「ん、」
もぞもぞとした擽ったさと、少し湿った息苦しい感覚。眠りの中にあったの意識は、自分の体をまさぐられる感覚に浮上した。
「……? っ、」
目を開いたは、驚きに硬直する。視界いっぱいに広がる、妹の顔。長い艶やかな髪が、の頬をくすぐった。が目覚めたことに気付いた白瑛が、蕩けるような笑みを浮かべる。ふに、と唇を食まれてようやく、妹に口付けられているのだと気が付いた。
「んッ!? んん、」
ぬるりと口内に這入りこんできた舌と、夜着の合わせを開いて肌を撫で回す手に、は混乱に陥りながらも制止の声を上げる。けれどその声は白瑛と重なる唇に呑み込まれ、あえなく舌を絡め取られる。
「ふっ……ぅ、」
「ん……」
艶めいた吐息が、白瑛の口から零れた。白瑛の舌が、別の生き物のようにの口腔で蠢く。くちゅくちゅと舌を舐め回し、吸い上げて。性の経験のないに、妹に受けるその行為はひどく恥ずかしくて、どうしたらいいのかもわからなくて。すりすりとの肌を撫で回す白瑛の手が、わき腹や背筋など、感覚の鋭敏なところを這う。ビクリと跳ねたの体を押さえつけ、白瑛は姉と濃密な口付けを交わした。
「……はっ、」
「ぁ……はくえ、い、」
離れた唇から荒い呼吸を漏らして、は白瑛を呼ぶ。どうして、と問う姉の瞳は、熱い涙で濡れていた。
「姉様が、欲しいんです」
ぎゅうっと柔らかな体を抱きしめて、白瑛はの額に自らの額をこつんと合わせる。赤く上気した白い頬にも火傷跡は及んでいて、けれどその傷跡すらも愛おしくて。
「私、ずっと、ずっとずっと、姉様がお目覚めになられるのを待っていたんです。姉様のことが大好きで、大好きで……姉様と、ひとつになりたいんです。姉様、私の大好きな姉様、妹のお願いを聞いてください、私とひとつになってください」
小さい頃から大好きだった、優しくて賢い、白瑛の自慢の姉。時折抜けていたり白雄に叱られたりするところも姉ならばむしろ可愛らしくて、大好きで。が眠っている間も、その感情は変わらなかった。成長とともに、それを恋しさと呼ぶのだと理解した。目覚めた姉は、自分と同い年になっていて、自分よりもずっと弱くて脆い存在になっていた。美しくて優しい、白瑛の愛しい。きっと優しい姉ならば、白瑛の愛情を受け入れてくれるに違いないと、白瑛は疑いもしなかった。
「大丈夫です、姉様。自分の体で、たくさん勉強しましたから。きっと気持ち良くしてみせます」
絶句するの前で、白瑛は満面の笑みを浮かべる。いつか清らかな姉を汚す日を夢見て、いつも美しい姉を犯す妄想を浮かべて、眠るの前で密やかな夜に自らの疼きを慰めていた。ああ、ようやく夢見ていた願いが叶う。この清廉無垢な姉を自分の手で乱れさせ、女にするという望みが。
「まって、白瑛、だめ……!」
唐突に妹に迫られ、混乱する。女同士、姉妹同士という背徳と禁忌。青ざめて制止するに、白瑛は自分の服を脱ぎ捨てながら瞳を歪めて笑った。
「だって、紅明殿も白龍も紅炎殿も、皆姉様のことを好いているんです。姉様を汚すために、あれやこれやと口実を考えているんです。姉様が誰かに汚されてしまう前に、私が姉様を汚さないと」
「白瑛、やめて、本当に……」
寝たきりの続いていた体は筋力も落ちきっていて、武人として鍛えている妹の体を振り払うことなどできはしない。妹に体を求められていることに怯えて震えるを見下ろして、白瑛の背中にゾクゾクと震えが走った。いつも慈しみに溢れた笑顔で、青空の下白瑛の手を引いてくれた美しい姉姫。そのが今、薄暗い部屋の中、白瑛の下で火傷だらけの体を震わせて涙を浮かべている。邪で歪んだ悦びだとは解っていたが、あれほど恋焦がれた姉を支配する嬉しさに白瑛の胸はどくどくと高鳴っていた。
「むっ、んっ!?」
自らの豊満な胸を、の顔に押し当てる。柔らかい重さに息を詰まらせる姉に、白瑛はむにむにと更に胸を押し付けた。
「いかがですか、姉様。柔らかくて、気持ちいいでしょう? この体は、姉様のものです。体も心も、私の全てが、姉様のためにあるんです」
苦しそうに腕をばたつかせるの手を捕らえて、自らの胸にその手のひらを重ねさせた。柔らかく食い込む感触に怯えたように、の手がびくりと震える。姉の手を使って自分の胸を撫で、白瑛は陶然とした溜め息を漏らす。姉を自分の乳房から解放すれば、羞恥と酸素不足で真っ赤になったが泣きながら白瑛を見上げていた。
「姉様、可愛い」
がばりとの夜着を剥がし、自分とは対照的に慎ましやかな胸を撫でる。控えめながらも綺麗な形に膨らんだその乳房を、白瑛は湧き上がる欲のままに揉みしだいた。
「……っ、やめ、」
負い目や劣等感から弟妹に強く出られないは、言葉では拒絶を示すもののそれ以上の抵抗ができない。比較的火傷の少ない胸の周辺の肌は滑らかで、白瑛は柔らかい乳房を手のひらで包み込み、ふにゅふにゅと指を食い込ませる。首筋や鎖骨に顔を近づけ、伸ばした赤い舌で白い肌も火傷跡も一緒くたに舐め回した。指や舌を動かす度にびくびくと姉の体が震え、ぎゅっと引き結ばれた唇からくぐもった声が漏れる。その口から喘ぎ声が漏れるのを聞きたくて、白瑛はぷくりと勃った桃色の乳首に吸い付いた。
「ぅんッ、」
確かに甘さの混じった声が上がり、気を良くした白瑛はぴちゃぴちゃとはしたない音を立てて姉の乳首を舐め回す。濡れた突起を爪でつつけば、悶えるようにの腰が動いた。
「ぁ……んやっ!」
ちゅうちゅうと先端を吸い上げて、もう片方は指先で摘んでこね回す。逃げるように身をよじらせるだったが、白瑛の舌は執拗にの敏感な乳首を虐め抜く。必死に力を入れて声を漏らすまいとしていた唇は次第にうっすらと開いていき、やがて抑えきれない喘ぎが漏れだした。
「は、ぁん……っ、あッ、あぁん!」
妹に乳首を弄られ淫らな声を上げてしまったことに、は愕然と目を見開いてぽろぽろと涙をこぼす。けれど白瑛はそんな姉の姿に更に興奮を煽られたようで、するりと股の間に手を這わせた。
「あら……もうこんなに濡れていますよ、姉様」
「……いわないで……っ、やぁ!」
ぐいっと割れ目に食い込んだ指が、ぬちゅりと音を立てる。血の繋がった妹に犯されて、感じている。その事実に打ちのめされているの頬に口付けを落として、白瑛は艶やかに微笑んで上体を起こした。
「大丈夫ですよ姉様、私もこんなに濡れていますから」
「白瑛、何を、」
寝台の上に座った白瑛は、軽々との片脚を持ち上げて抱き寄せる。晒された秘部を自身の股で挟む込むように、白瑛は両脚を伸ばしの陰唇に自らの陰唇を押し付けた。そして、ぎゅっとの脚を抱き締めたまま腰を激しくの秘部に打ち付け始める。水音を立ててぶつかり合う粘膜同士が擦れて、じぃんとした甘い疼きが腰から背中へと駆け抜けていく。パンパンと音を鳴らして叩きつけるような動きの後は、ピッタリと秘部同士を合わせてくちゅくちゅと擦り合わせ始めた。陰核や陰唇が一緒くたにぬるぬると擦れて、の喉からはひっきりなしに高い声が上がる。抱えた足の先の指をぴちゃぴちゃと舐めながら、白瑛も頬を赤く染めて更に淫らに腰を押し付けた。
「んゃ、ふぁああッ!」
「ぅあんッ……!」
性器同士を擦り合わせる快感に、と白瑛はほぼ同時に達する。はあはあと息を荒らげるの脚を下ろした白瑛に、はこれで終わりだと安堵の息を漏らす。けれど白瑛は逆さまにに覆い被さると、濡れて淫猥にひくつく秘部に吸い付いたのだった。
「あ、むっ!?」
そして、自らの腰を落としての顔に擦り付ける。姉の鼻や唇が粘膜を擦る感触に、白瑛は腰を左右に振って擬似的に姉に口淫されているような感触を愉しむ。びくびくと震えるの脚を大きく開かせて抱え込み、可愛らしい陰核を舐め回した。
「ふっ、んん! ンッ、や、」
の股の間に顔を埋め、陰核への刺激で溢れた愛液をじゅるじゅると吸い上げる。舌を膣口へとめり込ませると、熱いナカがぎゅうっと白瑛の舌を締め付けた。姉に濃密な口付けを求められているような錯覚に、白瑛はの膣内を激しく舌で貪る。執拗に内壁を舐め回していると、また果てたらしいの体がびくびくと痙攣した。はもう、自分があげている声が拒絶なのか嬌声なのかわからない。鼻腔を満たすのは、白瑛の女の匂い。強く脳内を満たすそれに、頭がクラクラして。顔に押し付けられる妹の秘部は、とても熱く濡れている。くたりと力の抜けたの膣へ、指を一本挿し込む白瑛。グリグリと内壁を擦りながら、奥へ奥へと進んでいく。同時に陰核をコリコリと甘噛みされて、は再び体を熱が支配していくのを感じた。白瑛の指が、陰核の裏側にあたる壁を突く。びくんと跳ねた太腿に吸い付いて痕を残し、白瑛は一度指を引き抜いた。
「今度はナカでイかせてあげますね、姉様」
人差し指と中指を揃えて、白瑛はの膣内に再び指を突き込む。先ほど見つけた弱い部分を狙って、白瑛は何度も何度も指を前後させる。白瑛自身も興奮が高まっているのか、の顔を濡らす愛液の量が多くなる。開いた口に入った愛液がどんな味なのか、白瑛の指と舌遣いによる快感に頭がいっぱいなには最早わからなかった。
「んッ……ほら、姉様、イってください……!」
嗜虐的な色すら宿した白瑛の声に、腹の奥がずくりと疼く。ぐちゅんと大きな音を立てて指を突き込まれ、は目を見開いて達した。白瑛に抱え込まれた脚が緊張に強ばり、ふっと力が抜けてぐったりと寝台に落ちる。身を起こした白瑛は、涙と白瑛の愛液に塗れた顔もそのままに虚ろな瞳で放心しているを見下ろして心底幸せそうな笑みを浮かべた。
「姉様、姉様、気持ちよかったですか?
もっと気持ちよくしてあげますから、まだお休みにならないでくださいね」
ごそごそと自分の脱いだ着物をまさぐりながら、白瑛は甘い声でに語りかける。どうしてこんなことになったのだろう、そんな疑問さえ今のには浮かんでこない。ただ、飼っていた鳥に逃げられた童女のように、ぽろぽろと涙を流すのだった。
170205