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作品ID:403
こちらの作品は、「批評希望」で、ジャンルは「一般小説」です。
文字数約1451文字 読了時間約1分 原稿用紙約2枚
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小説の属性:一般小説 / 未選択 / 批評希望 / 初級者 / 年齢制限なし /
雪色恋願。
作品紹介
「 冬に現る、綺麗な光 」
初投稿。
最初は悲恋系だったのに、いつの間やら笑いっぽくなった私を許してください。
ところで、この二人、何歳なんだろう←
感想・批評、バシバシどうぞ(笑
初投稿。
最初は悲恋系だったのに、いつの間やら笑いっぽくなった私を許してください。
ところで、この二人、何歳なんだろう←
感想・批評、バシバシどうぞ(笑
道路が、白い。
今日は珍しく雪が降った。いや、冬に雪が降るのは当たり前の事なのか。
いつも五月蝿いくらい騒がしいこの路地も、今や自分が雪をサクサク踏む音のみ。雪は音を吸収すると聞いたが、それはこういう事なのかもしれない。
今日は、今までずっと遊んで来た幼馴染の誕生日だ。彼女は聞かれるまで何も言わない、と言う性質(たち)なので、去年聞いた時には既に遅し。
考えてみれば誕生日とかそういう事は何一つ聞いていなかった気がする。普通に遊んで、泣いて、怒って。日常の様に過ぎていき、聞く暇も無かったのだろう。冷静になって考えてみると、自分が馬鹿らしく思えるが。
「新!」
聞き覚えのある声がした。
俺が後ろを振り返ると、遠くの方で手を振っている彼女――加帆が見えた。俺も小さく手を振り返すと、加帆はこちらに向かって来た。
まさか走るのか? 雪は今朝早くに降り終わっているので、地面が滑る。少しだけ身構えた俺だったが、そこは俺よりも数倍頭が良い加帆。塀伝いにゆっくりと歩いてくる。
「よう」
「お早う。ちょっと遅かったか?」
「いや、俺も歩いてただけ」
加帆は厚いコートにマフラーに帽子と、完璧な防寒対策だ。そういえば寒いの苦手とか言ってた様な言ってなかった様な。
彼女は少しだけ喋り方が中性的だ。あの――男っぽい。性格もろとも。そんなんだから適当屋になるんだよ、とか思いながら、持っていた白の紙袋を渡した。
「? 何だよこれ」
「誕生日プレゼント。一日過ぎたけどさ」
加帆は少しだけ目を丸くした――そんなに俺からの贈り物が珍しいか――折り曲げてあった端をゆっくりと開き、中を覗くと、呆れた様に俺を見つめていた。
「プレゼントに『肉まん』を貰ったのは初めてだ」
「やっぱ言うかそれ」
「新の万年金欠症なら仕方ない、」
「何あげて良いか分からなかっただけだって!」
加帆の言い分も合っているのだが、分からなかったのも本当だ。普通の女の子みたいに花とか人形とか? 加帆はそういう物を好まない。少なくとも今は。だからプレゼント選びに困って、三十分もの時間を費やしてあげくにはコンビニに立ち寄って肉まんを買うという、物凄ーくくだらない経緯があるが、今わざわざ言う必要も無いだろう。言いたくもない。
変なのを買って返答に困らせる様な事をするのだったら、身近な物を買ってリスクを減らした方が良いじゃないか! とか開き直って出てきた結果が『肉まん』だった。まあ、結果オーライって事で。
「二個ある。食べるか?」
「……俺が食ってどうする」
「頂きまーす」
袋の中から一個取り出すと、加帆はそれを頬張った。熱くないのか? とか疑問思ったが、何事も無く普通に食べる加帆を俺は尊敬する。猫舌なのだ。
「今度一緒にちゃんと買い物行くか。俺も安心だし」
「そうだな。その方が私も楽しい」
そう言ってニヤッと笑った加帆に俺は苦笑いした。これからも加帆には勝てないだろうな、と。
再び、雪が降り始めていた。しんしんと降り積もるそれを、俺達は声も無くただ見つめていた。
「そうだ」と、加帆が口を開いた。既に肉まんは食べ終わっている。残り一つが入っている紙袋を抱えるように持つと、太陽のような輝きを持つ笑顔を、俺に見せた。
「ありがと」
今日は珍しく雪が降った。いや、冬に雪が降るのは当たり前の事なのか。
いつも五月蝿いくらい騒がしいこの路地も、今や自分が雪をサクサク踏む音のみ。雪は音を吸収すると聞いたが、それはこういう事なのかもしれない。
今日は、今までずっと遊んで来た幼馴染の誕生日だ。彼女は聞かれるまで何も言わない、と言う性質(たち)なので、去年聞いた時には既に遅し。
考えてみれば誕生日とかそういう事は何一つ聞いていなかった気がする。普通に遊んで、泣いて、怒って。日常の様に過ぎていき、聞く暇も無かったのだろう。冷静になって考えてみると、自分が馬鹿らしく思えるが。
「新!」
聞き覚えのある声がした。
俺が後ろを振り返ると、遠くの方で手を振っている彼女――加帆が見えた。俺も小さく手を振り返すと、加帆はこちらに向かって来た。
まさか走るのか? 雪は今朝早くに降り終わっているので、地面が滑る。少しだけ身構えた俺だったが、そこは俺よりも数倍頭が良い加帆。塀伝いにゆっくりと歩いてくる。
「よう」
「お早う。ちょっと遅かったか?」
「いや、俺も歩いてただけ」
加帆は厚いコートにマフラーに帽子と、完璧な防寒対策だ。そういえば寒いの苦手とか言ってた様な言ってなかった様な。
彼女は少しだけ喋り方が中性的だ。あの――男っぽい。性格もろとも。そんなんだから適当屋になるんだよ、とか思いながら、持っていた白の紙袋を渡した。
「? 何だよこれ」
「誕生日プレゼント。一日過ぎたけどさ」
加帆は少しだけ目を丸くした――そんなに俺からの贈り物が珍しいか――折り曲げてあった端をゆっくりと開き、中を覗くと、呆れた様に俺を見つめていた。
「プレゼントに『肉まん』を貰ったのは初めてだ」
「やっぱ言うかそれ」
「新の万年金欠症なら仕方ない、」
「何あげて良いか分からなかっただけだって!」
加帆の言い分も合っているのだが、分からなかったのも本当だ。普通の女の子みたいに花とか人形とか? 加帆はそういう物を好まない。少なくとも今は。だからプレゼント選びに困って、三十分もの時間を費やしてあげくにはコンビニに立ち寄って肉まんを買うという、物凄ーくくだらない経緯があるが、今わざわざ言う必要も無いだろう。言いたくもない。
変なのを買って返答に困らせる様な事をするのだったら、身近な物を買ってリスクを減らした方が良いじゃないか! とか開き直って出てきた結果が『肉まん』だった。まあ、結果オーライって事で。
「二個ある。食べるか?」
「……俺が食ってどうする」
「頂きまーす」
袋の中から一個取り出すと、加帆はそれを頬張った。熱くないのか? とか疑問思ったが、何事も無く普通に食べる加帆を俺は尊敬する。猫舌なのだ。
「今度一緒にちゃんと買い物行くか。俺も安心だし」
「そうだな。その方が私も楽しい」
そう言ってニヤッと笑った加帆に俺は苦笑いした。これからも加帆には勝てないだろうな、と。
再び、雪が降り始めていた。しんしんと降り積もるそれを、俺達は声も無くただ見つめていた。
「そうだ」と、加帆が口を開いた。既に肉まんは食べ終わっている。残り一つが入っている紙袋を抱えるように持つと、太陽のような輝きを持つ笑顔を、俺に見せた。
「ありがと」
後書き
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