小説を「読む」「書く」「学ぶ」なら

創作は力なり(ロンバルディア大公国)


小説鍛錬室

   小説投稿室へ
運営方針(感想&評価について)

読了ボタンへ
作品紹介へ
感想&批評へ
作者の住民票へ

作品ID:40

こちらの作品は、「感想希望」で、ジャンルは「一般小説」です。

文字数約1757文字 読了時間約1分 原稿用紙約3枚


読了ボタン

button design:白銀さん Thanks!
※β版(試用版)の機能のため、表示や動作が変更になる場合があります。

あなたの読了ステータス

(読了ボタン正常)一般ユーザと認識
「指先魔法使い(1)」を読み始めました。

読了ステータス(人数)

読了(217)・読中(1)・読止(1)・一般PV数(840)

読了した住民(一般ユーザは含まれません)


小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし /

指先魔法使い(1)

作品紹介

 指を振るとそれぞれの一族の、それぞれの“モノ”にしてしまう。

 そんな13の一族が競い合う国の、ある日のお話し。



 オムニバス形式で紡いでいく、小さな物語の掌編ファンタジー


1.ツォルニード・ピンズマー男爵の場合



 この世界の成り立ちも、この国の成り立ちも誰も知りません。

 ただ、とてもとても珍しい魔法の国で、そこには13の一族が互いに競い合って暮らしています。

 かつて多い時に100を越す族数でしたが、便利さに欠いて消滅していき、今の13の一族が残ったと言うことでした。

 

 さてさて今日の物語は、ピンズマー一族の若き貴公子、ツォルニード・ピンズマー男爵のお話。



 ツォルニードピンズマー男爵は、巷ではニード男爵、またはピンズマー男爵と呼ばれていた。

 短めのシルクハットにおかっぱの髪、そして赤よりなぜか派手に見えるご自慢の緑のオープンカーで、男爵は今日も颯爽と現れた。

「あら、ニード男爵。ご機嫌いかが?」

 声を掛けたのは、レースで編んだドレスのマダム・スタンプシー。車から降りたピンズマー男爵は、マダム・スタンプシーの手を取った。

「ご機嫌麗しく、マダム・スタンプシー」

 そっと手の甲に口づけ、顔を覗き込むようにウィンクしてきた男爵に、マダム・スタンプシーはうっとりしてしまった。

 そんなマダムから踵を返して、車に向かって男爵が指を振った。

 なんと彼が指を振る度に、車は前が縮んだかと思えば、後ろが折り畳まれたりとみるみるうちに小さくなっていく。最後には車の形をしたピンブローチになって、彼の手に飛び込んで来た。

 うっとり見ていたマダム・スタンプシーも、彼を見つけて寄って来た若い女性達も、男爵の指さばきの後のお決まりの流し目に総崩れとなっていた。

「相変わらずお上手でらっしゃるわね」

「ほんっと、ピンズマー様の指さばき、惚れぼれしますわ」

 ついでのついでに、帽子のつばを少し下げるポーズを取って、「失礼」と足早に去って行く。

  なんとも飽きずにこうも毎日ワンパターンで派手なご登場である。

 

 この国の爵位ある上流人は、大きな池のほとりの公園や、そのそばにあるリングルノの長老が所有する洋館が、だいたい毎日の社交場となっていた。

 ニード男爵も、この時間は池のほとりでティータイムセットのお茶を、一人で楽しむのが日課だった。

 手頃な木陰を探して、襟からまず取りはずしたのは、テーブルとイスの形をしたピンブローチ。手のひらに転がして、指を振る。むくむくむくっと、まるでパンが焼き上がっていくように、テラス仕様のテーブルと、籐仕立てのイスに早変わり。

 次に取り出したピンブローチ目掛けて指を振ると、今度はティーカップとお茶の入ったティーポットが現れた。

「う?ん、この香り」

 満足気に笑ってみせて、キュッとタイをしめ直すと、男爵にとっては穏やかなひとときが訪れる。

「優雅だ……」

 そう呟いて、自己陶酔に近い夢見心地に入って行く。

 だがその襟もとを見ると、もう一つ二つ、カップのピンブローチがあるようだ。彼は一人でお茶を楽しむのがこの時間の日課だが、それを知らない者の方が国の上流人には少ない。

 彼目当てに近くを散歩しているご婦人も、また少なくはない。

 そうでないにしろ、男爵の天性の色男ぶりが、近くを通るレディー達をみすみす見逃すようなことはなかった。

 ちょうどそこの小道を、ミラーユ一族の看板娘が通り掛かった。

「これはこれはレディー・プティ。いかがですか? 私とお茶でも」

 声を掛けると、すかさず予備のピンズに指を振って、カップを取り出した。当然その指さばきも口説くための演出だった。

 しかし、

「いいえ、お気持ちだけ頂いておきますわ。先を急ぎますので失礼を」

 お誘いを固辞してそそくさとレディー・プティは立ち去って行ってしまった。

 あっけなく断られた男爵は、青ざめながらしばらく固まってしまっていた。いくら貴公子と異名高き男爵と言えど、空振りの日もたまにはあるだろう。

「ふふふ……ふふふふふふ……」

 突然彼は笑い出した。振られたせいでおかしくなったのかとも思えるが、そうではないらしい。

 

 この続きは、またの物語として語られることになるだろう。

後書き

未設定


作者 柏秦透心
投稿日:2009/11/19 11:57:40
更新日:2009/11/19 11:57:40
『指先魔法使い(1)』の著作権は、すべて作者 柏秦透心様に属します。
HP『柏秦透心ぃズ

読了ボタン

button design:白銀さん Thanks!

読了:小説を読み終えた場合クリックしてください。
読中:小説を読んでいる途中の状態です。小説を開いた場合自動で設定されるため、誤って「読了」「読止」押してしまい、戻したい場合クリックしてください。
読止:小説を最後まで読むのを諦めた場合クリックしてください。
※β版(試用版)の機能のため、表示や動作が変更になる場合があります。

自己評価


感想&批評

作品ID:40
「指先魔法使い(1)」へ

小説の冒頭へ
作品紹介へ
感想&批評へ
作者の住民票へ

ADMIN
MENU
ホームへ
公国案内
掲示板へ
リンクへ

【小説関連メニュー】
小説講座
小説コラム
小説鍛錬室
小説投稿室
(連載可)
住民票一覧

【その他メニュー】
運営方針・規約等
旅立ちの間
お問い合わせ
(※上の掲示板にてご連絡願います。)


リンク共有お願いします!

かんたん相互リンク
ID
PASS
入力情報保存

新規登録


IE7.0 firefox3.5 safari4.0 google chorme3.0 上記ブラウザで動作確認済み 無料レンタル掲示板ブログ無料作成携帯アクセス解析無料CMS