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作品ID:459
こちらの作品は、「お気軽感想希望」で、ジャンルは「一般小説」です。
文字数約1632文字 読了時間約1分 原稿用紙約3枚
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足を止めて
作品紹介
掌編小説です。まともな形で完成したのはこれが最初の作品です。思いつきの勢いだけで書き上げたので短いうえに駄文だらけですがよろしくお願いします。
あなたが、東京の大学に進学するために地元を離れてしまう前の日。私達は、二人で過ごせる残り少ない時間を、噛みしめ合っていた。後ろ髪を引かれながらもあなたと別れた後わたしはこう“願ってしまった。”
「明日、大きな地震が起きて、あなたの足を止めて」
次の日の早朝、街を大きな地震が襲った……。
揺れが収まり、外の様子を確認しようと開け放った窓から見た景色は、地獄絵図だった。
全壊した家屋。
瓦礫の下敷きになった人。
泣き叫ぶ子供の声。
子供の名前を必死に叫ぶ母親。
「嘘……」
“やってしまった。”目の前に広がる光景に、わたしはただ足を震わせ立ち尽くす事しかできなかった。
どのくらいの間、そうしていただろうか。ようやくわたしは、重大な異変に気が付いた。
「空が、赤い……?」
わたしは、急いでその方角に目をやった。空を赤く染め上げていた物。それは、街を包む炎だった。そして、その方角には__
「っ!?」
あなたの家が、ある……!わたしは、急いで携帯を取り出した。あなたの番号を呼び出す手が、震える。
「早く……、早く!」
呼び出し音が鳴る。それだけだった……。
「え……?」
いつまでたってもスピーカーからあなたの声が聞こえることは無い。
「イヤぁ!お願い!」
そのとき、揺れが来た。余震だ。その揺れは、二つの死の恐怖を煽る。
わたしの死。
あなたの死。
きっとこのままわたしは一人になるんだ……。きっとあんな事を“願った”罰なんだ。このアパートに、引っ越し一人暮らしを始めたばかりのわたしに頼れる人は少ない。一人の孤独は、恐怖を増し、わたしは押し潰されそうになる。
「詩音!」
ドアを激しくたたく音と共に、わたしの名前を呼ぶ声__あなたの声が響いた。
「浩!」
ドアを、開けると、煤にまみれながら安堵の表情を浮かべたあなたがいた。
「ごめんなさい……」
あなたの顔見た途端、ポツリと涙と言葉が、こぼれた……。
「わたしが、昨日こう願ったから……。あなたに行って欲しくなくて、地震が起きてって、願ったから、こんな事が起きちゃったの!」
あなたは、慰めるようにわたしの背中をさすった。
「大丈夫。詩音のせいじゃない」
違う……。違うんだよ。
「浩……、わたしがね、願った事は全部現実になっちゃうの」
物心付いた時からそうだった。
小学校の頃、熱を出して遠足に行けなくなったとき。雨が降って遠足が延期になれと、願った。雨は降り、遠足は中止になった。
中学の頃、テニスの大会の決勝戦。相手が怪我して、わたしが優勝者に」なれとながった。あいては怪我し、わたしは優勝した。
高校の時__
「浩が、付き合ってた女の子がいたよね?あなたと居たくて、わたしは……」
二人が、別れればいい。__いいや、違う。
「その子が死ねばいいって、願ったの」
その子は、事故で死に、わたしはあなたを慰め振り向かせた。
「あの子を殺したのは、わたしなの! わたしは、あなたの大事な人を、自分の手を汚さずに殺したの!」
わたしの力と罪を、全て打ち明けた。きっともう、以前の二人ではいられないだろう。これでいい。あなたの様な優しい人は、心の汚れた人間と居るべきではない。わたし達は、別れるのが、あなたにとっての最善なんだ。最後に、あなたの顔を見ようと顔を上げたとき、あなたは、わたしを強く抱きしめられた。
「そんな事は、関係ない!世界が、どうなろうと知らない!」
わたしの唇に、あなたの唇が重なる。
「俺は今、お前が好きなんだ!だから、別れようとしないでくれ!」
ああ……、あなたには全部敵わない。
「ごめん……!」
普通、人はこんな風にはなれない。あなたは、優しい人だ。今はその優しさが辛い。
この優しさを、力で奪い取ったわたしが酷く醜い生き物に思えて、力なんて無くなればいい、死んでしまいたいと思った。しばらくわたしはずっと、彼の胸で泣き続けた。
次の日、わたしは死んだ。
「明日、大きな地震が起きて、あなたの足を止めて」
次の日の早朝、街を大きな地震が襲った……。
揺れが収まり、外の様子を確認しようと開け放った窓から見た景色は、地獄絵図だった。
全壊した家屋。
瓦礫の下敷きになった人。
泣き叫ぶ子供の声。
子供の名前を必死に叫ぶ母親。
「嘘……」
“やってしまった。”目の前に広がる光景に、わたしはただ足を震わせ立ち尽くす事しかできなかった。
どのくらいの間、そうしていただろうか。ようやくわたしは、重大な異変に気が付いた。
「空が、赤い……?」
わたしは、急いでその方角に目をやった。空を赤く染め上げていた物。それは、街を包む炎だった。そして、その方角には__
「っ!?」
あなたの家が、ある……!わたしは、急いで携帯を取り出した。あなたの番号を呼び出す手が、震える。
「早く……、早く!」
呼び出し音が鳴る。それだけだった……。
「え……?」
いつまでたってもスピーカーからあなたの声が聞こえることは無い。
「イヤぁ!お願い!」
そのとき、揺れが来た。余震だ。その揺れは、二つの死の恐怖を煽る。
わたしの死。
あなたの死。
きっとこのままわたしは一人になるんだ……。きっとあんな事を“願った”罰なんだ。このアパートに、引っ越し一人暮らしを始めたばかりのわたしに頼れる人は少ない。一人の孤独は、恐怖を増し、わたしは押し潰されそうになる。
「詩音!」
ドアを激しくたたく音と共に、わたしの名前を呼ぶ声__あなたの声が響いた。
「浩!」
ドアを、開けると、煤にまみれながら安堵の表情を浮かべたあなたがいた。
「ごめんなさい……」
あなたの顔見た途端、ポツリと涙と言葉が、こぼれた……。
「わたしが、昨日こう願ったから……。あなたに行って欲しくなくて、地震が起きてって、願ったから、こんな事が起きちゃったの!」
あなたは、慰めるようにわたしの背中をさすった。
「大丈夫。詩音のせいじゃない」
違う……。違うんだよ。
「浩……、わたしがね、願った事は全部現実になっちゃうの」
物心付いた時からそうだった。
小学校の頃、熱を出して遠足に行けなくなったとき。雨が降って遠足が延期になれと、願った。雨は降り、遠足は中止になった。
中学の頃、テニスの大会の決勝戦。相手が怪我して、わたしが優勝者に」なれとながった。あいては怪我し、わたしは優勝した。
高校の時__
「浩が、付き合ってた女の子がいたよね?あなたと居たくて、わたしは……」
二人が、別れればいい。__いいや、違う。
「その子が死ねばいいって、願ったの」
その子は、事故で死に、わたしはあなたを慰め振り向かせた。
「あの子を殺したのは、わたしなの! わたしは、あなたの大事な人を、自分の手を汚さずに殺したの!」
わたしの力と罪を、全て打ち明けた。きっともう、以前の二人ではいられないだろう。これでいい。あなたの様な優しい人は、心の汚れた人間と居るべきではない。わたし達は、別れるのが、あなたにとっての最善なんだ。最後に、あなたの顔を見ようと顔を上げたとき、あなたは、わたしを強く抱きしめられた。
「そんな事は、関係ない!世界が、どうなろうと知らない!」
わたしの唇に、あなたの唇が重なる。
「俺は今、お前が好きなんだ!だから、別れようとしないでくれ!」
ああ……、あなたには全部敵わない。
「ごめん……!」
普通、人はこんな風にはなれない。あなたは、優しい人だ。今はその優しさが辛い。
この優しさを、力で奪い取ったわたしが酷く醜い生き物に思えて、力なんて無くなればいい、死んでしまいたいと思った。しばらくわたしはずっと、彼の胸で泣き続けた。
次の日、わたしは死んだ。
後書き
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