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作品ID:1498
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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


第六章「死闘」:第26話「決戦(その1)」

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第6章.第26話「決戦(その1)」



 氷の月、第四週水の曜(二月十九日)、午後四時五〇分

 深い森の中は日が落ちかなり暗くなってきた。グンドルフは暗闇が迫る街道を西に進んでいた。

 足元が覚束なくなり、松明を点けていた。

 炎に照らされる狭い視野の中で、大河を追跡させていた手下の死体を発見した。



(わざわざここで殺す意味があるのか? なぜこんな目立つ場所に?)



 その時、手下の一人が森の中に続く足跡を発見した。



「見てくだせい! 足跡が森の中に向かっていますぜ」



 まだ新しい足跡は真っ暗な森の中を南に向かって続いており、大河が数十分前に通ったことがありありとわかる。



(そういうことか……ここが奴の選んだ場所か。いいだろう。乗ってやろうじゃねぇか)



「夜目の効く奴が先導しろ! 罠があるかも知れん。前の奴に続いて無駄に罠に掛かるんじゃねぇぞ!」



「「へい!」」



 グンドルフは二十人の隊列の中央部に位置し、エルフ、狼人が先導していく。



 十人が松明を掲げ、光の列が森の中を進んでいく。



 昨夜まで降っていた雪で歩きにくいが、森に慣れた盗賊たちにとっては大した障害にはならなかった。





 午後五時〇〇分。



 足跡を追い、森の中を二、三百mほど進んだ頃、グンドルフは大河が魔法を使えることを思い出し、



「奴は魔法が使える。特に火の魔法が得意だ! 周りに注意を向けておけ!」





 更に五分ほど進んだ頃、突然、先頭のエルフが”ゲェボ!”という喉を潰されたような声を上げ、首を押えて倒れていく。

 グンドルフは、状況が判らず、



「何が起こった! どうした!」



「判んねぇです! 突然喉を押えて倒れたんで! アァ!」



 隣を歩いていた狼人がそう報告すると彼も悲鳴を上げて蹲る。



「全員、伏せろ! 魔法か? 弩(クロスボウ)の狙撃か!」



 盗賊たちは一斉にその場で伏せ、周りを窺っている。



 グンドルフは状況を確認するため、狙撃された狼人に、



「何にやられた! 弩か!」



 狼人を見ている手下が報告してくるが、要領を得ない。



「なんだ?……矢はないっす。魔法みてぇですが、こんな魔法見たことねぇっす!」



 大河の改良型マジックアローは通常のマジックアローよりも貫通力が高く、魔法の素養の無いものには見たことに無い高位魔法のようにも見える。



(奴は魔法で決着を付けるつもりか? いや違うな。これだけの人数を魔法で倒せるのは相当修行を積んだ魔術師くらいなもんだ)



(あんな若造にそんなまねはできねぇ……時間稼ぎをして騎士団を呼び込むつもりか?)



 そう考えるものの、暗闇の中から狙撃されるため、動きが取れない。



(この暗さじゃ奴の方が有利だが、そんなに遠くじゃねぇ)



「魔法はそんなに遠くからは撃てねぇ! 狙い撃ちされねぇよう散開して奴を炙り出せ!」



 ここでグンドルフにしては珍しいミスを犯した。

 普段の彼なら、手下を囮に魔法を撃たせておいて、魔力切れを誘うのだが、騎士団が来る可能性を考えてしまい、早期に決着を付けようと焦ってしまった。



 散開した手下たちはアルフォンスの仕掛けた巧妙な罠に掛かり、次々とクロスボウの矢(ボルト)が刺さっていく。



 周りはシュッという音と外れたボルトが雪に突き刺さる“ブォス!”という音が聞こえ、大河の魔法と相まって、盗賊たちは周囲から狙い撃ちされているような錯覚を起こしていた。



 更に大河の仕掛けた落とし穴でも何人かが怪我をし、一種のパニック状態になっていた。



(クソッ! そういうことか! 俺としたことが抜かったわ!)



「落ち着け! 周りは罠だらけだ、もう一度、元の場所に戻れ!」



 グンドルフの命令で我に返った盗賊たちは這うようにして元の場所に戻ってきた。



「盾を持っている奴は前に行って盾をかざせ! 何人やられたか報告しろ!」



 盗賊たちは彼の指示通り動き、損害を報告してきた。



(エルフが死んで、狼人が重傷か。他は大したことがねぇが、弓使いが二人やられたのは痛ぇな)



 彼はそんなことを考えながら、ふと上を見た。

 そこにはロープの切れ端がぶら下がっている。



(これは……目印か! 奴は明るいうちにここを通ったから、こいつを目印に通ったんだろう)



 彼は小さな声で、



「ゆっくり上を見ろ。ロープがあるだろう。後ろにも前にも同じようにロープがある。これが安全な通り道だ。奴の攻撃が止んだら、このロープに沿って進め。いいな」



 手下たちは皆小さく頷き、パニックは完全に収まっていた。



「奴の魔法は盾で防げる。松明を持つ奴は盾を持つ奴の後ろを進め!」



(やってくれるじゃねぇか、タイガよぉ。だが、これで終わりだ。どこに隠れているのかしらねぇが、行き先は足跡で判るからよぉ)



 松明に照らされたグンドルフの顔が歪んでいた。どうやら笑っているようだが、手下たちには悪魔の笑みに見えた。







 午後四時三〇分

 俺は追跡者を倒した後、薄暗い森の中を携帯のライトの明かりだけを頼りに進んでいく。そして、昨日仕掛けた罠の状況を確認していった。



 午後四時五〇分

 街道を十個の松明の明かりが進んでいくのが見えた。



(どこかの火祭りみたいな感じだな。グンドルフたちだろうか)



 俺は緊張感のない感想を持つが、松明の列が森に入ってきたことで盗賊たちだと判断した。

 鑑定でざっと見ると人数は二十人。



(さっき一人殺したから、残りは二十一人のはずだが、一人は騎士団を警戒しているのか?)



 そして、弩の罠を仕掛けた場所から五十mくらい森の奥に入ったところで、潅木の陰に隠れ、マジックアローでの狙撃の準備をする。



 午後五時〇五分

 二列縦隊で進んでくるグンドルフたちが、改良型のマジックアローによる攻撃で混乱して、設置してある罠に嵌ることを期待しながら、狙撃のタイミングを計っていた。



 鑑定で先頭にいるのが、夜目の利くエルフと狼人であることを確認し、まずこの二人を無力化することにした。

 周囲を警戒しているエルフに対し、彼の警戒範囲外であろうと思われる場所から、最大出力のマジックアローで狙撃する。

 辺りはすっかり暗くなり、手元にあるはずの魔力の矢すら見分けがつかない状況で、魔力の矢は鋭い音とともに敵に向かって飛んでいく。

 無警戒のエルフの首にマジックアローが当たり、その場に倒れていくのが確認できた。



(初っ端から致命傷(クリティカルヒット)だ。幸先がいい)



 俺は少しだけ位置を変え、二撃目の呪文を唱え始めた。

 三十秒後、混乱している敵に向けて再びマジックアローを放つ。



 照準をつける方法はないが、発射位置と標的の位置をきちんと認識できていれば、魔法は思ったところに飛んでいく。



 二撃目はエルフを介抱している狼人の頭を狙ったが、急に立ち上がり、俺に背を向けたため、彼の太ももの裏に突き刺さることになった。



(声は聞こえないが、報告のために後ろを向いたみたいだな。そんなに幸運は続かないか)



 盗賊たちは、頭目の鋭い声と共に松明を投げ捨て、一斉に周りに散開した。

 そして、更にもう一回マジックアローで狙撃すると、彼らは罠のあるほうに移動していった。



(これで俺の作った落とし穴とアルフォンスの仕掛けた弩(クロスボウ)の罠に掛かるぞ)



 すぐに盗賊たちの悲鳴が響き、何人かが罠に掛かったことが確認できた。

 盗賊たちは盾で警戒しつつ、元の場所に戻っていく。



 死亡は一人、重傷者は二人。軽傷者は四人だが、まだ十三人が無傷だ。

 手下たちのレベルは二十から二十五程度。スキルも弓のスキルが比較的高い他は大したことは無い。

 ただ一人、突出したレベルの男が無傷で、隊列の中央付近にいた。



(レベル五十一か。それよりスキルが……)



 俺はその高レベルの盗賊、恐らくグンドルフであろう男のステータスを確認していく。そして、その数値に愕然としてしまった。



 レベル五十一

 片手剣“右”五十三(先制四、連撃二)、片手剣“左”(連撃二、狙撃三、複撃一)、回避六十二(予測六、見切り二)、軽装鎧三十三(防御力向上二)

 特殊能力:両手利き(左右の手を同時に使用できる)



(回避六十二だと! ミルコでも回避は六十だったはずだ……)



(両手利きの特殊能力は初めてみたが、これは本当に脅威だな)



 先制の特殊スキルは初回の攻撃に限り、レベル数分相手の回避スキルを無効化できる。俺の回避スキルは予測三と見切り三だから、完全に無効化される。

 更に両手利きの左手の攻撃が初回攻撃に当たるなら、右手の攻撃を回避したところで左手の攻撃を受けると、狙撃や連撃を回避スキルなしで受けることになる。

 左右の手で連撃を掛けられると、計十回の攻撃を受けることになる。



(連撃というより”乱舞”って名前を付けてもいいぞ、これは!)



 幸いなことに武器は大したことがなく、通常の長剣(ロングソード)とそれほど性能の差は無い。



(しかし、まともに接近戦をやれば初撃でかなりのダメージを食らうな。ダンクマールさんの防具で軽減できたとしても体力(HP)を三分の一くらい持っていかれる)



 グンドルフのスキルに恐怖を覚えるが、



(やるしかない! 接近戦に入るまでに決着をつければいいだけだ。仮に接近戦に入ったとしても、それまでにダメージを与えておけば、必ずしも負けと決まったわけじゃない)



 そして、グンドルフと互角に渡り合ったミルコを思い出し、



(しかし、よくこんな化け物と戦えたな、ミルコ。あんたは本当に凄ぇよ……)



 俺は罠と魔法で奴を倒すことができるはずと、怖気づきそうになる心を叱咤していた。



 俺がグンドルフの能力に驚いている間に、彼らは体勢を立て直し、最初の罠エリアを突破していた。



後書き


作者:狩坂 東風
投稿日:2013/02/02 17:25
更新日:2013/02/02 17:25
『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。

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