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作品ID:2006
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輪廻のセンタク

小説の属性:一般小説 / 現代ファンタジー / 批評希望 / 中級者 / 年齢制限なし / 連載中

前書き・紹介


10

前の話 目次

 わたしの夢は占い師になること。ずっと前から決まっている。五歳のあの日、自分の魂が辿ってきた記憶を夢に見てからずっと。
 三回目の人生は二回目の人生と同じように始まった。優しい両親の間に生まれて、でも占い師の人に前世を見てもらっても、全然誰も言い当てられなくて。でもわたしはすべての記憶を夢の中で見ていたから、早々に周りの大人に主張した。
「占い師の偉い人に会わせて。なにかあれば頼りなさいって、言われてるの。」
 周りは半信半疑だったけれど、両親だけはわたしの言いたいことをわかってくれて、研究機関にも連絡をしてくれた。残念だけど前に話した偉い占い師さんは亡くなっていた。そのかわり後を継いだお弟子さんはわたしのことを憶えていてくれて、ぜひ研究に協力してほしいと言ってくださった。
 わたしは学校に行きながら特別研究員として研究機関にも通った。
 前世のことをすっかり憶えていることは早々にばらした。もちろん、元は猫の魂であることは一番信頼できるお弟子さんにしか伝えていない。
 昔よりも夢や魂の研究が進んで、占いは科学よりの技術になってきている。それでも変わらず占い師は人気の職業で公務員。わたしは占い師を目指して猛勉強をした。
 どこかにわたしと同じような境遇の子がどこかにいるかもしれない。そんなとき、現世で頼れる人がいないとすごく不安になる。そんな子の助けになりたい。
 カンさんから魂の構造を習ったために、占いって技術がどれだけすごいか骨身に染みてわかるようになった。だってあの空間みたいに魂が見えているわけでもないのだから。
 普通なら高校を卒業してから受ける試験を特別に中学卒業と共に受けさせてもらって。結果は見事合格だった。
 わたしはお弟子さんの弟子になった。
 ただ、その活動期間は短い。
 前より三年も長生きして、わたしはやりたいことを三年間、めいいっぱいやった。人より早く終わりが来ることはわかっていたから、一日一日を大切に。
 最後のお弟子さんの言葉をはっきりと憶えている。
「君の事は忘れない。たとえわたしが死んだとしても、次の代の者に語り継いでいくからね……!」
 とてもうれしかった。そしてわたしは幸せに息を引きとった。

後書き


作者:水沢妃
投稿日:2018/07/02 00:44
更新日:2018/07/02 00:44
『輪廻のセンタク』の著作権は、すべて作者 水沢妃様に属します。

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作品ID:2006
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