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レッド・プロファイル

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中

前書き・紹介


ノイズ

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――おはよう、伏目君。



――先に言っておくけど、言い重ねておくけど、コレはノイズのようなものだから。



――ここは文芸部の部室、放課後の部活時間、君は代見伏目で私は文芸部の部長。何時かの日を下敷きにしたノイズで、あくまでノイズだ。



――実際の人物事情感情には一切関係ないノイズだからね。



――幕間、とも言えるかな。うん、いい考えだ。章ごとの区切りにはこいつを挟むことにしよう。今決めた。



――今、といっても、ノイズだから、時間軸はあってなきなものなんだけど。



――なんだね、狐に包まれたような顔をして。それが先輩に向ける顔かい?



――言ってることがわからない? そりゃあそうだね、先輩だからね。



――学生にとって先輩なんてのは理解不能の固まりみたいなもんだろう。理不尽と無理解が間に横たわった永遠の他人だよ。



――おや、今度は悲しそうな顔だ。やめたまえよ、私まで悲しくなるだろう。



――心配しなくてよろしい。これはノイズのようなものだし、いかさまありきたりな台詞だが、私は私だが私じゃない。君たちが登場人物なら、今の私はさしずめ舞台装置としてここに居るんだ。



――この私は登場人物としての私に一切関係ない。断言しておこう。



――おかげでデウスエクスマキナよろしく知った口を叩けるのだけどね。



――さ、そろそろ思わせぶりで迂遠な説明をして、読者をうんざりさせるのも止めにしよう。言ったろう? 何時かの日常が下敷きだと。そろそろきちんと、思わせぶりで迂遠で、かつ意味も伏線もない、たわいない話をしないとね。



――私は今まさに、部室の扉をくぐってやってきて、先客の君と顔をあわせているわけだけど。



――おはよう。うん。君の挨拶はいつだって気持ちがいいな。



――入部してなかなか経ったけど、慣れたかな? 部室には慣れたみたいだね、すっかりくつろいで。



――しかしなんで文芸部にソファーがあるんだろうね。一体いつの先輩がどこからかっぱらってきたのやら。



――ああ、立たなくていいよ。このソファーなら詰めなくても、二人くらい座れるだろ。



――君が嫌じゃなければ、だけどね。



――そうかい? じゃあ遠慮して。



――いや、何時の先輩の仕業にしても、このソファーはいいものだな。眠たくなっちゃう。



――で、すっかりくつろいでいた代見君はいったい何を読んでいたのかな? 流行り物? 話が合うといいけど。



――新刊のニュートンか。いや、いいんだ。別に文芸部だからって文芸書しか読んじゃいけないわけじゃないよ。



――ライトノベルとかもどんどん読みなさい。文字ならいいよ。漫画はばれるとまずいから、キチンとカバーをかけてくるように。



――読まない。ふぅん、珍しいね、若者なのにさ。そういえば言ってたね。フィクションは嫌い、だっけ?



――嫌い、というのはいけない。苦手、と言いなさい。角が立たないから。



――何に義理だててるのか、私にもわからないけど。



――で、君はニュートンを読んでるわけだ。あの高名な科学雑誌ニュートンを斜め読みしちゃってるわけだ。ヒュー。かっこいい。憧れちゃうね。文系人間としては。



――ま、確かにこの上なくノンフィクションな本だろうしね。



――物理はいいね。いいもんだ。



――うん、この世に文字と物語がなかったら、私は物理学者になってたかもしれない。



――ルールだからね。



――安心するじゃない。分子と原子はルールに従って運動する。それが明確に示される。



――エラーもないみたいだし。



――惑星が軌道を持って運動するのと同じくらい、私たちの日常は規則的に運動するんだよね。



――世間じゃ間違いが起こるけど、世界は間違いを起こさない。安心だ。



――うん? なんだい、今度は変な顔をして。



――文字がなかったら物理学者は居ないと思う?



――うん、まぁ。



――そうだね。



――いや、いいんだ。私はジョークを良くはずすから。



――まぁ、ともかくだ。私は私で時間を潰すから、そのニュートン、読み終わったら貸してよ。



――その真っ赤っかな表紙は目を引くからね。目に付いた本は読む主義だから。



――うん、ありがとう。楽しみに待ってるよ。



――時間、どうやって潰そうかな。



――昼寝でもしようかしらん。



――へんなことしちゃ、ヤだよ? 代見君。



――おとなしく、その世界のルールブックを熟読していなさい。



――真っ赤っか、赤色、か。



――私は夢の中で、あの赤い一年生について考えることにしよう。



――たぶん、今後重要な人物になるはずだ。



――この世界がフィクションで、そしてノイズが取り払われたとき、彼女はきっと。





――とてもとても、重要な人物になるはずだよ。



――たとえば、推理物の犯人、だとか、ね。



――なんて。



――これは、ノイズだから。



――真に受けちゃいけない。



――おやすみ。

後書き


作者:あるるかん
投稿日:2011/11/11 08:00
更新日:2011/11/11 08:00
『レッド・プロファイル』の著作権は、すべて作者 あるるかん様に属します。

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