あれ、確かに交通事故に遭ったはず、助かったのかでも体の自由が全くきかない、何で動かないんだ。



　ところで、ここは何処だろう？目を開けるとすぐ薄暗い中に木目調のドアが見える。





「オギャー、オギャー。（誰かー、助けてくれー）」





　静寂した空気の中、人が歩いて来る足音が聞こえた、微かに聞こえて来るその音に耳をすまして、その足音が自分に近づいて来るのを聞いた、そして、近づいて来た人は僕を上から見下ろしてきたので、僕はその人物が執事のような格好をしていることに気付いたのです。



??????なぜ執事服なのですか？



「赤ん坊が、なぜ家の前に……」



　そしてその人物が、僕を抱き上げた時に言った言葉で、赤ん坊になった事に始めて気付いた。



??????僕、どうなっちゃうの？



　その執事の格好した人は、僕を連れて木目調のドアを開き中に入った。そこは今まで僕がいた薄暗い世界とは違い暖かな光が灯されている空間でした。



??????家の中は、やっぱり温かくていいな。





「イリスただいま。」



「おかえりなさい。その赤ちゃんどうされたのですか？」



　女性が僕を、物柔な瞳で見たのです。



「ドアの前に置き去りにされていた」



??????あの、それって早くも僕捨て子ですか！？



「まあ、こんなに可愛らしいのに置き去りにするなんて……」



　女性は、僕を、もの悲しそうな目で見た。



「ボリジ。きっと神様から、私たちに贈られた赤ちゃんだわ」



　女性の嬉しそうな声で言ったのです。



??????これって、もしかしたら育てて頂けますか？



「そうだな、私たちで大切に育てよう」



　執事の格好した人は少し考えながら同意してくれた。



??????はぁー、助かったよ。



　執事の格好した人は僕を女性に手渡し、女性は僕を抱きしめた。



「赤ちゃん、今日からココがあなたの家よ」



　女性は、そう言って僕の頭を撫でたのです



??????ちょっと、くすぐったい！



「旦那様に、さっそく報告に行って来るよ」



　執事の格好した人は、そう言い残しまたドアを開けて大急ぎで出て行った。



??????でも、旦那様ってだれですか？



　そして、育ててくれるのは赤ん坊なので、何も出来ないし大歓迎です。どうにか僕は生き長らえる事が出来そうだ。



　僕はスターチス公爵家の執事に拾われた。後から分かった事だが、執事夫婦は子宝に恵まれずにいたそうです。僕はそのお陰で助かった。



　そして、僕はユール・モンステラと名付けられた。



　養父の名はボリジ・モンステラ、漆黒の髪に灰色の目そしてちょっとお茶目なところがありますが仕事のこと、この場合は旦那様のことになると、ものすごく気を使い真剣になる。



　養母の名はイリス・モンステラ、茶色の髪に茶色の目で優しさを絵に描いたような人でちょっと天然なのか僕がおかしな行動をしても取りあえず首を傾げるだけです。夫婦は僕に有り余る程の愛情を注いでくれます。



??????それは、もう過保護のように……。







　この世界は地球ではなく異世界みたいです。文明は中世風で、ファンタジーにありがちな魔法は、今のところないです。僕が暮らしているところは、アルメリア国のビオラ領土、夏は涼しいけど冬は寒くて乾燥する土地です。



??????僕は冬が苦手なんだけど、どうにか暮らしてる。



　そして、僕は５歳になった。初めて鏡に映った姿を見ると髪と目が漆黒でバランスよく全てのパーツが顔の中に配置されている、その綺麗な顔を見た時ちょっと信じられませんでした。なぜって僕の人生平凡顔だったからだ。



??????今の顔ならモテるな。確実に……、たぶん……。







　後はちょっと大変だったけど、読み書きが出来るようになった。なんせ、話はわかるのに字は読めないし書けなかったのです。



??????だから、チートは無理！



　今日は、この世界で初めての料理にチャレンジしようと思う。ちょっとだけ、驚かしてみようと言う事です。



　今はキッチンに忍び込んでいる。第一関門は、さてここで不都合なのは身長が小ちゃいことです。食材は棚の一番上にあるのだ。椅子を持って来て取れた食材はパン、チーズ、トマトソースだけでした。これでどんだけ、驚く物ができるのかが勝負です。



??????まあどうにかしてみます。



　僕は、さっそく料理に取りかかり、パンを輪切りにしてトマトソースを塗って、チーズをのせるだけ後は窯で作ったものを、焼けばいいだけになった。







「ユール、火傷するから窯は一人で使ってはダメよ」



　母様に見つかってしまった。



??????僕、子供じゃないんです……が今は子供でした。



　なので、ここは一つ可愛らしくお願いしてみた。



「これ、焼いて?????」



　ニッコリ微笑んで完璧ですね。子供の振りは疲れます。

　でも、可愛くないって捨てられては大変ですから。



??????今の僕では捨てられては生きてく術がありませんから！



「焼けばいいのね」



「うん」





　そして母様は、それを焼いてくれ出来上がったものは、簡単ピザパンです。チーズがとろけていて美味しそう。母様はお皿にピザパンをのせて、木製のテーブルの上に置いてくれた。





「さあ、出来たわよ。」



　母様は、皿に乗っている物をみて不思議そうな顔をしている。



「何を作ったの？」



「ピザパン、母様も食べて」



　母様は一枚手に取った。



「美味しいわ！」



　母様は嬉しそうに、ピザパンを一口食べてから言ったのです。



「すごいく、美味しいわ！」



　母様はペロリと一枚完食して、次のピザパンに手を伸ばしている。



??????食べるの、早いです母様！





　その夜、父様もピザパンを食べてくれたのです。もちろん、母様と僕で作った出来立てのピザパンですよ。でも夜もピザパンってあり？もちろん父様にも高評だった。



　でもちょっと予想外の事態が起きたのです。





　次の日の朝はピザパン（トマトソースとチーズをのせる）



　その次の日の朝、ピザパン（トマトソースとチーズとコーンをのせる）



　その次の日の朝、ピザパン（トマトソースとチーズとキノコをのせる）



　その次の日の朝、ピザパン（トマトソースとチーズと肉をのせる）



??????チョットずつ豪華になっている？



　だが流石にもう飽きたので、母様に訴えることにした。



「母様、ピザパンは流石に飽きました」



??????基本は可愛らしくです。



　母様の目をジッと見詰めて瞳を「うるうる」させて言った。



「あら、私は飽きないわ。でもそうね、明日は変えようかしら」



??????「そうね」ではなく絶対に変えて下さい。



「お願いします」



　もちろん僕は、母様に哀願したのです。



　大好評も、ここまで来ると失敗かな（？）



　いや、完璧に僕の中では失敗です。