部屋の隅で、は蹲っていた。最近、ヒートの周期がおかしい。三ヶ月に一度のはずのそれが、一月ほどでやってくる。前回から間を置かずにやって来たヒートに体の不調を疑うも、グラグラと熱に侵された思考はまともに働かなくて。今日は家に誰もいない。抑制剤を探して這うように机へと向かうの部屋の扉が、がちゃりと開いた。
「ちゃん?」
かけられた声に、はびくりと身を震わせる。来てはいけないと、どうか来ないでほしいと、言葉にするのが遅れてしまった。
「ちゃん、大丈夫!? どこか悪いの!?」
「紅玉、おねえさま……」
ダメです、そう言う前に血相を変えた紅玉がの元へと駆け寄ってくる。おそらくを遊びに誘いに来たのだろう、倒れているを見つけた紅玉が、それを見捨てるわけもなく。親切心からに触れた紅玉は、びくりと体を震わせた。
「ちゃん、ヒートなの、かしら……?」
紅玉は、アルファだ。つまり、オメガであるのフェロモンにあてられて発情する。おまけには知らないが、の発するフェロモンは通常のオメガのそれに比べてかなり強い。並みの精神のアルファやベータの理性など一瞬で溶かしてしまうような甘い誘いに、オメガのヒートと初めて遭遇した紅玉が耐えられるわけもなく。
「紅玉お姉様……どうか、」
離れてください、そう願おうとしたの頬を、するりと紅玉の手が包み込む。とろんと蕩けた目でを見下ろした紅玉は、完全にのヒートにあてられて欲情してしまっていた。
「……あ、」
アルファの欲情を捉えた体が、激しく疼き出す。アルファに犯されるためにあるような体から力が抜けて、は近付いてくる紅玉の顔を押しとどめることさえできない。艶やかな赤色のふっくらとした唇が、の唇にしっとりと重ねられた。
「ん……」
「おねえ、さま、」
幾度も角度を変えて口付けながら、紅玉はの服の下へと手を這わせていく。弱々しい声で制止しようとするだったが、のフェロモンにすっかり呑まれてしまった紅玉は止まることができない。もオメガの本能に引き摺られ、まともに抵抗などすることもできず。あっという間にの服を脱がせた紅玉は、自身の服をも肌蹴させながら小さな従妹に覆いかぶさった。
「ちゃん、可愛いわぁ……」
熱に浮かされるままに、紅玉はの胸に手を伸ばす。控えめな膨らみを包み込むように優しく揉むと、すぐに可愛らしい乳首がツンと存在を主張した。素直な反応に笑みを浮かべた紅玉は、指先でつんつんと桃色の突起をつつき回す。白い肌を薄紅色に染めて断続的な嬌声を上げるに、紅玉は自らの肌を重ねる。の胸に自らの乳房を押し付けて、勃った乳首を擦り合わせた。
「ひゃ、う、っねえさま……!」
「……ん、気持ちいい……」
ぎゅっと目を瞑って縋るように紅玉を呼ぶがひどく愛らしく思えて、紅玉は再びの唇を食む。拙いながらもくちゅくちゅと口内を、舌を貪る紅玉のディープキスに、は腰を浮かせて快感から逃れようとする。ふにふにと擦れ合う胸が、甘い口付けが、同性同士の交わりという背徳を溶かしていくのが怖くて。
「ふっ、んぅ、んん……ッ!」
を押し倒したままぎゅうっと抱き締め、深く口付けながら胸と腰を押し当てる紅玉に、次第にの理性も溶けていく。アルファに求められれば拒めない体であることが、こんなに怖いことだとは思わなくて。ぽろぽろと零れていく涙が、けれど思考まで一緒に流していく。体の奥から溢れていく熱が、紅玉と触れ合っているところから広がっていく熱が、のすべてを蝕んで、何も考えられなくなる。紅玉がの唇を解放して首筋へと舌を這わせ始めた頃にはもう、下着越しに硬いそれを押し当てられている秘部がぐっしょりと濡れてしまっていた。
「気持ちいいの、ちゃん……?」
「あ……ッ、ん、紅玉、お姉様、」
首筋を伝って、紅玉の舌がの乳房を這う。くりくりと指先で乳首を撫で回す紅玉は、快楽に沈んだの藍色を見下ろして少し意地悪な笑みを浮かべた。
「ちゃんの乳首、とってもおいしそうよぉ……? 食べちゃっても、いいかしらぁ?」
ふるりと震えたの返事も待たず、にっこり笑った紅玉はぷっくりとした桃色の突起をぱくりと口に含む。高い声をあげたに笑みを深めると、ちゅぱちゅぱと音を立てて断続的に吸引した。
「ひゃう、ッんん……ぁんッ!」
堪えようとするだったが、兄姉たちによって散々開発されたそこを手加減無しに責められて、耐え切れるわけがない。ひっきりなしに白い喉を反らして喘ぐを、紅玉はますます追い立てた。押し付けた腰を動かせば、くちゅりと粘着質な水音が鳴る。チロチロと舌先で舐め回したり、ぢゅうっと吸い上げたり。もう片方の乳首は、挟んで揉み潰したり撫で擦ったりと指先で弄り倒す。が息も絶え絶えになってようやく、紅玉はの乳首を解放した。
「あら……ちゃん、パンツがびっしょりよぉ?」
「いわ、ないで、こうぎょくおねえさま……」
荒い呼吸を繰り返しながら羞恥に泣くの股は、下着が用を為さないほどに濡れていた。恥ずかしがって顔を隠そうとするの表情は犯そうとする者の嗜虐心を煽るだけで、紅玉もの表情に余計欲情を高められるばかりであった。脚を閉じる力も紅玉にしてみれば弱く、あっさりと開脚させて色の変わるほどに濡れた下着を脱がせる。露になったそこから溢れる蜜は紅玉を誘っているようで、それに抗うこともなく紅玉はの割れ目にむしゃぶりついた。
「ひっ、ああッ!!」
「ん、む……ッ」
白い太腿の間に頭を埋めて、紅玉はを貪る。舐めても舐めても溢れ出る愛液が、もっとと紅玉に強請っているようで。膣口を舌で押し広げ、柔らかな襞をかき乱す。赤く充血した陰核を口に含んで乳首にしたように責め立てれば、面白いくらいに声を上げては体を跳ねさせた。ビクビクと震えて、可愛い小さな従妹は何度も達する。自分の手で愛らしい従妹を果てさせる悦びに、紅玉は夢中になっての秘部を愛で続けた。
「……っ、はぁ、」
満足した紅玉が顔を上げると、潤んだ瞳のと視線がかち合う。口の端についた愛液をぺろりと舌で舐め取れば、藍色の瞳が羞恥に震えた。快楽に溺れているの姿に、紅玉の背中にぞくぞくと熱が走る。それを征服欲というのだと、紅玉はまだ知らなかった。
「もう、我慢できないの。ちゃん、」
の脚を抱え上げ、紅玉は自らの下着を下ろして硬く勃った陰茎をの膣口にあてがう。僅かに残った理性から、顔を青ざめさせて待ってくださいと懇願するだったが、ここまできたアルファが発情したオメガを前に止まれるわけもなかった。
「あっ、ああッ、んぅ……!」
「……ッん、」
何度か割れ目で滑った後に、紅玉は自らの先端をのそこへと沈めていく。ずぷずぷと、ゆっくりながら確実に挿入されていくそれが互いに快感を生み出して、と紅玉は顔を赤くして声を漏らした。
「こんなに、気持ちいいの、」
まだ誰とも関係を持ったことのない紅玉は、アルファとしての性が満たされていく感覚に熱い息を吐く。の膣内はとても熱くて狭くて柔らかくて、絶えず紅玉の陰茎をきゅうきゅうと締め付ける。濡れた襞が絞り上げるように紅玉のものに絡み付いて、気を抜けばすぐに射精してしまいそうだ。小さいのナカを進む紅玉のそれは子宮口までこつんと辿り着いて、それでもどこまでも深く呑まれそうな錯覚に陥る。縋るようなの眼差しも、もう紅玉を求めているようにしか思えなかった。
「んっ、あっ、ふゃああ……!」
引き抜くように腰を動かせば、仔猫のような声を上げてが腰を浮かせる。熱く濡れた襞が行かないでと言うかのように絡み付いてきて、紅玉は再びの中を穿った。そうすれば悦ぶように膣内が収縮して、紅玉の陰茎を締め付ける。
「…………ちゃん、」
それからは、もう本能の求めるままに貪った。夢中で腰を振る紅玉に、の膣は縋るように応え続けて。果てのない快楽を追う内に、は紅玉の名を呼びながら何度も達する。熱い精を吐き出せば、どろりとした液体がの中を満たしていくことにどうしようもなく興奮して、また体の中心が熱くなって、陰茎は硬くなって。
「ちゃん、ちゃん……!」
双方共に疲れ切って意識を飛ばすまで、紅玉との交わりは続いた。
「………………」
そろそろの乱れたヒートの周期がやってくる頃だと、早めに帰ってきた白雄はの部屋で頭を抱えた。
すうすうとあどけない表情で眠る、全裸の美少女が二人。濃い性の匂いを纏っていなければ、まるで一枚の宗教画のようにも思えるのに。白い肢体を絡み合わせて眠ると、その従姉。流れるような紅と青が、交じりあって肌を隠していた。
おそらくのヒートに偶然遭遇してしまった紅玉が、の強いフェロモンに抗えずに互いの限界まで致してしまったのだろう。の下腹部に目を遣れば、紅玉のものだろう白い液体が溢れての太腿を伝っている。
白雄は、無言で二人に布団をかけた。白雄といえども動揺くらいする。途方に暮れることもある。拗れに拗れたと白雄たちの関係を更にややこしくしそうな予感がありありとしたが、も紅玉も悪意はないのだから余計に性質が悪い。言うなれば不幸な事故だ。
ひとまず先のことは二人が目覚めて体の手入れをしてから考えよう。ヒートのはずのがフェロモンを発さなくなるほどに体を重ねたらしい紅玉に内心恐れ慄きながら、白雄はの部屋を後にした。
160918
ネタ提供:オメガバースパロで、紅兄弟の誰か