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作品ID:1843
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言葉とその力

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中

前書き・紹介


ライバル登場 初対策 3

前の話 目次 次の話

「それでこれからどうするんだい? そのままここで一泊していってくれるのか?」
 幻悟がその様に聞いてみると、道也が幻悟の手をとってささやく。
「話の流れで察しろよな、幻。答えるまでもないってことを」
 道也の言葉に補足を入れるかのごとく、成人も幻悟に向かって協力を惜しまないという事を伝える。
「そうだよ、幻悟君。何のために電話を貸してもらったと思っているんだい? それはもちろん幻悟君の手助けをしたいからなんだよ」


 幻悟は成人と道也の深い友情に心中で感謝し、手助けをしてもらう事にする。幻悟達三人組は友情の再確認をしながら一夜をともに過ごした。
 そして朝になると、幻悟は親友二人へお礼を込めて朝食を作る事にし、すぐ実行に移していた。献立は、ベーコントーストにボイル仕立てのウィンナーに+《プラス》してコーンスープも作った。それらを食卓に用意したのだ。電気やガス器具とお湯があれば誰にだって出来そうなものである。しかし、幻悟の場合は隠し味の研究に余念がないおかげで料理の味を上手く引き出せている。

 食事の用意が終わりに近づいた所で、幻悟は親友の二人を止めている部屋まで起こしにいく。部屋を開けると、すでに成人が起きているのが見えた。

「おはよう、幻悟君」
「うん、おはよう!せいじん。朝食用意したよ……って何だよその髪」
 幻悟は成人の寝ぐせを見て、我慢できずに吹き出し笑いをしてしまう。成人の髪の毛が総毛立っていたからだ。
「え? ああ、また髪に寝癖がついていたんだ。幻悟君、悪いけどタオルと熱めのお湯を使わせてもらってもいいかい?」
「ああ、いいよ。使いすぎない限りは自由に使ってくれていいんだぜ」

 幻悟は成人に洗面所を使わせている間に道也を起こそうとする。
「ミッチー。朝食用意したから起きろよ!」
 幻悟は道也に声をかけたり、体を揺すってみたりしたが、彼は微動だにしない。そこへ成人が戻ってきた。
「あっ、成人。ミッチーが起きてくれないんだけど、なんかいい方法はないもんか?」
 幻悟は成人に道也の起こし方について訴えてみる。すると成人は、道也を起こす事なんて簡単なことだと教えてくれる。
「幻悟君、わざわざ朝食を用意してくれたんでしょ? それを利用するといいよ」
 成人が部屋のドアを開けてしばらくすると、この部屋に台所からの料理の匂いが風を伝ってきたので部屋の中は料理の匂いが充満し始める。



「おっ、飯の時間か?」
 道也は食い意地が張っているんだかどうだか知らないが、料理の匂いにすぐ反応する。その後で幻悟と成人に気付いて挨拶をしてくる。
「幻。良く眠らせてもらったぜ! それから成人、また髪が立ったのか? その蒸しタオルですぐわかったぞ」
 道也が起きた所で、幻悟は成人と一緒に、一足先に台所で道也を待つ事にする。幻悟が道也に『洗顔して来いよ』と言ったからである。待ち時間の間、幻悟は成人に気になっていることを問いかけてみる。
「なぁ、せいじん。その頭上にのせたタオルにどんな意味があるんだい?」
 幻悟に問いかけられた成人は意外そうにする。
「へーっ、知らないんだ幻悟君。こうしていると髪の毛が寝るというか、元に戻るんだよ」
 幻悟がそんな生活の知恵に感心しているその時に道也が台所にやってくる。
「幻、悪いな。朝食までごちそうになって」
「いやいや、気にすんなよ。二人には調べ物を付き合ってもらったお礼として用意させてもらっただけだしな。さっ、いただくとするぜ」

 幻悟に薦められるままに、成人と道也は彼の手作り料理をご馳走になることにする。
「それじゃあ遠慮なくいただくぜ! 幻」
「いただかせてもらうよ、幻悟君」
 幻悟にとってこの家で何人かの人数を呼んで食事をするのはとても久しぶりだった。一人でなら最近でも何回か食事をしていた事があるのだ。ちょっと前までは能力開発研究所の当座所長ら四人の社員達に保護してもらっていたので当たり前ではあるが。

「大したものじゃないけど、どうだい? 二人とも」
 幻悟は今になってこの世に戻してくれた三田主任達に感謝する。それだけ今は嬉しい気持ちで一杯なのだ。
「なかなかいけるぞ、幻」
「うん、美味しいよ。ところで幻悟君、言霊対策にいい案は浮かんだかい?」
 成人は幻悟に言霊対策案構想を聞いてみる。そうしたとたん、幻悟は押し黙ってしまった。
「ど、どうしたの。幻悟君、まさか何も思い浮かばなかったんじゃあ…………」
 幻悟は成人のあまりのうろたえぶりに思わず苦笑する。その後で悪びれた様子もなく、言い放った。
「いやーっ、ごめんごめん、そんな反応をするとは思わなかったよ。言霊の対策案ならいろんな角度から何十通りくらい考えついたよ。口で説明するよりは実戦で見せた方がわかりやすいだろうから玉野君とのやり取りを見ててね」

 幻悟は実際問題として、言霊使いの玉野市斗と戦う気は起きない。話し合いで解決するようにしたいのだ。先程の答えは最悪の事態を想定しての事である。
「それじゃあ、またねーっ。幻悟君」
「じゃ、また学校で会おうぜ」
 幻悟と成人・そして道也の仲良し三人組は言霊の話もそこそこに食事を終わらせていた。そして少し休んだのち、今、別れた成人と道也が一度家に帰るといった流れになったのである。

後書き


作者:ニューナイト
投稿日:2016/11/03 18:56
更新日:2016/11/03 18:56
『言葉とその力』の著作権は、すべて作者 ニューナイト様に属します。

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