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作品ID:1371
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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


第四章「シュバルツェンベルク」:第7話「オーク戦」

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第4章.第7話「オーク戦」



 翌朝は八時から迷宮に入る。

 今回のノルマは二十五階までなので、今日は一日オークと闘うことになる。

 二十階の転送室に飛び、二十一階への階段を降りていく。



 すぐに太った醜い姿のオークが現れた。



  オーク:

   中型の豚の顔を持つ人型の魔物。人の肉を好む。

    HP500,AR15,SR3,DR3,防御力30,獲得経験値30

    片手棍棒(スキルレベル10,AR40,SR30),アーマーなし



 コボルトやゴブリンに比べれば、膂力が強く、まともに攻撃を食らえば、少なくないダメージを負うだろう。それに体力もあるので最低三回の攻撃が必要だ。

 だが、所詮技能レベルが低いパワーだけの魔物。実力差から見て、七、八回に一回当るかどうかだろう。どんな強い攻撃も当らなければ問題ない。



 オークは俺を見つけると重い体を震わせ、「ブガァァグァ!」と叫びながら、猛然と突っ込んできた。

 俺は冷静にオークの脚を狙い、左下方からの鋭い切上げの斬撃を加える。

 剣を振り抜くとオークの右脚から血が噴き出し、オークはバランスを崩して転倒。そのまま壁に激突する。

 立ち上がる前にもう一撃加えようと後ろから接近していく。



 オークは頭を振りながら立ち上がろうとしているが、まだ背を向けたままだ。

 オークの腰の辺りを狙い、上段から剣を振り降ろす。

 左脇腹を切り裂くと、オークは「ブガァァ!」と苦悶の咆哮を上げる。

 俺は咆哮を無視して、オークの喉に止めの突きを入れた。

 唐突にオークの咆哮が途切れ、白い光とともにオークは消えていった。



(ふぅ。一匹なら問題は無いな。二匹以上になったら、今まで通り壁を背にして戦ってみるか)



 魔石を拾い、二十一階を更に進んでいく。



 計七回の戦闘をこなし、一度もダメージを受けることなく、二十二階への階段を降りていく。



 二十二階では、情報通り二匹のオークが現れる。

 オークは通路幅一杯に広がりながら、いつもと同じ咆哮を上げながら、突撃してくる。



 俺は通路中央からやや左にステップし、向かって左側のオークに攻撃を掛ける。

 左側のオークの攻撃をかわしつつ、がら空きの胴を斬り付け、更に通路の左側の壁際をすり抜ける。

 その動きに右側のオークは左側のオークが邪魔になり、攻撃機会を逸していた。



 左側のオークは胴を切られたことにより、憤怒の表情を浮かべ、再度殴りかかってくる。右側のオークも傷ついた左側のオークのすぐ後ろから続いて攻撃を掛けようとしている。



(先頭のオークの右側を抜けると後ろのオークの攻撃を受ける。左側を抜けつつ、脚に攻撃を掛けるか)



 瞬時にそう考え、傷ついているオークの脚に更にダメージを与えつつ、壁際から通路を横切るように移動する。



 傷ついているオークはそのまま転倒。

 無傷のオークが「グォガァァ!」と怒りの咆哮を上げて俺のほうに向かってくる。



 傷ついているオークがすぐに攻撃に転じられないと判断し、向かってくるオークに対して、相手の勢いを利用した突きを喉に入れる。



 オークの突進力と剣の切断力でオークの首は半ば千切れかけ、そのまま壁に激突。白い光となって消えていく。

 剣は消えていくオークに突き刺さったまま。

 オークが消えるのを待たず、素早く引抜き、最初に傷つけたオークを迎え撃つ。

 突っ込んでくるオークに向かい、肩口を斬り付け、止めを刺す。



(オークは真すぐ突っ込んでくるだけだから、予想が楽だな)



 二匹のオークを倒し、魔石を拾った後、更に二十二階を進んでいく。

 二十二階では、六回の戦闘で三度ダメージを受けたが、防具でほとんどのダメージを吸収でき、重大なダメージは受けなかった。



 順調に二十三階に到達し、三匹のオークと遭遇する。

 幅十五フィート=四・五mの通路では三匹並ぶと隙間が無くなる。

 その分、左右どちらかの壁によれば、二匹からの攻撃は受けるが、同時に三匹からの攻撃を受けることはない。

 俺は死角になりやすい左側をカバーするため、左の壁際に寄り、オークを迎え撃つ。



 オークは三匹すべてが全速力で接近してくるため、思惑通り二匹の攻撃を捌くだけで済む。俺はオークのタイミングを外すため、左側に踏み込み、一番左のオークの鳩尾辺りに突きを入れる。



 突きはきれいに決まり、オークは呻き声を上げ、うずくまる。

 俺は突きを入れた直後にバックステップで後退。中央のオークからの攻撃をかわす。

 一番右側のオークは中央のオークと入れ替わるように攻撃を仕掛けてくるが、無理に方向転換をしたせいか、棍棒の軌道が定まらず、かわす必要もなかった。



 オーク三匹に囲まれる形となったが、一匹のオークはダメージが回復しておらず、まだ攻撃態勢に入っていない。

 最初中央にいたオークは攻撃をかわされた後、すぐに体勢を立て直して、棍棒を振ってくる。もう一匹のオークも体勢を立て直せたのか、再度攻撃を仕掛けてきた。

 二匹同時の攻撃だが、どちらも棍棒を上から振り下ろすだけなので、左にステップして簡単にかわす。

 余裕を持って対応していたが、最初にダメージを与えたオークへの注意が疎かになっていたようで、左の腰に棍棒の一撃を受けてしまった。



「痛ってぇ!」



 ダメージ自体はそれほどでもなかったが、不意打ちを受けたショックで中央のオークからも攻撃を受けてしまう。



(このままでは袋叩きになる。なんとかこの包囲網を抜けなくては!)



 俺もパニックになっていたようで、冷静さを失い、左側と中央のオークの間を強引に抜けようとした。



 うまく二匹の攻撃をかわし、抜けたと思った瞬間、背後から右肩に攻撃を受けてしまい、無様に転倒してしまった。



(まずい。どうする。くそ! こんなところで死ねるか!)



 思考は無駄にぐるぐる回るが、体の動きの方はいつもよりかなり悪い。

 立ち上がった瞬間、オーク三匹の攻撃が俺に向かってきた。

 二匹の攻撃はかわすものの、一匹の攻撃を受けてしまう。



(痛ってぇ! 二匹が限界なのか)



 動き自体は単調なのに体が付いてこない。棍棒の一撃は痛いがミルコの木剣の方がきついはず。

 一撃食らうのを覚悟して、一匹ずつ倒していくと開き直り、三匹の同時攻撃に向かっていく。

 一匹からの攻撃を受けたものの、勢いを殺さず、手負いのオークにコンパクトな突きを脇腹に入れる。



 傷ついたオークは「ガァァグェ!」と喚いて後ずさったため、包囲網が一瞬緩む。



(チャンスだ。今のうちに二匹にもダメージを与えてやる!)



 最小限の動きの突きであったため、ほとんど体勢も崩さず二匹の攻撃に対応する。

 少し冷静になったことと二匹からの攻撃であるため、余裕を持ってかわすことができ、かわしながら、中央のオークの右腕を斬り付ける。



 これでオークの同時攻撃も崩れたので、ダメージを負っていないオークの脛に向けて低い斬撃を入れる。

 脛を斬られ、ひるんだオークの横をすり抜け、すぐに向きを変え、大上段からの渾身の一撃をオークの頭に加える。



 頭をかち割られたオークは短い悲鳴を上げ、白い光とともに消える。

 残るは、あと二匹。



 右腕を切られたオークは、棍棒を左手に持ち、打ちかかってくる。

 俺は下段からオークの腕目掛けて切り上げ、左手を切断。脇腹にダメージを負ったオークもようやく戦列に復帰してきたのか、腕を切断されたオークの横から殴りかかってくる。

 ダメージにより動きが鈍くなっているため、これも軽くかわして横薙ぎの一撃で首を跳ね飛ばす。

 腕を斬りおとされたオークはまだ蹲っているので、慎重に接近し、後頭部に突きを入れて止めを刺す。



(ようやく終わった。三匹はきつい。今後は魔法を使うべきだろうな)



 幸い、受けたダメージでは骨に異常はなく、打撲のみ。

 治癒魔法を掛けてから、魔石を拾う。



 まだ、二十三階に着いたばかりなので一旦階段に戻り、休憩と昼食をとることにした。



 階段で休憩していると、二十二階から人間の男二人、獣人の男一人、人間の女二人の五人のパーティが降りてきた。リーダーらしき槍使いが、



「仲間はどうした。大丈夫か?」と声を掛けてきたため、警戒しつつ、



「ソロなんだ。二十三階で苦戦したから、ちょっと休憩を取っているだけだ。ケガは無いよ」



「そうか、それじゃ気を付けてな」と爽やかな笑顔で俺の横を通り過ぎていく。



 一昨日のことがあったから、かなり警戒してしまったが、ミルコの言う通り、あれは異常なことだったようだ。



 十分ほど休憩し、五人のパーティが進んだと思われるほうに行ってみる。

 順調に進んでいるのか、五人に追いつくことはなかったが、オークの出現数も少なく、二十三階の移動が楽になった。



 二十分ほど戦闘も無く進んでいたが、ツキもここまでのようでオークが三匹現れた。

 さっきの教訓を生かし、まずはファイアボールで一匹にダメージを与えておく。

 一匹の進行速度が遅くなったことを確認して、二匹に突っ込んで行き、スピード差を生かしてダメージを与えていく。

 ファイアボールのダメージから立ち直ったオークが接近してくる前に一匹を倒し、通路幅をうまく使って挟まれないように注意して、二匹目、三匹目と葬っていく。



(この通路幅では三匹からの攻撃が限界なんだ。俺が一度に対応できる数は二匹。要は魔法でもフェイントでもいいから、何らかの手段で一匹からの攻撃に抑えてしまえばいいんだ)



 二十三階から二十四階への階段を見つけたが、三匹への対応を極めるため、二十三階をうろうろする。

 二時間ほどで十回の戦闘をこなし、ようやく形らしいものが出来てきた。

 オークはこっちが逃げないようにするためか、必ず三匹並んで襲い掛かってくる。

 この時、両サイドのどちらかに突っ込んでいき、ダメージを与えてから、急激に後退すればオークは二匹での攻撃を余儀なくされる。この三十秒程度の時間を利用して更にもう一匹にダメージを与えれば、ほぼ勝ちパターンに入る。

 通路ではなく、部屋に入った時は部屋の角を取れば、二匹からしか攻撃を受けないので、全く問題はない。



(これで大体の方針は出来上がった。冷静さを失わなければ何も問題はない。よし、二十四階に降りよう)



 階段で小休止を取った後、二十四階に向かった。

 最初の通路でオーク四匹に出会うが、ヒットアンドアウェーでダメージを与えて、相手の同時攻撃を防ぎ、後は一匹ずつ葬っていって、無傷で倒しきる。



(これで四匹だろうが五匹だろうがパニックになることはない。次はミルコに習った複数同時攻撃=複撃の型を極めることにするか)



 対処方法が判ったので、技を極めることにした。

 俺の得意な型は複撃と急所への狙撃だが、複数に囲まれることが多い迷宮では複撃の方を早く極める方が安全だろう考え、オークにある程度ダメージを与えておいた後、敢えて囲まれてから複数に同時攻撃を掛けることにした。



 すぐにオーク四匹が近づいてきたので、ヒットアンドアウェーで三匹にダメージを与えた後、通路の真ん中で四匹に囲まれてみる。

 複撃を掛けてみるが、一匹目はきれいに切り裂けるが、さすがに四匹すべてのオークの体をきれいに切り裂くことができない。

 三匹のオークまではダメージを与えることができたが、四匹目に攻撃を掛ける頃には、初めの勢いを失い、型もかなり崩れていた。



 三匹にダメージを与えたため、反撃してきたのは一匹のみ。一匹の反撃であれば楽に避けられる。



 反撃をかわし、再度、複撃を掛ける。

 やはり、三匹にしかダメージを与えられない。

 しかし、逆に言えば、オークのような回避スキルや防御スキルを持たない敵に一気にダメージを与えられるので、かなり有効な攻撃方法だろう。



(これを繰り返せば、ほとんど攻撃を受けないから、今日の残りの戦闘はこれを極める練習をしよう)



 二十四階で六回の戦闘をこなし、二十五階に向かう階段を見つける。

 休憩を挟んで既に七時間、午後三時を過ぎていた。



(少し疲れが出てきたな。二十五階は無理をせず、出てきた分だけ倒していこう)



後書き


作者:狩坂 東風
投稿日:2012/12/25 21:18
更新日:2012/12/25 21:18
『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。

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作品ID:1371
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