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作品ID:1370
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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)

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前書き・紹介


第四章「シュバルツェンベルク」:第6話「シュバルツェンベルクの鍛冶師」

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第4章.第6話「シュバルツェンベルクの鍛冶師」



 長い迷宮探索を終えた翌朝、さすがに疲れが取りきれず、眠い目をこすりながら、七時にギルドに向かう。

 まず、魔石を換金する。



 昨日の成果は、

 ホーンラビット二十一匹、ワイルドドッグ二十五匹、ジャイアントバット二十二匹。

 コボルトウォーリア六十二匹、コボルトアーチャー二十八匹、コボルトシャーマン十八匹。

シルバーウルフ一匹、コボルトキング一匹だった。

 換金すると、ホーンラビット、ワイルドドッグ、ジャイアントバットが銅貨七枚、コボルトウォーリア、アーチャーが銅貨十枚、コボルトシャーマンが銅貨十二枚、シルバーウルフが銀貨一枚、コボルトキングが銀貨一枚と銅貨五十枚で合計銀貨十八枚、銅貨四十二枚だった。



 これに宝箱の錆びたダガー一本が銀貨四枚と評価され、最後の宝箱の銀貨五枚を加え、銀貨二十七枚と銅貨四十二枚。防具の破損を考えると苦労した割には全く儲けが無い。

 儲けは少なかったが、レベルは十四に上がっていた。



 高山(タカヤマ) 大河(タイガ) 年齢23 LV14

  STR1061, VIT1135, AGI995, DEX1030, INT3930, MEN1892, CHA845, LUC835

  HP871, MP1892, AR3, SR3, DR3, SKL248, MAG116, PL31, EXP139213

  スキル:両手剣24(複撃1)、回避17、軽装鎧12、共通語5、隠密9、探知7、

      追跡6、罠5、罠解除2、体術11、乗馬8、植物知識9、水中行動4、

      上位古代語(上級ルーン)50

  魔法:治癒魔法13(治癒3、解毒1、精神ダメージ回復1、麻痺回復1)

     火属性13、水属性2、風属性2、土属性2



 両手剣と回避、鎧、体術は順調に成長。

 魔法も火属性と治癒は順調に成長しているが、水、風、土の三属性は使っていない分、ほとんど成長していない。

 そろそろ三属性も使い始めないといけないが、今は剣に集中すべきだろう。



 昨日襲ってきたケヴィンたちのことは、どうすべきか悩み、ミルコに相談してから報告しようと思っていた。

 少し早いが、防具屋に向かい、ガントレットの修理と予備の購入を行う。

 修理には一G、予備の購入に五Gで本当に割に合わない。

 損益分岐点は何階なんだろうと考えながら、ミルコの元に向かった。



 八時にミルコがやってきたので、昨日の出来事を掻い摘んで話していく。



「運が悪かったな」



 ミルコの話では、低層で行き詰っていた連中が、自分たちが行き詰っているのは装備の所為だと思いこみ、俺のよさそうな装備に目が眩んで襲い掛かってきたんじゃないかとのことだ。ミルコもソロの時、三十階くらいまでは何回か襲われたそうだ。



「まあ、一応、ギルド長に話を入れておきな」



 俺は肯いた後、今後どう対応していいか、聞いてみた。



「なあ、ミルコ。あんな奴らに会ったらどうしたらいいんだ」



 彼の答えは、「逃げるか、殺すかだが、できれば逃げた方がいい」だった。



 ミルコ曰く、勝てる相手でもケガをしたり装備を壊したりしたら、その後の魔物との戦いで不利になる。迷宮の中なら魔物をうまく利用して逃げれば人数が少ない方が逃げやすい。

 後は相手の特徴だけ良く覚えておいて、ギルドに報告するしか方法は無い。ただ、報告したからどうなるものでも無いそうだが。



「しかしなぁ、こんなことは先に言って欲しかったよ。ギルドの情報じゃ“トラブルに注意”としか教えてくれねぇし、普通は先輩が教えてくれるもんだろう」



「へっ、馬鹿いうな。お前の腕なら今の階層で出会うような未熟者に遅れを取ることも無かろう」



 俺の抗議もどこ吹く風、仕方が無いのでギルドに向かい、昨日の報告をする。

 受付で簡単な事情を聞かれただけで、特にギルドのお偉いさんからの事情聴取もない。念のため、ケヴィンたちが帰ってきたか確認したが、判らないとのことだ。



(こんなもんかね。人の命が懸かっているのにあっさりしたものだな)



 そう思いながら、ギルドから帰り、ミルコに報告する。



「なあ、冒険者が五人、犯罪に手を染めて行方不明になったのに、ギルドの対応があっさりしているのは、どうしてだ?」とギルドで思った疑問を彼にぶつけてみる。



 彼は関心なさそうに、



「ここシュバルツェンベルクには五百人からの冒険者がいるんだぞ。一々気にしていたらギルドの業務が滞っちまうわ」



 納得できず、「うーん」と唸っていると、



「Bランク以上のベテランならまだしもEランクの駆け出しなんぞ、月に何人もいなくなっているわ」とバッサリ切って捨てられる。



 あまり気にするなとのことだったので、正直納得したわけではないが、これ以上考えても答えは出ないし、自分のことに集中することにした。





 迷宮の中ではいくら魔物の血糊が付いても、その魔物が死ねば血糊も一緒に消えるため、血糊で切れ味が落ちることは無い。

 だが、剣で受けたり骨を断ち切ったりするとどうしても刃毀れが起きる。

 二日間で三百五十匹以上の魔物を切ってきたため、さすがのディルクの剣も少し刃毀れが出始めている。素人の俺ができる手入れは血糊を落とすことくらいで刃毀れを研いで直すことはできない。



 ミルコに武器屋に行ってくると断った上でデュオニュースの弟子のダグマルの武器屋に行くことにした。



 武器屋はギルドのすぐ近くにあり、訓練場からも近い。

 五分ほどでダグマルの店に到着した。



「ダグマルって鍛冶師はいるかい?」と声を掛けると、若いドワーフの鍛冶師が奥の工房から出てきた。



(やっぱり鍛冶師はドワーフなのか。こいつもいきなり手を見せろって言ってくるのかな?)



 俺はディルクとデュオニュースのことを思い出して少し警戒するが、



「買いに来たのか、それとも修理か」



 と至って普通の対応に「あっ、普通の対応だ」と声を出しそうになった。

 普通の対応に戸惑うのも変なので、さっさと用件を済ますことにした。



「手入れを頼みに来た。ここ二日でかなりの魔物を切ったから少し刃毀れが出ているんだ」と言って、剣を差し出す。



「ほう、これはディルク師のものだな」



 俺は、さすがに一流の鍛冶師は見ただけで誰の作か判るんだと感心する。



「判った。今日中に仕上げておこう。これだけでいいか?」



 ついでなのでスローイングナイフも手入れしてもらうことにし、ナイフを差し出すと。



「おい、これは師匠の作じゃねぇか! お前さん、師匠に会ったのか」と言って俺をまじまじと見る。



「デュオニュースさんからそのナイフを買ったよ。今、ミスリルかアダマンタイトの両手剣を打ってもらっているよ」



 彼は「ほぅ」と言った後、「師匠に認められた男の武器だ、いつも以上に気合を入れて手入れしてやるぜ」と笑いながら剣を持ち上げる。

 そして、少し恥ずかしそうに、



「師匠の剣を手に入れたら、一度見せてくれないか。頼む」と拝んできた。



「ああ、別に構わない。っていうか、デュオニュースさんの剣をそこらの鍛冶師には任せられないだろ。元々ここで手入れを頼むつもりだよ」



「楽しみにしているよ。師匠がミスリルの剣を打つなんて数年振りだからな」



 剣とナイフをダグマルに渡し、訓練場に戻る。

 今日は、ギルドに行ったり、武器屋に行ったりしたので、訓練は八時間で終了。

 明日は迷宮で、二十五階まで制覇がノルマになった。



 十八時頃、ダグマルの店に入り、



「武器の手入れは終わっているかい?」



「ああ、終わっているぜ。少しだけバランスが悪くなっていたから、それも調整しておいた。裏で試してくれないか」



 まだ熱気が充満している工房の中を通り、裏庭の試し斬り場に行く。



 革製の鎧を被せたわら人形が置いてあり、”あれを斬ってみてくれ。”と言われたので、愛剣で革鎧ごと斬り付けてみる。

 驚いたことに、使いやすく、しかも切れ味もかなり良くなっているように感じた。



「どうだ。ディルク師の剣に手を加えるのはどうかと思ったんだが、握りの具合を見たら、少し合って無いような気がしてな。もし前の方がよければ、元に戻せるが」



とドワーフの鍛冶師にしては弱気な発言だ。

 俺は剣を眺めながら、



「いや、前より使いやすい。切れ味も買った当時と同じかそれ以上になっている。このままの方がいい」



 そう言いながら、鑑定で剣を見てみると



  ツーハンドソード(銘無:スチール製)

   攻撃120、命中60、必要STR400、レンジ6ft、長さ5.0ft、重量6.0lb



と命中率が上がっている。顔には出さないように「さすがにデュオニュースの弟子だ。握りを見ただけで簡単にチューニングか」と更に感心してしまった。



「お前さんにもう一つ聞きたいことがあるんだが、この剣の切っ先が妙に痛んでいるんだが、どういう使い方をしているんだ? 突きを専門にするにしてももう少し違う痛み方になるんだが……」



(魔法を使うたびに地面に突き刺していたからな。最近は剣を投げたりもしているし、その所為だろうな。これを言うと怒鳴られるかな?)



「俺は魔法も使うんだ。その時にこのスチール製の剣が邪魔でね。よく地面に突き刺してるから、それが原因だと思うよ」



「そうか……剣が立っていれば良いんだな。鞘の方を工夫して立つようにしてやろうか」



 ダグマルが説明するには、鞘の切っ先側に四本の金具とバネでスタンドを作ってくれるとのことだ。

 切っ先側を地面に押し当てると、バネの力で二十cmくらいの棒が四方に開き、十字状になるようにしてくれるとのことだ。一番近いイメージはジャンプ傘だ。



「その細工をしてもらえると助かる。しかしこんな仕掛けよく思いつくな」



「元はお偉いさんの剣をきれいに見せるための仕掛けさ。出陣したお偉いさんが椅子に座ったときに横に剣が立っていた方が見栄えが良いし、両手が使える。昔、頼まれて作ったことがあるんだよ」



「なるほどねぇ。で、どのくらいでできる?」



「二日あればできる。その間は別の鞘を貸してやるから、それを使ってくれ」



 両手剣とナイフ三本の手入れで金貨一枚。最初は「久しぶりにいい剣を触れたから金はいらない」といっていたが、今後のこともあるので強引に渡しておいた。



 鞘の改造は銀貨十枚で依頼することにした。



後書き


作者:狩坂 東風
投稿日:2012/12/25 21:17
更新日:2012/12/25 21:17
『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。

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作品ID:1370
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