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二次作品議論・研究部活動記録

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 連載中

前書き・紹介


一話:乱咲桜と出会うまで

目次 次の話

      集会

 それは等しく学生が面倒だと思う物だと思う。少なくとも、俺……鳳仙花露木(ほうせんかつゆき)は面倒で仕方ないと思っている側だ。

 そしてこの集会は俺が高校生になってもなくなりはしなかった。

 朝学校につくとすぐに廊下に並ばされ、体育館に移動する。そして、体育館についてから全員がそろうまで待たされる。あまりにもヒマすぎて雑談なんかをしてると先生に説教を食らう原因になるのでそこはぐっとこらえてただひたすらに待ち続ける。そして、先生が壇上に上がっては連絡事項を伝えて、最後に特に必要もない話を始める。無駄に「えー」が多いことで評判の校長先生の話を聞き流す。そして話が終わったらこの退屈極まりない時間から解放される。

「おーい! ちょっと待てや露木! つぅぅぅゆぅぅぅきぃぃぃぃいいいい!!!」

 教室へ戻る途中に後ろから友人が俺を呼ぶ声が聞こえた。が、しかしあえてスルー。

「………オイオイ無視たぁひでぇじゃねぇのかオイ」

 しかしすぐ隣まで来られてしまい無視出来なくなってしまった。

「なんだよ零無(ぜろむ)」

 この妙に柄が悪いのは悪砂零無(あくさぜろむ)という。小学校のころからずっとクラスが一緒というまさに腐れ縁というやつである。そして妙に柄が悪いが別に不良と言うわけでもなく、逆に荒事は嫌いなタイプの人間である。余談であるが運動神経が良い。中学の際は弓道部だったがなぜかサッカーで有名な高校からスカウトが来たらしい(なぜか蹴って俺と同じ高校に来たが)

「そんな露骨に嫌そうな顔すんなよ。俺とお前の仲だろう?」

「ノーコメント……っで? 何の用だ?」

 すると零無は制服のポケットから折りたたまれたプリントを取り出して見せてきた。

「さっきの集会で配られたプリントじゃないか」

 内容は部活についてだった。俺たちが入学してから2日……そして三日目である明日から部活の見学が開始する。

「せっかくだから各部活荒らしに行こうぜ!」

「荒らしにって……悪いけど俺は普通に見学していくからな。なんか変なことし始めたら即他人のふりするからな」

「そりゃあねぇぜとっつぁん」

「誰がとっつぁんだ……」

 と、くだらないやり取りをしながら自分も配られたプリントを取り出して眺める。各部活の紹介されているプリントは最初の方は実績のある部活がでかでかと乗っている。

「ん?」

 そして最後の方に申し訳程度に載っていた部活…っと言うには規模が小さい。部員数二人と言うその部活は俺の興味を引いた。隣の零無が俺の様子に気づいて覗き込んでくる。

「二次作品研究・議論部? ああ、お前ラノベとか好きだもんな」

「まぁな」

 活動内容は二次作品について部員で議論したり云々……部員数二人でこの活動は実現できているのか?

「そこにするのか?」

「いや……とりあえず全部活回って決めるさ」

 いくら俺がそっちの道に知識があっても、やはりすぐには決められない。

「お! 俺と一緒に部活荒らし回る決心がついたか!」

「お前とは別行動させてもらいたいのだが?」

「別行動宣言!?」

 部活見学は明日からだ。零無のお守りをしなきゃいけないと思うと、今から疲れるがそれ以上に楽しみに思っている自分も居た。





















            翌日



「うっしゃ露木! 行くぞ! 戦乱の世が俺を呼んでる!」

「どこに行く気だお前は!」

 結局、俺は零無と一緒に部活を見学して回ることになった。

「まずどこからつぶしていこうか?」

「つぶしはしねぇよ! 見学するだけだよ! まったく……」

「ジョークだ。ふむ……サッカー部あたりから行くか」

「そうだな」

 零無の提案により、サッカー部へ向かった。





















 グラウンドに出てサッカー部が練習しているところにたどりついた瞬間零無は練習の輪に飛び込んで行った。俺は早速他人の振りをして遠目に眺めることにした。

 零無は何やら部長らしい人物と交渉していた。そして5分ほどで話がまとまったらしく離れていく二人、部長さんはそのまま11人集めてフィールドに立つ。

「見学者VSサッカー部レギュラー戦でもやるのか……?」

 しかし、零無サイドはいつまでたっても零無のみだった。そして零無VSサッカー部レギュラーの試合が始まった。

「……アホかアイツ」

 零無の先行で試合が始まった。

 ボールを蹴りあげてリフティングし始める零無。レギュラーチームはそれを眺めて動かない。零無は名門校からスカウトが来るほど運動神経が良い。

「ちぇぇぇぇぇぇすとぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!」

 ボールを蹴りあげてから奇妙な叫び声と共にボレーシュートを放つ零無……もちろん入るはずが………



         ボスッ! しゅるるるるる!



 …あるのである。唖然とするレギュラーチームを尻目にドヤ顔でゴール前に戻る零無。まるで少○サッカーの世界に迷い込んだような気分だろうな先輩達…。

 伊達に弓道部所属なのにサッカーの名門校からお誘いが来てはいない。彼はスポーツと名のつくものならもうゲームバランスが崩壊するほどの才能を持つのだ。

 そこからは零無の独壇場だった。先輩方が懸命に放つシュートはすべて零無に阻まれ、また零無がゴールから放つシュートは敵陣のゴールのネットを100%揺らす。かくして零無によるワンサイドゲームが幕を閉じた。

「ヒュー……いい汗かいた」

「いい汗かいたじゃねぇよ!」

 いい笑顔で戻って来た零無の頭を思いっきり叩いた。

「いってぇなオイ! なにすんだごらぁ!」

「お前アレを見ろ! いい年した先輩方がグラウンドで体育座りして微動だにしないじゃないか!」

「見えねぇな! 弱者など我が眼中に「黙れさっさと立ち直らせて来い!」ういー」

 しぶしぶとグラウンドに戻っていく零無を見送る。零無は各先輩方に話かけて回って………帰ってきた。これまたいい笑顔で……。

「ふー……いい仕事したぁ……」

 やりきった感満載のいい笑顔、その背景は地面に突っ伏した先輩方……どんなえげつない追い打ちをかけたんだコイツ……。

「もういいや……次行こう」

「おう!」

 先輩達が再び二足歩行出来るのが近いことを祈りながらいい笑顔の零無を引き連れてその場を後にした。





















 その後も屋外屋内問わず零無と共に運動部を主に回った。俺らが立ち去った後に残るのは地面にひれ伏す先輩方……これ俺のせいなんだろうか?

 その後はまったりとつまらなそうな顔した零無を引き連れて文化系の部活を回っていた。そして今は女子率が高い吹奏楽部に居た。

「あははははは! 面白いね君」

「何が面白いんだ……露木、理解出来るか?」

「お前の顔が笑えるんだよきっと」

 最初零無におびえていた先輩方だったが、誤解が解けた途端にそのギャップに大爆笑している先輩方と顔をしかめた零無の組み合わせを生暖かい目で見守っていた。

「顔って、お前……俺の顔おかしいっすかね?」

「あはははは! あはははははははははは!」

「…どうすれば良いんだ?」

 っと、虚ろな目でこちらを見る零無。先輩達はもはや壊れた笑い袋のような状態になってしまっている。

「そうだな……そろそろ次行くか」

「実に助かるな」

「そうか…じゃあ、俺たちここら辺で失礼しますね」

「あ、次はどこの予定?」

 部長さんに聞かれて答える。

「あと残ってるのは二次作品研究・議論部だっけか?」

 零無が言った途端に先輩達の笑い声がぴたりと止まった。

「零無の言う通り、次はそこの予定ですけど」

 すると部長さんが真面目な顔で俺の肩を掴んでこう言った。

「いい? この高校で生活するにあたってこれだけは覚えておいて」

「は……はい」

 鬼も逃げ出すような表情で言葉を紡ぐ先輩に思わずうなずいていた。

「乱咲桜(みだれざきさくら)にだけは近づいちゃダメ」

「乱咲桜? 誰ですか…?」

「いいから! これを守らなかったら」

「守らなかったら……?」

 ほぼ本能で聞き返していた。

「あなたの学園生活の3年間…平安は無いわよ」

 部長さんの目が冗談ではないことを物語っていた。





















「で? 結局行くのか?」

 吹奏楽部の部室を出てすぐに零無が俺に聞いてきた。

「正直迷ってるが……どうせなら行ってみようと思う。なんかあそこまで言われると逆に気になる」

「そうか……わりぃけど俺はパスだ。本能が『行くな! そっちは危険だ!』と警告してるのでな」

 本能って……同族サーチでもくっついてるのか?

「お前今すごい失礼なこと考えたな……?」

「俺の思考を読むな!」

「考えてたのかよ!? ったく、俺は帰る。まぁ、一応待っててはやるが俺は気が短いからな。それを考慮しておけ」

 そう言って昇降口に向かって行く友人に俺はこう言った。

「了解。なぁに、すぐ済ませて帰って来るさ」

「お前この状況でその発言は流石にやばいと思うぜ?」

「俺は死なないさ……言い残したことがあるからな……」

「いっそ清々しいほどの死亡フラグだな。わりぃけど俺は伝言とか受け付けてねぇからな……じゃあな」

 そう言い残して去っていく零無を見送り、俺も二次研の元へ向かった。





















 目の前には雑な字で二次研と書かれた紙が貼ってある扉の前に居た。気の短い友人をあまり待たせないようにと速足で移動したためすぐ着いた。

「ここか……例の問題児の巣は…」

 一つ深呼吸してドアを開け放った……

「うりゃぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

「てりゃぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 …瞬間に鼓膜を消し飛ばしかねない勢いの叫び声×2

 開けたドアの向こう側はなぜか全力で絶叫しながらお互いガン飛ばしあう二人の女生徒が居た。この時期で部活動(活動しているのか果てしなく謎だが)しているということは先輩方だろう。

 片方は長い髪をアップでまとめたポニーテイルで、身長は目測なので不確定だが女子の平均からするとちょい高めなラインあたり。こちら側からちょうど顔が見えるのだがどうやら向こうはこの謎の戦い(?)に夢中でこちらに気付かない。どこか知性的な雰囲気で、間違いなくクラス委員長を決める際に候補に上げられてしまいそうなイメージの持ち主だった。

 もう片方は肩にかかるかどうかのショートヘアで身長は平均より少し……どころか高校生なのか疑うほど小さかった。こちら側からは顔が見えずとりあえず小さいということ以外分からなかった。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 なんなんだこの状況………。混乱しながらもとりあえず扉を閉めて廊下のど真ん中で頭を抱える。

「俺は何を……いや、俺は何も見てないし聞いてないしそもそもここはどこだ? 知らない間に俺は迷子になったみたいだな……。よしOKだ! 俺は何も知らない!」

 そうと決まれば後はもう気の短い友人の元へ向かうだけだ。立ち上がって昇降口を目指そうとしたその時、後ろからガララっと言う扉を開ける音が!

「あ、ほんとに居た! 君! 見学でしょ!? ようこそ二次研へ!」

 次の瞬間俺はその場から脱兎の如く逃げ出していた。理由? 身の危険を感じた、それ以上もそれ以下も無い。本能が全力で逃げろと言っている。

「ちょ! こら待てぇぇぇぇええええ! なんで逃げるんじゃぁぁぁぁああああああああ!!!」 

 待てといわれて待つわけもなく猛ダッシュで廊下を駆け抜ける俺! 背後から聞こえる「待てー!」だの「逃がすかー!」といった叫び声を一切無視して廊下を全速力で駆け抜ける。

「アンタ顔覚えたからなーー! アタシから逃げられると思うんじゃないわよぉぉぉおおおおおお!!!」

 不吉な言葉最後に途絶える足音に安心しそうになるが、念のためさらに俺はしばらく走った。気が付くと俺は昇降口に居た。

「ハァ……ハァ……帰るか……」

 かくして俺の部活見学は幕を閉じた(そして零無は昇降口に居なかった。どんだけ気が短いんだアイツ)





















 翌日俺はいつも通りに零無と登校していた。他にも登校中の姓とは居るが、何故か俺らの周りだけやけに生徒が少ない。

「ところで零無」

「なんだ?」

 零無は不機嫌そうな顔でこっちへ向いた。10人中8人ぐらいはビビるだろうなぁ、とか思いながら会話を続ける。

 ちなみに俺らの周りに生徒が少ないのは十中八九零無の不機嫌顔のせいである。別に機嫌が悪いわけではなく、寝起きの零無はいつもこんな感じである。

「昨日運動部片っ端から運動部を荒らし回ったが……大丈夫なのか?」

「? 質問の意味が分からねぇよ」

「お前スカウト蹴ってこっち来てるんだろ? 運動部に所属するのが面倒とかって落ちだとは思うが」

「ご明察……確かに昨日は調子に乗りすぎたな」

「自業自得だ」

 きっとこれからしばらく、もしくは高校生活の間ずっと顧問の先生や先輩達から熱烈なアプローチを受けることになるだろう。

「すべてはお前がちゃんと俺を止めなかったせいだ!」

「俺のせいかよ!?」

 などといつものようにくだらないやり取りをしている間に学校の門が見え……



        …その門のド真ん中に仁王立ちする一人の女生徒が居た。



  肩にかかるかどうかというショートヘアに高校生とは思えない身長……間違いなく昨日二次作品研究・議論部の部室に居た二人組のほうの片方だ。意地の悪そうな釣り目を威嚇するように細めて登校中の生徒の顔を見ている。この門を通る生徒はおびえながら門の端っこの方を通っている。

「何モンだアイツ……尋常ならざる者のオーラを感じる」

 零無がつぶやいた。確かに背景はオーラは似合うような見事な仁王立ち……。

「野郎……出来るな……!」

「いや! 女子だから!」

「お前なんで知ってんだよ!? つーか男だろアレ!?」

 言われてみれば男に見えなくもない。言って良いことと悪いことはあるだろうが……お世辞にも発育は良いと言えない残念な(以下略)

「制服よく見てみろ零無! 女子制服だろうが!」

「なにぃ!? あ、マジだ」

「なんで気が付かないんだよ!?」

「盲点だったぜ」

 どんだけ視野狭いんだコイツ……。

「オイオイ……なんかすっごいこっちガン飛ばしてるんだけど?」

「気にするな……俺らも端っこから突破を試みよう」

 ほかの生徒同様に端っこを通りぬける。めっちゃこっち見てくるちっこい先輩をがんばって無視して校門を通り抜ける。このまま何事もなかったかのように教室にたどりつけると思ったが……

「そこの二人! 止まりなさい!」

 …そうは問屋が卸してくれなかった。そしてこの女子でも頑張らないと出せないようなロリ声は十中八九昨日俺と校内鬼ごっこした人物で間違いなかった。零無とともにゆっくり振り返るとそこには校門で仁王立ちしていたちっこい先輩さんが居た。

「そっちのでっかい方、アンタ昨日アタシの部活見学に来たでしょ?」

「先輩の部活ですか? まず先輩の部活ってなんでしょうか?」

 零無は俺より身長が低いのででっかい方とは俺のことだろうなと思いながらどういい逃れるかを考える。とりあえず零無に目配せするといい笑顔でサムズアップを返してきた。実に心強いがもうちょっと別の合図は無かったのか?

「なんなのよあんたら……まぁ、アタシの部活ってのは二次作品研究・議論部……通称二次研って言うんだけど? 心当たりない?」

「いいえ、昨日はコイツとまっすぐ帰りました。なぁ?」

 ちらっと零無に流し目を送る。零無は俺の流し目を受けてうなずき、ゆっくりと息を吸って……。

「コイツは昨日二次研へ行きました」

「オイィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!」

 先ほどの流し目からたったの一秒の出来事だった。さっきのサムズアップはなんだったのかと聞きたくなるほど速攻で売られた。

「素直な良いお友達じゃない」

「どこがですか!?」

「HAHAHAHAHAHAHAHA」

 高笑いする零無に殺意を覚えながらも、もう逃げられないとあきらめる自分も居た。

「さぁて、そっちの……名前は?」

「鳳仙花露木です」

「露木ね。覚えたわ」

 するとちっこい先輩はおもむろに俺の襟首を掴んで引っ張る。

「ちょっと先輩! どこに連れて行くんですか! ってか、自分で歩けますから放してください!」

「ダメ、どうせ話したら逃げるだろうから」

 そしてこっちに振り返って、唇に人差し指を当ててこういった。

「目的地は……秘密♪」

 嫌な予感しかしなかった。抵抗虚しく引きずられていく俺を零無はドナドナを歌いながら見送ってくれた……後で絶対シメる。





















「さぁ! 着いたわよ!」

 着いた場所は予想のド真中……絶対に近づくなと言われた二次研の部室だった。ちっこい先輩は扉を開けて俺を引きずったまま部室へ入っていく、中には先客が一名居た。昨日のポニーテイルの人で、書店の紙製のカバーが付いた文庫本を読んでいた。

「おっはよー! 見なさい! 新入部員よ!」

「誰も入部するなんて一言も言ってないですけどね……」

 なんかすでに入部が決まっているようだった。

「誘拐は立派な犯罪だぞ」

 どうやらこちらのちらっと見ただけで状況を察したらしい。その声は凛としたよく通る声だった。

「誘拐じゃないわよ! 任意同行と言う名の強制連行よ!」

 普通に誘拐だった。ポニテの先輩はゆっくりと深くため息をついて、文庫本を閉じてこっちを見た。

「まったく……『部室で待ってなさい!』とか言うメールが来てたから待ってたら……まさか犯罪に巻き込まれるなんて思わなかったぞ」

「アタシ犯罪なんて起こして無いわよ!」

「先輩、誘拐は犯罪です」

 むぅ……と頬を膨らませる先輩、本当にこの人先輩か? と、一瞬疑ってしまった。

「でもコイツは昨日ここに見学に来たヤツで間違いないわよ?」

「可哀そうに……いったいどんな尋問をされたのやら」

 本気で憐れみの視線を送るポニテの先輩、どうやら俺はこのちっこい先輩に捕まってしまった挙句に見学に来たという事実無根な理由でここまで誘拐されてきた下級生と言う認識らしい。

「えっと……実に残念なんですけど事実です」

 まぁ、一応訂正しておかないといけないと思い訂正する。

 すると、パサリと言う音と共に持っていた文庫本を落とすポニテの先輩……見るからに動揺してらっしゃる。

「な、なんだと?」

「いえ、ですから昨日ここに来たのは事実です」

 っと、もう一度言ったところでさながら昨日零無に惨敗した先輩方のように部屋の隅っこで体育座りしてしまったポニテの先輩。

「ええと、先輩?」

「……たのか?」

 え? と、聞き返してしまうほど小さい声だった。

「……見たのか?」

 もう一度つぶやかれたセリフは……きっと昨日の絶叫大会のことだろう。

「はい、見ました」

 素直に答えたらそうかと小さく返事をして微動だにしなくなってしまったポニテの先輩……。ちっこい先輩に視線を向けると、肩をすくめるだけだった。

「なんなんですかこのいたたまれなさマックスのこの状況は?」

「まぁ、気にせずにいた方が良いんじゃない? こういう時は放置安定だし」

 座って、と促されるままに椅子に座りちっこい先輩と対面する。

「アタシの自己紹介がまだだったわね」

 すんごい……と、言うかもうアウトだろう。

「そこで体育座りしてしまったのは柊雪菜(ひいらぎゆきな)アタシの中で口車に乗せやすい人物不動の一位よ」

 なるほど、根が素直過ぎるのだろう。と、すると昨日のアレは十中八九このちっこい先輩に騙されたのだろう。

「んで、アタシの名前は……」

 もうすでに分かっているが黙って聞いている。

「乱咲桜よ。覚えておきなさい」

 かくして、俺の高校生活3年間の騒乱は約束された。

後書き


作者:総 誉
投稿日:2011/12/26 08:54
更新日:2011/12/26 09:00
『二次作品議論・研究部活動記録』の著作権は、すべて作者 総 誉様に属します。

目次 次の話

作品ID:929
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