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作品ID:1376
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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)

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前書き・紹介


第四章「シュバルツェンベルク」:第10話「剣鬼の大技と習得方法」

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第4章.第10話「剣鬼の大技と習得方法」



 休日でリフレッシュした翌日、



「よう、すっきりしているな。女でも買ったのか」



「娼館に行って来た。すっきりしたよ」



 ミルコは一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに



「ほう、おめぇはそうゆうところに行かねぇと思っていたが、おめぇも男だったんだな」



と言って、肩をぽーんと叩く。

 俺は勘違いされていると判っていたが、説明するのも面倒なので、そのまま勘違いさせることにした。





 そんな話はすぐに終わり、今日からの訓練、対大型魔物用の技を習う訓練に入っていく。

 ミルコは自分の昔のことを思い出しているのか、少し遠い目をしながら、



「俺には“龍殺し”みてぇな無茶苦茶な腕力がねぇからな。速度重視、手数重視でダメージを与えていくスタイルで技を磨いてきた」



「ああ、俺もそんな感じだな」



「だがな、分厚い皮の魔物やフルプレートみてぇな重装備の相手にはなかなか効かねぇ。特に五十一階層から出てくるオーガやトロルみてぇな大物には弱点を狙うやり方もなかなか通じねぇ。特に竜は……」



 彼は“竜”と言ったところで言い淀むが、すぐに、「おめぇもそう思ったことはねぇか?」と聞いてきた。

 俺はすぐに先日の赤熊との戦いを思い出し、



「確かにな。赤熊のときは、コツコツダメージを積み重ねていくしか方法がないのかって思ったよ」



 彼は持っている剣を上にかざしながら、



「そうよ。そこでだ、俺はどうやったら、こいつの一発の威力を上げられるかを考えた。タイガ、おめぇだったらどうするよ」



「そうだな。思いっきり振りかぶってから振り下ろすか、走りこんで剣ごとぶつかって行くかだな」



「思いっきり振りかぶっても剣速ってのは、それほど速くならねぇ。体ごとぶつかっていくのはなくはねぇが、わざわざ離れなきゃいけねぇし、動きの相当鈍い奴でも避けるのは難しくねぇ」



「じゃ、どうすんだよ」



「そこで、俺は考えたわけよ。いつも以上に腕以外の力も使えれば威力があがるんじゃねぇかってな」



 彼の少し得意そうな顔を見ながら考えるが、すぐに答えは出てこない。

 剣を軽く振りながら、



「わからねぇな。剣は基本、腕力と背筋力だろ。他に使えそうなのは……腰か!」



 彼はようやく判ったなと言う表情を見せ、



「おっ、ちょっとは判ってるじゃねぇか。そうだ。腰の回転を使って振り抜く。こうすりゃ、腕以外の腰と脚の力も使えるんだ」



と言って、剣を野球のスイングの様な横薙ぎの振りで軽く振って見せる。



 それを見た俺は、確かに野球のスイングのようにすれば剣速は早くなるかもしれないが、最初の溜めや振りぬいた後の隙は大きくなりはしないか。インパクトの瞬間は叩きつけるようにするのか、切り抜くようにするのか、どちらなのだろうと考え、



「確かに威力は上がるが、最初の溜めと振りぬき後に隙ができないか。当てた瞬間は刃を滑らせて斬るのか、それとも叩きつけるのか、どっちなんだ?」



 彼もその質問は想定していたようで、「一撃に賭けるんだからな、隙は仕方がねぇ」と言った後、叩きつけるようなスイングを見せ、



「当てる瞬間は斬るんじゃねぇ、叩き斬るんだ!」と実演を交えて説明してくれた。



 彼の説明は感覚的な表現が多いが、今回の説明はイメージしやすい。



(一撃必殺なら多少のリスクは仕方が無いか。確かに叩き付けないと金属鎧の表面で滑ってしまうかもしれない……イメージは大体判った)



 彼は標的用のわら人形に向かい、背中を見せるくらい腰を捻り、腰の回転を生かして大きく踏み込み、ビュンという音を残しながら、横薙ぎの一閃を浴びせる。

 わら人形を斬った後も反動で回り、彼はちょうど一回転して正面を向いた。

 正面を向いたタイミングで、胴の辺りで真っ二つになったわら人形の上部分が地面に落ちていった。

 俺は小さな体のミルコが繰り出す技に驚き、声が出ない。



(すげぇ。訓練用の模擬剣で真っ二つだ。使うタイミングは難しそうだけど、破壊力は倍以上じゃないか)



「これを今日中に覚えろ。明日からオークウォーリア相手にこの技だけで戦ってもらう。四十階までは他の技の使用は禁止だ!」



 相変わらずの無茶ぶりに、「また、無茶なことを言う!」と心の中で反発するが、言っても仕方が無いと諦め、明日からのことを考えることにした。



 三十六階からは、両手剣を持ったオークウォーリアが出てくる。ここまではいい。

 三十七階は両手剣を持ったウォーリア二匹か、両手剣と槍の一匹ずつ、三十八階はウォーリア二匹にオークシャーマンが一匹と三十八階以降はシャーマンが入ってくる。

 オークシャーマンはコボルトやゴブリンのシャーマンと違い、すべての属性で第二階位までの魔法を使ってくるため、かなり厄介だと聞く。



「三十八階からはオークウォーリアだけじゃないぞ。ちょっと無理が無いか」



「オーク如きが四,五匹に増えただけで使えねぇ技なら、役に立たねぇ。覚えるのを諦めろ」



 言いたいことは判る。オークのような鈍重な魔物に使えない技なら、他の魔物に使える可能性は低い。

 だが、何となく素直に答えるのが癪で、「判ったよ。やりゃいいんだろ」と反発してしまう。

 それにミルコが付いてくるわけではないから、



(きつくなったら、技に拘らずに切り抜けよう。ミルコは見てないから大丈夫だろう)



と考えていた。だが、彼は俺の考えはお見通しだったようで、



「因みに明日はこの剣を持っていけ。バランスは今の剣とほとんど変わらねぇから、変な癖はつかないだろう」



と言って、刃を潰した剣を投げてよこす。



 俺は膝が付きそうになるくらい項垂れ、



(鬼だ。こんな訓練用の剣でオークウォーリアを相手にしろって言うのかよ。明日、生きて帰ってこれるかな)



と考えるが、すぐにその鬼は追いうちを掛けてきた。



「さっさと訓練を始めろ。死にたくなかったら、今日中に覚えることだ」



 その日は、一日中、必殺技=特殊スキル”強撃”の特訓になった。

 夕方六時頃には何とか形になり、ほぼ使えるようになっていた。





 翌日、八時に迷宮に入る。

 さすがに今日は階数・討伐数のノルマはなく、自分のペースで戦える。



 今日はオークウォーリア一匹ずつを相手にするため、三十六階をメインに戦うことにしている。

 しかし、この辺りの階層は他の冒険者が多いので、なかなか敵に出会えない。



 二十分ほど歩いていると、前からオークウォーリアが向かってきた。



(ようやく一匹目か)



 オークウォーリアは剣を槍のように構え、「グァガァァア!」というおなじみの咆哮を上げながら突進してくる。

 オークウォーリアの間合いに入る直前、左にステップし、オークウォーリアの突きをかわす。

 普段ならここでがら空きの脇腹に突きを入れるのだが、今回は手を出さずにやり過ごす。

 突きをかわされたオークウォーリアは数メートル進んでから踏み止まり、こちらに向かって向きを変える。



 俺はその様子を見ながら、ゆっくりとオークウォーリアに近づき、強撃の構えを取る。

 そして、オークウォーリアに打ち込もうとするが、さすがにオークウォーリアも馬鹿ではなく、溜めの状態の時に攻撃を掛けてきた。

 慌てて何とかかわすものの、向こうが元気な状態では打ち込む隙がない。

 俺はどうすべきか考え、模擬剣とは言え、相手の攻撃を打ち払うことはできると考えた。



(相手の攻撃を打ち払って、隙ができた瞬間を狙って打ち込むしかないな)



 オークウォーリアが上段から打ち込んできたので、相手の剣をギリギリでかわして空振りさせ、踏鞴を踏ませる。その隙を狙って、「ハァーッ!」という気合と共に強撃を打ち込む。



 強力な一撃がオークウォーリアの胸甲に当たり、胸甲が弾け飛んでいく。



 オークウォーリアにも相当なダメージがあったようで、動きが止まっている。

 その姿を見た俺は、「いける。もう一撃」と考え、再度、強撃の構えでオークウォーリアの無防備な背中に向けて攻撃を掛けていった。

 その一撃はオークウォーリアの脇腹にきれいに決まり、打ち込まれた相手は壁に向かって吹き飛んでいく。

 オークウォーリアは剣を杖に立ち上がり、なおも攻撃を掛けてくるが、ダメージで動きが遅くなっており、容易に回避することができる。



 オークウォーリアの攻撃をかわした後、やや下段からゴルフのスイングの様な強撃を相手の太もも辺りに打ち込む。



 オークウォーリアは苦悶の叫びを上げ、何とか立っているが、すでに攻撃を掛ける力は残っていないようだ。

 止めにオークウォーリアの上半身目掛けて上斜め四十五度くらいの角度で強撃を打ち込む。



 刃を潰した剣であるにも係わらず、オークウォーリアの肩から上半身の半分くらいまで食い込んでいた。



 これが致命傷になったようで、オークウォーリアは白い光となって消えていく。

 俺はいつも以上の攻撃回数に少し息を切らせながらも興奮していた。



(すごい! この模擬剣でこの威力なら、いつもの俺の剣なら一撃かニ撃で倒せるかもしれない)



 オークウォーリアの攻撃は単調ではないものの、それほど手練というわけではない。

 油断さえしなければ、比較的容易にかわすことができる。

 うまくかわしさえすれば、相手のバランスが崩れるので、その隙に強撃を打ち込めるだろう。

 しかし、複数を相手にする時はどうすべきなんだろう。

 オークウォーリア程度の攻撃なら、余裕で回避できるが、こちらの攻撃のタイミングが難しそうだ。何か対策を考えないと三十七階には行けない。



 三十六階で二時間、計八回の戦闘をこなす。二度ほど相手の攻撃が掠ったが、ダメージなし。何とかこの技をものにできたようだ。



(三十七階に降りるか、このまま三十六階で戦うか、どっちにしようかな)



 三十七階行きの階段で休憩しながら悩んでいると、三十七階側で戦闘の音が聞こえてきた。



 ちょっと見学しようと降りていくと、五人組のパーティがオークウォーリア二匹と戦っている。

 五人組のパーティは、よく見る標準型のパーティで、前衛に片手剣+小型盾が二人、中衛に槍使いが一人、後衛に弓使いが一人と魔術師が一人。魔術師は属性魔法が使える攻撃型のようだ。

 レベルは全員一七でスキルも一五前後、装備は中級者クラスのものが揃えられている。



 俺は初めて自分以外の属性魔法の使い手を見て、どう戦うのかとても興味があった。

 だが、彼らの戦いを見ていると、どうも様子がおかしい。

 オークウォーリアの防御力に対して、前衛・中衛の攻撃力が少なすぎ、更に魔法の援護もほとんどないため、かなり苦戦しているようだ。



 オークウォーリアの防御力は、固有の防御力とブレストアーマーの防御力を合わせて八〇程度。一方、ロングソードの攻撃力は六〇、ショートスピアの攻撃力は四〇しかなく、スキルレベルも十五程度なので、一回の攻撃で多くても五%程度のダメージしか与えられていない。

 オークウォーリアの方は、攻撃力の合計が一一〇。それに対し、前衛の防御力は盾が三五、ブレストアーマーがスキルと合わせて八〇。盾と鎧を合わせて防御力は一一五あるが、盾の防御を失敗すると八〇になってしまうため、防御を失敗すると一割以上HPを持っていかれている計算になる。

 属性魔法の魔術師も魔力を温存するためか、魔法を使おうとしない。



(折角、人の魔法が見れると思ったのに残念だ)



 前衛、中衛の三人でうまくカバーしあっているため、危機的な状況ではないが、この戦闘を終えたら、三十五階の転送室に戻る必要がありそうだ。

 俺の場合、ほとんど回避してしまうから、オークウォーリアの攻撃力の実感は無かったが、こうやって人が戦っているのを見ると、かなりの強敵なのだと、今更ながらに感じてしまう。



(これを見ていると、俺の革鎧の防御力はわずか五〇だから、一撃食らうと体力を十五%くらい持っていかれるな)



 十分ほどの死闘の末、五人組のパーティは二匹のオークウォーリアを倒し、階段の方に戻ってきた。俺は道を開けながら、



「お疲れさん。休憩かい?」



と尋ねると、リーダーらしき弓使いが、



「いや、今日はこれで終わりだ。うちのパーティに治癒師がいればもう少し戦えるんだが、これ以上無理をすると全滅するからね」と言って、階段を上がっていく。



 俺は彼らを見送りながら、



(なかなか、いい判断だな。体力的にはもう二、三回戦えるんだろうけど、明日以降の体力を温存するためなんだろうな。さて、俺はどうするかな)



 とりあえず、オークウォーリア二匹と戦ってみることにし、できるだけ階段に近いところをウロウロする。

 十分ほどで剣を持ったオークウォーリアと槍を持ったオークウォーリアが近づいてきた。



  オークウォーリア:

   オークの希少種。大型の剣又は槍を好んで使う。

    HP800,AR15,SR5,DR5,防御力30,獲得経験値120

    短槍(スキルレベル15,AR50,SR65,レンジ8ft),アーマー(スキル5,50)



 槍使いのオークウォーリアで、ショートスピアを装備している。



 ショートスピアは、レンジが大きく、命中率も高いので、強撃を繰り出すタイミングが難しそうだ。



 両手剣を持った方が前衛になり、槍を持った方が前衛のやや右後ろについている。

 俺は三十六階と同じように敵の攻撃を回避した直後を狙い、強撃を打ち込む方法を取ろうとしたが、前衛の一撃を回避すると、後ろの槍使いが鋭い突きを入れ、それを回避していると前衛が体勢を立て直し、攻撃を掛けてくるというサイクルになり、隙ができない。



 ここに至って、強撃の最大の弱点は足を止めてしまうことだと気付く。

 足を止めなければ、移動しながら回避し、次の動きで攻撃に移るという一連の流れで攻撃を掛けられるが、強力な一撃を打ち込むためにはどうしても一旦、立ち止まって力を溜める必要があり、移動・回避と攻撃の間の流れが切れてしまう。



 槍の攻撃まで予測して回避すれば、次の攻撃に移れるが、前衛、後衛の両方の動きを予測しつつ、こちらの攻撃態勢に持っていくのは至難の技だ。



(このままでは無理だな。相手の攻撃をこっちの都合のいい場所に打たせるいい方法は無いのだろうか)



 オークウォーリアの四回目の攻撃を回避したところで一度無理やり強撃を打ち込んでみたが、やはりきれいに決まらない。逆に槍の突きを食らってダメージを負ってしまった。

 いろいろ考えながら、都度実行するしかないと、位置取りを変えてみる。



 オークウォーリアの左側に回りこむように避ければ槍の突きも左側から出てくるはずだ。踏み出しながら避ければ、槍の出てくるタイミングも早くなり、避けた後に強撃を打つことができるのではないか。

 次の両手剣の攻撃を踏み込みながら回避し、槍が来るであろう軌道を予測して更に移動する。その位置で強撃の構えに入り、両手剣使いの腹部に剣を叩き込む。

 両手剣使いのオークウォーリアは、腹を強く打たれたため、体をくの字に曲げ、口から血反吐を吐いている。

 両手剣使いにダメージを与えた後、槍使いの突きが俺に向かって繰り出され、俺の右太ももを掠めていった。



(あぶねぇ。もう少しずれていたら、太ももにブッスリと槍が突き刺さるところだった)



 血は出ているが、浅手のようで、動きに支障はない。

 槍使いに接近し、槍が繰り出しにくいようにしてから、槍を切り上げて、バランスを崩す。

 バランスを崩した槍使いに強撃を放ち、槍の中ほどから叩き折っておく。

 武器を失った槍使いは折れた槍を二刀流のように構え、突っ込んでくるが、さっきまでの鋭い突きに比べ、はるかにかわしやすい。



 数回の攻撃を回避しながら、強撃を打ち込み、槍使いを沈黙させる。



 回復して立ち上がってきた両手剣使いの方は、三十六階と同じ方法で攻撃して始末しておく。



(二匹は難しいな。相手の攻撃をどれだけ予想できるかが肝だな。ケガの具合も大したことがないから、もう少し三十七階にいよう)



 その後の一時間で五回の戦闘をこなし、三十六階に上る階段のところに戻っていく。



(やはり両手剣使い二匹より、両手剣と槍使い一匹ずつの方が厄介だな)



 槍による突きは、一対一なら懐に潜り込めばそれほど脅威ではない。だが、両手剣使いによる壁が作られると、鋭く正確に打ち込まれる突きは回避が難しい。



 数回受けたダメージもすべて槍による攻撃で、太もも、二の腕など防具でカバーし切れていないところの被害が大きかった。

 もっとも、ケガは既に治癒魔法で完治している。

 胸、肩にも数回当たっているが、革鎧で防ぎきれている。だが、革鎧も所々に穴が開き、耐久力の方が心配になって来ている。



 階段のところで一時間くらい休憩を取り、再び三十七階に戻っていく。



(二匹からの攻撃については攻撃の予測を極めていくしかない。慣れるまで、この階で戦い続けることにしよう)



 戦闘を続け、疲労が溜まると階段に戻り休憩。この繰り返しで更に七回の戦闘をこなし、外に出るため、三十六階に行く。

 三十六階でもオークウォーリアに三回遭遇したが、二匹を相手にしてきたため、一対一なら全く問題にならない。

 魔力が少なくなったことと疲労が溜まってきたことから、今日は切り上げることにした。



 時刻は午後四時。結局八時間くらい迷宮に篭っていたことになる。

 本日の成果は、オークウォーリア三十五匹、銀貨七十枚。

 ギルドからの帰りに革鎧を修理に出す。

 明日の朝には修理は完了するが、修理費は金貨一枚。

 スキルも順調に上昇している。効率のいい訓練と思えば、革鎧の修理代は惜しくない。





 翌日、ミルコに昨日の結果を報告。



「オークウォーリア程度でそのざまじゃ、まだまだだな。今日も迷宮だ」



 迷宮に入ることは予想していたので問題ないが、どうしても気になっていたことをミルコに聞いてみる。



「なあ、ミルコ。この大技って名前があるのか?」



 ミルコは何の話だというように「はぁ?」と呆けたような声を上げる。



「いや、名前を付けているのかなと思って……」



「タイガよぉ。おめぇ、もしかして技繰り出す時に技の名前を叫びたいのか?」



 俺もその姿を想像し、声が小さくなっていく。



「いや、そんなことはないけど……」



「おめぇが付けてぇなら止めねぇが、そんな恥ずかしいこと俺の前でするなよ」



 怒鳴りもせず、かわいそうな子を見るようなミルコの視線が痛い。



(言うんじゃなかった……)



 俺は後悔しながら、足早に迷宮に向かった。

後書き


作者:狩坂 東風
投稿日:2012/12/26 21:24
更新日:2012/12/26 21:24
『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。

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