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作品ID:52

こちらの作品は、「批評希望」で、ジャンルは「一般小説」です。

文字数約15317文字 読了時間約8分 原稿用紙約20枚


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小説の属性:一般小説 / 未選択 / 批評希望 / 初級者 / 年齢制限なし /

昇華の果てに春が来る

作品紹介

2007年頃の作品です。

 いかがだったでしょうか?

 この小説は「春」を題材に取り組んだものです。

「春といったら桜、そしてその下を歩く入学式。入学式といったら、やはり受験……」

 といった感じで、冒頭部分が決まっていきました。



 今回は(私にしては異質な)恋愛モノということで、情景描写よりも心理描写に力を入れました。

 主人公の心の葛藤・変化が、上手く描けていたでしょうか。

 また情景描写が少ないために、場面の切り替わりがスムーズに伝えられたかどうかが心配です。



 文章のリズム・テンポは、読みやすいようにということを最重視して書きました。

 もし読みにくかったり、分かりづらい表現などありましたらご指摘下さい。



 その他の指摘・感想などなど、一言でも構いませんのでお気軽にご意見下さい。

 更なる推敲に、そして次回作へと繋げていきたいと思います。



 それでは、最後までご読了ありがとうございました!






 俺の青春は、一人の女の子抜きには絶対に語れない。

 そのとき、彼女は俺の原動力であり、憧れであり、すべてであった。

 俺がその人、前田穂佳(まえだ ほのか)と出会ったのは、桜のつぼみが膨らみ始めた、ちょうど今ごろの季節だった。





 ―― 昇華の果てに、春が来る ――







「いよいよ、か……」



 春という言葉から思い浮かぶことは何だろう。

 やはり、満開に咲き乱れる桜。その下を歩く、ピカピカのランドセルを背負った小学生。初めて身にまとう真新しい制服を着た中学生。一層大人らしくなった高校生。

 誰もが、新しい自分の生活に期待を膨らませることだろう。

 けれども、無条件に心躍る入学式を迎えられるのは中学生まで。それ以外は、受験という戦争に勝ったものだけが、その華やかな自分の門出を祝えるのだ。



 というわけで、明日に迫った入試という魔物を倒すべく、俺は最後の仕上げに取り掛かっている。

 数学の公式よし。英語の単語よし。苦手な社会も精一杯、頑張った。……国語はよう分からんが、何とかなるだろう。後は休み時間に見直す用の、特別ノートをカバンにしまえば準備完了だ。



 俺はカバンのチャックを閉めると、誰に言うでもなくそう呟いた。

 やるべきことはすべてやったと思った。やれることはすべてやったと思った。中三の最初と比べたら、相当力が付いたことは自分でも実感できる。

 それでも、まだやり残したことがあるのではないかと、モヤモヤと掴み所がない不安は消えない。



 俺、緊張しているんだな。

 まぁ、たった一日で自分の人生が左右される、忌々しい「受験」に緊張しない奴の方がおかしいだろう。

 ついに明日だ。そう考えると、何だか体が熱くたぎる。胸に手を当ててみると、心臓の鼓動が何となく速くなった気がする。……やっぱり、まだやり残したことがたくさんある気がしてきた。ちょ、ちょっと心配になってきたぞ。どうしよう、ホント俺、大丈夫なのかな……。



 いやいや。俺は精一杯やった。今すべきことは、今日は早めに寝て、明日に備えて体調を万全にすることだ。うん、そうだ、それしかない!



 俺はあふれ出しそうな不安をぎゅっと胸の中に押し込めて、ベッドにもぐりこんだ。

 思えば、この一年は長かった。がむしゃらに頑張れば、時間が早く過ぎるなんてのは嘘だと思った。一日一日が、とても重かった。

 だが、それも明日ですべて終わる。後は自分のやってきたことを精一杯ぶつけるだけだ!

「おし!」

 顔を両手で叩いて気合を入れると、俺は瞼をつぶり、深い眠りについた。





「おー兄ぃちゃーん!」

 深い、眠りについた。

「ねぇ、お兄ちゃんってば!」

 ……ついた、はずだった。



「真奈!! お前、人が寝てるとこに何しにきやがった!!」

「お、やっと起きたね。おし、お兄ちゃん、一緒に三国無双やろう」



 目を開けると、そこには俺の顔を面白そうに覗き込んでいる妹の姿があった。まぁ妹というよりは、うなじが見えるくらい短めに揃えられたボーイッシュな髪形と、手を付けられていない眉とで、女っぽい弟といった方が適切かもしれない。

 とはいえ、まだ小学六年生。大人になる頃にはきっとおしとやかな美人さんに育ってくれるといいなぁと、思ったりもしたり、ってそうじゃない。



「ふざけるな! お前、俺が明日入試だってこと知ってるだろうがッ!」

「そーりゃそうだけどさ、まだ8時だよ? まだまだ夜はこれからじゃないですか! さ、いざ戦場へ!」

「俺は嫌でも明日モノホンの戦場に行くの! 分かったら、さっさとこっから立ち去れ!」

「えーひどいよぉ。だって最近、お兄ちゃん全然遊んでくれないじゃん! ステージが難しくて、一人じゃクリアできないんだよ?」

「知るか! とにかく俺はもう寝るの!」



 これ以上言っても無駄だと思った俺は、布団を頭から被り、物言わぬ地蔵になった。



「もう! 大体お兄ちゃんがランク上げて、県トップの浩陽高校にするからいけないんじゃない。一つランク下の成城高校なら余裕だったのに――」



「こら真奈! お兄ちゃんは明日早いんだから、あんたも早くお風呂入って寝なさい!」



 突然降り注がれた言葉に、真奈は飛び退き、俺は飛び起きる。見れば、両手を腰にあて、きつい表情で睨む母さんが立っていた。

 これには真奈も、さすがに諦めてくれたようだ。あてつけがましく頬をぷぅと膨らませると、足音をわざと大きくしながら出て行った。そんな子どもっぽいことしてもダメだって、って子どもだけど。



「まったく、あの子はしょうがないねぇ」

 母さんも分かりやすい大きなため息をつく。

「それじゃ浩紀、明日は頑張るんだよ」

「あ――、うん。頑張るよ、ありがとう」

 俺がそういうと、母さんは、優しく笑いかけて出て行った。



 ふぅ。それにしても真奈のやつ。あいつが高校受験のときは、俺も散々邪魔してやるから覚えとけよ。



 ……まぁ、とはいえ、俺が高校のランク上げた本当の理由なんて、本当に笑えるもんなんだけどな。







 俺は中学に入り、一人の女の子と出会った。名前は前田穂佳。俺の苗字が宮下なので、その子とは隣の席になった。

 律儀に肩ほどの長さに切り揃えられた黒髪。校則どおり膝下までに合わせられたスカート丈。そして飾り気のない持ち物とで、初見の印象は、どちらかというと地味だった。けれども、彼女のはにかんだ笑みは、小動物なんかを見てほのぼのとする時のような、そんな穏やかな気持ちにさせてくれた。

 そしてまぁ、展開としてはありきたりだが、俺はその子を好きになった。きっかけというのは今でも思い出せない。学校のことで他愛もない話をしたり、係の仕事を一緒にするなどしているうちに、「気付いたころには好きになっていた」、という表現が正しい気がする。だから好きになった瞬間というものは、そもそも存在しなかったと思う。

 二年のクラス替えで離れ離れになった時のショック、三年のクラス替えのときにまた同じクラスに、そして偶然とはこのことか、またもや隣の席になったときの喜びは、今でも覚えている。

 彼女は一年のときから成績優秀で、テストでもいつも90点以上の高得点をマークしていた。一方俺はというと、平均よりは上かなってくらいで、せいぜい「中の上」という言葉が似合うくらいだった。





 そんな俺が県トップの浩楊高校を目指すことにしたのは、三年に上がり、まだ数ヶ月しか経っていないある日のことだ。

 受験学年ということで、その日は朝から進路希望の用紙を提出することになっていた。



『浩紀くんはどこの高校志望?』

 穂佳さんが、俺の席に寄ってきてそう声をかけた。



『え、あ、俺は……。穂佳さんは、やっぱ浩陽なの?』

『うん! 浩陽はさ、私服も大丈夫じゃん! そこがいいなって』

『あはは。何だか動機が不純だねぇ』

『えー、そんなことないよ。――で、浩紀くんは?』

『あ、うん。俺も浩陽がいいとは思っているんだけどね。やっぱ俺の学力じゃきつい、っていうか』

『そんなことないよ! 今から頑張れば十分間に合うって。……それに、さ』



『え?』



『浩陽って、浩紀くんの“浩”って字が付いてるじゃん。これって、何だかすごくない? 浩紀くん、絶対浩陽受けた方がいいって』

『えぇ!? そ、そりゃまた、不純な動機だなぁ……』

『もう、私は真面目だよ? ――それに、私も浩紀くんが浩陽だったら嬉しいもん』



『えっ!?』



 そ、それって、まさか、まさかひょっとして、ひょっとするとですか!!

 俺のことを好きだから、高校でも一緒にいたいって、そういうことなんですか!!

 それで、学園祭の仕事も一緒にやっちゃったりして、終わった後にイイムードになっちゃって、それで、それで、――おおおぉぉ、マジですかぁ!? 神様ありがとうッ! 今まで信じていませんでしたが、今はメチャクチャ感謝してますよ!!





『やっぱり浩紀くん、大切な“友達”だからさ。一緒の高校いけたら嬉しいよ』



 俺の妄想モードは、彼女の一言で突然のグランドフィナーレ。――神様、やっぱり信じません。



 はぁ……。そういうことですか。「友達として」ですね。ええ、ええ、分かっていましたとも。そんなに人生、上手くいくなんてことありませんよね。

 ていうか、今俺、こんな朝っぱらの教室でフられたんじゃないんですか? 俺の二年の片思いが、こんなところで終わっちゃったんですか……?



 ――いや、いやいやいやいや。これはチャンスだ。このまま違う高校に行ってしまっては、ますます疎遠になってしまう。ここで同じ高校を目指すことにすれば、一緒に勉強しようという口実も使えるし、これは、これは逆にチャンスですよ!



『うん、決めた! 俺も浩陽目指すよ』

『お?さすが! 一緒に頑張ろうね!』





 俺はその後、彼女の「一緒に頑張ろう!」だけを頼りに、ここまで頑張ってきた。学校の先生に「今のままではきついんじゃないのか」と言われたときや、模試でなかなか点数が取れなかったときも、彼女の言葉を羅針盤にして頑張ってきた。

 そうして、今、俺はここにいる。長く、終わりが見えなかった航海も、ついに終わりを迎えようとしているのだ。







 突然、静かだった部屋に携帯の着信音が響いた。

 流れた曲は、俺が一番好きな曲『Lovely Space』。画面を見るまでもない、穂佳さんからのメールだ。



『明日はいよいよ本番だね☆お互い全力をぶつけよう!じゃあおやすみ?♪』



 俺の体は一気にアドレナリン全開モード。短いメールの文面を、バカみたいに何度も、何度も読み返す。

 書いた本人は全然意識していないだろうが、☆や♪の記号、エクスクラメーションをどんな気持ちで入れたのかなどまで、まるでスパイの暗号を読み解くみたいに、何度も何度も繰り返し読んだ。

 そして、何とか気の利いた文面を考える。



『ありがとう!本番はかなり緊張するかもしれないけれど、今まで頑張った成果を精一杯ぶつけよう!』

 いやいやいや。何かすごく回りくどいし、かなり偉そうだ。もっとシンプルに、簡潔に。



『ありがとう!頑張るよ。それじゃあおやすみ』

 うーむ……、いくらシンプルといっても、これではさすがに寂しすぎる。それに、そっけないように感じられてしまうかもしれない。





「ぬぉ!?」

 そんな風に、ああでもない、こうでもないと考えているうちに、時間は既に30分を過ぎていた。どうしてこう、メールの文面を考えていると時間が経つのは早いのだろう。学校の授業は中々終わらないというのに。



「と、とにかく、今さらメール送ったら逆に迷惑だろうし、今日はもう諦めよう……」



 結局返信できないまま眠る俺って、やっぱり優柔不断すぎるよなぁ……。







─────────────────────…‥‥・・・・ ・ ・ ・  ・   ・    ・    ・    







 ――本番当日。



 テスト用紙が渡されて、「始め!」の合図がかかるまでが、緊張の最高潮である。腕時計の秒針が時間を刻むのがこのときほど長く感じられるときはない。

 周囲には大勢の人がいるのにもかかわらず物音一つしないこの粛然とした雰囲気は、最終科目の社会まで慣れることはなかった。



「解答をやめ、筆記用具を置いて下さい」

 試験官の、テープレコーダーに録音したかのような決まりきった声が聞こえると、あちらこちらからため息が漏れた。

 これで、すべての終了した。この後面接試験があるが、面接なんて普通にしていれば落ちることはないので、結局はこの筆記試験が勝負の分かれ目となるのだ。もう、9割方入試は終わったといっていいだろう。



 そんな俺のテストの出来栄えはというと……、微妙、の二文字に尽きると思う。苦手だったはずの社会は結構取れた気がするが、数学で難しい問題に時間を取られてしまって見直しが全然できなかった。もしかすると、思いもよらないところで間違っているかもしれない。



 結局面接は練習通りこなせたが、やはり筆記試験の不安は拭えなかった。

 それでも、これですべて終わったと思うと、何だか心は軽くなる。



「浩紀くん!」

 浩陽高校の正門をくぐると、門の陰から俺を待っていた穂佳さんが飛び出してきた。



「やーっと終わったね!」

「うん、ホント疲れたよ」

 家を出るときは青空だったのに、いつのまにか間延びした夕焼けが、歩道を歩く俺たちの背中を照らしている。

 浩陽高校の前に広がる通りの両脇には、整然と等間隔に並ぶ桜が植えられていた。朝来るときは気づかなかったが、小さなつぼみがもう膨らみ始めていた。



「私、思ったよりすっごく緊張しちゃって……」

 冷たい風になびく流麗な黒髪をなでながら彼女は言った。少し遠くを見つめる彼女の姿からは、確かにいつもの明るさが萎んでしまった印象を受けた。

「あー俺も。何だか微妙な気がするんだよな」

 それなのに、気の利いた励ましのセリフも浮かばず、日本語を喋れる人なら誰でも言えるようなことが口から出てしまった。

 しかし、そんな俺のホントつまらない言葉をきくと、彼女はまたいつもの笑顔をみせた。

「まぁでも、やるだけのことをやったんだから、後は結果を待つだけだよね」

 胸のあたりで、穂佳さんは小さくガッツポーズをつくった。

「うん、まぁ、そうだね」

 ――なんて、こんな風にお喋りができるのも、もしかしたら最後かもしれないんだよな……。

 そう考えると、こんな他愛もない一言一言が、俺にとってすごく大切な思い出のように感じられる。隣の家のくすんだブロック塀。その上で毛づくろいをしている猫。路上に止めてある緑のコンパクトカー。こんな、普段なら風景の一部ですらなく目にも映らない一つ一つのものが、今は、この時間を記憶しておく引き出しのようにも思えた。





 しばらく歩いていると、はたと穂佳さんは立ち止まった。

 どうしたのかと振り向くと、彼女は俺を、真剣な眼差しで真っ直ぐと見すえた。



「一緒に浩陽、行けるといいね」



 かみ締めるように発せられた言葉には、俺と彼女の希望がのっていた。







─────────────────────…‥‥・・・・ ・ ・ ・  ・   ・    ・    ・    







 ――合格発表当日。



「それじゃ……、いってきます」

「おう、お兄ちゃん! そんな心配そうな顔してると、受かるものも落ちちゃうぞ!」

「お前はいちいち一言多いの。んじゃ、期待せず待っといて」



 もう春は近いというのに、風は冷たい。

 閑散とした木々のトンネルをくぐり、俺は駅へと向かった。

 手袋をこすり合わせて待っていた穂佳さんは、俺を見つけると手を振ってくれた。それによって彼女の白いマフラーが揺れる。



「おはよう……」



 しかし、今日はどうも調子が乗らない、というか、テンションが上がらない。

 彼女は普段どおり、明るく笑顔でいるが、それは彼女が余裕だからだ。俺は、はっきりいって自信がない。自己採点でも、ボーダーラインすれすれだった。

 やっぱりダメだったんじゃないだろうかという思いは、合格発表が近づくにつれて、どんどん大きくなっていった。実は昨日は、あまりよく眠れていない。

「ん? 何してるの? 早く行こう?」

 ボケッと突っ立っている俺に向かって、彼女はまた笑いかけた。

「いや、さ。不安で胸がドキドキするっていうか、俺何だか、受験本番の時より緊張してるよ」

「大丈夫だよ! きっと、二人とも受かってるって!」

「とはいっても、なぁ……」

「浩紀くん、大丈夫だよ。だって浩紀くん、すごく頑張ってたもん。きっと浩紀くんも受かってるよ」

「――うん。ありがと。穂佳さんにそういって貰えると嬉しいよ」

 まだ心からの笑顔とまではいかないけれども、穂佳さんの言葉で、少し楽になれた気がした。





 俺たちが浩陽高校の正門につくと、既にそこら一体はたくさんの人で多い尽くされていた。

 さすが県随一の高校の合格発表だけあって、地元のテレビまでいる。ああ、きっと合格した人のインタビューとかするんだろうな……。



 そんなとき、ふと周り見渡して気付いたのは、そのたくさんの人の誰もが、それほど心配そうな顔をしていないことだ。

 誰もがみんな、自信をもっているわけではないだろう。けれども、ここまできたら、もう信じるしかないのだ。いまさら俺みたいに、うじうじしても仕方がない。それを分かっているから、みんな元気な顔をしているのだろう。



『そんな心配そうな顔してると、受かるものも落ちちゃうぞ!』



 真奈の言うことも、一理あるな。

 俺は、気を取り直し、そうつぶやいた。



「あ、いよいよだね」



 多分学校の先生だろう人が、掲示板に用紙を貼り付け始めた。

 途端に、大きな悲鳴にも聞こえるどよめきが起こった。



(お、俺の番号、俺の番号は!! く、ちょっと、押してくんじゃねぇよ!)

 焦って見ようとするが、前の人が邪魔で全然見ることが出来ない。精一杯背伸びをしても、上の方がかすかに見えるだけだ。



 大きな歓声を上げる人。

 腰が抜けたように立ち尽くす人。

 くるりと背を向け立ち去ろうとする人。



 そんな人たちを押しのけて、俺は前に進んだ。













「……あった」



 自分のもった受験票と、掲示板に貼り付けられた紙を何度も見比べる。

 ある。間違いない、俺の番号は、この掲示板に書いてある。



 俺は、……受かったんだ!





 熱いものが込み上げてきた。

 この一年間、本当に頑張ってきた。それが、それがやっと報われたんだ。

「おっしゃあー!!」

 自然と、喜びが声になってふきだした。



「うわ……、マジ、ホント嬉しいよ! ねぇ、ほの――あれ?」



 隣にいたはずの穂佳さんがいないと気付いたのは、声の下からだった。

「いつのまに、どこ行ったんだろ?」

 ――あ、そうか。こんなところにいたら他の人の迷惑になるもんな、どっか邪魔にならないところによけたんだろう。

 俺はそう思って、人だかりの輪から抜け出し、穂佳さんを探した。

 穂佳さんは、すぐに見つかった。

「穂佳さん! 俺、受かったよ!」

 飼い主の下へ走っていく犬のように、俺は彼女に近づいていった。





「よかったね。おめでとう」



「――え?」



 俺は思わず聞き返していた。

 彼女の言葉は、まるで彼女じゃないかのように、あまりにも冷たかったから。感情がこもっていないというよりも、何か投げ捨ててしまったかのような、そんな言い方だった。

「あ、うん、ありがとう……」

 それでも俺はお礼の言葉を返した。

「私、帰るね」

 しかし彼女は、視線を合わせようともせずに言う。



「えっ、で、でも……ちょっと」

 なんだ、なんだこの反応は。さっきまで、一緒に来るまでは、あんなに明るく、沈んだ俺のことを励まし続けてくれたじゃないか。

 それが、今になって、どうして?



 考えたくないと思って抑え込もうとしても、嫌な考えはそれを押しのけて溢れてくる。

 言葉を探して戸惑っている俺を一瞥した彼女は、能面のような引きつった笑みを浮かべた。いや、無理やり作り出されたそれは、笑いなんかじゃないことは一目瞭然だった。



「落ちちゃった」



 ――オチチャッタ。

 これは、何て言葉だろう。本当に日本語だったっけ? 宇宙人の言葉じゃないのかな?

 まぁ、俺が理解できない言葉だってことは、明らかだよな。



「……なんで?」

 彼女の声は震えていた。

「なんで、なんで私、私……!」

 下を俯いているせいで顔は良く見えないが、頬をつたう涙が光った。



「どうして!? どうして私が? だって、いつも私の方が模試でも成績が良かった! 内申だっていいはず! それなのに、それなのに……」

「ほ、穂佳さん、落ち着いて……」

 感情を爆発させる彼女を少しでも落ち着かせようと、俺は両手を前に出しかけた。しかし、



「――どうして、どうして浩紀くんなんかが受かって、私が落ちなきゃいけないのよ!! そんなの、全然納得できないよ!!」



 俺は瞬間、頭が真っ白になった。

 何も考えられない、何も考えたくない。

 ドウシテ? ナンデ?



「え、ほの……か、さん?」



 一瞬ハッとしたような顔を浮かべた彼女だったが、すぐに後ろを向くと、振り返りもせずそのまま走り去ってしまった。後には、呆然と立ち尽くす俺が残された。

 励ますことはおろか、声をかけることも、引き止めることも、俺は何もできなかった。茫然自失、まさにこのことだ。

 そして、現状を理解しようとすればするほどに、俺の心はズキズキと痛み出す。なんで、こんなに痛いんだ?



 それは、考えたくないことだった。けれども時間は、俺に理解を強要してくる。つま先から頭のてっ辺まで、寒気のようなものがはしった。





 穂佳さんは、俺を、そんな風に見てたんだ。

 いつも俺にアドバイスをくれたり、模試で結果が悪いときも励ましてくれたりしていたのは、そんな風に思ってたからなんだ。

 自分の方が優位に立ってるから。そう思ってたから。



 そっか。

 さぞ、面白かっただろうね。自分を目指して、必死に頑張る俺のことが。

 同情すらしてたのかな?

 それとも、デキの悪い俺を、ただ、ただ哀れんでた?



 それが、今日の出来事で、一気に崩れ去ったんだもんね。

 あはは。結果は、俺が受かって、君が落ちた。あっはは。立場が逆転しちゃったね。あはは、こりゃあ、面白い。





 ――ザマーみろッ!

 そんなんだから落ちたんだよ!

 自業自得だ! 人をバカにしてるのも、ほどがあるぜ!



 あーいい気味。

 ホント、ざまぁねえや……。

 ざまぁ、ねえや、バカ野郎……。



 そう、いい気味だ。いい気味なのに……、それなのに、どうして、――どうしてこんなに苦しんだ?

 どうして、視界がぼやけるんだ? どうして、涙が出て来るんだよッ!!



 人生最高の日は、一文字変わって最低となった。

 俺の気持ちは、ズタボロになった。

 家路に着く足が、異常に重かった……。







─────────────────────…‥‥・・・・ ・ ・ ・  ・   ・    ・    ・    







「ただいま……」

 家の扉を開けると、待ち構えていたかのように母さんと妹が飛び出してきた。

「お兄ちゃんお帰り!」

「お帰り浩紀」

 俺はそれに無言で答え、靴を脱ぎ捨てる。



「お兄ちゃん! それで、どうだっ……」

 途中まで言いかけた真奈は、俺の表情を見るなり即座に言葉を切った。

 答える気力もないというように、俺は黙って自分の部屋に向かう。



「……浩紀、あんまり気にしちゃだめよ」

「お、お兄ちゃん! あのね、お兄ちゃんが滑り止めで受かった成城にね、私の友達のお姉さんが行ってるんだけどさ、成城ってすごくいいらしいよ! 学校に購買があってね、そこのパンがすごくおいしいんだって!」



 ……こいつら、完全に勘違いしてるな。

 まぁ、今の俺の顔と態度を見てれば誰でもそう思うだろうが。



「俺、受かったから」

「「えっ?!」」



 母さんと妹は、口を開けたままお互いの顔を見合わせた。

 それだけ言うと、俺は自室のドアを閉めた。



 俺は着替える気力もなく、制服のままベッドに倒れこむ。体を少しでも動かすのが億劫だ。

 それでも何とか寝返りを打って天井を見上げると、



『どうして浩紀くんなんかが受かって、私が――』



 あの言葉が、何度も何度も頭に浮かんでくる。

 振り払っても、振り払ってもその言葉が俺に圧し掛かってくる。



 ――あはは。それにしても。俺、一体何をしていたんだろう。

 この一年。穂佳さんと同じ高校に行きたい、それだけの思いで頑張ってきた。

 彼女が好きだから。

 その好きって思いだけで。



 けどそれは、いろんな意味で裏切られた。

 俺は彼女に、あんな風に見られていたんだ。

 所詮、その程度だったんだ。



 一緒に浩陽を目指す仲間だって、せめてそう思ってくれていると、そう信じていた。

 だからこそ、ここまで頑張れたのに。俺は、一体、何のために頑張ってたんだ?

 そりゃあ、県トップの進学校に受かったんだ。この一年が無駄だったなんて思わない。

 けれども、俺が本当に欲しかったものは、そんなもんじゃないんだ。

 それが手に入らなくなった今、俺は、浩陽に行く意味なんてあるんだろうか。



 気付けば、また涙が溢れていた。

 本当はこの涙は、嬉し涙になるはずだったのに。



「『どうして、浩紀くんなんかが』……か」







─────────────────────…‥‥・・・・ ・ ・ ・  ・   ・    ・    ・    







「チュンチュンチュン。チュンチュンチュン」

「ん……う……」

 携帯に手を伸ばして、電源のボタンを押す。すると、いつも目覚ましに指定してある『鳥のさえずり』は消え、部屋に静けさが戻る。



 今、何時だ?

 携帯の時計に目をやると、時刻は6時。昨日まで、学校に行く前の6時から7時までを勉強に当てていたため、こんな時間に目覚ましが鳴っているのだ。

 もう、勉強する必要はないのに。





 合格発表の日から、二日が過ぎていた。その間もずっと、俺の気持ちは沈んだままだった。合格したというのに異常に落ち込んでいる俺のことを、家族はまったく理解できないという感じだった。けれども俺の深刻さは分かってくれたみたいで、そのことについて何も聞いてはこなかった。

 今日は、結果を学校に報告しに行く日だ。

 受かった者は午前中に、落ちた者は午後に。合格者と不合格者を会わせないための配慮なのだろうが、結局、午前中に行かなかった人が不合格だということはすぐに分かる。



「俺、受かったんだよな」

 もう一度あの日のことを考える。確かに、俺の番号はそこにあった。何度も、何度も見比べたし、間違いはない。俺は受かったんだ。

 だから、俺が行くのは午前中。そこで、他の合格した連中といろいろ話す。



 でもそこに、彼女は、いない。



 ホントはあまり、行きたくなんかない。

 俺はきっと、他のみんなのように、楽しい顔はできないから。

 多分俺は、午後に行く連中と同じような顔しかできないから。



 俺、受かったのにな。

 どうしてこんなに悲しいんだろうか。



「行きたく、ないな……」







 案の定、合格の余韻を残したままの友達に囲まれ、俺は一人疎外感をうけるハメになった。

 他のやつらが嬉しそうに話しかけてくるのが、正直ウザかった。



「いやぁ、でもホント。受かるときって、受かるもんなんだな」

 友達の一人が言っている。

「ホントホント。でも、そういえばさ。前田さん、ダメだったみたいじゃないか」

「え、マジで? うわー、あんな頭よかったのに落ちちゃったんだ」

「受験ってホント分からないもんだよな。前田さんみたいに頭いい子が落ちて、それでなんと、浩紀なんかが受かっちゃうんだからな」

「いえてるー。三年になる前は俺らと同じ成城志望だったのに、いっちょうまえに、浩陽だもんなぁ……」



 それまでは何を言われても、「そうだな」とか、「うんうん」とかで合わせていた俺も、「浩紀なんかが」という言葉によって、抑えていた感情が一気に吐き出された。



「――悪かったな」



 不機嫌さがありありと込められた言葉に、友達は怪訝な顔をした。

「あ、いや、そういう意味じゃ……」

「じゃあどういう意味だよッ!!」



 意図せず俺の声は荒々しくなる。

 ダメだ。ダメだ、こんなところで怒ったところで、何にもならない。

 けれど、頭でいくら分かっていても、込み上げる感情は収まらない。



「悪かったな。そうだよ。俺より成績が良かった穂佳さんは落ちて、俺は受かったよ。悪かったな!」



 唖然として俺のことを見つめる級友たち。

 豹変した俺にクラス中の視線が突き刺さる。



「浩紀、お前、なに、ムキなってんだよ」



 俺はそんな視線に耐えられなくなって、教室を飛び出した。

 ――分かってる。俺が悪い。



 けれども、この気持ち、どこにぶつければいいんだ?

 どうやって抑えればいいんだよ!!



 走る視界が、急激にぼやけ始めた。

 次にはもう、目じりにたくさんの涙が溜っていた。







☆─────────────────────…‥‥・・・・ ・ ・ ・  ・   ・    ・    ・    







 ――夜。



 やる気が、起きない。

 何もする気が起きなかった。

 友達にも謝らなければいけない。途中でいなくなった俺を心配して、担任の先生から電話もかかってきた。

 そろそろ、入学のための書類も書かなくてはいけない。もう立ち直って、前に進まなければいけない。

 頭では分かっている。それでも、俺の気分は一向に良くならなかった。





 とつに、玄関のチャイムが鳴った。時刻はもう午後9時を回っている。玄関で母親がなにやら応対しているのが聞こえる。

 誰だよ……、こんな時間に。



 しかし次の瞬間、床を激しく踏み鳴らしながら、妹が俺の部屋に飛び込んできた。

「お兄ちゃん! 何か女の人がきてるよ! なに? あの人彼女?」

 好奇心たっぷりな目で俺を見つめる真奈を無視して、俺は階段を駆け下りていた。



「――穂佳、さん?」

「あ、あの、こんばんは」



 深々と頭を下げるのは、まぎれもなく穂佳さん本人だった。

 言葉が何も出てこない俺を見て、彼女は小さな声でいった。



「……え、っと、ちょっと外でてこれる、かな?」







 い、一体どういうことなんだろう。

 こんな夜遅くに、俺のうちにまで来て。

 というか、何でうちの住所を知ってるんだ?



 長い沈黙が耐えられなくなった俺は、頭に思いついた質問をそのまま口にした。

「えっと、どうして、俺のうち分かったの?」

「それは、あの、名簿の住所見て、その……」



 ああ、そうだよ。というか、それ以外に考えられないじゃないか。なに聞いてるんだ俺。

 そうじゃないだろう。本当に聞きたかったことは、他にあるだろう。

 とにかく穂佳さん、わざわざ何しにきたんだよ。



 まさか、告白、じゃないよな。あんなことがあったあとに「好きです」なんて辻褄があわなすぎる。

 じゃあやっぱり、無難に謝りにきたってところか?

『ちょっと言い過ぎちゃった。ごめん、そんなつもりじゃなかったの』

 うん。それが一番しっくりくるな。

 でも、それならまだメールでも済むことだし、わざわざ訪ねてくる必要もないよな。ちなみにあの後、一回もメールはしていない。



 だったら、もしかして、

『どうして私が落ちてあなたなんかが受かったのよ! 納得いかない! 代わってよ! むしろ死んで! 死んでぇぇー!!』

 とか言われて、そのまま出刃包丁で俺、殺されるのかな。

 うん、それなら、わざわざ俺のうちまで訪ねてくるのも理解できるな。



 って何冷静に理解してるんだ。そりゃまずいだろう。てかそれはイヤ過ぎる!



 またもやメビウスの輪ごとく思考の渦に巻き込まれた俺は、視線が定まらないまま彼女より、一歩後ろを歩いていた。

「じゃあ、何で?」

 10分も黙ったまま歩き続けて、俺はついにそう聞いた。



「えっと、そ、その……。あの――、浩紀くんに、あ、謝らなくちゃ思って……」

 彼女は言葉をつまらせながら、か細い声をしぼりだした。



「あ……」

「私、浩紀くんに、ひどいこと、いったから」

 泣きそうな顔をして、震えるような声で彼女はそういった。どこか怯えるような、そんな風に。





 けれども俺の方は、不安な気持ちが一気に取り払われていくようだった。

 肩に入っていた力も、スッと抜けていくのを感じた。



 ああ、いつもの、穂佳さんだ。

 俺が好きになった、彼女だ。



「よかった――」



 意識するでもなく出た言葉に、彼女は目を丸くした。

「え……、な、何が?」

 不思議そうな声をあげる彼女。



「不安だったんだ。わざわざ俺を呼び出したりしてさ。はは、――何か、俺、恨まれて殺されるのかと思ったよ」



 ホント、さっきまでマジでこんなことを考えていた自分がおかしくて、俺はふき出した。



「えぇッ? ひどい! 私のこと、そんな風に思ってたんだ!」

 彼女も、驚いたような、困惑したような表情でそう叫んだ。



「ごめんごめん。――でも俺も、この前、そう思った」



 その言葉を聞いた彼女の目から、ついに涙が零れ落ちた。



「あ――ごめん。ごめんな、さい……。私、ホント、ひどいこと言った……」



 し、しまった。そ、そうじゃなくて。

「い、いや、いいんだよ! 俺、別に気にしてないから。ホントごめん」

 って何で俺の方が謝ってるんだよ。今日彼女が来たのは、俺に謝りにきたんだろうに。



「――あのね、私、なんだか、分けわかんなくなっちゃって。落ちたって、それで、浩紀くんが受かって、私、悔しくて、悲しくて、それで……」

 泣き出した彼女をなだめようと、俺は彼女の肩を掴み、まじまじと顔を見つめた。

「ホント、気にしてないから。それより、穂佳さんが、わざわざ俺のうちまで来てくれたことが嬉しいよ」

 よく考えたら、こんな近くで彼女の顔を見据えるのも、彼女にふれるのも、これが初めてだった。でも、本当ならドキドキしてしゃべるどころじゃないはずなのに、言葉は自然と紡がれた。



「浩紀くん……ホント、本当に、ごめんなさい!」



 今までの苦しい気持ちが、すべてなくなっていくように思えた。

 今、言葉で表せる感情は、良かった、それだけだ。

 あはは、そうだよ。穂佳さんがこれくらいのことで、そんなに変わってしまうはず、ないじゃないか。どうして二日間も俺、落ち込んでなんかいたんだろう。はは、ホント、今考えるとバカみたいだ。



「私、来年、頑張るから、それまで浩紀くん、一足先に頑張ってて」



「――うん。分かった。ずっと待ってる」





 ……って、こ、これはもしや、千載一遇のチャンスじゃないか?

 二人きりで夜の道。こんな雰囲気めったに遭遇できるもんじゃないだろう。加えてさらに、二人が仲直りできた直後ときたもんだ。



『俺、君の事が前から好きだった。だから、ずっと待ってる』

 これだ。そうだ! 今しかあるまい! いけ! 俺、宮下浩紀!



「俺……!」

「ありがとう! やっぱり浩紀くんは最高の友達だよ!」



「!?」



 超満面の笑みで言った彼女に対し、俺は本当に、どんな表情をしていいのか分からなかった。口元と眉毛はねじれの位置になったし、目も焦点が合わない。ものすごく高度な変顔が完成した気がした。



 おっとッ! これまた一年前と同じく、先に口を塞がれましたわ。

 あっはっはっは。嬉しいけれど、心に深く突き刺さる「最高の友達」という言葉。

 俺、ホント、どうすりゃいいのよ!!





 ――でも、確かに、嬉しさと悲しさが入り混じる妙な気持ちではあったが、不思議と嫌な気分ではなかった。

 そりゃあまだ、脈は全然なさそうだけれども、これで、まだ彼女を好きでいてもいいんだって、そう思えたから。



 ……いいや、なーに。

 告白するチャンスなんて、これから先、まだたくさんあるさ!

 何も焦る必要はありますまい!



 今日は、そう。こうして、穂佳さんと仲直りできたということで、万事オーケーとしようじゃないか。





 春はまた、何度でも巡ってくる。

 好きという気持ちを失わない限り、そう何度でも。







――終わり――

後書き

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作者 遠藤 敬之
投稿日:2009/11/19 11:56:40
更新日:2009/11/19 11:56:40
『昇華の果てに春が来る』の著作権は、すべて作者 遠藤 敬之様に属します。
HP『創作は力なり(ロンバルディア大公国)

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