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作品ID:1704
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人魚姫のお伽話

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


「『わたしの愛しい王子さま』と子ども達」

前の話 目次 次の話

お眠りなさいと 見守る声に
わたしは瞳を 閉じました
少しだけ 少しだけ 涙に疲れて眠りたかった

貴方はわたしを 見守りながら
眠る姿 ただ 包んでくれた
もう少し もう少し 目覚めたわたしは恋に落ちる

わたしの愛しい王子様 尊い春の名響かせて
わたしの愛しい王子様 貴らかな悠の音響かせて

出会いの折 わたしは人魚姫
傷付いて海に還る人魚姫
泡と消えるその定め 優しい歌声が包んで

今 貴方の隣で 笑うわたしは
誰より幸せな 姫君でしょう
愛した王子様は わたしの隣 優しく優しく微笑んでる
わたしもただ幸せに笑ってる 愛した人の腕の中 ただ幸せに笑ってる……

わたしの愛しい王子様 貴方がわたしを見付けてくれた
わたしの愛しい王子様 貴方はわたしに気付いてくれた

もしも声を再び失うとしたなら
わたしは文字を綴りましょう

もしも歌を再び失うのなら
わたしは何を探し 貴方に伝えるでしょう

出逢ったそのとき 人魚姫
だけど 今のわたしは 譲らないでしょう それを貴方が 教えてくれたから

譲れないものは誰にもある

春の名響かす王子様 破れた恋も 無駄ではなかったの
永久響かす王子様 あの恋 貴方に出逢うためのもの

譲れないものがわたしにもある

貴方が教えてくれたから もう わたしは何も怖がらない……







「わぁ!! ゆうちゃんせんせ、ステキ!!」
「そ、そうかな? こんなの見せちゃってほんとによかったの?」
 優卵の言葉に子ども達が笑う。
「だって、ボク達だとゆうちゃんせんせの発表会は見に行けないし……」
「あーや、どうしても、ゆうちゃんせんせのドレス見たかったの」

 子ども達の言葉に、優卵は短い時間を一緒に過ごした子ども達の頭を撫でた。



『病棟の子ども達が、優卵の演奏会の話を聞いちゃって、優卵のドレス見たいってごねてるんだけど…………』


 遠慮がちに切り出されたのは、先週のこと。と言っても、流石に病院にドレスアップして来るわけには行かないから、優卵は演奏会用のドレスを持ち込んで、小児病棟を訪れた。

 訪れた病棟の遊戯室、優卵の姿に瞳を輝かせた子ども達に、病棟のお手洗いを借りて着替えて、再び姿を見せると、子ども達は嬉しそうに無邪気に笑った。

 色んなものをあきらめなければいけない子ども達の気持ちなら、誰より知ってると自負している。だから、こんなことで喜んでくれる子ども達が嬉しくて、内緒よ、と前置きしてから、演奏会用の歌も披露してみせた。

 勿論、遊戯室内だけに響く声で……。小さな発表会となった場に、遊戯室の子ども用ピアノを子ども達が頑張って弾いてくれた。
 自分達だけで弾けるようになった簡単な曲を、優卵の前で演奏して、披露してくれた。それが、優卵にはとても嬉しかった。



「ゆうちゃんせんせ、今の歌、もっかい歌って!!」
「え?」

「ボクも聞きたい!!」
「ぼくも~!!」

「…………内緒の歌だからね?」
 優卵の言葉に子ども達は瞳を輝かせる。スゥッと息を吸い込んで、優卵は歌い上げる。『わたしの愛しい王子様』を……。





「…………へぇ、そんな感じに落ち着いたんだ?」
 突如と割り込んだ声に、優卵は場所を忘れて悲鳴を上げた。
「きゃ、きゃぁ~っ!!」
「わ、優卵、ここ、一応、病院の病棟!!」
 慌てたような声音に、けれど優卵の方はそれどころじゃない。

「な、なんで……」
「や、なんでって言われても、職場に僕が居ない方がおかしいでしょ」
 当然と言えば当然過ぎる言葉に、優卵の方は涙目である。

「なんでこのタイミングでここにいるんですか……」
「いや、歩いてたら出くわした」
 優卵は頭を抱えて小さく叫んだ。

「も、もうイヤァ~っ!!」
 そんな優卵を擁護するように、子ども達が優卵を取り囲む。


「ゆ、ゆうちゃんせんせ?」
「はるちゃんせんせ!! ゆうちゃんせんせは内緒で歌ってくれたのに!!」
「せんせ、いじめっ子したら駄目だよっていうのに……」

 子ども達の言葉に苦笑いを浮かべたのは貴悠の方である。

「別にいじめっ子したつもりは……。ま、いいか。あ、三人とも、昼から検査入ってるからな? 優卵、解放したら、部屋に戻っとくんだぞ?」

 貴悠の言葉に、何故か子ども達は普段と違って、反旗を翻した。


「「「べぇ~っ!!」」」

「ゆうちゃんせんせをいじめるはるちゃんせんせなんか、あーやがいじめてやるんだから!!」
「なんか面白くない。ボク達のゆうちゃんせんせなのに、呼び捨ててるの気に入らない」
「ゆうちゃんせんせ、大丈夫? はるちゃんせんせは、ぼく達でおっぱらうから、安心して?」

 流石に引き攣った貴悠に、優卵の方はキョトンとしている。


「…………誰が優卵を呼び寄せたと……」
 
 抗議の言葉空しく。優卵の味方についた子ども達によって追い出された貴悠は、詰め所のデスクで項垂れるだけだった…………。
 

後書き


作者:未彩
投稿日:2016/01/19 13:02
更新日:2016/01/19 13:03
『人魚姫のお伽話』の著作権は、すべて作者 未彩様に属します。

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作品ID:1704
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