
指名PC:榎本 聖良さん
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(前々から何かしらの用事があって校内に居残ることはあった。例えば教職員の誰かに何か頼まれて、例えば同級生の一人に何かを押し付けられて。例えばを挙げてしまえばきりがないものの肯定を示して表面上だけ笑みを浮かべる。腹の内を誰かに見せることなんてしない。気付いた頃にはそれが癖になっていた。前はこんなんじゃなかったのにいつからだろうなんて苦笑いを浮かべつつ、人通りが少ない図書室へと向かう廊下の隅に置いてあった椅子に腰かけてスマホを見ていた。向かってくる足音か、通り過ぎていく足音かは定かではない。いずれにしても顔を上げ眼鏡越しの瞳が捉えたのは彼女の姿。)図書委員の榎本さん。(暖かくも寒くもない、平常通りの温度で呼びかけた言葉は二人きりの廊下に静かに響く。単なる気紛れであって深い意味合いはないと思いたがって「この前のこと、」と場の空気を変えるように口にする。)曖昧でもいいよ、曖昧でも良かったんだよ。明確で正解のある答えを求めてあんなことを聞いたわけじゃなくて…、その、あんまり自分でもうまくは言えないけど。榎本さんは良い考えを持ってるんだなって、あの後に良いこと聞けて良かったって思った。(少しだけ見上げるような形になってしまうも真っ直ぐに彼女を見てそう言った。言って、すぐに立ち上がってしまったから距離は近くなるも「これから図書室に行くの?それとも帰る?」と問いかけた表情は窓の外から廊下へと注がれる陽の光によって普段よりかは多少の柔さを見せていただろう。)
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(前々から何かしらの用事があって校内に居残ることはあった。例えば教職員の誰かに何か頼まれて、例えば同級生の一人に何かを押し付けられて。例えばを挙げてしまえばきりがないものの肯定を示して表面上だけ笑みを浮かべる。腹の内を誰かに見せることなんてしない。気付いた頃にはそれが癖になっていた。前はこんなんじゃなかったのにいつからだろうなんて苦笑いを浮かべつつ、人通りが少ない図書室へと向かう廊下の隅に置いてあった椅子に腰かけてスマホを見ていた。向かってくる足音か、通り過ぎていく足音かは定かではない。いずれにしても顔を上げ眼鏡越しの瞳が捉えたのは彼女の姿。)図書委員の榎本さん。(暖かくも寒くもない、平常通りの温度で呼びかけた言葉は二人きりの廊下に静かに響く。単なる気紛れであって深い意味合いはないと思いたがって「この前のこと、」と場の空気を変えるように口にする。)曖昧でもいいよ、曖昧でも良かったんだよ。明確で正解のある答えを求めてあんなことを聞いたわけじゃなくて…、その、あんまり自分でもうまくは言えないけど。榎本さんは良い考えを持ってるんだなって、あの後に良いこと聞けて良かったって思った。(少しだけ見上げるような形になってしまうも真っ直ぐに彼女を見てそう言った。言って、すぐに立ち上がってしまったから距離は近くなるも「これから図書室に行くの?それとも帰る?」と問いかけた表情は窓の外から廊下へと注がれる陽の光によって普段よりかは多少の柔さを見せていただろう。)
:衛藤真央:2020/3/1 (Sun) 23:47 No.27:

(図書委員の仕事は、好きだからやっている。此ればかりは数少ない趣味のようなものであり、唯一の癒やしの様なものでもあった。放課後の学校は、人も疎らだ。部活動やら補修やら、何かしらの意図を持ってか特別な意味は無くかは不明だが残っている生徒も昼間と比べればそう多くはない。――今日も、仕事が待っている。毎日のように委員の仕事を行うものだから気付けば周囲もそれが当たり前になっていたらしい、きっと今日も1人だろう。そんな事を考えながら廊下を歩いていればふと、聞き覚えのある声には、としてそちらを向く。)……はい、何でしょうか。(平坦な声がこぼれ落ちた。堅苦しい物言いは常のものではあるが眼鏡の奥の少女の瞳は少しだけ和らいでいる。首を傾げ彼を見て、紡がれた言葉に双眸をパチクリと瞬かせた。)……そう、でしたか。そう仰っていただけるとその……幸いです。でも、衛藤さんも……素敵なことを仰っていたじゃないですか。――“誰にも縛られない時間”、特別でも何でも無い様で、存外大切な時間ですし……その、私も其のお言葉を聞けては、としたというか、できたと言うか、なので……ええと。お互い様、ということ事で。(不意に、少女の鉄仮面が如き表情が緩んで口角が僅かに持ち上がった事を彼は確認出来ただろうか。視線が交わるその間、少女は何処か暖かな心地を憶えていた事はたしかな事実。少しだけ近くなった距離で、それでも柔い表情のまま「ええ、今日も貸し出しの受付の仕事があるので」なんて、ゆるり答えよう。黄昏時の日差しは何処か怪しい様に思うこともあったが今日ばかりはひどく優しい色に思えた。)
:榎本聖良:2020/3/3 (Tue) 00:11 No.34: