小説鍛錬室
小説投稿室へ運営方針(感想&評価について)
投稿室MENU | 小説一覧 |
住民票一覧 |
ログイン | 住民登録 |
作品ID:540
こちらの作品は、「感想希望」で、ジャンルは「一般小説」です。
文字数約1219文字 読了時間約1分 原稿用紙約2枚
読了ボタン
button design:白銀さん Thanks!※β版(試用版)の機能のため、表示や動作が変更になる場合があります。
あなたの読了ステータス
(読了ボタン正常)一般ユーザと認識
「海中」を読み始めました。
読了ステータス(人数)
読了(243)・読中(2)・読止(0)・一般PV数(969)
読了した住民(一般ユーザは含まれません)
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし /
海中
作品紹介
ビデオ鑑賞で、オーシャンズを観ました。
ばくらは追われていた。
家族や友達、仲間の背を見ながらひたすら速く逃げた。
奴らはぼくらを追いかける。
ぼくらと違い肺で呼吸をする奴らは、ぼくよりずっと大きい。青く光る世界で、奴らの姿は暗い灰色に見えた。しなやかにからだを動かし、ぼくらにつっこんでくる。
つっこまれるその絶妙なタイミングで避ける素早さがすべてだった。
前に進みながらからだを横に曲げる。右へいったあと左。周りに遅れないスピード。急カーブ。加速。
止まることなんてできやしない。からだに負荷をかけながら、頭が痛くなるほどの緊張感のなかで、前の仲間に自分の最速のスピードでついていった。方向転換を繰り返すぼくらは、空から差し込む光に照らされて黒に銀に青にまるで点滅するように変化した。
何度も奴らがつっこんできて、すこし数が減ったぼくらは、それでも先を進む。
全力で進みながらも意識というものは確かにあった。この群れのなか、奴らに1番狙われにくい位置はどこか。つっこまれたとき他の仲間を身代わりにできそうな位置はどこか。そんなことをしっかり考えられているというのは、慣れであり、またぼくが必死だからだ。
進み進み、ぼくらはぼくらの空に近づいていく。
最も空に近づいたとき、ぼくらの空は突き破られ、群れにミサイルが飛び込んだ。
泡は白い直線の煙となり、ミサイルの道すじを示す。奴らよりずっと速いミサイルは、ぼくらを貫くため次々と降り注ぐ。光できらきらと輝く空の向こう側に、いくつもの白い翼がぼくらを標的としている。
落ちてくるミサイルの煙で、あっという間にぼくらの空は青から白へ色を変えた。
逃げ場がなくたって逃げた。
ミサイルの影響でつっこんではこないが、まだ近くに奴らだっているはずだ。生きるために進むしかなかった。
ぼくの真横にまた一発のミサイルが飛び込む。隣にいたフレッドが捕まった。フレッド、と心のなかで叫びながらぼくは素早く方向転換しそこから遠のいた。ミサイルの先端であるくちばしにはさまれたフレッドが、ぼくらの空の向こう側にさらわれていくのを流れる視界の端で見た。
ぼくは遠くへ遠くへと逃げながら、ぼくらの近くに全く別のやつがいることに気づいた。
適度に離れた距離にずっといたらしいそいつには、ぼくらのようなひれはなく、代わりにあるのは裂いたような細長い手足。重そうなでかい銀の瓶を背負い、泡をブクブクと大量に吐き出すそいつは、なにか黒い機械をこちらにかまえていた。機械のレンズにぼくらが映し出されている。
攻撃するでもなく逃げるでもなくただくいいるようにぼくらを眺めるそいつのそばを通り過ぎるとき、そいつが泡とともに吐き出した言葉が一瞬だけぼくに届いた。
「……綺麗だ」
ぼくが狙われにくい計算なんてものを上手になることや、フレッドが捕まって消えてしまうことが、それが綺麗だというのなら。
なにか意味はあったのだろうか。
家族や友達、仲間の背を見ながらひたすら速く逃げた。
奴らはぼくらを追いかける。
ぼくらと違い肺で呼吸をする奴らは、ぼくよりずっと大きい。青く光る世界で、奴らの姿は暗い灰色に見えた。しなやかにからだを動かし、ぼくらにつっこんでくる。
つっこまれるその絶妙なタイミングで避ける素早さがすべてだった。
前に進みながらからだを横に曲げる。右へいったあと左。周りに遅れないスピード。急カーブ。加速。
止まることなんてできやしない。からだに負荷をかけながら、頭が痛くなるほどの緊張感のなかで、前の仲間に自分の最速のスピードでついていった。方向転換を繰り返すぼくらは、空から差し込む光に照らされて黒に銀に青にまるで点滅するように変化した。
何度も奴らがつっこんできて、すこし数が減ったぼくらは、それでも先を進む。
全力で進みながらも意識というものは確かにあった。この群れのなか、奴らに1番狙われにくい位置はどこか。つっこまれたとき他の仲間を身代わりにできそうな位置はどこか。そんなことをしっかり考えられているというのは、慣れであり、またぼくが必死だからだ。
進み進み、ぼくらはぼくらの空に近づいていく。
最も空に近づいたとき、ぼくらの空は突き破られ、群れにミサイルが飛び込んだ。
泡は白い直線の煙となり、ミサイルの道すじを示す。奴らよりずっと速いミサイルは、ぼくらを貫くため次々と降り注ぐ。光できらきらと輝く空の向こう側に、いくつもの白い翼がぼくらを標的としている。
落ちてくるミサイルの煙で、あっという間にぼくらの空は青から白へ色を変えた。
逃げ場がなくたって逃げた。
ミサイルの影響でつっこんではこないが、まだ近くに奴らだっているはずだ。生きるために進むしかなかった。
ぼくの真横にまた一発のミサイルが飛び込む。隣にいたフレッドが捕まった。フレッド、と心のなかで叫びながらぼくは素早く方向転換しそこから遠のいた。ミサイルの先端であるくちばしにはさまれたフレッドが、ぼくらの空の向こう側にさらわれていくのを流れる視界の端で見た。
ぼくは遠くへ遠くへと逃げながら、ぼくらの近くに全く別のやつがいることに気づいた。
適度に離れた距離にずっといたらしいそいつには、ぼくらのようなひれはなく、代わりにあるのは裂いたような細長い手足。重そうなでかい銀の瓶を背負い、泡をブクブクと大量に吐き出すそいつは、なにか黒い機械をこちらにかまえていた。機械のレンズにぼくらが映し出されている。
攻撃するでもなく逃げるでもなくただくいいるようにぼくらを眺めるそいつのそばを通り過ぎるとき、そいつが泡とともに吐き出した言葉が一瞬だけぼくに届いた。
「……綺麗だ」
ぼくが狙われにくい計算なんてものを上手になることや、フレッドが捕まって消えてしまうことが、それが綺麗だというのなら。
なにか意味はあったのだろうか。
後書き
未設定
|
読了ボタン
button design:白銀さん Thanks!読了:小説を読み終えた場合クリックしてください。
読中:小説を読んでいる途中の状態です。小説を開いた場合自動で設定されるため、誤って「読了」「読止」押してしまい、戻したい場合クリックしてください。
読止:小説を最後まで読むのを諦めた場合クリックしてください。
※β版(試用版)の機能のため、表示や動作が変更になる場合があります。
自己評価
感想&批評
作品ID:540投稿室MENU | 小説一覧 |
住民票一覧 |
ログイン | 住民登録 |