※死姦ギリアウトな睡姦
光なんてものがあるのならば、それは。
果てない闇の中で進みゆくと決めた自分に、暖かなそれをもたらしていたのは希望でも何でもない。ただ、の存在だけがそうだった。
「……」
紅炎との戦のために一度体勢を整えようと禁城に戻った白龍は、ある程度を青龍たちに任せの様子を見に部屋に戻ってきた。
「嗚呼おいたわしい、皇后陛下」
「…………」
何故かついてきたナナウミが嘆いてみせるのを、胡乱な目で見る白龍。相変わらず目覚めないを呼び戻すために決戦の前にできる限りのことはするつもりでいたが、正直この場にいてほしくない。
「……下がれ、お前も戦の準備に加わってこい」
「あら、陛下は死体と遊ぶ趣味がおありで?」
まあそれもよろしいかと存じますが、と口元に笑みを浮かべたナナウミを、白龍はギロッと睨み付けた。
「言葉に気をつけろ。次にを死体と呼んだら、その下劣な妄想を浮かべる頭を砕いてやる」
「まあ恐ろしい、失礼致しました」
白龍の視線を受けたナナウミは軽い謝罪と共に姿を消す。重い溜息を吐いた白龍は、けれど「死体と遊ぶ」というナナウミの言葉通りのことをするつもりでいた。見透かされていたことに眉を顰めながら愛しい妹の頬を撫でる。
「……すまないな、」
本気で、これがきっかけになるとは思っていない。それでもありとあらゆる可能性を全て手繰っても戻らないの意識に、白龍は藁にも縋る思いでいた。さすがに非道な行為だとは解っていたが、罪悪感を押し込めて、眠るの上に跨る。愛しい妹が笑ってくれない、目覚めてくれない、白龍に触れてくれない。その事実に白龍はどうにかなってしまいそうだった。自分たちで選んだ結果だったけれど、可能性が残っているだけに余計に辛くて。の熱を確かめたかった。その柔らかい肌に触れて、続いているはずの命を確かめたかった。
「、、俺の、可愛い小さな」
そっと、着物を剥いでいく。白い胸の奥でとくとくと鳴る心臓の音に、胸が震えた。
生きている。はまだ、生きている。どこかで迷子になっている。見つけてやらなければ。寂しい。悲しい。きっとも寂しがっている。悲しんでいる。自分が寂しいのだから、も寂しいに決まっている。自分が悲しいのだから、が悲しくないわけがない。
「ずっと、一緒だものな……」
ぎゅっと、手のひらをすくい上げて握り締めて、その指先に口付けを落とす。虚しくなどなかった。ただ、ただ、願った。
の体は、残っている身体機能のままに白龍の愛撫に反応を返す。それが哀しくて愛しくて、それでも求める心のままに妹の体を貪った。目覚めないの体に覆いかぶさって、温かい体温に縋って。柔らかい肌の感触は何一つ変わらず、穏やかだった呼吸は白龍のせいで荒くなっている。それでもピクリとも動かない瞼に閉ざされた藍色は見えないままで、白龍は泣きながらの中を何度も突き上げた。
「、っ……、」
ぽろぽろと落ちる涙が、白い肌を濡らしていく。ひどくしていいから泣かないでと、そう言ったの聖女のような眼差しが脳裏を過ぎった。泣いていればきっとは白龍を泣き止ませるために目覚めてくれるに違いないのに、の意識は未だ白の彼方だ。
「そうか……まだ足りないのか……」
零れ落ちる涙が足りないから、きっとは気付かないのだ。は今眠っているのだから、もっとたくさん泣かないと気付いてもらえない。
「ふっ……ぅ、」
安らかな寝顔は、白龍がどれだけの中を犯し続けても清らかなままで。静かに眠り続けるは、白龍の涙に気付かない。ぐちゅっと何度目かもわからない抽送の末に、の胎の奥に白濁が吐き出される。それでもの表情はきれいなままで、白龍はその頬に手を当てて額を合わせた。
「、すまない、、」
目の前の愛らしいかんばせは眠りに沈んだままで、どんなに呼びかけても白龍への愛慕を宿した瞳は瞼の奥に閉ざされたままで。の手を握り締めたまま、白龍は泣き震える。あたたかい、眠る。それでもは死んでいるのだと、殺してしまったのだと、
「――ッ!!」
声にならない慟哭を上げて、白龍は泣き叫ぶ。狂おしいまでに愛している妹を、殺したのだ。自分が殺した。たとえに促され選んだ結果だとしても、白龍がを殺した。その瞼を閉ざしたのは、白龍だった。
「、愛してる……!」
それでも白龍は、に縋って泣きながら熱をぶつけ続ける。グチュグチュと掻き回す膣内が白龍のものにぎゅっと絡み付いて、白龍はの額に口付けた。
(こどもがほしい、)
はじめて、明確にそう思った。幼い頃から嫉妬深くて、それはまだ見ぬが授かるだろう命にすら向けられて、一度もとのこどもが欲しいと思ったことは無かったけれど。
ガツガツと、子宮口に自身をぶつけ続ける。その奥に、自分の一部が宿ればいいと思った。の一部になりたくて、に自分の一部を孕ませたくて。
「…………、」
ボロボロと泣きながら、を犯し続ける。の子宮に自分が還れたらいいのにと、そんなことを願った。
160208