作品ID:256
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Devil+Angel=Reo
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
第二部・第12話。
前の話 | 目次 | 次の話 |
――さぁ、アッラーフ。
お前が目覚めれば、世界はお前の手の中に。
そしてその強大な力を以って……悪魔を殲滅せよっ!
刹那の脳内で、聞き覚えある声が言葉を紡ぎ続ける。
「アッラーフ。恐れることはない。お前は唯一の神。
それを肩書きとして持っているお前は、世界を操る。
唯一神としての力を発揮せよ。
そして悪魔を殲滅することを使命として生きろ。
それがお前の存在意味であり、存在価値……!」
女性の声だった。
力強く、脳内に響き渡る。
「私は、スズナ・リーヴァント・フェリア。
アッラーフを導き、アッラーフの使命をサポートする者だ」
スズナ、と名乗ったその人は、どう考えても東洋の人間だった。
アジア系の顔。褐色のそれとは異なり真っ白な、しかし決して不健康なイメージが先に出るのではなく、綺麗、近寄りがたいといったイメージが来る真っ白な肌。
それにあわせたというわけではないだろうが、茶髪の髪。明るいブラウン。
髪には赤い、真紅のリボンがつけられ、それを見れば翼のことを思い出させる。
シャープな面立ちにつけられた目は、カラーコンタクトを入れているような、リボンとあわせた真紅。まるで、血を浴びたようなその赤に、刹那は身がこわばるのを感じる。
口元は笑みの形に、三日月の形につくられている。
それが。
スズナ・リーヴァント・フェリアの容姿だ。
スズナが着ている服は、見れば騎士服とも捉えられる。実際、彼女が着ているものは騎士服だ。
しかし、それを刹那がゆっくりと見る時間はなかった。
スズナの言葉がきれたとき、スズナは現実に戻されたからだ。
時計を見ると、既に18時を回っていた。
一度起きてから、二時間も経っていたらしい。
そのまま、ゆっくりと瞼が下りてきて、眠ろうとしたそのとき。
バンッ! と爆発音が聞こえてきて、目を見開く。
横たわっていたソファーから飛び起きて、爆発音の原因場所へと向かう。
そこでは。
自分の幼馴染であり、大事な人・紅來璃維が。
自分の親友であり、同じ天使である、鋼夜春袈が。
自分を「姉さん」と呼んでくれて、自分にベッタリな、ライナ・メロディスが。
自分の大事な妹であり、やけに璃維を敵視する、桐生媛が。
……この五人部屋に備え付けられた、システムキッチンに集まっていた。
そして私の登場に驚いたように、全員同じタイミングでこちらを振り向く。
それに、私が思わず笑ってしまう。
皆は、どこか居心地悪そうに顔をそむける。
その動作でさえ、タイミングが一緒で、さらに笑ってしまう。
このメンバーは何処か、変なところで合うのだ。タイミングが。
「ねえ、もしかして、さっきの爆発音は……それ?」
右手で口元を隠しながら、左手で爆発音の正体……電子レンジを指差す。
あたりには殻。卵の殻と思わしきものが散乱していた。
「あ、お姉ちゃん……起こしちゃった?」
「ううん。大丈夫。それより、皆怪我は?」
私の問いに「ない」と異口同音で答える。
それに微笑むと、右手を下ろし、レンジに歩み寄り、しゃがむ。
ゆっくりとした動作で卵の殻を拾っていく。
ある程度、左手に卵の殻が山になると、ガラス棚から出した底が深い皿に入れる。その作業が終わったら、布巾でレンジの周りと床を拭く。
それを見ていた皆は慌てたように、手伝おうとするが、キッチン自体が狭いため手伝うにも手伝えない状況。
何せ、このキッチンは長く狭く。横幅はあるが縦幅がないのだ。
「ほら。お掃除も終わったし。で、何をすればいいの?」
首をかしげて聞いてみる。
「えーと。夕食の準備を全くしてなかったから、準備しようと思ってライナに卵を温めるようお願いしたら……」
そこで顔を逸らす媛。ライナは慌てて、
「大体、僕、料理なんてしたことないんだよ!?」
「でも何でレンジに入れるのよ! 普通、行平鍋を使ってでしょー!?」
「……何、行平鍋って」
そのライナの言葉に、言い争いをしていた媛は頭からタライが落ちてきたような衝撃を受けたと、後に紅來璃維が遺した手記に書かれている。
「行平鍋ってあれよ。えーと。なんて言うんだっけ。そう! ひしゃく! ひしゃくの水受け部分の底が深い感じの鍋よ。ライナ」
媛がどう説明した方がいいものか、悩んでいるので代わりに私が説明してみる。
「ふーん。それに卵を入れるの? 姉さん」
「うーんと。私はお湯を入れて温めるかな」
「へぇー」
「それで沸騰してきたら、火を止めて少し待つ」
「うん」
「あとは、卵をひとつひとつ丁寧に殻を剥いていくだけだよ」
「分かったっ!」
私の説明を熱心に聞き、最後は嬉しそうに、説明どおりに卵を温めようとするが。
「ちょっと! ライナ、それフライパンじゃない!」
「え、これ行平鍋じゃないの?」
「違うでしょ! コレ、行平鍋は!」
ライナが間違えてフライパンをキッチンの下に備え付けられた棚から出し、それに媛が突っ込む。
「まあ、いいコンビよね」
笑いながら媛とライナを見て言う私に璃維と春袈は、笑顔で頷く。
ライナと媛を身ながら、2人の将来を考えてしまうほどだった。
まあ、言わないけど。
そんな幸せな時間を止めるように割って入ったのは、リビングにある固定電話だった。
お前が目覚めれば、世界はお前の手の中に。
そしてその強大な力を以って……悪魔を殲滅せよっ!
刹那の脳内で、聞き覚えある声が言葉を紡ぎ続ける。
「アッラーフ。恐れることはない。お前は唯一の神。
それを肩書きとして持っているお前は、世界を操る。
唯一神としての力を発揮せよ。
そして悪魔を殲滅することを使命として生きろ。
それがお前の存在意味であり、存在価値……!」
女性の声だった。
力強く、脳内に響き渡る。
「私は、スズナ・リーヴァント・フェリア。
アッラーフを導き、アッラーフの使命をサポートする者だ」
スズナ、と名乗ったその人は、どう考えても東洋の人間だった。
アジア系の顔。褐色のそれとは異なり真っ白な、しかし決して不健康なイメージが先に出るのではなく、綺麗、近寄りがたいといったイメージが来る真っ白な肌。
それにあわせたというわけではないだろうが、茶髪の髪。明るいブラウン。
髪には赤い、真紅のリボンがつけられ、それを見れば翼のことを思い出させる。
シャープな面立ちにつけられた目は、カラーコンタクトを入れているような、リボンとあわせた真紅。まるで、血を浴びたようなその赤に、刹那は身がこわばるのを感じる。
口元は笑みの形に、三日月の形につくられている。
それが。
スズナ・リーヴァント・フェリアの容姿だ。
スズナが着ている服は、見れば騎士服とも捉えられる。実際、彼女が着ているものは騎士服だ。
しかし、それを刹那がゆっくりと見る時間はなかった。
スズナの言葉がきれたとき、スズナは現実に戻されたからだ。
時計を見ると、既に18時を回っていた。
一度起きてから、二時間も経っていたらしい。
そのまま、ゆっくりと瞼が下りてきて、眠ろうとしたそのとき。
バンッ! と爆発音が聞こえてきて、目を見開く。
横たわっていたソファーから飛び起きて、爆発音の原因場所へと向かう。
そこでは。
自分の幼馴染であり、大事な人・紅來璃維が。
自分の親友であり、同じ天使である、鋼夜春袈が。
自分を「姉さん」と呼んでくれて、自分にベッタリな、ライナ・メロディスが。
自分の大事な妹であり、やけに璃維を敵視する、桐生媛が。
……この五人部屋に備え付けられた、システムキッチンに集まっていた。
そして私の登場に驚いたように、全員同じタイミングでこちらを振り向く。
それに、私が思わず笑ってしまう。
皆は、どこか居心地悪そうに顔をそむける。
その動作でさえ、タイミングが一緒で、さらに笑ってしまう。
このメンバーは何処か、変なところで合うのだ。タイミングが。
「ねえ、もしかして、さっきの爆発音は……それ?」
右手で口元を隠しながら、左手で爆発音の正体……電子レンジを指差す。
あたりには殻。卵の殻と思わしきものが散乱していた。
「あ、お姉ちゃん……起こしちゃった?」
「ううん。大丈夫。それより、皆怪我は?」
私の問いに「ない」と異口同音で答える。
それに微笑むと、右手を下ろし、レンジに歩み寄り、しゃがむ。
ゆっくりとした動作で卵の殻を拾っていく。
ある程度、左手に卵の殻が山になると、ガラス棚から出した底が深い皿に入れる。その作業が終わったら、布巾でレンジの周りと床を拭く。
それを見ていた皆は慌てたように、手伝おうとするが、キッチン自体が狭いため手伝うにも手伝えない状況。
何せ、このキッチンは長く狭く。横幅はあるが縦幅がないのだ。
「ほら。お掃除も終わったし。で、何をすればいいの?」
首をかしげて聞いてみる。
「えーと。夕食の準備を全くしてなかったから、準備しようと思ってライナに卵を温めるようお願いしたら……」
そこで顔を逸らす媛。ライナは慌てて、
「大体、僕、料理なんてしたことないんだよ!?」
「でも何でレンジに入れるのよ! 普通、行平鍋を使ってでしょー!?」
「……何、行平鍋って」
そのライナの言葉に、言い争いをしていた媛は頭からタライが落ちてきたような衝撃を受けたと、後に紅來璃維が遺した手記に書かれている。
「行平鍋ってあれよ。えーと。なんて言うんだっけ。そう! ひしゃく! ひしゃくの水受け部分の底が深い感じの鍋よ。ライナ」
媛がどう説明した方がいいものか、悩んでいるので代わりに私が説明してみる。
「ふーん。それに卵を入れるの? 姉さん」
「うーんと。私はお湯を入れて温めるかな」
「へぇー」
「それで沸騰してきたら、火を止めて少し待つ」
「うん」
「あとは、卵をひとつひとつ丁寧に殻を剥いていくだけだよ」
「分かったっ!」
私の説明を熱心に聞き、最後は嬉しそうに、説明どおりに卵を温めようとするが。
「ちょっと! ライナ、それフライパンじゃない!」
「え、これ行平鍋じゃないの?」
「違うでしょ! コレ、行平鍋は!」
ライナが間違えてフライパンをキッチンの下に備え付けられた棚から出し、それに媛が突っ込む。
「まあ、いいコンビよね」
笑いながら媛とライナを見て言う私に璃維と春袈は、笑顔で頷く。
ライナと媛を身ながら、2人の将来を考えてしまうほどだった。
まあ、言わないけど。
そんな幸せな時間を止めるように割って入ったのは、リビングにある固定電話だった。
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2010/07/30 12:12 更新日:2010/07/30 12:12 『Devil+Angel=Reo』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
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