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作品ID:1384
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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


第四章「シュバルツェンベルク」:第15話「ハーレムパーティ?編成」

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第4章.第15話「ハーレムパーティ?編成」



 翌日、一応ミルコに事情を説明してから、ノーラたちと一緒に迷宮に入る。

 

「好きにしろ。へなちょこの戦いを見るのも勉強だ。その代わり、さっさと四十階を突破しろよ」



 ミルコはそう言って、OKを出してくれた。



 やる気満々の五人とパーティを組み、久しぶりに二十階の転送室に飛ぶ。

 一抹の不安を覚えながら、俺が手を出さないことを伝えておく。



「五人の連携を見てみたいから、危なくなるまで手は出さない。いつも通りやってくれ」



「「はい!」」



 二十階の転送室から、二十一階に下りると早速オークが一匹近づいてきた。



 前衛は右にノーラと左にアンジェリーク。二人は二mくらいの間隔を開け、その間の二mくらい後ろに槍使いのカティアが立つ。弓使いのクリスティーネが右後方、治癒師のレーネが左後方に立ち、これが彼女たちのフォーメーションのようだ。



(一応、形的には理には適っているようだな。後はどう戦うかだ)



 前衛二人は警戒しながらゆっくりと近づいていく。レンジに入った瞬間オークが棍棒でアンジェリークを攻撃、その重い棍棒の一撃をラウンドシールドで受け止めるが、明らかにパワー負けしており、たった一発で数歩後ずさってしまう。



 その間にノーラが右に回り込み、掛け声と共にロングソードで斬り付けるが、へっぴり腰で踏み込みが甘いため、オークの分厚い皮膚で斬撃が止まってしまう。



 次にカティアが棍棒を振り切った後の空いた脇にショートスピアの突きを入れるが、レンジギリギリからの突きに威力は無く、これも大したダメージを与えていない。



 後衛の二人は最初から攻撃には参加せず、周囲の警戒をしている。



 俺の第一印象は「攻撃力不足が酷い」だった。



 基礎訓練以降、鍛錬をしていないのか、ノーラもアンジェリークもロングソードを使いこなせていない。カティアの突きもオークの突進を怖がってへっぴり腰になっている。



 怒り狂ったオークを相手にノーラとアンジェリークが盾で防戦し、カティアのスピアで少しずつオークの体力を削っていく。

 盾を叩く棍棒の音が辺りに響き、少しずつダメージを与えられるオークが時折咆哮を上げているが、どちらも動きが悪く、どうも緊迫感を感じさせない戦闘に思えてしまう。



 十分ほどでオークの動きが徐々に弱まり、ノーラとアンジェリークの前衛コンビも攻撃に転じることができようになり、ようやくオークを倒すことができた。



 満足げにノーラが魔石を拾い、他の四人も戻ってきた。

 何となく「褒めて褒めて」と寄ってくる子犬のような気がしないでもない。



(このまま見ていても仕方が無いな。一旦階段に戻って話し合うか)



 俺は戦い終わった五人に労いの言葉を掛けた後、階段室まで戻るように指示する。



 安全地帯である階段に戻り、今の戦いの感想を聞いてみると、いつも通りで時間が掛かるが、確実に倒せる方法だとの認識だった。



「確かに一匹だけなら確実なんだが、二匹以上になったらきついよな。クリスティーネが攻撃しないのはなんでだ?」



「クリスのショートボウだと、オークに効かないので、警戒に回ってもらってるんですが……」



 俺が何を言いたいのか理解できていないが、ノーラが意図を説明してきた。

 言葉で言うより、やったほうが早いので次の戦闘には俺も参加することを宣言する。



「次は俺が前に出て攻撃を受ける。レーネ以外の全員で攻撃してみてくれ」



 俺が盾役になり、四人が攻撃に専念した時の攻撃力を見てみることにした。



 俺はオークの棍棒を受けることに専念し、ノーラ、アンジェリーク、カティアが俺の横から攻撃を仕掛け、クリスティーネがオークの顔を狙って矢を放つ。



 オークは攻撃を尽く俺に受けられた上、弓での顔面への攻撃が鬱陶しいのか、防御が疎かになっていく。



 その隙を突いて、カティアが右太もも目掛けて槍で突きをいれ、ノーラとアンジェリークがそれぞれ両脇に回り、切り込んでいく。

 しかし、オークの棍棒がまだ恐ろしいのか、前衛三人の攻撃は及び腰でダメージの入り方が少ない。



「カティア! もっと体全体で槍を突き出せ。槍ごとぶつかるつもりで突きを入れろ!」



「ノーラ、アンジェリーク! 手だけで剣を振るな! もっとしっかり踏み込め!」



 俺がそう叱咤するが、なかなかうまく行かない。



 それでも攻撃に専念したおかげか、七、八分でオークを倒し、再度、階段に戻る。



「矢って言うのは、効果が少なくても顔の辺りに飛んでくるだけで結構、嫌なもんなんだよ。クリスティーネは顔を狙って攻撃を掛けること」



「カティア。槍は棍棒よりレンジが広いんだから、もっとギリギリまで突っ込んでいけ!ノーラとアンジェリークは、自分の剣と盾に振り回されすぎ。しっかり剣を振り抜くこと!」



「レーネは槍とか使ったことはないか? 治癒師になる前に使っていた武器は? 魔法を使わなければ武器を持っていても問題ないだろう」



 五人それぞれに指示を出し、再度オークと戦うが、劇的な変化は無い。



(やっぱり基本がなってないから、小手先ではダメだな)



「今日はここまでにして外に出る」



「まだ、戦えます。それにもっと魔石を集めないと宿代がなくなってしまいます」



 不満気なノーラが代表してそう言うが、俺はこれ以上いても仕方が無いと思い、



「五人とも基礎がなっていない。このまま迷宮にいてもいつまで経っても先に進めないぞ。これから最低一ヶ月は訓練を続けてもらう。宿代は心配するな。俺が出してやる」



 五人とともに迷宮を出て、訓練場に向かう。



 ノーラとアンジェリークは片手剣の指導員に、カティアとレーネは槍の指導員に、クリスティーネは弓の指導員にそれぞれ引き渡す。

 ミルコ以外の指導員は、それほど変人では無いので、きちんと指導してくれるだろう。

 訓練の様子を少し見てから、俺は迷宮に戻ることにした。



 夕方、迷宮を出て、訓練場に戻ってくると、五人が疲れ果てた様子で俺を待っていた。



「とりあえず金貨十枚を渡しておく。これで一ヶ月くらいは困らないだろう」



「どうしてこんなに良くしてくれるんですか」



 ノーラはビックリした表情の後に少しはにかんだような表情になる。他の四人もなにか期待するような目で俺を見ている。



「ここまで係わった連中に死なれたら目覚めが悪い。それに貸した金が返ってこなくなるのも困る」



(どうもこういう雰囲気は苦手だ。かわいい女の子に好意を持たれること自体は大歓迎なんだが、どうも疲れる)



 話題を変えるため、



「明日から一ヶ月間訓練をこなしてもらう。日の曜だけは休んでいい。レーネは槍で行くか、自分に合った武器を探すかして早く決めてくれ。槍以外ならその武器を買いに行くから」



 なぜか、目を潤ませたレーネが、



「ご主人様は月に一回くらいしか休まないのに、私たちだけ週に一回休むなんて変です」



「ご、ご主人様って……タイガでいいから。ああ、俺の場合は好きでやってるわけじゃなくて、ミルコの命令だからな。それに今の体力だと休まないと体が持たないし、ミルコほどじゃないにしても結構厳しい訓練だって聞くぞ」



 俺は“ご主人様”という言葉に焦り、早口で説明していく。

 心の中では、



(ご主人様は止めてくれ! このノリを何とかしないと俺の精神が崩壊する)



と叫んでいた。



 まだ、納得いかないのか、「でも……」と言葉を濁してくる。



「じゃあ、こうしよう。明後日の日の曜は休まず、六日間連続で訓練をやってもらう。その状況を見て、休みを決めよう」



 結局、五日目にカティアが過労でダウンし、他の四人も目に見えて訓練の効率が落ちたので、週休一日になった。



 レーネの武器は昔使っていたショートスピアに決定し、前衛二名、中衛二名、後衛一名という編成が確定した。



後書き


作者:狩坂 東風
投稿日:2012/12/28 14:28
更新日:2012/12/28 14:28
『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。

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作品ID:1384
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