荒い動きにぎしぎしと軋む寝台の音に混じって、泣きじゃくるの許しを乞う声が響いていた。
「ごめっ、んなさい、ごめんなさい、ゆうにいさま、ゆるしてください、……っ!」
けれど、笑顔の白雄はの脚を抱え上げて押さえ付け、泣き叫ぶにおかまいなしに腰を進める。子宮口をガツガツと突かれる苦しさに言葉を詰まらせれば、白雄はより激しい動きで腰を打ち付けた。抱えた太腿をぺしぺしと叩く白雄の笑顔に、謝るのを止めていいとは言っていない、という意図を感じ取っては無理矢理に喉を開いて再びごめんなさいを繰り返す。涙や涎でぐしゃぐしゃになったの頬に口付けると、白雄は満足げに笑って腰の動きを緩めた。
白龍に攫われかけたに、白雄は怒っていた。「悪い子だ」と言ってを寝台に沈めた白雄は、にこにこと笑ってはいたが機嫌が悪いことは明白で。恐怖に喉を引き攣らせたに「きちんと『ごめんなさい』できるな?」と微笑みかけて、一方的な行為を始めた。
記憶にある限りはひたすらに甘やかすような行為を受けていたが、淫虐なそれに耐えられるわけもなく。兄の許しを乞いながらひたすらには泣いた。優しかった兄の強いた行為に心は惑っていて、けれども震える体は確かにそれを覚えている。初めて白雄に身体を拓かれた日のことが、朦朧とした意識の中ぼんやりと思い出されて、は愕然と目を見開いて意識を飛ばした。
「ごめんなさい、やだ、やめてください、」
何も知らない体を弄る大きな手に、泣きながらは懇願していた。白雄の手を跳ね除けてしまった手は、白雄の口でいたぶられていた。手首は逃げられないようにがっちりと掴まれ、白くて細い指を白雄の口がちゅっと音を立てて吸い上げたり、れろれろと舐めたりを繰り返す。時折掌に吸い付いたりして、指紋もふやけてしまいそうなほどに水分を含んだ指を執拗に嬲りながら、抵抗するもう片方の手など意にも介さずの夜着を剥いだ。
「お願いです、雄兄様、やめてください……!」
泣いて嫌がるの胸をわし掴んで、ぐにぐにと形が変わるまで揉みしだく。突然の実兄との婚姻に戸惑ったまま押し倒されたが行為を拒んだのを叱るように、白雄は無言で行為を進めていた。訳もわからずに泣きじゃくるの口を、黙れと言うように自らの唇を重ねて塞ぐ。ようやく解放された手は唾液でぬめっていて、それを厭うこともなく白雄は指を絡めてぎゅっと握った。
「ん、ふっ……んんッ!」
苦しそうに顔を歪めて白雄の胸を押すに、白雄は目を細めると舌で唇をこじ開ける。呼吸の仕方も知らないに可笑しそうに笑うと、ぬるりと舌を滑り込ませての息を奪うように更に深く口付けた。
引きずり出した小さな舌を何度も吸って、胸をふにふにと柔らかく掴んで揉むとの頬に息苦しさからとは違う赤が差す。素直な反応に気を良くした白雄は繋いでいた方の手を解くと、もう片方の胸に手を伸ばした。くりくりと可愛らしい突起を人差し指でいじくり回せば、鼻にかかったような声がの喉の奥から漏れ出る。食後に飲ませておいた薬の効き目がちゃんと出ていることに微笑んで唇を離すと、しばらくは胸を弄ることにした白雄は顔をの胸に埋めた。
「や、やぁ……いやです、ゆうにいさま、おねがい、どうして、」
それでもなお制止を願うの言葉を無視して、白くて柔らかい肌を舐め回す。びくびく震えるの控え目な膨らみに舌を沈めて、綺麗な桃色の突起を口に含んだ。
「やぁ……んッ! いや、あッ!」
ちゅぱちゅぱと吸引を繰り返し、舌先で突起をつつけば、初めてとは言えど薬で強引に感度を高められているは面白いくらいに甘い声を漏らす。それでもまだ拒否をするの股に片膝を突っ込むと、布の上からそこを膝でぐりぐりと擦った。
「ひゃぅッ!? や、やだ、ゆうにいさま、ッ!」
もう既にしっとりと湿っているそれを思い知らせるように濡れた布地を押し付ければ、の顔からさあっと血の気が引く。力の入らない手で白雄に手を伸ばしたが、その手を掴んで白雄は再び口に含んだ。上目遣いでれろ、と掌を舐め回す白雄に、の目尻からぼろぼろと涙が零れていく。
「ひっ、うっ、」
痛くはない程度に加減をして、膝での割れ目を布越しに圧迫し続ける白雄。濡れた下着の不快感と膝の動きの苦しさに泣きじゃくるの手から力が抜けて、白雄は舐っていたそれを離すとの肩へと舌を這わせる。白い肌を首筋に向けて舌でなぞっていけば、びくびくとの体が震えた。ちうっと首筋に吸い付けば、押さえ付けている体が大きく跳ねる。首が弱いのか、と判った白雄はそこを何度もきつく吸い上げていくつもの鬱血痕を残した。
「……っ、あ、」
首筋と胸、秘部を同時に責められていっぱいいっぱいになり、拒絶の声を上げることもできなくなったは虚ろな目で漏れ出る声を必死に堪える。自分の下にある体が大人しくなったことに満足げに笑って、白雄は上体を起こした。離した膝が湿っているのを見て吐息で笑うと、下着を脱がせてくちゅ、と割れ目に指を沈める。狭いそこを傷付けないように慎重に、しかし躊躇いなく指を進めていけば、が自分の手で塞いだ口から再び声が漏れる。また拒絶か、と思った白雄は、が口にした言葉に僅かに瞠目した。
「ごめ、んなさ、い、ごめんなさい、待って、ください……おねがいします……」
とめどなく涙を零しながら、怯えに体を震わせ、開ききった瞳孔に恐怖を孕んだ瞳で白雄を見上げて許しを乞う。優しかった兄と突然結婚させられ体を求められているの心は、現状について行けなくて。せめて受け入れるための時間が、安心するための言葉が欲しい。子供のように泣きじゃくるは火照る体も、口から漏れ出る高い声も自分のそれだと信じ難く、当然のように広げられた脚の間がぐちゃぐちゃに濡れていることにも、そこにするりと入ってしまった長い指にも恐怖を抱いて泣いていた。
「…………」
「ゆうにいさま、こわい、」
さすがに性急すぎたかと僅かに冷えた頭は、しかしの言葉に再び沸騰する。怖いと泣くのそれを行為の拒絶と受け取って、白雄は初めての行為に惑うを待つことなく二本目の指を突き入れた。悲鳴じみた嬌声が上がり、容赦なく中を拡げていく指にの顔が歪む。探り当てた弱い部分を執拗に責めながら三本目を挿入し陰核を親指でぐりぐりとこね回せば、大きく目を見開いたの体がびくんっと大きく反り返った。呼吸が追い付かず掠れた音を上げる喉は途切れ途切れに許しを乞い続けるが、白雄は達したばかりのの中をじゅぷじゅぷとかき回し続ける。その上空いた片手を胸に伸ばし、小ぶりな膨らみを揉みしだいたり、突起を指で弾いたりを繰り返した。は与えられる感覚に付いていけず、ひゅう、と過呼吸じみた音が喉から上がる。それを宥めるように唇を重ねた白雄は、二度三度と容赦なく泣いているを果てまで追いやった。
「はぁ……、あ……」
何度かイったところでようやく口を離されたは、力無く弱々しい呼吸を繰り返す。ぐったりと弛緩した体を折り畳むように脚を曲げさせた白雄が、ぐっと腰をそこに沈める。それに危機感など抱く間もなく、の身をズンっと重い衝撃が襲った。
「あッ……!?」
散々慣らされていた上に力が抜けていたのもあって裂かれるような痛みはほとんど無かったが、それでも体格差のある白雄を受け入れるにはのそこはあまりに小さく、一息に奥まで突き入れられたそこが傷付いて圧迫感と共に痛みを生み、つうっと赤い液体が太腿を伝う。それをも潤滑剤にして動き始めた白雄に、は泣き叫んで制止を願った。
「や、いやです、ゆうにいさまッ、やだッ! まって、まってください、いッ、あ、いたい、です……ッ!」
ガツガツとぶつけられる衝撃に息を詰まらせながら訴えても、白雄は止まってくれない。それどころか煩わしいとでも言いたげに一層激しく腰を揺さぶり始めた白雄に、はもう言葉を紡ぐこともできず、壊れたように言葉にならない音を繰り返した。
「あ、あ、やッ、んぁ、ひう゛ッ……!」
破瓜の痛みも治まらないままに膣内を抉る白雄のものに腹の奥を突き崩されるような恐怖を覚えて、は何も考えられなくなる。口を抑えていた手はもはやただ口に乗っているだけで、苦痛の混じった声がぼろぼろと溢れ出た。荒く抜き差しを繰り返す白雄の瞳を涙で滲む視界で捉えて、はひゅっと息を呑む。そこには普段の涼やかな凛とした眼差しはなく、本能を剥き出しにしたぎらついた熱が、怯えるを射抜いていた。
「ゆ、う、にい、さま、」
激しい抽挿に途切れる声で白雄を呼べば、の脚を掴む手にぐっと力がこもる。腰がぶつかる度に、肉の薄いの体は硬い白雄の体に骨まで響くような痛みを覚えた。一切の手加減無くの最奥を突き続ける白雄に意識が飛びそうになった頃、急に白雄の動きが止まる。同時に奥で弾けた熱に、は頭が真っ白になった。
「……」
どろ、と白濁がの割れ目から溢れ出て伝い落ちていく。びくんっ、と二度ほど痙攣し精液を吐き出した白雄がの名前を呼ぶ。情欲と愛しさが滲む声に、は思い出してしまった初夜の凌辱を重ね身を震わせた。
「ごめんなさい、雄兄様……許してください……ごめんなさい……」
ガタガタと震えながら、は動きを止めた白雄に縋りつく。あの日、自分は空が白むまで兄に犯され続けたのだ。意識を飛ばしても、何度も起こされて。声が擦り切れて枯れるまで喘がされて、じんじんと痛むそこのために脚を閉じることすらできなくなって、体中どろどろになるまでぐちゃぐちゃに犯されて。次の日からは慈しむように優しく抱いてくれた長兄だが、箍が外れれば待っているのは凄惨な凌辱に等しい行為だ。兄の姿をした獣に貪られるような恐怖を思い出して、は泣きながら必死に白雄に許しを乞う。怖い思いはしたくない。あんな思いはもう、したくない。忘れていた記憶と共に戻ってきた本来の精神に気付いて惑う余裕もなく、はにこにこと笑う白雄の身体にしがみつく。
「ごめんなさい、ごめんなさい、雄兄様、ごめんなさい、私が、私が悪いんです、ごめんなさい、許してください、」
「」
静かな声で名前を呼んだ白雄に、はびくっと肩を震わせて動きを止めた。
「そんなに怯えてくれるな、わかってくれればそれでいいんだ。が誰の妃なのか、忘れずにいてくれればそれでいい。お前の望んだことだろう?」
幼少の頃の約束だということに思い至ることもなく、は涙目で必死にこくこくと首を縦に振る。それに愛しげに目を細めて笑うと、白雄はを手招いた。
「おいで、。今度はちゃんと優しくするから」
「は、い……」
「言ってごらん、。は誰の妃だ?」
「雄兄様の、私は雄兄様の妃です」
「そう、いい子だ、」
白雄に従って膝の上に乗り上げたの腰に腕を回して、白雄は涙に濡れた頬に指を滑らせる。小さな唇が紡いだ答えに満足して、白雄はいつものように最愛の妹をどろどろになるまで甘やかすべく、火照って血色の良くなった肌に手を這わせた。
150914