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作品ID:387
こちらの作品は、「批評希望」で、ジャンルは「一般小説」です。
文字数約4701文字 読了時間約3分 原稿用紙約6枚
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seven lights
作品紹介
処女作です
なんか学園恋愛もの書きたいな?と思って書いたものです
はっきり言って駄文だろうと思います
でも読んでいただけるとありがたいです
よろしくお願いいたします
なんか学園恋愛もの書きたいな?と思って書いたものです
はっきり言って駄文だろうと思います
でも読んでいただけるとありがたいです
よろしくお願いいたします
SEVEN LIGHTS
シエル
俺の名前は龍ヶ崎(りゅうがさき)零人(れいと)
私立如月(きさらぎ)高校に通っている。
如月高校は私立の学校だけあってお坊ちゃまやお嬢様――いわゆるお金持ちが多い。
普通の生徒は育ちが良いせいか、どこと無く上品だ。
でも、全ての生徒がそうではない訳で……
とことん甘やかされて育った奴等は普通の不良よりも性質が悪い。
おまけに親の七光りのせいで教師もうかつに手が出せないときている。
そんな奴等とは関わりを持たないのが一番なのだが、奴等はよりにもよってこの僕をいじめのターゲットにしやがった。
まあいい。無責任ではあるが、奴等が僕への興味をなくしターゲットが他の人に移るのを待つしかないか。
そんな事を考えながら数ヶ月たったある日。
「最近良く不良たちに絡まれてないか?大丈夫かよ?」
そう幼馴染の水無月(みなづき)麗華(れいか)に声をかけられた。
「大丈夫だよ。俺はお前が思っているほど弱くないぞ!」
「どうだか?小学校のころよくいじめられていたのをあたしが助けてやっていただろ。」
「昔のことだろ!しかもあれは最後に1回俺が助けてやったときにチャラになっただろ?」
「そういやあの時の零人かっこよかったな?」
「マジで?惚れた?」
割とまじめに言ってみた……いってみたのだが……
「あ?惚れた惚れた(笑)」
へらへらと笑う麗華。
「(またこいつは・・・これじゃマジになった俺が馬鹿みたいじゃねぇか)」
そうこの俺、龍ヶ崎零人はこの水無月麗華のことが好きなのだ。
「(まぁ自分の気持ちに気づいたのは最近なんだけどな)」
そんな事を考えながら歩いているとふいに麗華が立ち止まった。
「ん?どうした?」
「・・・零人。土曜日空いてる?」
麗華は少しまじめな顔でそう呟いた。
「(なんなんだこいつは・・・へらへらしてると思ったらいきなり真面目になりやがって・・・まぁとりあえず様子を見るか)」
「空いてるけど・・・なんかあんのか?」
「じゃあさ・・・映画行かない?」
「・・・はい?」
「そうだよね。零人忙しそうだし、駄目だよね。」
「いやいやいや!そうじゃなくてお前いきなり真面目な顔なんかしたと思ったらそんなことかよ!」
「そんなことってあたしには大事なことなんだよ!」
「え?なんで?」
「っ!何でもいいだろ!あたしは行くのか行かねぇのか聞いてんだよ!」
「分かったよ。じゃあ行くか。」
「本当に?約束だぞ!」
急に喜びだす麗華。
「じゃーなー!約束だかんな!」
麗華はそういって走り出した。
「ちょっ、待てよ……ってもういねぇし……」
「(まったく……何なんだあいつは……いきなりマジになったと思ったら急に喜ぶし……)」
確かにそうだ。最近あいつの様子がおかしいことは俺も気づいていた。
「(まぁ考えてもわかんねぇし・・・とりあえず様子を見るしかねぇな)」
そんな感じのまま数日がたったある日。
俺はいつもどおり不良共のパシリをするために屋上に向かっていた。
「今日は少し早めに行って従順さをアピールしてみるか」
そんな事を考えつつ屋上のノブに手をかけたその時、不良たちの声が聞こえてきた。
「・・から・・には・・出すなって言って・・」
「・・そ・・は無・・」
ドアを挟んでいるせいか途切れ途切れしか聞こえないが、どうやら誰かと言い争っているらしい。
「俺のほかにパシられてる奴がいんのか?……いやパシられるやつが歯向かうとは思えないな。仲間割れか?そりゃいい。とりあえず行ってみるか。」
ドアを開けた瞬間……見慣れた顔がそこにあった……
そして俺は言葉を失った……
「っ!零人?」
聞きなれた声。
「え?嘘だろ麗華……」
嘘だと思った……夢だと思った……否、思ったのではない、思いたかったのだ……
「おお、誰かと思えばお前か。今日は早かったな。」
聞くだけで虫唾の走る声。
不良グループ『ダークドラゴ』のリーダーにして天王寺財閥の跡取り、天王寺(てんのうじ)龍悪(りゅうあ)だ。
『ダークドラゴ』は名前こそ厨二病だが、喧嘩の実力がある。そこに天王寺財閥の七光りがあるとなればやつらからすれば『鬼に金棒』のようなものなのだろう。いろいろな所で好き勝手している。
「なんでお前がそいつ等といるんだよ!」
俺は何も考えず叫んでいた。
「っ!だって……」
「あぁそれなら俺のほうから教えてやろう」
二人の話の中に天王寺が割り込む
「そいつの家はさぁ今経営が傾いてんのよ。で、お父様の会社とのつながりが生命線なんだよね。だから俺はそいつを好きにしてるわけ」
「(っ!そんなことでこいつは!)」
「な、何で俺に相談しないんだよ!相談してくれれば絶対に助けてやったのに!」
嗚呼、嫌になる。気づけなかった自分が……相談してくれなかった麗華が。
「俺なんか頼りならないってことかよ!」
勢いに乗せて叫んで気づいた。麗華の顔がどんどん悲しみに満ちていくのが……
そして麗華は搾り出すようにしてつぶやいた。
「零人はすっごい頼れる奴だよ。たぶん今回のことも零人に相談すれば何とかなったと思う。」
「だったら何で!」
「でもそれじゃ駄目なんだよ。零人に相談したら零人は自分のことを考えずにあたしを助けてくれる。あたしを助けるために平気で傷つく。それがあたしにはとても辛いんだ。」
俺は無力だ……
「おらいつまでもいちゃついてんじゃねぇ!そこのパシリ!とりあえずなんか飲み物買って来い!」
無視されるのに腹を立てたのか、イラついた声で天王寺が話に割り込んできた。
「分かったよ……」
俺はとりあえず天王寺のパシリに行くことにした。
いや、違う。俺は逃げたんだ。あの場所から離れたかったんだ。
「(くそっ!このままでいいのか?たぶん今頃あいつらは……天王寺たちは麗華に何かひどいことをしているはずだ。いいのか?このまま自分だけ逃げて。)」
その時、頭の中で声が響いた。
『おい、いいのかよ。助けなくて。幼馴染だろ?お前あいつのこと好きなんだろ?助けてやれよ。お前にはその力があるはずだ。さぁ、俺がリードしてやる。辛いだろ?いつまでも俺を押さえつけておくのは……さぁ楽になれよ。あいつらを倒してやるよ。お前に損はないはずだ。さぁ……』』
どこか人を見下し、嘲笑っているような声。
それは最近聞こえなくなっていた声。俺の中のもう一人の俺の声。
「うるさい。お前の指図は受けない!」
そう声に出して叫んでいた。
周りの人々の注目が俺に集まる。ひそひそ声がする。
そんなひそひそ声など俺には気にならなかった。
「(俺はもうあんな力を使いたくなんか……)」
その時俺の頭に一つの映像が流れた。
それは、映画の誘いを受けたときに麗華が見せたあの笑顔だった。
「(……俺はあの笑顔を守れないのか?……いや、守れる。あの力を使えば……でも俺はあの力を使いたくなんか…)」
リピートされる麗華の笑顔。
「(使いたくなんか?……使いたく?……使いたい?……使……使う!)」
俺は解き放つことにした。長い間押さえ続けてきた力を……もう一人の俺を……支配者の血を……
気づいたときには屋上にいた。
周りには血を流して倒れている不良たちとおびえて腰を抜かしている天王寺と、驚き、怯えている麗華がいた。
口が勝手に動く。
『次はお前の番だな、天王寺。お前こいつらのリーダーだろ?じゃあ俺をもっと楽しませてくれるよなぁ?』
天王寺が震えた声で叫ぶ。
「こ、こいつがどうなってもいいのか!お父様の支えが無くなったらこいつの会社は倒産だぞ!」
『別にお前の父親じゃなくてもこいつの会社は支えられるんだよ!』
「き、貴様ごときが支えられるほどの規模じゃないぞ!そ、それに俺は天王寺財閥の跡取りだぞ!こんなことしてただで済むと思うな!」
『あぁ?貴様ごとき?天王寺財閥の跡取り?おもしれぇこというな。俺の苗字……「龍ヶ崎」ってどっかで聞いたことねぇか?「皆様のおそばに寄り添う龍ヶ崎グループ」ってCMとか。』
「ま、まさか!あの龍ヶ崎グループの?……いやそんな情報は……」
『俺にとって情報操作ごとき簡単なことさ。お前、もともと小さかった自分の親の会社がどうやってここまで大きくなったか知ってるか?』
「お父様の力だろ!」
『本当にそう思っているのか?先に言っておくが俺は真実を知っているぞ』
「真実だと?何だそれは!俺は何も聞いていない!教えてくれ!」
『お父様の力?まぁ完全な間違いではないな。じゃあ質問を変えよう。いつからお前の会社は大きくなった?』
「お父様の代になってからだ」
『それもあながち間違ってない。しかし本当の意味では違う。お前の親の会社が大きくなったのは龍ヶ崎グループの介入があっってからだ。つまり、お前の親の会社の栄光は龍ヶ崎グループの補助によるものだ。まぁお前の父親の賢さのおかげでもあるがな』
「ま、まさか……」
『そうさ。お前の親の会社の明暗は龍ヶ崎グループに操られるって事だ。その龍ヶ崎グループの御曹司のことをパシリに使ったり、幼馴染に手を出したりしたらどういうことになるか分かるよな?』
「う、嘘だ!」
その時天王寺の携帯が鳴った。
「……はい……はい……」
天王寺が青ざめる。
「すみませんでした!あの龍ヶ崎グループの御曹司様だとは知らなくて……」
『もう遅……ぐぁ!貴様また俺を……なぜだ……俺はお前を助けて……』
しばらくの沈黙……そして一言。
「ごめん麗華。怖かっただろ。だけど心配ない。こんな化け物は明日にはいなくなるから。それから天王寺……大丈夫これ以上お前に危害は加えない。」
天王寺は走って逃げていった。
「(いいんだこれで……きっと……最後に正気に戻れて良かった……)」
俺はそういって退学届けと書かれた封筒を取り出した。
「嫌、だ。いなくなっちゃいやだ!お前、まだこの前の映画の約束果たしてないじゃないか!約束はちゃんと守れよ!」
「ごめんな麗華、約束は守れないみたいだ……だって俺は…化け物だから……」
「零人は化け物なんかじゃなぇよ!自惚れんな!」
「だって俺は……」
「二重人格?支配者の血?その程度で化け物なんて呼べるかよ!」
「たとえ化け物でなくても危険なものに変わりはないさ。この力を使ってしまった以上ここに俺の居場所はない」
「居場所?そんなのあたしが作ってやる!他の誰もがお前を危険視して否定しようともあたしはお前を否定しない!お前の存在を…お前の全てを…肯定してやる!」
「いいのか?……俺はここに居ていいのか?」
「ああ」
「ありがとう麗華」
救われた気がした……いや救われた気がしたのではない。救われたのだ。
もう手放さない……手放すものか……俺はこの場所で存在し続けるんだ。
そして俺は麗華に告白した。
その結末は……もういいだろう。成就した恋の物語ほど腹の立つものはない。(作者逃亡)
FIN
シエル
俺の名前は龍ヶ崎(りゅうがさき)零人(れいと)
私立如月(きさらぎ)高校に通っている。
如月高校は私立の学校だけあってお坊ちゃまやお嬢様――いわゆるお金持ちが多い。
普通の生徒は育ちが良いせいか、どこと無く上品だ。
でも、全ての生徒がそうではない訳で……
とことん甘やかされて育った奴等は普通の不良よりも性質が悪い。
おまけに親の七光りのせいで教師もうかつに手が出せないときている。
そんな奴等とは関わりを持たないのが一番なのだが、奴等はよりにもよってこの僕をいじめのターゲットにしやがった。
まあいい。無責任ではあるが、奴等が僕への興味をなくしターゲットが他の人に移るのを待つしかないか。
そんな事を考えながら数ヶ月たったある日。
「最近良く不良たちに絡まれてないか?大丈夫かよ?」
そう幼馴染の水無月(みなづき)麗華(れいか)に声をかけられた。
「大丈夫だよ。俺はお前が思っているほど弱くないぞ!」
「どうだか?小学校のころよくいじめられていたのをあたしが助けてやっていただろ。」
「昔のことだろ!しかもあれは最後に1回俺が助けてやったときにチャラになっただろ?」
「そういやあの時の零人かっこよかったな?」
「マジで?惚れた?」
割とまじめに言ってみた……いってみたのだが……
「あ?惚れた惚れた(笑)」
へらへらと笑う麗華。
「(またこいつは・・・これじゃマジになった俺が馬鹿みたいじゃねぇか)」
そうこの俺、龍ヶ崎零人はこの水無月麗華のことが好きなのだ。
「(まぁ自分の気持ちに気づいたのは最近なんだけどな)」
そんな事を考えながら歩いているとふいに麗華が立ち止まった。
「ん?どうした?」
「・・・零人。土曜日空いてる?」
麗華は少しまじめな顔でそう呟いた。
「(なんなんだこいつは・・・へらへらしてると思ったらいきなり真面目になりやがって・・・まぁとりあえず様子を見るか)」
「空いてるけど・・・なんかあんのか?」
「じゃあさ・・・映画行かない?」
「・・・はい?」
「そうだよね。零人忙しそうだし、駄目だよね。」
「いやいやいや!そうじゃなくてお前いきなり真面目な顔なんかしたと思ったらそんなことかよ!」
「そんなことってあたしには大事なことなんだよ!」
「え?なんで?」
「っ!何でもいいだろ!あたしは行くのか行かねぇのか聞いてんだよ!」
「分かったよ。じゃあ行くか。」
「本当に?約束だぞ!」
急に喜びだす麗華。
「じゃーなー!約束だかんな!」
麗華はそういって走り出した。
「ちょっ、待てよ……ってもういねぇし……」
「(まったく……何なんだあいつは……いきなりマジになったと思ったら急に喜ぶし……)」
確かにそうだ。最近あいつの様子がおかしいことは俺も気づいていた。
「(まぁ考えてもわかんねぇし・・・とりあえず様子を見るしかねぇな)」
そんな感じのまま数日がたったある日。
俺はいつもどおり不良共のパシリをするために屋上に向かっていた。
「今日は少し早めに行って従順さをアピールしてみるか」
そんな事を考えつつ屋上のノブに手をかけたその時、不良たちの声が聞こえてきた。
「・・から・・には・・出すなって言って・・」
「・・そ・・は無・・」
ドアを挟んでいるせいか途切れ途切れしか聞こえないが、どうやら誰かと言い争っているらしい。
「俺のほかにパシられてる奴がいんのか?……いやパシられるやつが歯向かうとは思えないな。仲間割れか?そりゃいい。とりあえず行ってみるか。」
ドアを開けた瞬間……見慣れた顔がそこにあった……
そして俺は言葉を失った……
「っ!零人?」
聞きなれた声。
「え?嘘だろ麗華……」
嘘だと思った……夢だと思った……否、思ったのではない、思いたかったのだ……
「おお、誰かと思えばお前か。今日は早かったな。」
聞くだけで虫唾の走る声。
不良グループ『ダークドラゴ』のリーダーにして天王寺財閥の跡取り、天王寺(てんのうじ)龍悪(りゅうあ)だ。
『ダークドラゴ』は名前こそ厨二病だが、喧嘩の実力がある。そこに天王寺財閥の七光りがあるとなればやつらからすれば『鬼に金棒』のようなものなのだろう。いろいろな所で好き勝手している。
「なんでお前がそいつ等といるんだよ!」
俺は何も考えず叫んでいた。
「っ!だって……」
「あぁそれなら俺のほうから教えてやろう」
二人の話の中に天王寺が割り込む
「そいつの家はさぁ今経営が傾いてんのよ。で、お父様の会社とのつながりが生命線なんだよね。だから俺はそいつを好きにしてるわけ」
「(っ!そんなことでこいつは!)」
「な、何で俺に相談しないんだよ!相談してくれれば絶対に助けてやったのに!」
嗚呼、嫌になる。気づけなかった自分が……相談してくれなかった麗華が。
「俺なんか頼りならないってことかよ!」
勢いに乗せて叫んで気づいた。麗華の顔がどんどん悲しみに満ちていくのが……
そして麗華は搾り出すようにしてつぶやいた。
「零人はすっごい頼れる奴だよ。たぶん今回のことも零人に相談すれば何とかなったと思う。」
「だったら何で!」
「でもそれじゃ駄目なんだよ。零人に相談したら零人は自分のことを考えずにあたしを助けてくれる。あたしを助けるために平気で傷つく。それがあたしにはとても辛いんだ。」
俺は無力だ……
「おらいつまでもいちゃついてんじゃねぇ!そこのパシリ!とりあえずなんか飲み物買って来い!」
無視されるのに腹を立てたのか、イラついた声で天王寺が話に割り込んできた。
「分かったよ……」
俺はとりあえず天王寺のパシリに行くことにした。
いや、違う。俺は逃げたんだ。あの場所から離れたかったんだ。
「(くそっ!このままでいいのか?たぶん今頃あいつらは……天王寺たちは麗華に何かひどいことをしているはずだ。いいのか?このまま自分だけ逃げて。)」
その時、頭の中で声が響いた。
『おい、いいのかよ。助けなくて。幼馴染だろ?お前あいつのこと好きなんだろ?助けてやれよ。お前にはその力があるはずだ。さぁ、俺がリードしてやる。辛いだろ?いつまでも俺を押さえつけておくのは……さぁ楽になれよ。あいつらを倒してやるよ。お前に損はないはずだ。さぁ……』』
どこか人を見下し、嘲笑っているような声。
それは最近聞こえなくなっていた声。俺の中のもう一人の俺の声。
「うるさい。お前の指図は受けない!」
そう声に出して叫んでいた。
周りの人々の注目が俺に集まる。ひそひそ声がする。
そんなひそひそ声など俺には気にならなかった。
「(俺はもうあんな力を使いたくなんか……)」
その時俺の頭に一つの映像が流れた。
それは、映画の誘いを受けたときに麗華が見せたあの笑顔だった。
「(……俺はあの笑顔を守れないのか?……いや、守れる。あの力を使えば……でも俺はあの力を使いたくなんか…)」
リピートされる麗華の笑顔。
「(使いたくなんか?……使いたく?……使いたい?……使……使う!)」
俺は解き放つことにした。長い間押さえ続けてきた力を……もう一人の俺を……支配者の血を……
気づいたときには屋上にいた。
周りには血を流して倒れている不良たちとおびえて腰を抜かしている天王寺と、驚き、怯えている麗華がいた。
口が勝手に動く。
『次はお前の番だな、天王寺。お前こいつらのリーダーだろ?じゃあ俺をもっと楽しませてくれるよなぁ?』
天王寺が震えた声で叫ぶ。
「こ、こいつがどうなってもいいのか!お父様の支えが無くなったらこいつの会社は倒産だぞ!」
『別にお前の父親じゃなくてもこいつの会社は支えられるんだよ!』
「き、貴様ごときが支えられるほどの規模じゃないぞ!そ、それに俺は天王寺財閥の跡取りだぞ!こんなことしてただで済むと思うな!」
『あぁ?貴様ごとき?天王寺財閥の跡取り?おもしれぇこというな。俺の苗字……「龍ヶ崎」ってどっかで聞いたことねぇか?「皆様のおそばに寄り添う龍ヶ崎グループ」ってCMとか。』
「ま、まさか!あの龍ヶ崎グループの?……いやそんな情報は……」
『俺にとって情報操作ごとき簡単なことさ。お前、もともと小さかった自分の親の会社がどうやってここまで大きくなったか知ってるか?』
「お父様の力だろ!」
『本当にそう思っているのか?先に言っておくが俺は真実を知っているぞ』
「真実だと?何だそれは!俺は何も聞いていない!教えてくれ!」
『お父様の力?まぁ完全な間違いではないな。じゃあ質問を変えよう。いつからお前の会社は大きくなった?』
「お父様の代になってからだ」
『それもあながち間違ってない。しかし本当の意味では違う。お前の親の会社が大きくなったのは龍ヶ崎グループの介入があっってからだ。つまり、お前の親の会社の栄光は龍ヶ崎グループの補助によるものだ。まぁお前の父親の賢さのおかげでもあるがな』
「ま、まさか……」
『そうさ。お前の親の会社の明暗は龍ヶ崎グループに操られるって事だ。その龍ヶ崎グループの御曹司のことをパシリに使ったり、幼馴染に手を出したりしたらどういうことになるか分かるよな?』
「う、嘘だ!」
その時天王寺の携帯が鳴った。
「……はい……はい……」
天王寺が青ざめる。
「すみませんでした!あの龍ヶ崎グループの御曹司様だとは知らなくて……」
『もう遅……ぐぁ!貴様また俺を……なぜだ……俺はお前を助けて……』
しばらくの沈黙……そして一言。
「ごめん麗華。怖かっただろ。だけど心配ない。こんな化け物は明日にはいなくなるから。それから天王寺……大丈夫これ以上お前に危害は加えない。」
天王寺は走って逃げていった。
「(いいんだこれで……きっと……最後に正気に戻れて良かった……)」
俺はそういって退学届けと書かれた封筒を取り出した。
「嫌、だ。いなくなっちゃいやだ!お前、まだこの前の映画の約束果たしてないじゃないか!約束はちゃんと守れよ!」
「ごめんな麗華、約束は守れないみたいだ……だって俺は…化け物だから……」
「零人は化け物なんかじゃなぇよ!自惚れんな!」
「だって俺は……」
「二重人格?支配者の血?その程度で化け物なんて呼べるかよ!」
「たとえ化け物でなくても危険なものに変わりはないさ。この力を使ってしまった以上ここに俺の居場所はない」
「居場所?そんなのあたしが作ってやる!他の誰もがお前を危険視して否定しようともあたしはお前を否定しない!お前の存在を…お前の全てを…肯定してやる!」
「いいのか?……俺はここに居ていいのか?」
「ああ」
「ありがとう麗華」
救われた気がした……いや救われた気がしたのではない。救われたのだ。
もう手放さない……手放すものか……俺はこの場所で存在し続けるんだ。
そして俺は麗華に告白した。
その結末は……もういいだろう。成就した恋の物語ほど腹の立つものはない。(作者逃亡)
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