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指名PC:榎本 聖良さん
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(たまに周知の事実になっている事柄を破ってみたい衝動に駆られる。廊下を走ってはいけない、授業中はサボってはいけない。そんな当たり前というレールの上を日々何事もなく歩きながら時々足を踏み外してみたくなるも、それを行うまでの勇気はどこか遠くへと置いてきてしまった。授業終わりのチャイムが鳴って教室の掃除を手早くしているなか、周囲から聞こえてくる話に耳をかたむけた。学校生活や日常生活に関しての話題が多かったなかで気になることが一つ。――真相を確かめるため、内側を満たすため、穴をふさぐため。どんな理由があったとしても図書室に足を運ぶのは決定事項になっていて、やることを終わらせてから向かい始めた時には黄昏にさしかかる頃。)……あ、いたいた。(出来るだけ静かに扉を開け室内へと足をいれた。数名の生徒がバラバラに座っていたものの受付と本棚の中間あたりにいた彼女の近くまで向かっていく。至近距離で話すのは初めてかもしれないと思った。普段は受け付け越しだったり自分が椅子に座って見上げるような形だったから彼女は大きいと錯覚していて、真実を知ってからの感想は案外小さかった。これに尽きる。)図書室の開かずの扉、(掃除をしていた時に聞こえてきた校内七不思議に近しいものの一つを口にしてから彼女を見据える。秒針が十五回ほど刻まれた音が聞こえたころに本題を言っていないことを思いだして頬を指先でかいた。)って、あるみたいなんだけど。そこの先ってさ、古い本が置かれてる部屋だよね、多分。……それとも本当に開かない感じの扉なの?(もしそうだったらちょっとだけ気にならない?誘うように言葉が躍る。彼女と一緒に足を踏み外してまでも真実を知りたくなった。目にしたものだけが、耳にしたものだけが、本当のこととは限らない。答えを聞き「じゃあ無理やり開けてみようよ」もしくは「そっか、分かった」、どちらを耳にしたかは彼女のみが知る。)
衛藤真央:2020/3/18 (Wed) 00:37 No.47:
(“わるいこと”は往々にして心擽られる物である。故に心惹かれ、いけないと言われればそれに手を伸ばしたくなる。けれど、それをしたことは結局一度もない。――放課後、何時も通りのルーチンを熟すべく榎本の足はゆっくりと図書室へと向いていた。……サボったら、どうなるだろう。少しだけ浮かんだ思考はゆっくりと振り払った。静かな図書室に、西日が差し込む。眩しいと思い双眸を細めつつも仕事を熟すべく本棚へと向かいかけていたその時、聞こえた聞き慣れた声に振り向いた――少し見上げる形になるのがなんだか、新鮮だった。)――? ああ、衛藤さん。どうかなさいましたか?(ほんの少し、ほんの少しだけ口角を持ち上げては和やかさを瞳に宿し相手を見遣る。けれど、)え、あ……はい?(クラスメイトが紡ぐ言葉に思わず双眸を丸くして、瞬きを数度。ぽかん、と呆けた顔をしたのは15秒程だったはずだが、妙に長い時間の用に感じてしまっていた。後添えられる言葉をゆっくり咀嚼し、飲み込めば思考を辿り行き着くは所謂“七不思議”の事だとやっと理解した。そういえば、そんな物もあったと視線をゆっくり、件の扉へと向ける。)……開けようと思えば、開きますが――鍵が、何処に有るのか私にはわからないので……うん、そういう意味では本当に“開かずの扉”なのかもしれませんね。……見てみます?(嗚呼、たしかに何故かほんの少しだけ気になってしまう。不思議なものでいざ其の存在を認識すれば何でも無かった景色が少しだけ、不可思議なものに思えてきてしまう。黄昏の色に染まる扉の先は、古書置き場とは薄らと聞いているもののそれを確認したことはない。確認する前、不確定の扉の先に少しだけ、心臓が跳ねる。――確認してみましょうか、なんて提案仕掛けたその声は、クラスメイトの言葉で飲み込まれた。“     ”。小さく紡がれる言葉は、二人の記憶にのみ残る。夕刻、逢魔が時の物語。)
榎本聖良:2020/3/20 (Fri) 02:29 No.48: