ」
愚痴をこぼし、片手に持ったスポーツ飲料を飲み干す。
そしてもう片方の手で教室の戸を開けた。
そんな俺の視界に映ったのは、カッターを手首にあてがい今にもリストカットをしそうな少女。
「な…にやってんだよ!!」
そう言って、彼女の元まで駆け寄ると怯えた顔をして後ずさりされた。
「落ち着け…な?リストカットなんてするな。痛いだろ?」
「…痛く…ないもん」
そういいつつも彼女は今にも泣き出しそうに、瞳に涙を溜めていた。
「毎日…やってるの」
彼女はこのクソ暑い中で長袖を着ていて、それをまくった。
そこには、真一文字にうっすらと残るたくさんの傷跡。
白くて細い腕にその無数の赤はあまりにも異質すぎた。
だから俺は思わず、彼女の腕を掴んでいたんだ。
「…っ!!」
そして、カッターを持っている手をそっと握る。
「やめろよ。せっかく綺麗なんだしよ」
高校1年にしては、少し大人びた顔立ち。
しかも、そこらへんの女子よりよっぽどかわいい。
「綺麗じゃないよ…私は…」
さっきまでこわばっていた彼女の顔は、少しだけど困ったように笑ったみたいに見えた。
このときに俺は恋に落ちたんだと推測される。
たぶんこのときの笑顔がすごく魅力的だったからだ。
しかし、いかんせん同じクラスだと思うが名前が分からないのだ。
「名前…教えてくれよ」
「深久…如月深久」
深久は、名前を聞くとちょっと驚いた顔をしてまた少し笑ってくれた。
「俺は中村誠だ…」
「誠…」
彼女は俺の名を呟いて、名前覚えたよと言った。
「あ…誠血が出てるよ」
「ん?あぁ気にすんな。たいしたことねえよ」
深久はちょっと待ってね、と言うと鞄からかわいらしい猫がついたカットバンを取り出した。
「はい、これで部活頑張ってね」
ぺたりと手の甲に猫のカットバンが張られる。
きっともれなく部活のむさい野郎どもからからかわれるだろう。
あぁ想像しただけで嫌だね。
これが、俺と深久との出会いだった。
それとむさい野郎どもからからかわれたということは言うまでもない。
「なあ深久…お前もう9時だぞ。帰らなくていいのか」
「…うん。まーくん私ね、まーくんが告白してくれて一緒に文化祭回ったり誕生日お祝いしてくれて嬉しかった。…楽しかったの」
「なんだよ。らしくないぜ」
なんだかいつも、こんなふうにはっきりそういうことはないので少し照れる。
「だってもし明日死んじゃうとしたら、今伝えておかなきゃ公開するなーって思っただけ!!」
にかっと笑って彼女は、くるくると回る。
「じゃあもう遅いし帰るね。まーくんまた明日あー!!」
「あぁ、送ってく」
彼女の家までついて、別れの挨拶をした。
そしてかえるはずだった。
「誠!!」
突然、まーくんでは無く「誠」と呼ばれた。
「なんだよ突然」
「好き…」
「は?どうしたんだよ突然…」
照れくさくて、ちょっと茶化すけれど彼女はいたって真面目だ。
「誠は…?私のこと…好き?」
「あたりまえだろ?」
なんだか深久にもう会えないような気がして、ぎゅっと抱きしめる。
「ありがとう…」
それから数日後のことだった。
深久があれから学校にこないのだ。
「えー…深久さんは実は心臓病でな。今日手術なんだ。皆も成功するよう祈るように」
先生が朝、授業が始まる前にそういったのだ。
知らなかった。だからあんなにおかしかったのか。
俺は授業とかそんなことを忘れていた。
頭には深久のことしかなかった。
急いで深久の携帯に電話をかけるも電源が入っていないそうだ。
「くっそ…深久…」
しかし、俺の住んでいるところには病院が2つ。
どちらも大きい病院だし、深久がどちらに行ってもおかしくない。
1つは大西病院。
2つめは菊池総合病院。
俺は大西病院を選んだ。
何故なら、天体観測をした場所にすごく近いから。
実に簡単な理由だ。
俺は院内で走ってはいけないのにも関わらず、全速力でカウンターかで走る。
「…はあ…如月…如月深久は今どこですか!!」
すぐに深久の場所を聞き、全速力でそこまで走る。
「深久!!」
病室の扉をいきおいよく開けて、彼女の名を叫ぶ。
「…!!誠…学校は…」
「そんなものどうでもいい!!なんで黙ってた…」
「え…」
俺は、彼女が自分にそれを伝えてくれなかったことに少し怒りを感じていた。
「何で俺に言わなかったんだ!!」
「だって誠心配するじゃない」
「当たり前だ!!…俺は…もうお前なしなんて考えらんねえんだよ」
俺の一言に彼女は驚いたように目を見開く。
「…私だって…私だってそうだもん…」
深久をもう離さないと言わんばかりにぎゅっと抱きしめる。
「私ね…心臓病だし、もう死んでもかまわないって思ってリストカットしてた…でもね…生きたい理由ができちゃったの…」
「私…私…死ぬのが怖いよ…誠」
彼女の細い体は小刻みに震えていて、今にも泣き出しそうだった。
「深久…これ」
ずっと渡せなかった。
今なら渡せる気がする。
「誠…これ…」
「前にお前欲しがってたろ」
どこだかのブランドの指輪。
可愛いな欲しいなと何回も言うもんだから、つい買ってきちまった。
「手術…頑張れよ」
「…うん!!あのね誠…お願い。誠がこれ…はめてくれる?」
彼女は左手を差し出した。
「あぁ」
薬指に指輪はぴったりと収まった。
「似合ってる?」
「当たり前だろ…」
そして、手術は行われ成功した。
俺は彼女が手術室から出てくるまで心が休まらなかった。
成功、と聞いたときはホントに嬉しくてちょっぴり泣いてしまった。
次の日も学校をさぼり、彼女の元へいく。
「深久!!手術…よかったな」
「うん…誠のおかげだよ!!…ありがとう」
彼女の満面の笑みはやっぱり可愛かった。
「なぁ深久…まだ死にたいか?」
「ううん生きてたい」
「そうか…」
後日俺が先生にこっぴどくしかられたことも言うまでもないだろう。
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