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作品ID:1610
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人魚姫のお伽話

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


にんぎょひめ  ――後篇

前の話 目次 次の話

室内から響いて来た笑い声に、貴悠は足を速めた。多分、貴悠の予想は外れていないはずだ。扉を叩けば、明るい返事が返って来て。
 予想は確信に変わる。掲げられたネームプレートは、長谷川。けれど、返事を返した声は、部屋の主のものではない。


「仁科です。入るよ?」
「あ、先輩!」

 貴悠の予想通り。そこにはニコニコと笑みを浮かべた後輩の姿。その姿を認めて、貴悠は溜め息を吐いた。何度か遠回しに注意したつもりだったけれど、はっきり言わないと伝わらないらしい。


「『あ、先輩!』 じゃない!!  おまえね、病院内で大きな声出してくれるな。それと、何度も言うけど救急搬送されてきて間もない患者の部屋に居座るな! 落ち着いてるとは言え、車椅子での移動と点滴の外れてない状態だぞ?」
 
 小言めいた貴悠の言葉に、後輩は悪びれもしない。


「そう言われても、俺も彼女から様子見を頼まれてますし……」

 後輩の言う『彼女』とは、部屋の主の妹。つまり、後輩の婚約者だ。既に一月を切ろうかという式の準備の中で、結婚式の真の主役とも言える彼女は自分での身動きが取れない状態らしく……。結果、婚約者を動かせて姉の容体の報告を頼み込んだらしい。

 後輩の言葉に、貴悠はもう一度大きく溜め息を吐く。


「……森村、気持ちは解るけど、検査尽くめの毎日と慣れない入院生活の中で、患者の方が参ってしまえば意味がないだろ?」
「それはそうですけど、気を紛らわせる意味でのお見舞いも兼ねてるんですよ?」

「あのな、病気でベッドの上から身動きとれない状態でパジャマ姿のところを、家族でもない男に入り浸られて、年頃の女の子が気にしないと思うか?」

 言い聞かせるような貴悠の言葉に。後輩はようやく気が付いたようで。彼女の方に向けて軽く片手を上げた。


「ごめん! そういうとこまでは気がまわらなかった!!」
「ううん、気にしないで? でも、森村君だって忙しい時なんだし、そう毎日顔を出してくれなくても大丈夫」

 後輩の謝罪に、軽く微笑んで。大丈夫だから、気にするな、と。彼女は言う。取り合えず、ここまで言えば、巧も今後の頻繁な出入りは控えるだろう。そう考えて。貴悠は彼女に目を向けた。



 パステルカラーのワンピースタイプのパジャマに身を包んだ彼女は、この入院中、長い黒髪を一つの三つ編みにして流している。今日のリボンは紫色。


「気分とかはどうかな? 調子悪いときは、ちゃんと看護師さんや担当医に伝えられてる?」
「大丈夫ですよ。みなさん、とても良くして下さいますし」

「……俺への態度と随分違いません? 先輩の出入りも結構な方だと思うんですけど……」
「白衣の僕が病棟歩いてて何か問題があるとでも? おまえ、僕の職場を知らない訳じゃないよな?」

 貴悠と彼女のやり取りを見て。後輩が不満の声を上げるけれども。後輩は、帰り支度を整えている。一応、先の貴悠の言葉が利いているのだろう。


「いいんですけどね。じゃ、お邪魔虫は退散しますんで!」
「いいから帰れ!!」

 余計な一言に、思わず噛みついてしまった。そんな貴悠の様子に、後輩はひらひらと手を振って部屋を後にする。後輩の足音が遠くなったところで。彼女がクスクスと笑い出した。



「……仁科さんて、本当にお優しいですよね。でも、正直なところ助かりました」
 
 あぁ、気付かれたか。聡い子だと改めて思う。彼女の言葉は、貴悠の意図をきちんと正確に酌み取っているからこそ出てくるものだ。そんな貴悠の心もお見通しのようで、彼女は静かに微笑んでいる。

 婚約者に様子見を頼まれてるんだから。いつもいつも重ねられる台詞。だから、気にしないでいい。その意味で使われる言葉が、彼女にとってどれだけ残酷な言葉か……。その度申し訳なさそうに微笑む彼女の瞳が哀しいことに、何故気付かないか。


 ――それは、気付かれないように彼女が笑うからこそ。だからこその結果でもあるのだけれど……。




 これ以上、この話題は続けるべきではない。話を変えようとして、ふと彼女の手元の雑誌に視線が行く。貴悠の視線に気付いたのだろう。彼女は照れくさそうに微笑んだ。
 彼女の手元にあるのは、そこそこ厚みのある雑誌。鮮やかな配色でデコレーションされたタイトルは、『スイーツ隠れ家特集!! 絶品パフェ&ケーキ』というもの。


「甘いもの、好きなの?」
「あ!! 入院中にこんな雑誌読んでるのはどうだろうって、流石に私も思ったんですよ!?」
 
 ――でも、『好きそうだったから』って持って来られちゃったんですもん!! わざわざ持ってきてもらったの付き返すわけにもいかないし、眺めてるくらいならいいかなって……。私が『持って来て』とか頼んだわけじゃないですからね!!

 言い訳のように連ねられる言葉があまりに必死なので、思わず貴悠は笑ってしまった。


「そんなにムキにならなくても……。僕、まだ何も言ってないよ? あれ? そういうの気になる?」
「『入院中にスイーツの食べ歩き考えてる食いしん坊』の認定されるのは、女子としては流石に不本意です!!」

 ムッと膨れるその顔は、若干赤い。クスクスと笑いながら、貴悠は雑誌に視線を落とす。いかにも女の子ウケを狙ったような可愛らしい作りの店が、写真と軽い説明文とセットで紹介されている。その一つ。季節のタルトを売りにした店の紹介文に。貴悠は思わず目を留めた。


「あ、このお店のケーキ、ちょっと興味あるなぁ」

 貴悠の言葉に、彼女は手元の雑誌に視線を落とす。


「へ? どのお店ですか?」
「あ、え~と、この店? 『ペェルノエル』って書いてある」

 貴悠が指した店の名前に。彼女はにこっと微笑んだ。


「あ、このお店でしたら本当にお薦めですよ!! 私、何度か友人と行ったことありますけど、季節のタルトは勿論絶品ですし。
 ここには書かれてないですけど、紅茶やハーブティー、コーヒーなんかも凄く豊富に揃えられてて……。あれ? 仁科さん、ケーキとか食べられるんですか?」
「……そこ、『男性なのに?』って続けられたら、僕が膨れるから。そ、悪いけど、甘党なんです。ま、どっちにしろ、こういう店は男一人じゃ入り辛いし、そこまで勇気もないから大概諦めてるんだけど……」

 男性だって、ケーキもパフェも好きな人間もいるんです! 若干不貞腐れたような貴悠の言葉に、今度は彼女が笑い出した。口元を押さえて、愉しそうに笑っている。


「私、別にそんなこと言いませんよ? ケーキとパフェが好きな男性がいてもおかしいとは思いませんし……。
 う~ん、でも確かに女の子のお客さんが多いお店かもしれないです。……うん? じゃ、仁科さん、コーヒーも、ミルクやお砂糖入れられます?」
「コーヒー? その日の気分によるけど……。ミルクも砂糖も入れる日もあるよ? ブラックで飲む日もあるし。……ん? なんか、変なイメージ持ってない?」

 ケーキやパフェがよくて、コーヒーのミルクと砂糖に疑問を持つとはどういうことだろう? 貴悠の言葉に。彼女は明らかに不自然に視線を外している。が、貴悠はにっこりと微笑みを向けた。


「……白状してごらん?」
「えぇとですね、男性というよりはお医者さんというのがですね……。あの、えっと……。なんとなく、ドラマのイメージがあって……。深夜の病棟で、自動販売機のブラックコーヒーを飲みながら、患者の容体について会話してるという……?」

 自分から聞き出しておいてなんだが、中々にはっちゃけた『お医者さん像』である。なんとなくその先が読めてしまって、貴悠は彼女の言葉を補足してみた。


「……で、その『会話』っていうのは、もしかしなくても、手術の打ち合わせや治療方針なんかを、専門用語をちりばめて繰り広げられる内容なのかな?」
「……え~と? やっぱり、『ドラマのお医者さん像』でした?」

 アハ、と首を傾げながら。誤魔化すように笑う彼女に、貴悠は内心苦笑した。この入院期間中、何度か病室を覗くようになって知ったことだけれど、この彼女は打ち合わせ当時のイメージとは随分違う。


「あ、そうだ!! さっきのお店の話ですけど……。興味、おありなんですよね?」
「ん? あぁ、『ペェルノエル』だっけ。まぁ、でも、僕一人じゃ行けるような気のしない店だしね……」

 確かに掲載されていたケーキには興味があるけれども、可愛らしい雑貨とインテリアで彩られた、女の子の溢れかえる店に、一人で足を運ぶような勇気は残念ながら持っていない。先ほどの雑誌の店を思い返しながら、紡いだ台詞に。思わぬ言葉が返って来た。


「はい。ですから、先日のお礼ということで、案内とご馳走させて頂けませんか? 女の子と一緒でしたら、仁科さんもそこまで気になさらなくて済みますよね?」
「え? いや、それは……。えーと、それ、どうなんだろう? というか、僕の職業上、目の前で人が倒れて放っておく方がありえないって話だし、お礼とかは気にしないで。ね?」

 貴悠の言葉に、不服そうにしていた彼女だけれど。いつかと同じように言い聞かせるように貴悠が手を置けば、渋々ながらも引き下がってくれた。
 


 と、いきなり部屋の扉が勢いよく開け放たれた。それはもう、威勢よく開かれた。『スパーンッ』という擬音まで聞こえてきそうな勢いで……。ニコニコと人のよさそうな笑みを浮かべて立つのは、彼女の担当医。

「未来ある若人の青春を邪魔して申し訳ないんだが、お邪魔するぞ~」
「……宮尾先生、普通は扉を開ける前に一声掛けません?」

 貴悠の尤も過ぎるはずの言葉にも臆することなく。壮年医師は、にっこにっこと笑っている。……少々訂正したいかもしれない。
 こういうのは、『人のよさそうな』ではなく、『何かを含んだ』もしくは『人を喰ったような』笑みというのだ。



「いやいや、心配無用です。勿論、外でこっそり様子見しながら、入るタイミングは窺っていたので」

 だから問題ないです。続けられたツッコミどころ満載な先輩医師の言葉に。……いえ、問題あり過ぎるでしょう!! そう、貴悠が反論しようとすると、宮尾の後ろからもう一人、人影が現れる。貴悠と同年代の男性看護師。


「はいはい。多分に言いたいことはおありと思うんですけど、残念ながら時間切れです。仁科先生、そろそろ持ち場に戻ってもらえます? 
 向こうの先生方と病棟ナースが嘆いてましたよ~? 『最近はるちゃんせんせが構ってくれない』ってご立腹の子ども達宥めるの大変なのに!! って」

「……武原(たけはら)さん、僕の職業は小児科医であって保育士ではないんですが…………」



 ……どう考えたって、言い包められた!! 憮然とする気持ちを隠しきれないまま、貴悠は廊下を歩いていた。何のかんのと続けられて、結局病室から追い出されてしまったのである。

 釈然としないまま、貴悠が自分のテリトリーである小児科病棟に足を踏み入れた瞬間、貴悠の姿を認めた子ども達がわらわらと取り囲んだ。


「はるちゃんせんせっ!!」
「せんせいだ!!」
「せんせ、どこ行ってたの? 最近すぐにどっか行っちゃうんだもん!!」
 矢継ぎ早に掛けられる言葉に苦笑しながら。子ども達の頭を撫でる。
「ん、ごめんな? ちょっと、先生のお友達が入院してるんだ。だから、お見舞いに行ってた」
 貴悠の言葉に。子ども達は声を上げた。
「え? お友達入院してるの?」
「お友達、大丈夫?」

 はるちゃんせんせ~、心配? 続けられた子ども達の言葉と視線を受けて、貴悠は微笑む。


「そうだな~。お友達だし、やっぱり心配かな……。でも、せんせのお友達にも、ちゃんとお医者さんがついてるから大丈夫だよ?」

 その言葉に。子ども達は安心したようだ。子ども達の様子を見て、貴悠も内心で微笑んだ。



「あぁ、仁科先生! ようやく戻ってもらえましたか!!」
「あ、仁科先生!! もうホント先生がいないと大変なんですから……」

 場所は、小児科病棟の詰め所。貴悠を見つけて、口々に掛けられた先輩医師達の言葉に。貴悠は、若干、ジト目で返す。少々声が尖っているのは、この際見過ごして欲しい。


「……先生方、僕まだ交代時間ではないはずなんですが……?」
「仁科先生がいないと子ども達が膨れてしまいますからね。細かいことは気にしなさんな!!」

 貴悠の抗議などは、これっぽっちも気にしちゃくれないらしい。欠片も悪びれた様子のない先輩医師達の態度に、貴悠は溜め息を吐く。溜め息を吐きながら、向かった己のデスク。

 どう考えても自分の私物ではないものを見つけて、貴悠は首を傾げた。デスクの上、広げられているのは、一冊の雑誌。目にも鮮やかな配色で、大きく印刷された文字。


『特集!! この夏、編集部一押し!! サプライズデートスポット!!』
 …………どう考えても、どう間違っても、自分のものではない。


「……あの? どなたか僕のデスクに間違えて置かれた方がいらっしゃるようなんですが…………」

 広げられていた雑誌を手に取り、詰め所内の人間に声を掛けた貴悠に。近くにいた看護師から思わぬ返事が返って来た。


「あ、それ、看護師長さんからです。『仁科先生に』って」
「は? 小牧さんから?」

 訳が解らず困惑する貴悠に、追い打ちをかけるが如く。別の看護師からも声が上がる。


「そうそう、『目ぼしい場所は幾つか丸を付けてありますから、ご参考にどうぞ』って仰ってましたよ?」

 ますます持って訳が解らない。この小児科病棟の看護師長である、小牧(こまき)信子(のぶこ)氏の姿は、現在詰め所には見受けられない。
 本来の交代時間までは、まだ多少時間がある。本人を探した方が早いだろうか、と。貴悠は雑誌片手に詰め所を出た。

 
 廊下を歩くこと暫し。目的の人物の姿は、案外簡単に見つかった。彼女は、貴悠受け持ちの子どもに囲まれている。先ほど、貴悠を取り囲んだ子どももいる。

「あら、仁科先生。もうこちらにお戻りになってたんですか?」
「先生方から呼び出し食らいまして……。あの、小牧さんが置いていかれたと伺ってるんですが、この本……」

 貴悠の言葉に、というか、貴悠の手にある本に? 反応したのは、小牧看護師長ではなくて周囲の子ども達だった。


「あれぇ? はるちゃんせんせ、デートなの?」
「デートだデート!!」
「わかった!! せんせ、お友達じゃなくてカノジョのとこに行ってたんだ!!」


 そうじゃないよ、お友達だよ、と。騒ぎ始めた子ども達を鎮めようと、貴悠が口を開く前に。にこやかにとんでもない爆弾が落とされる。爆弾の落とし主は、看護師長、小牧氏。


「あのね、大人には色々事情があるから、深く追求してあげちゃ駄目よ? みんな、はるちゃんせんせを応援してあげたいでしょ?」
「小牧さん!! 変な方向に話を持ってかないで下さい!! そこっ! 文(あや)も宏樹(ひろき)も学(さとる)も、意味もわからないのに同意しないっ!!」

 とんでもない発言と、頷いた子ども達に。思わず、貴悠は語気を荒げた。……が、既に子ども達は期待に満ち満ちた瞳を輝かせて貴悠を見上げている。

「……このキラッキラの瞳、僕が対応するんですか…………」




 そんなやり取りの翌日。外来診察室の設けられている一号棟の待合付近で。その姿を見かけて、貴悠は肩を叩いた。

「……点滴、取れたんだね。歩くのも許可出たの?」
「あ、仁科さん! ……あれ? 部屋の外だし、仁科先生ってお呼びした方がいいですか?」


 貴悠の声に振り返った彼女の腕。昨日、部屋を訪れた時点では存在した点滴が、外されている。今日のリボンは涼やかな白のレース。

「どっちでもお好きな方でどうぞ? で、何してるの? こんな場所で……」
「えと、検査です。え~と、今日は何の検査だっけ……。あれ? なんだっけ?」
 
 毎日何かしらあるんですもん。段々、何が何だかわかんなくなってきちゃいました!! 笑う彼女の表情は明るい。……と、そこに。貴悠の姿を見つけて、声が響いた。

 掛けられた声に振り向けば、小児科のスタッフの一人。確か、今日は、救急室に入っているはずだ。


「仁科先生!! 良かった! 外来で仁科先生が受け持ってらっしゃる、北山(きたやま)杏(あん)ちゃん。先ほど、救急で来られまして……。
 入院の指示が出てるんですけど、今、病棟の方バタバタしてるみたいで、スタッフが身動き取れないようなんです。申し訳ないんですが、お手すきでしたら、病棟の方へ案内をお願い出来ませんか?」

 頷いた貴悠に。今、お連れしますので!! と。程なく連れて来られたのは、大きな声で泣き叫ぶ小さな女の子と、困り果てたような顔で女の子に付き添う初老の婦人。



「……ヤダ~!!  入院なんかしないっ!!」
「杏ちゃん、イタイイタイの治してもらわないと困るでしょ? ほら、仁科せんせがいらっしゃるわよ?」

「こんにちは、杏ちゃん。発作、酷くしちゃったかな?」
「やだぁ!! せっかくきちんと結ってもらったのにぃ~!!」


 貴悠が普段外来で受け持つ、喘息持ちの女の子は、貴悠が話しかけてもますます泣き出すばかりで……。付き添っていた老婦人は頭を下げた。

「すみません。入院が突然決まったので、嫁が、今、自宅に必要なものを取りに帰ってしまっていて……。検査の間に髪の毛が崩れちゃって、それもぐずってるんです。子どもは息子だけだったので、わたしでは直してやれなくて……」

 確かに、元は綺麗に結われていたのだろう長めの髪の毛は、少々無残な有り様になっている。しかし……。
 とにもかくにも泣きやまして落ち着かせようにも、流石の貴悠にも女の子の髪の毛なんて結えない。さて、どうしたものか……。
 

 ――――控えめに掛けられた声は、貴悠の後方。成り行きを見守っていたらしい彼女から。



「……杏ちゃんっていうの? ね、髪の毛、お姉ちゃんに結ばしてくれない?」

 突然の言葉に、呆気にとられる貴悠と杏の祖母を余所に。彼女は杏と会話を進めている。


「……ちゃんと可愛くできる?」
「お姉ちゃん、結構器用な方よ?」

 持っていたポーチから携帯用の櫛を取り出して。彼女は杏の髪を結い直し始めた。見るも無残にぐちゃぐちゃになっていた髪が綺麗に整えられて、可愛く纏められていく。

 仕上げに、と。彼女は、ポーチから小さめのリボンを取り出した。綺麗に結ばれた杏の髪に、リボンを飾り付けて。コンパクトミラーを覗きこませる。


「どうかな?」
「……っす……。うん、ありがと……」

 出来栄えに満足したらしい。杏はとりあえずは泣きやんだ。が、貴悠と祖母がホッと一息したのも束の間。杏は再び涙を滲ませ出した。


「……っ!! でも、入院はイヤ!! お家に帰る!! 杏、ピアノのお稽古行くのっ!!」

 その言葉に。遊戯室の隅に置かれた存在を思い出して、貴悠が続けたのだけれど……。


「そっか。杏ちゃん、ピアノやってるんだね。杏ちゃんの入院する小児病棟に、遊戯室っていうのがあるんだけど、そこに子ども用のピアノがあるよ? だから、暫くはそれでお稽古しようか。苦しいの治してから帰ろう、な?」

 貴悠の言葉で、杏はますます大きく泣き出してしまった。何が杏の気に障ったのかが解らず、貴悠は困惑する。その貴悠に、杏が泣き叫んだ。


「杏、今日から新しいお稽古本始めるはずだったんだもん!! 『今度のお稽古から、左手もやっていきましょう』って、先生言ってたんだもん!! 杏、一人じゃ両手のお稽古なんか出来ないもん!!」


 ……弱った。どう説得するべきか、考え込んだ貴悠の隣。おもむろにしゃがみ込んだ人物がいる。白いリボンで三つ編みを結んだ彼女。


「杏ちゃん、いくつ?」
「……っす!! …………五才」

「今日から両手のお稽古だったの?」
「……っぅん。っす……きょ、きょおから……っ~!!」


 大きな声を上げながら泣き続ける杏の手を取って。彼女は柔らかく微笑む。泣きやまない小さな女の子をあやすように。


「ね、杏ちゃん。お姉ちゃんね、こう見えて、ピアノのお教室の先生だったりするのよ? 杏ちゃんさえよかったら、お姉ちゃんとお稽古しましょう?」

 またしても突然の申し出に。一瞬、泣くのを忘れたように。杏はきょとんとしている。そんな杏と話の展開に追いつけない貴悠に構わず。彼女は続ける。


「ね? だから、イタイの治してもらって帰ろ? おばあちゃんもお母さんも心配してらっしゃるし、杏ちゃんが辛いから、ね?」
「……うん」

 と、流石にそれは……。貴悠と杏の祖母の心中を酌んだように。


「目の前で小さな女の子が泣いてるんですもの。お姉ちゃんとして、放っておけません。今はお教室の先生もお休み中ですし、お友達になった女の子にお節介するだけですよ」

 杏の手を取りながらにっこりと微笑んだ彼女に。それは申し訳ないから、という言葉は、先回りして遮られてしまった……。




 それから、小児科病棟の遊戯室で、彼女の姿を見かけるようになった。流石に本職、杏への教え方も板についている。遊戯室に集まる子ども達も、次第に興味を持ってしまったみたいで、小さな音楽学校と化している……。

 こちらの病棟にいる間は、貴悠は基本勤務中である。だから、姿を見かけても、軽く会釈を交わす程度。ここのところ、彼女は自分と杏、子ども達が動ける時間を見計らい、こちらの病棟に出入りしている。



 そんなある日。久しぶりに、貴悠は日中の彼女の病室を訪れていた。本日、休日である。カレンダーにも定められた休日であり、今日の貴悠は当番ではない。 けれど、それじゃ逆に訪問する理由が無いかと悩んでいた貴悠に、後輩からのメール。そのメールが、貴悠の足を動かした。

『今日は、アイツ少しは時間取れるらしくって。だから、二人でお見舞いに行く予定なんです。お見舞いに欲しがってるようなもの、貴悠先輩ご存知ですか?』



 幸せ一杯の妹達に入り浸られたりしたら……。絶対に、妹達が去った静かな病室で、また一人で泣く。それは簡単に想像できた。場所は自分の職場である。

 自分のテリトリーで自分の権限を使って何が悪い! この際、いざとなったら、職権乱用だろうがなんだろうが強制行使してやる!! 些か開き直った感の否めない貴悠は、息巻きながら、手近なシャツに袖を通した。




 部屋の外にまで響く明るい笑い声に。貴悠は眉を顰める。軽く扉を叩き、了承の返事を得て。貴悠は部屋に踏み込んだ。明るい顔の後輩と妹、そして、静かに微笑むリボンの子。


「森村!! しつこいようだが、病棟内で大きな声出すな!! それと、あんまり長く居座るなよ? 病人の病室だ!」
「……貴悠先輩、開口一番それは酷くないですか?」

 久しぶりに会う後輩への態度ですか~!? ぎゃいのぎゃいのとやかましい。あまりにもやかましかったので、取り合えず後輩は軽く拳骨を落として黙らせた。

 先輩、酷い……。頭を押さえて唸る後輩と、その傍らでやや引き攣った笑みを浮かべている彼女の妹。妹の方には挨拶する。


「こんにちは。お久しぶりです」
「あ、はい!! お久しぶりです。式の準備でバタバタしてて……」

 しまった! 余計な言葉を引き出した!! 貴悠の心中など気にも留めず、妹は嬉しそうに言葉を続けている。ドレスがどう、招待状が、と。


「はいはい。その辺りになさい。幸せ一杯なのはいいことだけど、周囲にまでばらまかないでちょうだい。対応に困るの!」
「え~!? 一番幸せって言われる時期だよ? 少しぐらい付き合ってよ!!」
「やぁよ。お花畑に巻き込まれそうだもの。そういう話は花婿となさいな」

 軽口で遮られた妹の言葉。けれど、それはわざと選ばれた言葉だと、貴悠に気付けないはずもなく……。


「ふんだ。べ~!! お姉ちゃん、冷たい!!」
「そりゃぁね。一月しないうちに挙式予定の妹になんか、いい加減お姉ちゃん離れしてもらわないと?」

 喧嘩の度に押し掛けられるなんて、いやぁよ? からかうように向けられた言葉に、妹は脹れっ面をしている。繰り広げられるやり取りに、貴悠はどう言っていいのか迷う。……これ以上、傷口を自分から開かせたくはない……。



「あ、そうだ!! これ、来てたよ? 『ペェルノエル』ね、十周年なんだって。『案内状をご持参頂いた会員の皆様に、ささやかな贈り物をご用意させて頂いております』だって」

 差し出されたハガキ、可愛らしいティーカップが印刷されている。印刷されているティーカップを見て、何故か、彼女は瞳を丸くさせた。



「へぇ……。そんなによく行ってるお店なんだ?」
 貴悠の言葉に答えたのは、後輩だった。
「成人式のときに初めて皆で行ったよね。当然スーツと振袖だし……。でも、引っ張ってくんだからなぁ……」
 ぼやいた後輩に。妹が膨れる。

「なによ! いいでしょ!! お姉ちゃんだって、いいお店見つけたって喜んでくれたんだからいいの!!」

 でも、それからは三人で行く機会もなかったね~。婚約者の言葉に、後輩は多少不機嫌になる。


「いいんだけど……。いつもこんな店連れ歩かれてるのかって思われるの、結構恥ずかしいんだけど?」

 後輩の言葉に。ハガキから視線を上げた彼女の表情が、傍目にも変化した。隠し切れていない動揺に、多分彼女自身気付いていないんだろう。


「……二人でいつも行ってるお店だったの? ……二人のお店だったの? そこに!! どうして、このハガキなのっ!!?」

 震えるような声は段々隠しきれない涙を乗せて、涙の言葉と変換された。姉の言葉に。言葉の涙に。突然のことに戸惑っている後輩と妹に。彼女はハッと気付いたように顔を俯かせた。



「……ごめ……。あの、ちょっと驚いて……」
「はい! ごめんね~。……ちょっと、診察させてくれる?」

 自分の言葉に気付いて青褪めた彼女の台詞を、無理やり遮って。ベッドの傍ら、後輩達を押しのけ、しゃがみ込んで額に手を当てる。唐突な貴悠の言動に呆気にとられる室内を余所に。貴悠はわざと大きめの声を出した。


「あ!! やっぱり!! 熱出してるんじゃない? 朝から具合悪かったね? 病院にいて病状隠されちゃ意味在りません!! 
 うわ、結構あるかなぁ……。随分辛かったでしょ? 担当の先生呼んだ方がいいかな……」

 貴悠は役者ではないので、棒読み台詞の感は否めない。それでも、貴悠の職業と場所を鑑みれば、この台詞は十分に威力を持つはずで。


「ごめんね。この分じゃ頭もぼぅっとしてるだろうし、必要なら薬も飲ませて休ませた方がいいと思う。そういうわけだから、悪いけど今日は引き取ってもらえるかな?」

 貴悠の言葉に、後輩達は戸惑っていたが……。先ほどの姉の様子で妹は姉の不調を信じ込んだ。


「うん……。巧君、仁科さんの言うとおりだよ。今日は帰ろ? お姉ちゃん具合悪いんだよ……。お姉ちゃんがあんな風になるのよっぽどだよ!?」
「……ごめん! 具合悪かったんだ? うん、じゃ、お邪魔しようか。あんまり無理しないようにね?」



 その後、退室の準備を整えた後輩の婚約者に何故か引っ張り出されて……。貴悠は病院の玄関まで来ていた。

「えぇと、僕が引っ張り出されたのは何かな?」
 貴悠の言葉に。後輩の婚約者は不安げに言葉を紡ぐ。

「……お姉ちゃんの病気って、そんなに重症なんですか?」
「え~と、いや、それは……。今の件で心配してるなら、気にしない方がいいよ。きちんと治療すれば問題ないから。ただ、彼女は今、病人だからね。あまり無理させたくないかなっていう僕の判断」

 貴悠の言葉に安心したように。妹は笑った。


「……じゃ、仁科さんを随分信頼してるんですね?」
「は?」

 妹は続ける。


「体調が悪くても、お姉ちゃんがあんなに感情昂らせるとこなんて、殆ど見たことないです。それどころか、今日みたいに体調が悪いことすら隠しちゃうんです。それを悟らせるなんて……。
 ましてや他人に凄く気を配る方なのに……。だから、仁科さんが気付けるってことは、体調が悪いのを隠さなくていいってお姉ちゃんが判断してるってことですよね?」


 なんと返したものか迷った貴悠にお構いなしに。妹はにっこりと笑った。お姉ちゃんのこと、お願いします。下げられた頭に無言で手を振って。貴悠は病棟への道を戻る。




 戻った病室、何故か部屋の主の姿が見つからず……。貴悠は病棟内を探し回ることになった。けれど、探せど探せど見当たらない……。焦り出した貴悠の耳に。飛び込んで来た小さなメロディー、小さな歌声。

 非常階段の片隅に腰掛けて。彼女が俯いてメロディーを口ずさんでいた。初めて彼女を見つけたときの教会の歌を……。


 ――――届かないLove song 歌っている  今日も明日も わたし歌ってる



「……突然こんな場所にいると驚くでしょうが! 病人は病室にいてくれないかな?」
「……職権乱用したのは仁科さんですもん。知りませんよ? 大ウソ吐いちゃって……」

 俯いたまま。彼女は答える。

「体調が悪そうだとは言ったし、『熱があるかも?』とは言ったけど、『熱がある』なんて、断言はしてません。『薬』も『担当医』も、『必要なら』って言ってあります」
「わ、凄い屁理屈……。ごめんなさい。ホントは助かりました。ホントに……ご…………めっ……」

 俯いて階段に座り込んでいるその隣に。貴悠は腰を下ろした。


「さっきの……。初めての打ち合わせのとき、教会で歌ってたよね?」
「…………やだなぁ。どこまで知られちゃってるんだろう……。もう、タイミング悪過ぎ……」
 

 私、ピアノの先生してるじゃないですか。たまに先生同士の交流会を兼ねて、先生だけの演奏会をするんです。教室の子ども達呼んで……。
 で、その余興みたいな感じで、くじで決められたテーマで、曲と詩を作って、それを発表するっていうのがあるんですけど……。


「妹達の結婚の知らせがきたときに発表された今回のテーマ……」


 『人魚姫』だったんです。もう、なんか、なんでこのタイミングでそんなもの? 笑っちゃうべきなのかなって思うけど、流石に私も泣きたい……って。



 呟く彼女の手には、一枚のハガキ。先ほど妹から渡されていたもの。

「……そのハガキに何かあったの?」

 貴悠の問い掛けに、彼女は応じない。ちょっと失礼して手元を覗き込むが、至って普通の案内状だ。

「……昔、欲しかったものがあったんです。だけど、私の手には入らなかった……」


 繰り返すのか……って。『あの子のモノ』なら、『誰かのモノ』なら、私は欲しがることを許されてない……。
 見つけたと思ったのに、どうして? って……。そう、想っただけなんです。




 絞り出された言葉に。貴悠は暫く頭を悩ませていたけれど……。ハガキの中、涙で滲んだ部分を見つけて。理解したような気がした。ハガキのカップが。欲しかったのじゃないだろうか? この子は。

 けれど、彼女がそれを言葉にする前に。妹が言葉にしてしまった『二人の想い出』……。
 
 
 ――――後輩カップルが見つけて通う店で。差し上げますと書かれた可愛らしいティーカップ。そのカップを欲しがったって……。
 その店に一人で行けるだろうか? 思い出話のその後に? 『二人の店』に、独りぼっちで?






 貴悠は、知っている。他の人間が当たり前に欲しがるものを、手に入れられないと泣き叫ぶ子ども達。『どうしてボクは欲しがっちゃいけないの?』『どうして私だけ?』と。

 ……泣いて泣いて。自分の身体を受け入れるしかない子ども達。……きっと、同じように。


 『欲しがることを許されていない』と言った。多分、同じような出来事を重ねてきたのだ。
 『彼女』が『欲しい』と言い出す前に。『誰か』が『欲しい』と言ってしまう。そして、言えなくなってしまう……。

 ――――『言ってはいけない』と。『自分はもう言ってはいけない』と。


 病室の外、駆け回る元気な体は、手に届かないのかと泣く子ども達。ならば、きっと。彼女もきっと同じように。彼女の中で泣いてる『子ども』は、己の手には入らないもの、自分の手には届かないものと諦めてしまったのだ。



 ――――この子の救いに。自分では、なれないだろうか? 





「……この間の約束って、もう一度有効に出来る?」
「へ?」

 唐突な貴悠の言葉に、彼女は顔を上げて瞳を瞬かせたけれど……。


「このお店、やっぱり行きたいなって思って」
「……え、え? あっ、と……? あ! お気遣い無用で……」

 貴悠の意図を酌んで、彼女は遮ろうとしたけれど……。その前に貴悠が遮った。


「いいから、そこは頷いとくの! 欲しいものなら欲しいって言いなさい。遠慮する必要も怖がることもないんだよ。お兄さんとの約束、忘れちゃったのかな?」
「……あの、受け持ちの子どもさんと間違えられてませんか? 私……」

 微妙な表情で戸惑いを隠せない様子の彼女。まぁ、似たようなもんではあるよね。応えた貴悠の言葉に、困惑の瞳が、不服の色を湛えたものに変わる。


「しっかり者のお姉ちゃんって言われるのは慣れてますけど、そんな風に子ども扱い受けることなんて殆ど無いですよ?」
「そう? でも、僕から見てると、結構、表情豊かでユニークな感覚してるよ? ちっちゃい子どもに接してるときとそう違和感感じないし」

「……それ!! 凄く不本意ですから!!」
「まぁ、小児科医の感覚でそうなんだから自信持って!」


 褒めてませんよね? 絶対、褒めてませんよね? というか、軽く馬鹿にしてますよね? ジト目をかわして立ち上がって。貴悠は彼女の頭に手を置いて弾ませる。


「退院したらお兄ちゃんとケーキを食べに行こうね。だから、もうちょっとだけ入院頑張ろうか」
「だれが今この場所で『はるちゃんせんせ』になって下さいって言ったんですか!! 子どもじゃありませんてば!!」

「うわ! なんで、その呼び名知ってるの!!」
「小児科病棟出入りしてたら、嫌でも聞こえてきます! 子ども達だって教えてくれますし……」


 まぁ、いいんだけど……。なぁんか、時折遊ばれてる気もするから微妙な気になるんだよなぁ……。ぼやいた貴悠に、彼女は小さく笑う。頭の手をもう一度弾ませ、貴悠は彼女の手を取った。



「『人魚姫』の最後、知ってる?」
 
 貴悠の問い掛けに、彼女は首を傾げている。


「『王子さまに選ばれなかった人魚姫は海に飛び込み、空気の精となりました』……ですよね。それが?」
「いろんな訳が出てるけど、空気の精の続きがあるんだよ。『人魚姫、自分の役割をしっかり頑張ったならば、御褒美をあげましょう。
 貴女は人間と生まれ変わるのです。もう一度、今度こそ、貴女の王子さまを探して、幸せになるために』って」

「……王子さまになって頂けるんですか?」
 そういう風にも聞こえますよ~、と、彼女は茶化すけれど……。
「う~ん? それにはお姫さまの方の同意も必要だけど……。案外子どもっぽいから、僕は結構取扱いには長けてる方だと思うよ? 
 取り合えず、お店に行くにも退院してもらわないと始まらないし……。さ、せんせとお部屋に戻るよ~?」

「だから、子どもじゃありませんてば!!」



 ――――リボンの似合う人魚姫さん、ティーカップ一つくらい、遠慮しないで欲しがっていいんだよ。
 
 貴悠の言葉で。彼女は小さくしゃくりあげた。



 ――――哀しい心の人魚姫、哀しみ隠して笑ってる。誰からも心に気付いてもらえなかったお姫様。……空気になって王子を包んで。空気になって祝福して。見守り続けて自分の役割終えたなら。

 生まれ変わろう? 『人魚姫』。生まれ変わって、人間に。生まれ変わって、今度こそ。君の幸せ見つけよう……。

 ――――取り合えず、『僕』は『君』を見つけたから……新しい物語を始めよう。

後書き


作者:未彩
投稿日:2015/12/22 19:29
更新日:2015/12/22 19:29
『人魚姫のお伽話』の著作権は、すべて作者 未彩様に属します。

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作品ID:1610
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