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作品ID:1696
「人魚姫のお伽話」へ

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人魚姫のお伽話

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


「給料三ヶ月って?」

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「三か月分って、いつの三ヶ月だ?」
「は?」 
 傍迷惑な朝の電話でいきなり呼び出しを食らった正登は、貴悠の言葉に眉を顰めた。

「や、だって、夏の給料なのか、冬の給料なのか、それとも秋や春の給料なのか……」
「…………で、その真意は?」
 正登の言葉に、貴悠は首を傾げる。
「ボーナスって、三ヶ月の中に入ってるのか? だと、結構厳しいけど……」
「…………一言、言わせてもらっていいか? 入っててたまるか!!」
 疲れた声で返した正登に、貴悠は不思議そうに首を傾げるばかり。

「あ、普通に一月分の給料を三か月分でいいのか」
「……お前は一体どんな恐ろしいもの相手に送り付ける気だっ!?」



 夕日が美しく輝く正登がようやく解放された頃、引きずり回され、すっとぼけた言動に振り回された正登は、満身創痍のままに、もう一人の友人にメールを入れた。

『うちのドクター、もう色んなバロメーター振り切って、トンデモ行動起こしてるから、お前にも被害行くかもと、一応忠告しとく』

 突然のメールに幼馴染の意図を測りかねていた丹実は、貴悠からの唐突な電話に、正登の忠告の意味を知らされる羽目に陥る。


「訊いていいか?」
「とーとつに電話寄越して、わけわかんねぇこと言い出すんじゃねぇよ。何をだよ?」
 丹実の言葉に、電話の向こうで相手が続ける。
「三ヶ月分の指輪は用意したけど、これ、渡すのって、スーツなのか?」
「……読めねぇ話すんじゃねぇって言ってんだろうが!! 三ヶ月? プロポーズな。何処でする気だよ? 一流ホテルの三ツ星レストランか…………」

「いや? 誕生日にと思ってるから、前から約束してた、探しといたお洒落なケーキ屋」
 大真面目に返されて、丹実の方は頭痛がする。
「いや、まず、オレも訊いていいか? 真昼間の洒落たケーキ屋にスーツで現われられりゃ、何事かって、相手のお姫さんも周囲も驚くた、思わねぇ?」
 丹実の言葉に、電話の向こうの相手は暫くぶつぶつ言っていたが……。

「あ、じゃあ、普段着か…………」



 友人からの電話が途絶えて直ぐ、丹実はもう一人の友人にメールを入れた。

『ふざけんな!! てめぇんとこのドクターだろうがっ!! てめぇで片を付けやがれっ!!』

 丹実のメールには直ぐに返信が光る。


『病棟の最年長ドクターと看護師長まで巻き込んで、挙句、その二人でも持て余してる、暴走したヤツ、俺で止められてたら苦労してないんだよ!!』

 穏やかな友人のいつになく喧嘩腰な文面と、その文章の内容に……。丹実は友人二人を浮かべて、空笑いを浮かべた。
 そうだった、暴走したり、振り切れたりしたときの、大学同期ほど性質の悪いヤツも中々いないとは知っていたが…………。


「アイツ、だいじょぶか?」
 勿論、答えが返る筈はない……。

後書き


作者:未彩
投稿日:2016/01/19 12:52
更新日:2016/01/19 12:52
『人魚姫のお伽話』の著作権は、すべて作者 未彩様に属します。

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作品ID:1696
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