「――それでは明日の任務について説明する。まず、エルマーからの報告だが……」
 白竜騎士団の詰所にて、鎧を外した軽装ながらも粛々とした雰囲気で任務の説明を行うランスロット。けれどその頭には、少し不格好な色とりどりの花冠が乗っていた。
様だな……)
様だろうな)
様以外いないよな)
 規則に厳格で真面目で、自分の威容にも気を遣う騎士団長が頭に花冠を乗せられてそれを許す相手。騎士団員たちは、誰もが同じ人物を思い描いた。そして、誰もそれに突っ込まない。笑うこともしない。若干微笑ましそうな空気も漂っていたが、表面上は至極真面目な顔をしてランスロットの話に集中していた。
「……さて、何か質問のある者はいるか?」
 いません。野太い声が、唱和する。そうか、と頷いて花冠を乗せたままランスロットは退出していったが、ランスロットがいなくなった後も騎士団長の可愛らしい姿について触れる者はいなかった。ただ皆、いつもより酒の量が増えていただけである。
 
180215
BACK