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作品ID:593
「ライト・ブリンガー II ?蒼壊?」へ

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遠藤 敬之 ■a10 ワーディルト 


ライト・ブリンガー II ?蒼壊?

小説の属性:ライトノベル / 現代ファンタジー / 感想希望 / 中級者 / R-15 / 連載中

前書き・紹介


第二部―トワイライト― 終章 「トリガー」

前の話 目次 次の話

 立ち上った蒼い輝きは、自分が纏う光と同じだった。

 力を使っていなくても分かる。

 あの力が放つ存在感は、父のものだと。

「父さん……?」

 携帯端末から聞こえてきたのは、カソウ・ヒカルの声だった。

 震える声で、父を呼ぶ。

 聞こえてはいないだろう。それでも、呼ばずにはいられなかった。

「お父さん、生きてたんだ……」

 嬉しそうな声で、シーナが呟く。

 純粋に、父の生存が嬉しいのだ。

 だが、ユウキは喜べなかった。

「君は本当にカソウ・ヒカルだと言うのか!」

 ノイズ混じりに、何者かの声が回線に割り込んだ。

 恐らくは、国際連合の重役か何かだろう。

「ああ、お前らが殺そうとした、英雄だよ」

 父の声は据わっていた。

「世界を滅ぼすとはどういうことだ!」

 別の男の声が問いを投げる。

「言葉通りの意味さ」

 映像が拡大され、クレーターの中央に立っているカソウ・ヒカルが見えた。

「俺は、十分譲歩してきた」

 その姿は、間違いなく父だった。

「それを無碍にしたのはお前らだ」

 蒼い光を纏ったヒカルは、ゆっくりとカメラの方へと向かってくる。

「同じ人間であるアウェイカーを受け入れることのできない文明など、滅んでしまえばいい」

 恐らく、ヒカルに協力するアウェイカーが近くにいるのだろう。

 回線に割り込んで会話ができているのも、そういったアウェイカーの力が働いているに違いない。

「何を言ってるのか分かっているのか!」

「分かっているさ」

 蒼く染まった瞳は、暗く冷たい光を湛えていた。

「賛同する者がいるなら、俺の下へ集え!」

 声を張り上げて、ヒカルは叫んだ。

「リユニオンの名の下に、俺は、世界に宣戦を布告する!」

 映像はそれを最後に途絶え、音声もノイズだけとなった。

 ユウキは、呆然とリゼの持ってきた端末を見ていた。

「ヒカル……本気なのか……?」

 震える声で、ダスクが呟く。

「本気です……」

 それに答えたのは、ユウキだった。

 部屋にいた全員がユウキを見る。

「父さん……自分のこと、俺、って、言ってたから……」

 カソウ・ヒカルは公の場では私という一人称を用いていた。家族の前や、友人知人と会話する時だけ、素の自分でいる時だけ、俺という一人称を使っていた。

 つまり、ヒカルの本音だということだ。

 誰もが言葉を失っていた。

 カソウ・ヒカルという世界最強のアウェイカーが世界を敵に回して戦いを始めようとしている。

 いや、もう引き金は引かれた。

 既にアメリカの首都は消滅している。

「リユニオン、と言っていたな」

 ライズが小さく呟く。

「……父さん、何で……!」

 悲痛なユウキの声が、静かに響いて、消えた。

後書き


作者:白銀
投稿日:2010/12/31 19:14
更新日:2010/12/31 19:14
『ライト・ブリンガー II ?蒼壊?』の著作権は、すべて作者 白銀様に属します。

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作品ID:593
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