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作品ID:2285
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ナイフが朱に染まる

小説の属性:一般小説 / ミステリー / お気軽感想希望 / 初投稿・初心者 / R-18 / 完結

前書き・紹介


(第18話)マコトが誘拐された!警察じゃアテにならない!僕は慌てて家を飛び出した。

前の話 目次 次の話

僕は警察署へ駆けつけた。
玄関から入り、事務所へと向かう。
受付ごしに体格の良い中年の刑事を見つけた。
僕はその刑事を呼び、新川刑事が電話中に何者かに襲われたことを言った。
しかし、中年刑事は鼻でせせら笑い


「大丈夫ですよ。どうせ彼は、道で転んだだけなんですよ」


と言って肩をすくめた。
部下の身が危ないというのになんて言い草だっと思ったが、
僕はできるだけ落ち着き払った。
中年刑事は自分の席に戻りかけた。
おい!まだ話は終わってないゾ!
慌てて僕は彼を呼び止めて聞いた。


「あ、あのっ。伊藤の捜査はどうなっているのでしょうか?
出刃包丁の持ち主はわかりましたか?」


歩いていた中年刑事は立ち止まり後ろに振り向いた。


「引き続き捜査中です。
忙しいのでまたこちらからご連絡させていただきます。では」


と彼は素っ気ない返事をする。
自分の椅子に座り書類整理に入ってしまった。


(なんなんだ?態度わるいなあ。新川さんとは大違いだ)


僕は気分を害して警察署から出て行った。
クソー!日本の警察は何をしてるんだ!全く信用ならない!
新川さんの身に何が起きたのだろう?
もしかして、事件に巻き込まれたのでは?
頼りにならない警察だが、それでも僕は連絡を待ち続けていた。
しかし僕のスマホからは着信音が一切鳴らなかった。



12月24日の夜。
なんだか今日は胸騒ぎがする。
仕事が終わり自宅に向かっているところだ。
今日も警察から電話は来なかった。
深いため息をつき、アパートの鍵を開ける。
すると、ドアポケットに小さく折り畳んだ紙が入っていた。
資料室で見つけた時の脅迫状を思い出した。
もしや、犯人からの手紙では。
すぐさまドアを後ろ手で閉め、震える指で開いてみる。
その内容を読んで膝がおれてしまった。


“ マコトを誘拐した。
  すぐワンダー遊園地のメリーゴーランドの前まで来い。
  さもなくば女の命は無い ”


ワープロで打ち込んだ文字だ。
しかし、印刷紙から仄かに香水の匂いがした。嗅いだことあるような匂いだ。
ワンダー遊園地……メリーゴーランド……。マサカ……っ!?
僕は考えるよりも先に行動した。
会社の鞄を玄関に放り投げ、慌ててアパートから飛び出した。



ワンダー遊園地の営業時間は終わり、門は完全にしまっていた。
夜の静寂の中、僕は柵に爪先をかけて乗り越えようとした。
運動不足が祟ったため、上るのに苦労した。
やっと頂上まで上がり向こう側に跨いで降りることに成功した。
額の汗が滴り落ちる。
切符売り場もアトラクションも昼間と打って変わりひっそりとしている。
僕はメリーゴーランド目指してまっしぐらに走った。


「マコトーー!  マコトーー!」


白い息を吐いて大声で呼び続けた。
しかし返事は無い。僕の声が響き渡るだけだ。
よそ見して走ったらアトラクションの柵にぶち当たった。


「くっ………っ」


ミネ子と喧嘩してからマコトを避けるようになった。
態度が急に冷たくなった僕を見て、彼女はとても悲しそうな顔をしていた。
僕がずっとマコトの傍にいてあげれたら誘拐されずに済んだ。
資料室で脅迫状を見つけた時のことを思い出す。
伊藤に殴られて口の周りを血だらけにした彼女を見て僕は憤り、
泣き縋る彼女を見て愛しく思った。
体を張ってマコトを守り抜くと決めたハズなのに、
なんて自分は、身勝手で愚かな男なんだ。
怒りのあまりに拳で柵を殴った。
血だらけになるほど何度も殴り続けた。


「クソー!僕は最低な男だ!マコト。どうか無事でいてくれ!」

僕はまた走り出す。
絶叫マシーンを通り過ぎ、やっとメリーゴーランドが見えてきた。
心臓がバクバクして苦しい。
走るペースを弱めてベンチの横に手をかける。
背もたれを両手で持ったまま項垂れて呼吸を整えた。






(つづく)

後書き

未設定


作者:白河甚平
投稿日:2020/03/07 15:33
更新日:2020/03/07 15:33
『ナイフが朱に染まる』の著作権は、すべて作者 白河甚平様に属します。

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