「おや、パーシヴァルは今日は髪を下ろしているのか」
「うわっ、パーさん髪下ろしてると誰だかわかんないな!」
「別人みたいだな」
「言いたい放題だな、お前たちは」
ラフな格好をし、髪を下ろしたパーシヴァルに気付いてそれぞれに好き勝手のたまうヴェインたち。そこへ通りかかったが、パーシヴァルをじっと見つめて首を傾げた。
「…………パーシヴァル?」
「おい、何だ今の間は。まさか婚約者の顔がわからないとは言うまいな」
「だってパーシヴァル、髪ちがうよ?」
「毎日見てるくせに何を言う」
「そうだっけ?」
「忘れるな! 毎日崩してくるのはお前だろう!」
「へぇ……様がいつお前の髪を崩したって言うんだ?」
「そんなの、夜に決まっ、て……」
見慣れないパーシヴァルの姿に一瞬固まったと、そのことに憤慨するパーシヴァル。二人で呑気な言い合いをしていたが、そこにランスロットが目の笑っていない笑みを浮かべて割り込む。反射的に答えてしまったパーシヴァルと、パーシヴァルの言わんとしたことに気付いてぽぽぽっと赤くなった。ヴェインは何のことかわからず首を傾げたが、ジークフリートは何か察した様子でさっとを自分の背後に隠した。
「髪が乱れるようなことを、様と、しているのか。それも、毎晩」
妙にはっきりと区切って話すランスロットに、パーシヴァルはじり、と距離を開ける。ジークフリートは、だんだん真っ赤になっていくと相変わらず意味のわかっていないヴェインを連れてさっさとその場から離脱したのだった。
180215