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作品ID:863
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双魂の焔龍

小説の属性:ライトノベル / 異世界ファンタジー / 感想希望 / 中級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


第五章 「涙」

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 付近一帯は静かだった。

 戦いが終わっても、住民は恐れて戻ってこない。

 崩れ落ちた外壁の上に、フィオラ達はいた。

「奴らは一直線にこの方角に向かった。恐らく、この先にあの三人の潜伏場所がある」

 ヴィルノアの言葉に、皆が頷いた。

 リクシアを蘇らせたいレイヴァートにしてみれば、秘術書が手に入ったのならば直ぐに使用するはずだ。そう考えれば、真っ直ぐに潜伏地へと撤退したと考えるのが自然だ。

「事態は一刻を争う。直ぐにでも向かうぞ」

 ヴィルノアが魂を解放し、フェンリルに姿を変えた。獣人の状態ではなく、完全な獣へと姿を変えている。居合いを使うためには獣人の状態に留めなければならないが、単純に移動速度を考慮するならこちらの方が都合が良いのだ。完全にフェンリルの姿を取れば、魂が持つ力を全て引き出せる。敏捷性の高いフェンリルがその素早さを最も発揮できる状態になったのである。

 フィオラも身体をイクシオに預け、龍の姿を身に纏う。それを見たグライスが狼に姿を変える。

 イルゼも炎を身に纏い、フェニックスへと姿を変えた。

「イルゼ、お前は無理に来なくてもいいぞ?」

「いえ、行きます」

 ヴィルノアの言葉に、イルゼは首を横に振った。

 ここまで来ては引き下がれない。覚悟が決まらなくとも、戦わなければ後悔する。そう思ったからこそ、イルゼは首を縦には振らなかったのだ。

「雨が、降りそうだな……」

 小さく呟き、ヴィルノアは駆け出した。それに続いて他の者達も動き出す。

 曇り空は暗く、朝日が昇る時間になっても大地を照らそうとしない。その空を見上げ、ヴィルノアは過去を思い出していた。

 あの時も、同じような空が広がっていた。

 ヴィルノアを筆頭に、イクシオとレイヴァートの三人は秘術書の実験に立ち会っていた。イクシオの妹であり、レイヴァートと婚約していたリクシアも近くにいた。

 実験は失敗した。秘術書の解析は終了していたが、未完成の秘術だとは判断できなかったのだ。

 そして、失敗した秘術は周囲の者達を巻き込んだ。研究者達の半数以上が秘術の影響を受けて化け物と化し、暴れ始めた。ヴィルノア達は辛うじて影響を受けない位置にいたものの、リクシアは影響圏内にいた。完全に巻き込まれていなかったものの、彼女の自我はゆっくりと崩壊を始め、対組織も変化し始めていた。

 三人は魂を解放し、秘術の影響を受けた者達を薙ぎ払う。ただ、リクシアへの対処で三人は手を止めた。

 秘術の発動に失敗した時に生じる悪影響は様々だ。同時に、一定ではない悪影響への対処は難しい。一様な対処法はなく、リクシアを救う術は無かった。

 僅かに自我が残っているとはいえ、精神崩壊を止める手立てはなく、ただ死を待つしかない。精神的な影響が存在しているのであれば、精神、つまり魂への攻撃を応用すれば振り払えるかもしれない。その考えを二人に打ち明け、ヴィルノアは実行した。

 結果、ヴィルノアの渾身の一撃を受けたリクシアの魂は半壊した。身体は生きているが、二度と目を覚まさない状態となってしまったのである。

 暫くの間、リクシアの魂へ与えられたダメージを癒す術を探したが、見つからなかった。

 当時発見されたばかりの『蘇魂転生の呪』を除いては。

 無論、レイヴァートはその秘術書の使用を提案した。だが、完全に解析の済んでいない秘術書の使用は却下された。

 そして、レイヴァートはリクシアを連れてヴィルノアの前から姿を消した。それから、レイヴァートは各地で秘術書に関する資料を掻き集め始める。手段を選ばぬレイヴァートは賞金首とされ、グングニールに所属していた事実を隠すために『白虎』と呼ばれるようになる。

 ヴィルノアは後悔した。

 リクシアを助けようという考えがあったばかりに、彼女を殺せなかった。彼女が完全に死んでしまえば、レイヴァートは今のような行動は起こさなかっただろう。レイヴァートとリクシアのためを思ったが故に、悲劇を生んでしまった。

 その罪の意識が今でも消えない。

 だから、ヴィルノアは自分の手で決着をつけたかった。

「必ず、俺が止める……!」

 口の中で呟き、ヴィルノアは更に加速した。

 曇り空からは、雨が降り始めていた。



 *



 レイヴァートは洞窟からリクシアを抱き上げて外へと連れ出した。

 洞窟の前、開けた場所の地面に紋様が刻まれている。人間を一人寝かせた状態でもすっぽり入るぐらいの大きさの円が描かれ、その中に緻密な幾何学紋様が刻まれていた。円の外にも放射状に紋様が刻まれ、何箇所か小さな円が描かれている。その小さい円の中にも紋様が刻まれている。

 地面を彫って形作られた紋様の中には、複数の特殊鉱物と様々な薬草を調合して作り出した銀色の液体が注がれている。

 神秘的な紋様の中央にリクシアを横たえ、レイヴァートは魔方陣の外に出た。

 秘術書を手に、レイヴァートは外側の小円の中に正八面体の結晶を配置していく。

 グングニールから離れてからというもの、レイヴァートは秘術書に関する資料を集めた。全ては、自分の手で『蘇魂転生の呪』を発動するために。

 秘術書に用いられる古代文字を独学で習得し、魔方陣の描き方、それに必要となる品の収集を行った。秘術書によっては古代文字も多少異なってくるが、レイヴァートはできる限りの情報を集め、準備を重ねた。

 配置する結晶は高純度の希少鉱物だ。秘術書によって魔方陣や配置は変わるが、必ず一つは必要になる触媒のようなものらしい。

 レイヴァートは黙々と作業を進めていた。

 シアは洞窟の脇の壁に背を預けるように座っている。左腕を失い、右胸に重傷を負ったシアの応急処置はイグルが施した。並の人間なら致命傷だが、高位種族セイレーンの『ドライバー』であるシアならば助かるはずだ。

「白虎様は……?」

 荒い呼吸を隠そうともせず、俯いたままシアがイグルに尋ねた。首を動かすのも辛いようだ。

「秘術の準備を進めている」

 イグルは答え、視線をレイヴァートに向けた。

 秘術を発動するだけの知識をイグルは持っていない。秘術書も読めず、魔方陣を描く技術もない。今まではレイヴァートの指示で資料の収集や秘術に必要となる物品を取ってきたが、今回ばかりは何もできなかった。

 ただ、レイヴァートは秘術の発動まで自分でする事を望んでいる。ならば、イグルには敵が近付いた際に戦力となる以外に道はない。

「やっと、白虎様の望みが叶うのね……」

 シアが呟く。

 立っているイグルから俯いた彼女の表情は見えない。わざわざ見る気もない。

 イグルにとっては、レイヴァートに助けられた恩が返せるのならば何でも良い。命を救われたと同じぐらいの恩を返せるのなら、物事の善悪など関係なくレイヴァートに協力する。それがイグルにとってのけじめだ。

「そうもいかないらしいな」

 不意に、近付いてくる存在を感じた。

 遠くに炎の明かりが見えた。フェニックスだと直ぐ判ったのは、イグルの魂がそれを教えてくれたからだ。フェニックス、イルゼが来たとなれば、ヴィルノアやフィオラも当然いるはずだ。

「白虎、追っ手が来ます」

「大丈夫だ。着く頃には秘術を発動できる」

 作業の手を決して緩めず、レイヴァートは答える。

「足止めしますか?」

「いや、いい」

 イグルの提案を、レイヴァートは退けた。

「奴らにも秘術の発動を見せたい。今まで敵対していたとはいえ、古い知り合いだからな……」

 それに、とレイヴァートが続ける。

「リクシアが目を覚ませば戦う必要はなくなる」

 呟いたレイヴァートが優しい笑みを浮かべているのを、イグルは確かに見た。

 イクシオもヴィルノアも、秘術の失敗を恐れている。秘術が成功すれば、イクシオの妹であるリクシアは目を覚ます。そうなれば、秘術書を巡っての戦いも終わる。リクシアさえ目を覚ましてくれれば、レイヴァートの目的は達成されるのだ。秘術書も追わなくなり、ヴィルノア達と敵対する理由も消える。

「やっと、リクシアを起こしてあげられる」

 レイヴァートは目を細め、魔方陣の中央で眠っているリクシアを見つめた。

 曇り空からは、雨が降り始めていた。



 *



 フィオラがレイヴァートの下に辿り着いた時、既に秘術は発動し始めていた。

 魔方陣の溝に満たされた液体が光を放っている。光は魔方陣を浮かび上がらせ、中央に寝かされたリクシアを包み込んでいた。

「既に秘術は発動した。これからリクシアが蘇る」

 レイヴァートが振り返り、告げた。

 ドラグーンの魂を纏ったまま、イクシオは歯噛みした。間に合わなかった。

「秘術が完成されている事を祈るしかないな」

 ヴィルノアが呟く。

 魔方陣の周囲に配置された結晶が浮かび上がり、光を放つ。光に包まれた結晶が魔方陣の周囲に円を描くように動いた。周囲から魔方陣へと風が吹き込んでいく。

 光は徐々に増し、視界が光に覆われて行く。

 だが、何かが軋むような音が耳に入って来た。一度、二度、と軋みはほんの数回で消え去った。しかし、その直後、魔方陣の周囲を回転していた結晶の一つが砕け散った。

 金属同士が接触したような、澄んだ音を立てて結晶が砕け散る。

 レイヴァートが振り返り、砕け散った結晶に目を見張った。

 魔方陣の周囲を回転していた結晶が速度を落とす。徐々に罅が入り、やがてどれもが砕け散って行く。砕けた結晶の粒が魔方陣に吸い込まれ、消える。

 神秘的な光景に、しかしフィオラは不安を抱いていた。

 魔方陣の光がブレた。地面の溝から亀裂が延びている。亀裂へ流れ込んだ液体は光を放ち続けたままだ。流れ込んだ液体によって魔方陣の光が震える。

 一瞬、魔方陣が一際輝いた。

 衝撃波のような突風が周囲に巻き起こる。突風が過ぎ去った後、無風状態が数秒間続いた。

 不気味な沈黙だった。

 そして、魔方陣が崩れた。

 亀裂が一気に周囲へと伸び、光がうねる。空へと伸びていたはずの光が蛇のように曲がり、奇妙に動き回った。魔方陣へ向けて周囲から暴風が吹き荒れる。

 フィオラは息を呑んだ。心臓の鼓動が厭に大きく聞こえ、それ以外の音が遠ざかっていくような、妙な不安感があった。

「イクシオ! ねぇ、イクシオ!」

 不安感を拭い去ろうと、フィオラは今自分の身体を操っているイクシオに呼びかけた。

「ねぇ、これは成功なの?」

 返事は返ってこない。

 ただ、イクシオの中で様々な感情が膨れ上がって行くのを、フィオラは感じていた。怒り、諦め、哀しみ、渦巻く感情のいくつかを感じ取って、フィオラは答えを知った。

「失敗だ……」

 イクシオが答えた。

「やはり、未完成だったんだ……」

 悔しげな、それでいて辛そうな声だった。

「レイヴァート、発動を中止しろ」

「まだ終わってない。最後までやらなければ判らないだろ」

 イクシオの言葉に、レイヴァートが答える。

「その秘術は未完成なんだ。今まで俺達が見てきた、完成された秘術の時と違ってきている」

「これがこの秘術の失敗だという証拠はない」

 レイヴァートの言葉に、イクシオは拳を握り締めた。

 秘術という存在自体、まだ良く解明されていない。確かにレイヴァートの言う通り、一見失敗に見えるが成功しているという可能性もある。今までイクシオ達が見てきた秘術と同じような発動プロセスを踏むとは言い切れないのだから。

 だが、イクシオは何か禍々しいものを感じ始めていた。

「俺はリクシアが目を覚ますまで諦めない」

「なら、力ずくでも止めてやる!」

 ヴィルノアやイルゼ、グライスが動けないでいる中、イクシオは駆け出した。

「させん!」

 レイヴァートが秘術書をイグルへと放り、イクシオへと駆け出す。

 獣人ではなく、完全な白虎に姿を変えたレイヴァートが風を刃にしてイクシオへと放った。高電圧の雷撃を叩きつけて風を弾き、イクシオがレイヴァートへと飛び掛かる。

「何故お前は秘術を使ってリクシアを救おうとしない!」

 白虎の爪が龍の爪を受け止める。

「なら何のために秘術書が隠匿されていると思っているんだ!」

 イクシオの回し蹴りが白虎を弾き飛ばす。

「秘術とて、使うために作られたものだろう!」

 白虎の放った突風がイクシオを吹き飛ばした。

「それが自然の摂理を壊すから隠匿されていたんだろう!」

 龍が空へかざした手を振り下ろす。瞬間、白虎に落雷が直撃する。白虎の身体から風が巻き起こり、雷を振り払った。

「ならお前はあの時の事を納得しているのか!」

 白虎から放たれたかまいたちが龍の脇腹を浅く裂いた。

「あいつはもう死んだんだ!」

「まだ生きている!」

 大きく跳躍した白虎が龍に体当たりする。バランスを崩し、白虎ごと龍が地面に落下した。地面に叩き付けられても尚、二人は直ぐに飛び退いて距離を取る。

「リクシアを死んだ事にして、お前は逃げているだけだ!」

「お前はあいつが生きているという幻想にしがみついているだけだろう!」

 互いに声を張り上げ、言葉をぶつけ合う。

 秘術はまだ発動が終了していない。光をバックに、二人はまた地を蹴った。

「幻想だろうが、リクシアが目を覚ますのなら俺は何にだってしがみついてやる!」

 白虎が風の刃を振るう。

「だからといって他者を犠牲にして良い理由にはならないだろう!」

 龍が雷撃を帯びた腕で風を打ち払い、反撃の雷を落とす。

「いつもお前はそうやって話を逸らす!」

 白虎が雷をかわし、吼えた。

「他者の犠牲の上で生き返ってもあいつは喜ばないと言っているんだ!」

「例えそうだとしても、俺はリクシアに目を覚まして欲しいんだ!」

「そのために、妹の命すら捨てるのか、お前は!」

 イクシオの言葉に、フィオラの胸が痛んだ。

 恋人を救いたいが故に、レイヴァートはフィオラを殺そうとした。怨みがあるわけではない。ただ、それだけリクシアを愛しているのだと、逆に哀しくなった。事故に巻き込まれ、リクシアが昏睡しているのは理不尽だとは思う。だが、彼女を救うために他のものを全て切り捨てても良いとは思えない。

 しかし、フィオラの思いとは裏腹に、レイヴァートの決意は固いものだった。妹の声ならば届くかもしれないというのは安直な考えだったのかもしれない。イクシオに迷惑をかけてしまったという後悔の念もある。

 レイヴァートにとっては、隣にリクシアがいればそれでいいのだ。仮に、リクシアが目を覚ましたとして、レイヴァートが他者を巻き込んだという事実を嘆いても、それを一生引き摺ったりはしないだろう。生きてさえいれば、心の傷を癒す事もできるのだから。

「秘術が隠匿されて来たものなら、何故今生きる者達は秘術を使う?」

 レイヴァートが問う。

 過去に存在したという文明の遺産とされる秘術書を使い、今の文明は発展してきた。工業技術や科学技術は今も秘術の解析を元に発展している。

「自然の摂理を破壊するから封印されたというなら、何故秘術書から得た技術を使う?」

 レイヴァートの問いに、イクシオは答えなかった。いや、答えられなかったのかもしれない。

「何故、過去の文明は秘術書を抹消しなかった?」

 白虎が駆け出した。風を纏い、かまいたちを放ち、イクシオに迫る。

 大気すら歪ませる風をかわし、龍が紫電を放つ。散弾のようにばら撒かれた紫電を風で押し退け、白虎が爪を振るった。龍は雷撃を纏った爪を絡ませ、白虎に直接電流を流し込んだ。

 白虎が歯を食い縛り、龍を振り払う。同時に風の刃をイクシオの周りに生み出し、放出する。

「あえて残したんだ。いずれ必要な時が来ると判っていたんだ!」

 レイヴァートの声が響く。

「過去の文明が何で滅びたかも判っていないというのに、それが断言できるものか!」

 イクシオの身体が紫電を纏い、風刃を防いだ。

「どうしても、お前とは解り合えないんだな」

 白虎が言う。

 違う、とイクシオは答えなかった。イクシオには、レイヴァートの心情が痛いほど解る。何故なら、イクシオもまた想いを寄せる人を蘇らせようとしたのだから。そのために、フィオラを蘇らせるために、自分の肉体を失ったのだ。

 だが、レイヴァートは自分と相手が二人存在する状態を望んだ。リクシアを蘇らせても、レイヴァート自身が消えてしまえば意味がない。そう思ったのだ。

 イクシオが自分を犠牲にしてフィオラの魂を補ったと聞かされた時、フィオラの中には哀しみもあった。自分のせいで、という後悔だけではない。もうイクシオの顔が見れないのだと思うと、哀しかった。心で繋がっていても、どこか物足りなさを感じている自分がいる。確かにイクシオの存在を感じていても、何かが違った。

 だからこそ、レイヴァートはリクシアのために自己犠牲を選ばなかったのかもしれない。

「お前がその気なら、俺はお前を殺してでも秘術を止めるぞ、レイ!」

 声を低くして、イクシオが告げた。

 本気だと、フィオラには直ぐ解った。今まで、イクシオはレイヴァートを戦闘不能にして止めようとしていた。殺そうとまでは思っていなかったのだ。だが、それではもう無駄なのだとイクシオも感じたのだろう。彼を止めるためには、彼自身の存在を奪わなければならない。

 龍が翼をはためかせ、白虎に雷を落とす。同時に、その周囲に紫電をばら撒き、自分自身も突撃していた。

 雷をかわし、紫電を風で吹き飛ばした白虎へ、龍が爪を振り下ろす。龍に体当たりし、白虎が風の刃を放った。龍の右肩を風刃が掠める。龍はそれに構わず、白虎の首を脇に抱えると膝蹴りを胸に叩き込んだ。そのまま、歯を食いしばる白虎の背中に肘打ちを食らわせる。

 白虎が全身から風刃を繰り出す。だが、身体を切り裂かれても龍は白虎を放さない。紫電を纏い、執拗に攻撃する。

「うがぁああああぁっ!」

 白虎が咆哮し、風刃を大量に放出した。

 片翼が切断されて落下しても、龍は白虎を放さなかった。爪を白虎の脇腹に突き立て、電撃を流し込む。地面に叩き付けられた衝撃で腕の力が緩み、その瞬間に白虎が飛び退いた。

「お前とは命のやり取りをしたくはなかったがな……」

 レイヴァートの呟きに、イクシオは何も答えない。

 フィオラは寒気を覚えた。相手の言葉に何の反応も示さずに戦うのは、イクシオが本気の時だけだ。完全に敵を葬ると決めた時、イクシオは無口になる。精神を集中し、敵との戦いだけを意識する。

 白虎の姿が消失する。風を纏い、大気と一体化し、自分の姿を消すと同時に高速で移動する。白虎の持つ力だ。

 同時に、龍の姿も消えていた。全身に雷を纏い、電流と同じ速度で移動する。ドラグーンの持つ力の真髄だ。

 ほんの一秒にも満たない間に、龍と白虎が互いに攻撃を繰り出し、かわしている。龍の放った回し蹴りをかわした白虎が爪を突き出す。龍がそれを避け、雷撃を放つ。

 姿を消した白虎へ、龍が周囲に雷撃を撒き散らす。大気の濃い場所を避けるように流れる雷撃を読み、龍が白虎を捉える。雷光に包まれた龍の爪が分厚く圧縮された大気を切り裂いた。その向こうから白虎が風刃を放つ。電撃に乗って白虎の背後に一瞬で飛び、龍が爪を突き出した。

 振り返った白虎の右肩を龍の爪が貫いた。その直後には間髪入れずに繰り出された蹴りが白虎の顎に命中している。上空に打ち上げられた白虎に落雷が直撃し、地面に叩き付けられると同時に腹に龍の拳が突き込まれた。

 口から血を吐き出しながらも、白虎が目を見開いて風を練った。密度の増した風が龍の周囲の大気を圧縮し、動きを止める。そのまま龍を握り潰そうとする白虎へ、雷が落ちた。

 イクシオの戦闘中、フィオラは痛みを感じない。だが、イクシオの感じている肉体的な痛みは相当なもののはずだ。翼は魂の力が具現化しただけの部分だから肉体の欠損はしないが、それと同じだけの痛みは感じるのだ。生身の部分ではないため、身体がフィオラの支配下に戻った際に痛みはないのだが。

 龍が雷光を纏い、圧縮された大気を引き裂く。幾重にも圧縮空気を壁にする白虎へ、龍が凄まじい速度へ接近する。

 白虎が咆哮し、風の槍を放った。龍が叫び、雷光を放つ。

 二人の中央で攻撃が炸裂し、周囲に閃光を撒き散らした。龍は大量の風刃を身体に浴びて血を撒き散らしながら吹き飛び、白虎は雷撃で身体を焼かれて弾かれた。

 互いに倒れ、起き上がる。既に満身創痍だった。ただ、相手を睨み付ける眼だけが変わらない。強い意思を湛えたまま、相手を見据えている。

 白虎が駆け出し、龍が地を蹴った。

 レイヴァートが振るった爪をイクシオは飛び越えてかわし、回し蹴りを放つ。脇腹に蹴りを食らい、白虎が吹き飛ばされた。仰向けに寝転がった白虎の上に圧し掛かった龍が、喉目掛けて爪を振り上げる。

 そして、突き下ろそうとした瞬間だった。

「もう止めて!」

 フィオラは叫んだ。

 今まで、イクシオの戦闘に干渉した事はなかった。いくら叫んでも干渉できないと思っていた。だが、違った。

 イクシオが突き出した爪は白虎の喉元に突き付けられた状態で止まっていた。

「もう、これ以上戦わないで……!」

 フィオラが呟いた。

 いつの間にか、身体を包んでいた龍が消えていた。それを自覚した直後、フィオラの全身に激痛が走った。イクシオとフィオラの魂が入れ替わっていたのだ。

 本来の身体の持ち主であるフィオラの強い思いが、イクシオを押し退けた。フィオラが理解するまでに数秒を要した。

 衣服はぼろぼろで、至る所が裂けている。フィオラの身体にも、切り傷があった。腕や胸、脇腹や腹にも傷がある。どれも致命傷ではないが、痛みは強かった。

「レイ兄……。もう、いいでしょ?」

 フィオラの頬を涙が伝い落ちる。

 その背後で、魔方陣の光が収束し始めていた。



 *



 収束する光を見て、レイヴァートがフィオラを押し退けて立ち上がった。地面に尻餅をつくフィオラを他所に、レイヴァートは魔方陣の前へと歩いて行く。

「レイ兄!」

「恐らく、昔も同じ事があったんだ」

 フィオラの呼び掛けを無視して、レイヴァートが呟いた。

「昏睡した者を目覚めさせるため、この秘術は生まれたに違いない……。他の秘術もそうだ。必要とされたから生み出された」

 魔方陣の前に立ち、レイヴァートは収束する光を見つめている。

 風が吹いた。

 魔方陣を中心に、収束する光を追うように風が吹き込んでいく。周りの石や草木を吸い込み、光は更に収束する。暴風とも呼べる域に達した瞬間、光の内側から何かが飛び出した。

 闇色の蔓のようなものが地面に突き刺さる。蔓は大地の養分を吸い取るかのように脈打っている。

 レイヴァートが一歩踏み出した。

 収束を続ける光の向こうに、リクシアが立っていた。いや、足は地面に着いていない。浮いているという方が正しいだろう。僅かに手を広げた状態で浮かんでいるリクシアの眼は閉ざされている。

 その眼が、僅かに動いた気がした。

「リクシア……」

 レイヴァートが名を呼んだ。

 心の底から嬉しそうに、レイヴァートはリクシアへと一歩を踏み出す。

 瞬間、光の中から触手が飛び出した。レイヴァートへと真っ直ぐに向かう触手に、誰もが眼を見張った。

 刹那、レイヴァートは横に突き飛ばされて倒れていた。

「……お前、何で……!」

 グライスが震える声で呟いた。

 レイヴァートがいた場所に、シアが立っていた。胸の真ん中を触手に貫かれ、シアが口から血を吐き出す。

「尽くすという形の愛もあるのよ……」

 彼女の表情には笑みが浮かんでいた。嬉しそう、という表現が適切とすら思えるほどに、彼女の笑みは美しいものだった。

「白虎様……私、は……」

 口と傷口から血を流し、息も絶え絶えにシアが言葉を紡ぐ。

 苦痛を感じているだろうに、シアはそれを全く感じさせない表情を浮かべていた。それが余計に、見ているものの心に痛みを与えた。

 魔方陣から飛び出した新たな触手がシアの脇腹を貫く。彼女の身体が仰け反り、血が噴き出す。

「いつも、あなたを……」

 想っておりました、彼女の口は確かにそう動いた。だが、声は出なかった。

 そのまま魔方陣の中に引き込まれ、シアの身体が光に包まれて消失した。

「シア……」

 グライスが呆然と、その場に座り込んだ。

 フィオラは震えていた。震えが止まらなかった。得体の知れない恐怖を感じている。寒気が背筋を伝い、厭な汗が首筋に浮かぶ。歯がかちかちと音を立て、全身に力が入らない。立っているのがやっとだった。

「リクシア、眼を、開けてくれ……」

 起き上がったレイヴァートが呼びかける。

 直後、リクシアの瞼がゆっくりと持ち上がっていくのが見えた。小刻みに震える瞼がゆっくりと開き、奥にある瞳がレイヴァートへと向いた。

「れ……イ……」

 か細い声で、リクシアはレイヴァートを呼んだ。

「リクシア!」

 レイヴァートの眼から涙が溢れた。瞳を輝かせ、レイヴァートはリクシアにまた一歩近付いた。

「……だ、め……」

 その言葉に、レイヴァートの足が一瞬震え、止まる。

「こ、ない……で……」

「リクシア、どうしたんだ?」

 何かに縋るかのような困惑した表情を浮かべ、レイヴァートが問う。

「な、にか……が、わた、しの……中に……っ」

 途切れ途切れに、リクシアは懸命に言葉を紡ぐ。

「わ、たし……きえ、てしま……う……!」

 直後、収束しきった光が弾け、辺りに閃光放たれた。

 皆が眩しさに目を覆った。

 やがて、光が消えた時に皆の目に飛び込んできたものは、リクシアではなかった。魔方陣の上には奇怪で醜悪な化け物が存在していた。

 蛸のようにいくつも伸びた魚の尾びれが、軟体生物のように地面の上にへばり付いている。上半身は人のようにも見えるが、左右で均整が取れていなかった。腕は二つあるが、左肩は脇腹から伸びている。背骨も湾曲していた。背中から血肉でできた蔓のようなものが無数に生え、蠢いている。

 だが、何より不快なのは、その化け物の頭がリクシアに似ていた事だった。硬い鱗で覆われた皮膚には亀裂が走り、紫色の光が奥から覗いている。目は真っ赤に染まり、濁っている。瞳とそうでない部分の区別が着かないほどだった。

 誰もが息を呑んだ。

「そんな、リクシア……!」

 レイヴァートが呆然と呟いた。

「秘術は、失敗したんだ」

 ヴィルノアが苦々しげに告げた。

「オオオオオオ――!」

 化け物が叫び声をあげた。

 リクシアの声だ。だが、酷く耳障りな声だった。やっと彼女の声だと判別できるぐらいに声は濁り、ズレている。先程までリクシアが発していた声と、明らかに異質なものに聞こえた。単に、リクシアの声帯を媒体にして吐き出されただけなのかもしれない。

 それでも、リクシアを知る者の心を抉るには十分だった。

「フィオラ、大丈夫か?」

 イクシオが声をかける。だが、フィオラは答えられなかった。

 何も考えられなくなりそうだった。

「フィオラ、身体を貸してくれ……」

 イクシオの呼びかけに、フィオラは応じる余裕がなかった。

 彼の心中に強い怒りがある。フィオラはそれを感じ取っていた。

「フィオラ!」

「……どうして?」

 声に出さず、フィオラはイクシオに問いを放つ。

「なんで、秘術なんてあるの? どうして、イクシオはそこまで戦えるの? 何故、大切な人を殺そうとできるの?」

 溢れ出す疑問を、フィオラは全てイクシオにぶつけた。

 かつての親友だから止めたいと思うのは解る。だが、イクシオは本気でレイヴァートを殺そうとした。妹の婚約者でもあったというのに。

「言葉で説得できないから殺すなんて、正しいの?」

 レイヴァートがどれほど罪を重ねても、フィオラにとってはたった一人の兄だ。その存在に代えられるものなどあるはずがない。

 イクシオにとってもレイヴァートは同じだけの存在だったはずだ。だが、イクシオはレイヴァートを切り捨てようと本気を出した。親友だからなどと理由でそこまでできるものだろうか。

「俺には、その方法しか思いつかなかった」

 イクシオがぽつりと答えた。

 何度考えても、言葉で説得できなかった相手を止める方法が思い付かない。本当は、フィオラも同じだ。ただ、フィオラではなくイクシオが戦っているという事実が、彼女に自覚をさせなかっただけだ。

 言葉で説得できず、強大な力を持ったレイヴァートを止めるために、イクシオは彼を殺す道を選んだ。それを止めたのはフィオラだ。

「秘術書なんてなければ良かったのに……!」

 フィオラは呟いた。

 秘術書が存在していなかったなら、全ては丸く収まっていた。リクシアの魂が半壊するという事件すら起きなかったはずだ。

「それは違う」

 はっきりと、イクシオが告げた。

「俺達は秘術が存在した過去の上に生きている。秘術がなければ、俺達も存在しなかったかもしれない」

「その方が幸せだったかもしれないわよ?」

「俺は、フィオラに逢えて良かったと思っている」

「イクシオ……」

「過去に戻る事はできないんだ。俺達は、この世界で生きるしかない」

 古代に存在した秘術を否定すれば、今の世界が成り立たない。秘術がなければ、などと考えるのは現実逃避だ。目の前で起きた現実は覆せない。受け入れて生きて行くしかないのだから。

 一人座り込んだままのフィオラを他所に、戦いが始まっていた。

 ヴィルノアとグライスが化け物へと向かって駆け出す。

「リクシア……」

 震える足取りでレイヴァートがリクシアに歩み寄る。

 紅い目がレイヴァートに向かい、化け物が唸り声を上げた。化け物の背中で蠢く触手がレイヴァートへ向けて突き出される。

「白虎っ!」

 触手に貫かれる寸前に、魂を解放したイグルが白虎を抱えてその場から飛び退いた。

 フィオラの隣で白虎を下ろし、イグルが化け物に視線を向ける。

「白虎、あれは敵なのか?」

 イグルが問う。

 レイヴァートが望むのであれば、イグルは何でもする。同じだけの恩を返すその日まで。

 だが、今のリクシアは敵なのか判断できなかったのだ。レイヴァートの愛する女性が中核になっているのは間違いない。レイヴァートにしてみれば、リクシアを敵とは言えないだろう。だが、彼女はもうリクシアとは呼べないほどに変質してしまっている。レイヴァートにさえ攻撃を向けたのだ。

 ヴィルノアの刀が光の軌跡を描く。

 襲い掛かる触手の群れを一撃で斬り捨て、ヴィルノアが氷の槍を飛ばす。化け物の咆哮が氷を砕き、衝撃波をヴィルノアに叩き付ける。吹き飛ばされたヴィルノアへ触手が襲い掛かった。氷の壁で触手を押さえ込み、その間に体勢を整える。触手が氷壁を貫いたと同時に、ヴィルノアは刀に手をかけた。白銀の光が閃き、触手が切断される。

 獣人状態のグライスが鋭い爪で触手を相手に立ち回っていた。ヴィルノアと違い、触手の相手だけで精一杯のようだった。だが、それだけでも注意を引き付ける役には立っている。

「くっ……!」

 ヴィルノアが歯噛みした。

 フェンリルの素早さをもってしても、思うように接近できない。切断した触手は直ぐに復元され、その場から追撃を開始する。上手く飛び込めたとしても、化け物が衝撃波を放つ。触手を凌いで飛び込んでも衝撃波を受けて弾かれ、距離が開く。

 グライスが大きく跳躍して距離を取った。乱れた呼吸を整え、攻撃の隙を窺うが、中々踏み出せない。隙が見出せないのだ。

 化け物の身体から腕が生えた。その掌には穴が開いている。穴の開いた掌から高圧の水流が放たれ、ヴィルノアが跳び退る。

「まさか、この力は……!」

 ヴィルノアが目を見張った。

 衝撃波も、水流も、シアが持っていたセイレーンの力だ。つまりは、彼女の力を丸ごと吸収したというのだ。

「ぐぁっ!」

 放たれた衝撃波をかわし切れずにグライスが吹き飛んだ。

 水流を刀で切り裂いたヴィルノアへ、触手が突き出される。跳躍して逃れたヴィルノアに衝撃波が命中する。弾き飛ばされたヴィルノアが崖の岩肌に背中を打ち付けた。

 紅い目がフィオラ達に向けられる。

「フィオラ、代われ!」

 イクシオが叫んだ。

 感情が何であれ、膨れ上がった思いがイクシオとの交代を拒んでいた。それは意識してのものではない。フィオラの無意識が戦闘を拒んでいるだけだ。身体の持ち主であるフィオラの意思は、イクシオのものより強い。

「イヤ、こんなの、イヤ……!」

 首を横に振り、フィオラは震える身体を抱いた。

 震えが止まらない。化け物の存在に恐怖を感じていた。今まで、これほどまでに怖いと感じた存在はなかった。知人、それも兄の婚約者でありイクシオの妹である女性が化け物になってしまった。息が詰まりそうだった。胸が苦しい。

 化け物の身体が紫色の光を帯びる。暴風が吹き荒れ、凄まじいまでのエネルギーが集約していく。暗い紫色の禍々しい光が化け物の目の前に集約する。

「フィオラ!」

 次に聞こえた声は、イクシオのものではなかった。

 放たれた光とフィオラの間に、イルゼが割り込んだ。

「ああああああああああ――っ!」

 突き出した掌から炎が吹き上がり、紫の光を押し留める。

 まるで大津波のようにすら見える紫の閃光を、イルゼは押し留めていた。イルゼの両腕から湧き出し続ける炎が光を受け止めている。腹の底から咆哮し、腕を閃光の中へと食い込ませる。

「ぐぅぅぅうっ、があああああああっ!」

 イルゼが大きく一歩を踏み込み、力任せに腕を左右に開いた。

 紫色の閃光が中央から引き裂かれ、左右へと軌道を変えた。莫大なエネルギーが左右に裂け、一報は岩壁に、一報は地面を削り、轟音と爆発を残して消失した。

 開いた両腕と頭を力なく垂らし、イルゼは荒い息を吐いた。イルゼの首筋や額にはびっしりと汗の粒が噴き出している。

「お前……」

 イグルは驚愕に目を見開いていた。

 先程の閃光は純粋なエネルギー、破壊力の塊だ。いくらフェニックスの力があったとしてもそう簡単に防げるものではない。いや、そもそも純粋な破壊力の本流を防ぎ、凌ごうという考え自体が無謀だ。あの攻撃は、避けるべきものだ。そうでなければ、防いだとしても極度の疲労に見舞われる。

「こいつを、守るために……?」

 イグルがフィオラに視線を向けた。

 フィオラは、イルゼの背中を見ていた。いつも、イルゼはフィオラのために無茶をする。

「……フィオラを、狙ったな?」

 流れる汗も拭わず、イルゼが顔を上げた。

 その目つきに、誰もが息を呑んだ。今までのイルゼの優しげな視線とは違う、敵意に満ちた瞳があった。

後書き


作者:白銀
投稿日:2011/08/31 00:54
更新日:2011/08/31 00:54
『双魂の焔龍』の著作権は、すべて作者 白銀様に属します。

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作品ID:863
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