様とセックスして嫌われたい。どう思う?」
「俺は自分が思った以上に寛容な人間だったと感心している」
「真面目に答えてくれないか、パーシヴァル。こうして恥を偲んで相談しているんだ」
「貴様は時々恐ろしいほど図々しいな。席を立たずに話を聞いてやっているだけで充分ではないか」
「それで、どう思う?」
「まずもって、貴様はあの幼児体型に欲情するのか」
「幼児体型と言うな。あどけない天使のごとき完璧なお姿と言え」
「誰が言うか。貴様は幼女趣味だったのか」
様が幼女でいらっしゃる限り俺は幼女趣味と謗られても構わないが」
「わかった、ジークフリートに伝えておく。帰れ」
「話を聞いてくれパーシヴァル!」
「まだあるのか! だいたい仕えるべき主に欲情するのは騎士としてどうなんだ」
「それは……俺だって悩んださ。だが様がお可愛らしいんだ」
「貴様やはり幼女趣味なのだろう」
「強いて言うなら様趣味だ」
「……だいたい何だ、致して嫌われたいなどと。新手の被虐癖か?」
「……その、様は俺をおとぎ話のヒーローか何かのように思っていらっしゃるから」
「ああ、言わんとするところはわかるが」
「俺に俗っぽい欲望があることを、夢にも思っていらっしゃらないようで」
「二十七歳の男が自分に欲情すると思える精神年齢八歳はいないと思うが」
「いっそ俺のありふれた男らしい欲望をぶつけて、幻滅されてしまいたいというか」
「清々しいまでに自分本位だな」
「男として意識されたいんだ」
「つまるところそれが本題だろう。無駄にいかがわしくするな」
「……様の好きは、まだ恋愛のそれではないだろう」
「八歳児に男女の機微を求める方が酷だと思うがな」
「ああ……」
「しかしあれは五年経ったところで能天気に『ランス大好き』と宣っていそうだがな」
「それはそれで」
「貴様もう帰れ。そして世話役の任を返上してこい」
 
180213
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