どうか抱いてくれはしないかと、縋って泣く妹の手を取ったのは憐れみにも近い愛情からだった。
事故にも近い形で、紅玉と致してしまった。お互いに謝り倒し、死ぬほど羞恥に苛まれながらも大事な従姉妹を互いに気遣って。まだ少し気まずそうで、紅玉からに向けられる目には本人も無自覚なままに慕情が芽生え始めていたが、ひとまず信頼や親愛が壊れなかったことに彼女たちはもちろん周囲の人間も安堵した。白瑛も、その一人のはずだったのだが。
紅玉と限界まで交わったことで収まりを見せていたヒートが、その翌々日にはぶり返して。不可抗力のようなもので他意はなかったとはいえ従姉と体を重ねてしまったを、白龍と白雄は競うように嬲ったらしい。本心から慕っている兄である白龍と、何かの弱いところを押さえているらしい白雄に挟まれて、身動きが取れなくなって、ただめちゃくちゃになるまで体を暴かれて。両の手を別々の相手に引かれるは、罪悪感と葛藤に苦悩するままに白瑛に縋った。白龍でも白雄でもない、優しい姉に。それを白瑛が、拒むはずもなく。
詳しい事情はわからない。白龍と想い合うに執着して、末の弟妹を愛欲の地獄に引きずり込んだ白雄。その思惑はわからないが、白雄の言葉に従い、今までも時々を熱から解放してやりたい一心で小さな妹を抱いたことがあった。苦しむ妹が縋るのなら、白瑛はそれに応えるだけだ。例えそれが真っ当な姉妹の愛情から逸れていようと、兄の愛情に板挟みになって、懸命に手を伸ばすのためなら。
「……ん、んッ、」
「ふ……んぅ、」
ちゅう、と白瑛の艶やかな唇がの花弁のような唇を食む。唾液で濡れて色付いた唇を、白瑛は何度も唇で挟んで優しく吸った。ぷるぷるとした小さな唇が、甘く熱い息を漏らす。幾度も角度を変えて上唇と下唇を交互に食む白瑛の肩を、小さな白い手がきゅうっと掴んだ。
「えいねぇ、さま……」
「大丈夫ですよ、」
優しく優しく、何度でも。の体が発するフェロモンに身を委ね、しかし呑まれないように自制しながら、白瑛はそっとのブラウスのボタンに手をかけた。
ぷち、ぷち、とゆっくりボタンを外していく間にも、慈愛の雨のような口付けは止めない。薄く塗られた白瑛のグロスがの唇を淫らに光らせて、白瑛は撫でるようにそれを舐め取った。頬を上気させて白瑛を見上げる妹にずくりと本能が疼くが、今目の前にいる存在は脆くて弱い小鳥か天使のようなものだ。どうしてこの、どこもかしこも柔らかく小さく頼りないふにゃりとしたあどけない体を、兄弟は本能のまま壊すほどに抱いてしまえるのか。湧き上がる欲情を慈しみに変えて、白瑛はあくまで着替えを手伝う姉のように穏やかにの服を脱がせた。
「ん……」
さわ、と白瑛の美しい手がの輪郭を撫でる。白くすべすべとした肌を、白瑛はただ優しく撫で回した。姉の手の温もりが、の体の強ばりを溶かしていく。の体から力が抜けたのを見て取って、白瑛はをそっと抱き寄せる。座り込んだ膝の間にを自分と同じ向きに座らせて、柔らかい全身で包み込むように包み込んだ。優しい姉の豊かな乳房が、張りのある太腿が、柔らかくて温かくて。ドキドキと鳴るの心臓を見透かしたように、そっと白瑛はの乳房を撫でた。
二度、三度と優しく肌を滑っていった温かい手が、やんわりとの胸を包む。控えめながらふわふわとした膨らみを慈しむように、白瑛はの胸を揉みしだく。後ろから耳元にふっと息を吹きかければ、甘い声を漏らしては体を揺らした。
「可愛いですよ、」
「……ん、あ……ッ」
ぴくぴくと震えるが愛おしくて、白瑛はピンッと指先で薄桃色の突起を弾く。すりすりと指の腹で挟んで擦り続ければ、はもじもじと太腿を擦り合わせた。片手を下ろして下腹部から脚まですぅーっと撫でていくと、切なそうな甘い声をは漏らす。仔猫のように体をくねらせるに、白瑛はあくまで優しく触れ続けた。するりと内腿を撫で上げれば、ピクンッと揺れたがぎゅっと脚を閉じる力を強くする。それでも可愛らしい乳首を愛撫すれば脚の力はどんどん抜けていって、鼻にかかったような声をは漏らした。
「ふぁ……あ、」
兄と体を重ねる時の激しい熱とは違う、とろとろと溶かされていくような温もりがの意識と体を支配していた。恐怖も苦悩も、優しい熱が全てを溶かして忘却の海に流していく。
「あたたかい、です、おねえさま」
「ええ、。私も、とても温かいです」
くるくると、敏感な芽を指先で円を描くように転がす。同時に襞の中にそっと他の指を挿し入れて、内側からも優しく指の腹で撫で回した。とろとろと溢れ出る愛液が白瑛の手を濡らし、の太腿を濡らしてシーツに染み込んでいく。甘い声を上げながら身を震わせるが愛しくて、やわやわと胸を揉む指で淡い桃色の乳首を撫でてみる。白瑛はの幼い子どものように柔らかな頬に自らの頬をすり寄せるようにして、互いの体を密着させた。
「んっ……ふ、ああ、」
緩やかに上り詰めたの体からくったりと力が抜けると、白瑛はが自分と向き合うようにゆっくりと小さな体を抱え直した。そしてそのまま、横向きになるようにシーツの上に身を倒す。白く長い脚を妹の脚に絡めて、白瑛は再びの唇を何度も啄んだ。睡魔にも似た心地良さがの体を満たしていく中、白瑛はそっと優しくの腰を抱え込む。白瑛の愛撫を受け、たっぷりと潤った秘部に、ちゅぷちゅぷとゆっくり自らの陰茎を沈めていった。
「ぁ、んぅ……」
「の中、とても温かいですよ、」
狭い膣内が、白瑛の挿入を悦ぶようにきゅうきゅうと収縮を繰り返す。蕩けるような快感に理性が揺らがされるのをぐっと堪えて、白瑛はに口付けて深く舌を絡めた。の表情に苦痛の色はなく、ただただ白瑛の与える優しい快楽に満たされている。そのことに安堵して、白瑛はを抱き締めたまま腰を動かすことはなく、丁寧に指先での肌を撫で回した。
「ふ、ゃ、」
わき腹、胸、背中、お尻。薄い皮膚を白瑛の指先が触れるか触れないかくらいの距離で撫でていく度、くすぐったいような柔らかな快感が生まれる。既に理性は蕩かされ、は従順に姉の熱を享受する。求めるように絡みつく柔らかながら弾力のある襞に、白瑛はナカを激しく突き上げてかき乱したい欲求を懸命に押さえ込んだ。可愛い妹を怯えさせてはいけない。このまま、優しい快楽の中に溶かしていてあげたい。やわやわと乳房を揉み、陰核を摘んで捏ね回しながら、白瑛はの膣が自らを締め付けるに任せて自らの腰が動きそうになるのを堪えた。
「あ、ああっ、ねえさま、」
「、可愛い……」
甘えるような鼻声に、白瑛の腰が疼く。すっかり情欲に潤んで蕩けた瞳が、焦点を失い熱に溺れていた。ゆるゆると僅かに腰を振っただけで、は甘く切なそうな喘ぎ声をあげる。求めるままに貪ってしまえばどんなに愛らしい痴態を見せてくれるのだろうかと一瞬欲望任せの思考が過ぎったが、白瑛はそれを振り払い、ただ優しく妹の肌を撫で回した。
「ふぁ、あッ……!!」
びくんと、上り詰めたの体が大きく痙攣する。ビクビクと震える体に連動して締まる膣が、白瑛の陰茎に絡み付いて射精を強請った。白瑛も本能に任せて精を放つが、白濁がどろりと広がった瞬間に胸を満たした征服感に自身でも驚く。
孕ませたい。白瑛たちの可愛い妹には、本能に直接響いてそう思わせる魔性じみた魅力があった。きっとは、オメガとして相当に優良な個体なのだろう。自制心のかなり強い白瑛ですら、妹に原始的な欲望が湧き上がるのを認めざるを得ない。ただ熱を治めてやりたいという慈しみの心からを抱いている白瑛ですらそうなのだから、愛欲からを抱く白雄や白龍が、肥大化する欲を抑え込めるはずもなかった。はオメガとして、あまりに成長し過ぎている。自分で呑み込みきれないほどの欲を、煽ってしまうオメガとしての性能。自身ですら制御できないその蠱惑は、もうとっくに兄二人を狂わせているのだろう。
「ねえさま……もっと、」
まだ熱が満たされないのだと、泣きそうな顔でが白瑛の手をぎゅっと握る。幼い心の追いつかないままにアルファの欲望を無自覚に煽り立て、その欲に呑まれて犯されてしまう可哀想な妹。をこの淫靡な地獄から救ってやるには、最早番を持つことしか手立てがないのではなかろうか。稚い恋心に任せ一生の番を決めてしまっては後悔するだろうという白雄の言葉に従ってはいたが、きっとこのままではの体も心も、取り返しのつかないところに落ちてしまう。
「、」
何と言ってやったら良いものかわからず、白瑛はそっと妹の小さな手を握り返す。赤子のように無垢なの微笑みが胸に痛くて、白瑛は目を閉じてその柔らかな額に口付けを落とした。
170709
フリリク:
オメガバースパロディのふたなり白瑛さんと致すお話。
ふたなり白瑛さんの追記。
白雄と白龍の板挟みに苦しむヒロインはヒートの際に2人ではなく、白瑛さんにお願いをする。曖昧ではあるが事情を理解している白瑛は優しく安心させるように彼女を抱く。