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作品ID:404
「美少女は危険を連れて来る」へ

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美少女は危険を連れて来る

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


AM0:00

前の話 目次 次の話

 黒夜との話も大体終わってから俺、色彩四季は自分の家のベランダに出ていた。

 空には雲一つ無く三日に一度くらいの絶景だった。俺は時々こうして夜空を眺めるのが好きだった。

 こうしていると、何もかも忘れられる気がするのだ。

 ・・・実際は考え事で頭が一杯だったりする。

「どうするかな・・・」

 そんな事をぼやいて見ても何か起こるわけでも無い。

 無いのだが・・・

「どうすっかな・・・」

 ぼやかずには居られないと思う。

「・・・」

「・・・・・・」

「四季」

「・・・・・・・・・」

「四季?」

「・・・・・・・・・・・・」

「? 四季?」

 誰か呼んでいる気がするが、幻聴だろう。

 ビュン  ズダン!

 め・・・目の前を何かが横切った。

 ゆっくりと、極めてゆっっっくりと何かが飛んでいった方向を見る。

 刃物が突き刺さったような跡を発見!

 逆を振り返ると、

「私をシカトするとは良い度胸だな。四季」

 やさしく微笑む黒夜を発見!

「や、やぁ!黒夜、居たのか。ごめんボーっとしてて気づかなかった」

「いや、わたしはさっききたばかりだ。きにするな」

「そうかならなぜ台詞が棒読みなんだ?」

 黒夜がゆっくりと首をかしげた。

「どうしたのだしき? わたしはおこってなどいないぞ」

 こぇぇ! こぇぇよぉぉ!

 一か八か、隣をぽんぽんとたたく。

 黒夜は少しためらった後座った。

「四季、ここで何をしていたのだ?」

「別に何もしていない。ここで星を見ていたんだ」

「そうか。私も一緒に居ても良いか?」

「構わないぞ」

 それだけ言ってまた星に視線を戻す。





 それからしばらく経った。

「四季」

 黒夜が口を開いた。

「さっきはすまなかった」

「ああ、あれはびびった・・・」

「実験のせいもあって感情のコントロールが苦手なのだ」

 黒夜はそう言った。

「気にするなよ」

 そう言って黒夜のほうを見る。

 黒夜は空を見ている。とても幻想的だった。紺色の目には星の光が反射していて、きれいだった。

「四季」

「なんだ」

「ここで何もしていないと言うのは嘘だな」

「・・・」

「あらかたここで考え事をしていたのだろう?」

 正直図星だった。

「ぶっちゃけその通りだ」

「そうだろうな・・・」

 助けると豪語しても実際は不安だった。

 微妙な間が流れる。

 静寂の中、星と街灯だけが瞬いている。

 その静寂を破るように・・・

 ききぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!

 耳をつんざくような甲高い金属音が響いた。音の発生元は真下の道路からだった。

 急ブレーキをかけたと思われる車が一台あった。いかにも高級車ですと言わんばかりの車だった。

 ライトで照らされた道の先には、黒い点が一つあった。よく見ると黒猫のようだ。うずくまって動かない。

 現状の把握に成功、車があの黒猫を轢いたのだろう。

 バン! バン!

 車の運転手と思われる男とその連れだと思われる女が降りてきた。

「何だこいつ! ありえねぇ!」

 男が降りてくるなりそう言った。

「うわ! キモ! マジありえな!」

 女が猫を見てそう言った。

「畜生! 車へこんだし! 何だこれ?! うわ! 血だ!」

「あはは! がんばって?」

 猫を轢いた事に罪悪感を感じないのだろうか? 猫の心配よりも車の心配をしている。

「クソ! いきなり飛び出してきやがって!」

 男はそう言って、猫を蹴り上げた。

 猫は抵抗出来るはず無く蹴り飛ばされて、道の端っこに飛んでいく。

 その後男たちはうわ! 靴にも血がついた! あはは! などと大声でやり取りを交わした後車で去って行った。

 隣を見ると黒夜は無表情だった。

 他にも野次馬が沸いて来たが、何だ、猫が轢かれただけか。と言わんばかりに去って行った。

 また静寂・・・

 それからちょっと経ってから黒夜が・・・

「四季・・・あそこに行きたいのだが・・・」

「そうだな・・・」

 っと言ったので猫のところに行くことにした。







 近づくと猫は小さかった。まだ子猫だったのだろう。

 苦しそうに体が上下している事からまだ生きていそうだが・・・もう助からないだろう。

 黒夜が近づいて子猫を抱きかかえた。当然のようにぐったりしていた・・・

「四季・・・」

「どうした・・・」

 黒夜の声は今にも泣き出しそうな弱々しい物だった。

「どうして・・・生き物がこんな理不尽な目にあっているのに・・・誰も助けようとしないのであろうかか?」

 その言葉に俺は答える事が出来なかった・・・

「私は・・・どうすれば・・・」

 黒夜がこちらを見てきた・・・もう泣きそうだった。

「四季・・・目が・・・熱い・・・」

 黒夜は今にも泣きそうだったが泣かなかった・・・

「黒夜・・・涙は我慢してはだめだ」

「四季は・・・四季は悲しく無いのか?」

「悲しいさ、悲しいけど・・・涙が出ないんだ。あの日から・・・だから俺の分も泣いてくれ」

 そう言うと黒夜は猫を抱きしめて泣き始めた。

 そうだ・・・涙は我慢しちゃだめだ・・・

 俺は黒夜の頭を撫でた。その長い髪はとてもさらさらしていた。

 こいつが落ち着くまでこうして居るかな・・・

 





     涙は我慢したらだめだ。



     いつか本当に泣けなくなってしまう。俺みたいに・・・

後書き


作者:総 誉
投稿日:2010/10/12 20:51
更新日:2010/10/28 20:21
『美少女は危険を連れて来る』の著作権は、すべて作者 総 誉様に属します。

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