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作品ID:1487
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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)

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前書き・紹介


第六章「死闘」:第21話「油断と決意」

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第6章.第21話「油断と決意」



 氷の月、第三週土の曜(二月十五日)の夕方。

 俺は外の状況を全く知らず、ただひたすらオーガを狩っていた。



 単純な戦闘効率は上がったが、疲れによる回避の遅れやつまらないミスで何度かダメージを負った。

 そのため、総合的な効率は以前より落ちていたが、それでも一日当たり五十体のオーガを倒していた。



 疲れた足を引きづり、いつものように五十一階の階段室に向かっていく。



 午後五時頃、五十一階の階段室に戻ると、先客がいた。

 六人組のパーティで休憩を取っているようだ。



(今日はゆっくり寝たかったんだが、長居するようなら五十二階に移動するか)



 先に休憩していたパーティの一人が笑みを浮かべながら、近づいてきた。

 近づいてくる男は革鎧を身に着けた長剣(ロングソード)使いで盾は持っていない。



 俺は警戒した振りをして、その男を威嚇する。



「何の用だ。俺に用が無ければ近づくな! それ以上近づけば、問答無用で斬り殺す」



 その長剣使いの男は、背負い袋から包みを取り出し、



「あんたが食料を買ってくれるって聞いたんでな。これを買ってくれねぇか。碌なもの食ってねぇんだろ」



 男は炙り肉を挟んだパンを差し出してきた。



 俺は念のため、そのパンを鑑定する。



(毒入りか。グンドルフの手先か? 違うな、奴ならここで俺を殺す気は無いはずだ)



 俺は男に冷たく言い放つ。



「ありがとうよ。だが、それはいらねぇは。あんたが食えよ」



「遠慮するなよ。折角持ってきたやったんだ。人の好意は黙って受けるもんだぜ」



「好意だと! 毒入りの食いもんも好意の内に入るのか。何の目的だ!」



 俺はそう叫ぶと、タイロンガを抜き放ち、戦闘態勢をとった。



 緊迫した状況にパーティの連中は「何をする!」とか「やめろ!」とか叫んでいる。



「こいつが毒入りのパンで俺を殺そうとした。何が目的かは知らないが死んでもらおう」



 男は俺の言葉が頭に来たのか、



「てめぇ図に乗るんじゃねぇぞ! 一対六で勝てると思っているのか。おめぇのその鎧、かなりの物だろう。さっさと渡せ。そうすりゃ見逃してやる」



 俺はパーティの総意か確認するため、



「こいつがこんなことを言っているが、お前らの総意か」



 パーティの連中は口々に「違う!」と言っているが、目の前の男は既に長剣を抜き放っていた。



「もちろん俺のことは知っていて、襲ってきているんだな」



「てめぇが誰かなんて関係ねぇよ。さっさと渡しな」



 鑑定で見ると、年齢は二十八歳、レベル三十二、片手剣三十一(連撃二)、回避二十一(予測一)と出ている。



(戦闘能力だけならテオ並か。この程度で襲い掛かってくるということはパーティでPK行為をやっていると見て間違いないな)



 俺はタイロンガに炎を纏わせ、黙って目の前の男に斬り掛かる。

 タイロンガが炎に包まれたのを見た男は驚きのあまり、一瞬動きが止まっていた。



 俺は躊躇うことなく、その男の首目掛けて狙撃+強撃を繰り出した。

 男は慌てながらも剣で防御するが、強撃の勢いを殺すことが出来ず、首にタイロンガの一撃を受け、階段を転げ落ちていく。

 俺はその男を無視し、慌てる仲間に襲い掛かっていく。



 一番近くにいた治癒師らしき男が大慌てで叫んでいる。



「止めてくれ! 俺たちにそんな気はないんだ。こいつが、ビリーが勝手にやったことなんだ。許してくれ!」



「もう遅い。さっきなぜこいつを止めなかった。あわよくばと思っていたんじゃないか」



 俺はそう言うと治癒師にタイロンガを突きつける。



「動くな! ああ、そいつの持っていたパンを食って見せるか。それなら信じてやってもいい」



 治癒師の男は後ろのパーティメンバーに目配せをしている。



(やはり、パーティの総意か。皆殺しにしてもいいな)



 俺はこの時、グンドルフを倒すことだけを考えていたため、冷静さを欠いていた。



 治癒師の男が動こうとしたため、胸に剣を突き刺し、後ろの四人に向き直る。



「「アダム!!」」



 四人は治癒師の名前を叫び、武器を取り始めた。



「なぜ刺した。こいつは止めようとしただけだろうが!」



「知らん。俺の警告を無視して動いた。第一そっちが先に手を出してきたんだ。どうせ、俺が弱っているだろうからと装備を狙いに来たんだろう」



「違う! 確かにビリーはあんたの装備を狙った。だが、俺たちは関係ない!」



「言いたいことはそれだけか。じゃあ、一つだけ教えてくれ。そのビリーとか言う男をなぜ止めなかった。そいつは六対一なら勝てると思って襲ってきたんだろ」



「そ、それは……くそっ! うまく言えねぇ!」



「勝手だな。俺はソロだ。迷宮には常に敵しかいない。その俺にお前らの仲間が襲い掛かっていったんだ」



 俺は怒りが込み上げてきて、



「関係ないだと! そいつが俺を殺していたら、喜んで装備を分配したんだろうが!」



と叫んでいた。



 アダムと呼ばれた治癒師は、



「みんな止めろ! あんた、ミルコさんの弟子のタイガだろ。本当に済まなかった。許してくれ。だが、本当に俺たちはそんな気は無かったんだ」



 俺は四人に、



「武器を捨てろ! そうすれば助けてやる」



 彼らは武器を持ったまま、戦闘態勢を解かない。



「アダムとか言ったな。こいつらは全員、死にたいようだぜ。まだ間に合ったのにな」



 そういった途端、四人が襲い掛かってきた。



「止めろ! 止めてくれ! 皆も止めろ!」



 アダムはそう叫んでいるが、四人は攻撃の手を緩めない。



 ハルバート使いが二人に両手剣使いが一人、弓使いもいるが、護身用のショートソードで襲い掛かってくる。

 狭い階段室で長柄のハルバートは使いにくい。

 それでも突きを中心にアウトレンジから攻撃を掛けてくる。



(ほどほど使えるのに、なぜこんなことをするんだ?)



 疑問が頭をよぎるが、鬱陶しいハルバートに対処するため、タイロンガを振るう。



 ハルバートの柄を次々と叩き折って、無力化すると、両手剣使いに斬りかかる。

 両手剣使いは必死に防御するが、俺の連撃で足を斬り裂くと剣を取り落とし倒れこんでいく。

 弓使いは怖気づき、徐々に後退していく。



「止めを刺してやろう。迷宮内でこういうことをすると報いがあるということを胸に刻んで死んでもらおうか」



 俺は気付かなかったが、アダムはまだ叫んでいた。



「止めてくれ! もう十年以上一緒の仲間なんだ。助けてやってくれ!」



「まだ言うのか! 俺は何度チャンスをやった! お前を刺したところもわざわざ急所を外してやった。殺す気なら首を刎ねている。なあ、何回、迷宮で人を殺したんだ?」



「本当にやってないんだよ。信じてくれ。毒入りのパンを食えというなら、食う。だから、仲間は助けてやってくれ」



(こいつら本当に俺を殺す気がなかったのか? どうして襲ってきたんだ?)



 俺は黙ってアダムに近づき、治癒魔法を掛けていく。



「なに? 助けてくれるのか」



「あとは自分でやれ。両手剣使いは結構酷いが、ハルバート使いはほとんど無傷のはずだ」



「すまん。あんた本当に強いな……だが、甘いな」



 そういうとアダムは俺の鎧の隙間を狙ってダガーを突き出してきた。



 俺は咄嗟のことで避けられず、まともにダガーを受けてしまう。

 脇腹を刺されたが、ミスリル製のチェインシャツのおかげで刃は通っていない。だが、息が止まって倒れこみ、タイロンガを手放してしまった。

 アダムはダガーの刃先が入らなかったことに驚いていたが、すぐにタイロンガを自分の後ろに蹴り飛ばす。



 俺は立ち上がりながら、



「やっぱりか。本当に俺は馬鹿だよ。こんなことじゃグンドルフには勝てねぇな」



 アダムは俺が素手であることに自信を持ったのか、後ろの仲間たちに指示を出してから、



「ビリーがしくじった時はどうしようかと思ったが、噂通りの甘ちゃんだな。まあ、毒入りのパンは味わえなかったが、毒入りのダガーをたっぷり味わってくれ」



 アダムは勝ち誇ったようにそういうと、ダガーを突き出してくる。



「仲間はこのために集まった奴ばかりだ。俺が隙を作ってやったのに、それを利用することもできねぇ。ビリーのアホは一人で先走りやがるし、本当に使えねぇ奴ばかりだぜ」



 アダムは醜く顔を歪めながら、独り言のように話している。



 俺はダガーを避けながら、言われたことについて考えていた。



(確かに甘いな、俺は)



 そこまで考えた時、アダムのダガーが突き出され、俺は攻撃を避けることに専念する。



(まあいい。武器を失ったあとの対人戦の訓練をさせてもらおう)



 俺はアダムの攻撃を避けつつ、隙を探し、着火(ファイア)の魔法でアダムの顔を焼く。



 彼は「ギャアァァ!」と大きな悲鳴をあげ、顔を押えてのた打ち回っている。



 その直後、後ろから二人のハルバート使いが、両手剣とビリーの長剣を構えて、襲い掛かってきた。弓使いはショートソードを構えながら、包囲するように階段の上側に移動していく。



 二人のハルバート使いは剣を振り回すが、慣れない武器のため隙が大きい。

 隙を突いて両手剣を振るっている男に着火魔法で目を狙うと、大きく後ろに下がっていく。

 その隙にスローイングナイフを取り出し、もう一人の長剣を振るっている男目掛けて、圧縮(コンプレッション)の魔法でナイフを飛ばす。

 急所には当たらなかったものの、予備動作なしの投擲に驚き、後退していく。



 二人は俺と三mほどの距離をおいて、様子を見ている。



(チャンスだ。両手剣を持っている奴にファイアボールで攻撃を仕掛けて、後ろに下がればタイロンガを回収できそうだ)



 スローイングナイフでけん制しながら、最少出力のファイアボールを五秒で発動させ、両手剣を持った男に攻撃を掛ける。

 ダメージはそれほどでもないが、至近距離からの攻撃に驚き、棒立ちのような状態になっている。



 俺は後ろに落ちているタイロンガ目掛けて、飛び込んでいった。

 必然的に長剣の男に背中を見せることになり、奴が俺の背中を斬り付けてくるが、ダンクマールの鎧はその一撃を弾き返す。



(いい装備だとつくづく思うよ)



 俺にはそう考える余裕があった。

 俺はタイロンガを手に持ち、転がるようにして距離を取り、そして立ち上がった。



 二人のハルバート使いは、俺が剣を取り戻したことに気付いたが、既に逃げようが無いと、自暴自棄で襲い掛かってきた。



(もう遅い。弓使いは上で怯えているな。よし、こいつらを先に倒すとするか)



 二人のがら空きの胴を、炎を纏わせたタイロンガで同時に斬り裂くと、ふたりは折り重なるようにして倒れていく。

 それを見届け、俺は階段をゆっくりと上がっていった。



「助けてくれ! なんでもする。殺さないでくれ!」



 弓使いは武器を捨て、跪いて懇願している。



「なぜ、俺を狙った」



「ギルドの噂であんたが無茶をやっているって聞いたから、チャンスだと思ったんだ。あんたがシュバルツェンベルクに帰ってきたとき、偶然、その装備を見た奴がいて、それで狙おうってことになったんだよ。なあ、助けてくれ」



「俺の装備を売りに出したら、殺したことがばれるだろうが」



「偶然、見つけたことにすればいいってアダムが言っていた。オーガに殺されたあとに俺たちが通ったと言えば、誰も嘘だとは言えねぇ」



「なるほどな。よく判ったよ」



 俺はそう言うとゆっくりとタイロンガを構え、弓使いの首を刎ねる。



 まだ生きている四人を一人ずつ殺していき、装備を外した後、扉の外に放り投げていく。



(こうしておけば、一時間くらいで死体は消えるはずだ。階段室でも消えるかもしれないが、実際のところはどうなんだろうか?)



 装備類の確認に三十分ほど掛け、使えそうな物がないか探すが、俺にとって役に立ちそうな物は無かった。使えそうなのはアダムの持っていた毒くらいだ。



(大した物を持っていないな。これなら装備ごと外に放り出しておいても良かった)



 装備類の仕分けを終え、数個の魔石と毒を回収すると、今回の出来事について考えていた。



(今回の危機は俺の油断というか甘さが招いた。エルナとミルコが殺されたのに、まだ甘さが抜け切っていないのか……)



(こんなことではグンドルフと戦っても勝てない。油断するな、冷静になれ、非情になれ……)



(今回の件はいい勉強になった。最初はパーティ全体だと疑っていたんだ。情に絆されて判断を誤った。グンドルフが同じことをしてくるとは思えないが、奴のことだ、何をやってきてもおかしくない。よく考えろ、大河)



 三十分ほどした午後六時過ぎ、五十二階側から一組のパーティが入ってきた。



「おい、外に死体が転がっていたが、知らないか」



 リーダーらしき両手斧使いが慌てたような口調で話しかけてくる。



「ああ、俺が殺した。もう消えたと思っていたんだが、まだ残っているのか」



 俺が普通の口調で話すと、彼は大声で怒鳴ってきた。



「なぜ殺した! 迷宮内でも冒険者同士の戦闘はご法度だろうが!」



 俺はできるだけ感情を見せないように気を付け、



「あいつらが先に手を出してきたからな。返り討ちにしただけだ。証拠ならそこにある。そのパンを食ってみるか。多分死ねるぞ」



「なんだと……」



 その言葉に男は絶句している。

 俺は彼らへの印象を強めるため、急に話題を変える。



「俺のことは知っているか?」



「ああ、ミルコの弟子のタイガだろ。この辺りで何日も潜りっぱなしで出てこないと噂になっている」



「なら、俺がそんな新しいパンを準備できないことは判るだろう」



 更に畳み掛けるため、突然怒りを露にし、彼らを挑発する。



「そいつらは俺を狙ってきたんだ! だから殺してやった! お前らも俺を殺るつもりか。いいぜ、いつでも掛かって来いよ!」



 俺がタイロンガを抜き放ち、構えを取ると、男は口をパクパクさせながら、慌てて否定してきた。



「そ、そんなつもりは無い。俺たちは人の装備を盗むようなことはせん!」



 俺は口調を元の平板なものに戻し、



「なら、頼まれてくれないか。そのパンとこの毒を塗ったダガーを持ってギルドに報告してくれ。アダムという治癒師がリーダーのパーティに襲われて、返り討ちにしたってな。まあ、俺を狙った臨時パーティみたいだったが」



 そして、アダムたちのギルドカードを投げ、顎でアダムたちの装備を指し示す。



「こいつらの装備はその報酬だ。欲しいだけ持って行ってくれ」



「判った。支部長には必ず報告を入れておこう。本当にいいんだな。装備類を貰っても。これだけでもかなりの値が付くぞ」



「俺は金には興味はねぇ。グンドルフを殺すことだけが俺の望みだからな。くっくっ、ハッハッハッ!」



 彼らは俺の狂人のような乾いた笑い声を聞き、哀れんでいるような視線を送ってくる。



「そうだ! ギルドで冒険者連中に言っておいてくれ。殺しに来るならいつでも相手になってやる。その代わり命懸けで来いとな。ハッハッハッ!」



「そろそろ殺しに行ってやるぞ、グンドルフ! クックックッ」



 俺が虚ろな目をして、近づいていったことから、彼は慌てて後ずさっていく。

 そして、彼らはこれ以上関わりたくないのか、黙って装備類を手に持ち、五十一階側の扉から出て行った。



(これで俺が壊れかかっているという噂が流れるだろう。ギラーさんの流す噂の信憑性が上がるから、俺が出て行くという話に奴は乗ってくる)



 彼らが出て行ったのを確認し、扉にベルを付けると体を休めるため、横になった。







 氷の月、第三週土の曜(二月十五日)の午後七時頃。

 ギルド支部は緊急召集の話で大混乱に陥っていた。

 冒険者たちが迷宮から出て魔石を交換しようとギルドに足を運んだら、緊急召集の話が掲示されており、明日からの迷宮探索の目途が立たないためだ。



「支部長! 何で守備隊だけでやらねぇ! 奴らはそれで食ってるんだろうが!」



「そうだ、そうだ! そんな安い金でやってられるか!」



「俺たちはいつなんだ! ちゃんと説明しろ!」



 冒険者たちの罵声がギルド内に響いている。



 クラウス支部長がテーブルの上に立ち、説明を始めた。



「みんな聞いてくれ! 今回の盗賊は今までと訳が違う! 下手をするとこの街が焼かれるかも知れんのだ。頼む。力を貸してくれ!」



 支部長がそう叫ぶも冒険者たちは口々に苦情を言い立てていく。



「五日、五日間だけだ! それで決着を付けるはずだ。夜間の巡回に支障が出ん限り、迷宮に入っても構わん。一人一回だ。頼む!」



 一人一回という話と支部長が頭を下げたことから、ギルド内は落ち着いていった。



「参加日時や注意事項は掲示板に張ってある。良く見ておいてくれ!」



 支部長は掲示板を指差し、そしてテーブルから降りていく。



 落ち着きを取り戻しつつあるギルド内に、六人分の装備を持った一組のパーティが現れた。



 ギルド内の冒険者たちは、また迷宮で被害者が出たのかと冷静に見つめていたが、支部長への説明が始まると、ギルド内は水を打ったように静まっていく。



「五十一階の階段でタイガを殺そうとしたパーティが、奴に返り討ちにあったそうだ。その証拠がこのパンだというんだが、本当に毒が入っているのかは知らない。支部長の方で調べてくれ。装備類は俺たちが貰ったんだが、奴を殺そうとしていないなら、貰うわけにはいかねぇし」



「判った。すぐ調べよう。十分ほど待ってくれ」



 支部長はすぐに奥に入っていき、こういった時に使うネズミにそのパンを食べさせる。

 すぐにネズミは苦しみだし、泡を吹いて死んだ。



 支部長はすぐにホールに戻り、



「確かに毒入りだ。良かろう。この装備はタイガから譲渡されたとものとして扱う。君たちのものだ」



「奴にこう伝えてくれとも頼まれた。”俺を殺しに来るならいつでも来い。その代わり命懸けでな”だそうだ。俺なら奴には関わらねぇ半分狂ってるからな」



 そういうと受付カウンターに装備類を預けていく。

 ホール内の冒険者は互いの顔を見合わせ、同情、軽蔑など様々表情で話を始めた。

 そして、一人の男がそのパーティに話しかけていた。



「なあ、あんたらラッキーだったな。あんな装備がタダでもらえてよ。ところで、奴はまだ迷宮に潜っているつもりなのかな」



「どうだろうな。そろそろ殺しに行ってやると言っていたから、明日出てきてもおかしくはないな」



 その男はパーティから離れ、目立たないようギルドから出ていく。



(お頭に伝えた方がいいが、夜は難しいな。明日の朝一番に街を抜け出すか)



 翌日(第四週日の曜(二月十六日))の朝、街を出発する隊商の陰に隠れるように一人の男が街を出て行った。







 その翌日、第四週火の曜(二月十七日)。オーガを狩り続けた俺は、遂にレベルが二十八に上昇、両手剣スキルも目標の五十五に上昇した。



 高山(タカヤマ) 大河(タイガ) 年齢23 LV28

  STR2139, VIT2485, AGI1996, DEX2010, INT4931, MEN3068, CHA1685, LUC1675

  HP1329, MP3068, AR12, SR10, DR10, SKL347, MAG249, PL41, EXP1079372

  スキル:両手剣55(複撃2、狙撃1、強撃1、連撃2、コンボ1)、

      回避52(見切り3、予測3)、軽装鎧40(防御力向上3、重量軽減1)、

      共通語5、隠密14、探知29、追跡8、罠5、罠解除8、体術39、

      乗馬11、植物知識9、水中行動4、上位古代語(上級ルーン)50

  魔法:治癒魔法27、火属性28、水属性19、風属性18、土属性18





 連撃のスキルも二になり、当面の目標はクリアした。



(これでグンドルフと殺り合う準備はできた)



(明日の朝、罠を張りに行く。天候が心配だが、駄目ならギラーさんに事情を話し、またここに戻ってくればいい)



後書き


作者:狩坂 東風
投稿日:2013/01/29 22:59
更新日:2013/01/29 22:59
『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。

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