「……ん、」
ぬるい液体を吐き出した脱力感に、錆兎は小さな声を漏らして背を震わせた。布団についていた手を持ち上げて、胡座をかいていた錆兎の股座に顔を埋める小さなまるい頭をぽんぽんと撫でる。後始末をしようと紙に手を伸ばせば、ちろりと舌を這わされてびくりと腰が震えた。
「ッ、、」
「んぅ、」
残っていた液体をちゅうっと吸い上げるようにしてから、錆兎のものを離す。ぷるりとした小さな唇は唾液と先走りに濡れていて、ちゅぽっと擦られながら口内から出された亀頭が外気に晒されて震えた。顔を上げたの白い喉が、こくりと動く。
「……そういうのをどこで……いや、義勇か……」
「?」
「俺のは飲まなくていい、」
それは決して優しさとかそういうものではなく、単に錆兎は自分の精液を飲ませるよりも口からこぼれたそれを拭う方が好きだという、呆れたような理由なのだが。従順に頷いたの柔らかい髪を、指で梳くようにして撫でる。気持ち良さそうに目を細めて錆兎の手を享受するはあどけなく、自分たちのような男の欲望の受け皿にしていい存在ではない。そうわかってはいても、もうとっくに溺れていた。
は錆兎と義勇の妹弟子だ。最初の任務以来音沙汰のないを案じた鱗滝から「気にかけてやってほしい」と頼まれて暫くして、義勇が首根っこを掴んで引き摺って帰ってきた。泥まみれ血塗れで生傷だらけのぼろぼろの子どもに、友は何かしら思うところがあるようだったが。錆兎は義勇の胸の内を暴くことはせず、自分のやり方での面倒を見た。ひどく臆病で引っ込み思案なも、拾われた恩からか兄妹弟子という関係ゆえか義勇と錆兎にはよく懐いて。ざんばらの髪を整えてやったときに初めて見せた含羞んだようなちいさな笑顔は、錆兎に庇護欲を抱かせるには充分だった。もっぱら、の身なりを気にしてやるのは錆兎だった。義勇は錆兎以上に容赦なくを鍛えて、妙にちぐはぐな態度でを突き放してみたり、かと思えば手を取って頭を撫でてやったりもする。友の奇行に首を傾げていた錆兎がある日任務から帰ってきたところで、を組み敷いたまま動けなくなっている義勇の姿を見てしまって。ああなんだ好いていたのかと、すとんと腑に落ちるような感覚があった。義勇が、だけではなく自分もであると。嫉妬の炎は湧かなかった。けれど身を引こうとも思わなかった。ひどく自然に、その言葉は錆兎の口を突いたのだ。思い詰めたように目を見開いて荒い息をする義勇を、困惑しながらも義勇に手を伸ばして慕う兄弟子に安心を与えようとするを、どちらとの距離も壊したくないと思った。
――ふたりで愛そう、義勇。三人で一緒にいるんだ。
断罪を待つ罪人のように震えていた義勇の手を掴んで、何も知らず怯えているくせに受け入れようとするの肌に触れさせた。躊躇う義勇の前での脚を抱えて開かせて、恥じらうに頬を擦り寄せて。錆兎がの初めての口付けを奪ったとき、義勇は覚悟を決めたようだった。自らの意思で指を肌に沈めて、体を拓いて。その日錆兎と義勇とは、ほの暗い秘密を共有した。
「……昼間から何をしているんだ」
かたんと障子を引いたのは、むすっと眉間に皺を寄せた義勇で。非難めいた言葉とは裏腹に、部屋に入った義勇はぴたりと隙間も残さず障子を閉める。なかなか拗らせているものだと、幼かった頃の素直に笑う義勇を思い浮かべて錆兎は口元が曖昧な弧を描くのがわかった。
「お前もその気で来たんだろう、義勇」
「…………」
「任務帰りで昂っているのは同じだ、俺もお前も」
「……」
錆兎の布団の上でぺたんと座っていたの前にしゃがみ込んで、義勇はその頬を撫でる。そのまま腰を下ろした義勇の胸にぺたりと手をついたは、義勇が背中に腕を回すとふにゃりと柔らかく微笑んだ。
「義勇さま、……んっ、」
が義勇に何事か言う前に、その唇を塞いで義勇はの口腔へと舌を這わせる。相変わらずだな、と錆兎はふたりの様子を眺めていた。あれから何度も、三人で歪な関係を重ねてきたけれど。躊躇っているような様子を見せる義勇の方がむしろ、の体を拓くことに積極的だった。錆兎も義勇も、互いのいないところでもに手を出したけれど。に「女」を教えているのはもっぱら義勇だ。こいつは存外むっつりだったのだなと錆兎に思われていることを義勇も知っているだろうに、義勇は変わらない表情で昼日中の行為を咎めたりするのだからよくわからない。鬼を斬ってなお収まらない疼きとそれ以上の情愛をにぶつけているのは義勇も錆兎も同じなのに、義勇はそれに言いようのない自己嫌悪を抱いているようでもあった。
「ん……んむ、」
上擦った声が、の塞がれた口から漏れる。先ほど口内で出してしまったが良いのだろうかと思いながら眺めていた錆兎にちらりと視線を向けた義勇は、の舌に纏わり付く液体の味に眉を寄せていた。「ぷぁ」と間抜けな声がして、口付けから解放されたの口からは白く濁った唾液の糸が伝う。
「…………」
「お前が飲めと教えるからだ」
「……、俺もしてくれ」
「は、はい、」
ベルトに手をかけて前を寛げた義勇に、はそっと手を伸ばす。もう既に硬くなっているそれがの頬にべちりと当たったが、は嫌そうな顔をすることもなく大事そうに義勇の陰茎を両手で握り込む。何度か扱いたり鈴口を指先でくにくにと弄ったりしているうちに、義勇のものは硬さと質量を増して。がちがちに硬くなったそれをぱくりと小さな口で咥え込んだは少し苦しそうだったが、ちゅぶちゅぶと卑猥な音を立てて顔を上下させ始めた。喉の奥まで突いてしまって苦しそうにしても健気に咥えたままでいるを、義勇は目を細めて見下ろす。髪の柔らかさを確かめるように頭を撫でる義勇に、も嬉しそうに目を細めて。
「」
義勇の股に顔を埋めるの足首を掴んで、錆兎はの脚を開かせる。びくりとは震えたが、錆兎は構わずの隊服を脱がせて小ぶりな尻をむき出しにした。「させてばかりでは悪い」と下着を脱がせる錆兎の意図を悟ったが逃げるように腰を引かせたが、錆兎は逆に尻を突き出させるような格好に抱える。きゅっと締まっている小さな尻とそこから伸びる太腿は、の体でいちばん柔らかくて危うい色香があって錆兎は好きだった。わざといやらしい手付きで内腿を撫で回せば、胎にこみ上げる感覚から逃れるようにが腰を浮かせる。反った背中の曲線にごくりと唾を飲み込むと、義勇がちらりと錆兎に視線を向けた。どことなく咎めるような視線を真っ直ぐ見返して、錆兎はの脚をさわさわと撫で続ける。ぴくぴくとくすぐったそうに震えながらも、は一生懸命義勇のものを慰めていた。裏筋を丁寧に舐めあげて、亀頭にちゅっちゅと音を立てて吸い付く。小さい手でぬめる陰茎を優しく撫で、鼠径部にも指先を這わせて義勇に奉仕する。ちろちろと小さな舌先が反り返しを丁寧に這うのを堪えながら、義勇はの口元をじっと見下ろしていた。
「んっ、」
堪えるように目を瞑ったの割れ目を、つうっと錆兎の指が撫でて。「やっぱり濡れてるな」とどことなく面白がるような声音で滲む愛液を掬い上げた錆兎に、はかあっと顔を赤くして手を止めた。それでも義勇がの耳を撫でると、きゅっと口内の陰茎を締め付けて柔らかい内頬でぬぷぬぷとしごいてくれる。健気に淫らなは、自身を慰めるすべを知らない。錆兎たちを手や口で慰めて欲情してしまっても、自慰で疼きを治めることができない。義勇たちに縋らなければその熱からは解放されないと、そう教え込んだのは彼らだ。鱗滝には到底言えないような関係を、兄妹弟子は結んでいた。
「、気持ちよくなっていいから」
「ぅ、」
もじもじと腰を揺らして恥ずかしがるに、錆兎は優しく語りかける。縋るように義勇を見上げたの言いたいことは義勇もわかっていたけれど、「いつも頑張ってくれるだろう」と敢えて見当違いの言葉を返した。はあまり三人でしたがらない。頭がおかしくなりそうなほどに乱れてしまうのが、それを義勇たちに見られるのがたまらなく恥ずかしいのだと、は言うけれど。好いた女にそんなことを言われて「ならやめる」と言える男などいるものか。嫌われたくないと、幻滅されたくないと、は勘違いをしている。おかしくなりそうほど気持ちいいのが怖いと泣くを前に義勇と錆兎が抱くのは、愛おしいという気持ちと更なる劣情だ。ふたり分の重い感情をそれでも必死に受け入れて応えようとするがあまりに可愛らしくて、それなのに幻滅などしようはずもない。義勇がそっと手を伸ばしての隊服の首元を緩めると、ふたりにつけられた鬱血痕が鎖のように連なっていた。
「……錆兎」
「ああ」
そっとの頬に手をかけた義勇は、口淫を止めさせての上体を起こす。後ろからを抱え込んだ錆兎が、「顔を見せてくれ」と顎を掴んで顔を上げさせた。恥ずかしそうに視線を泳がせるを振り向かせて唇を重ねながら、錆兎はの脚の間に手を伸ばす。隊服のボタンを慣れた手つきで外した義勇は、その薄い胸をそっと掌で包み込むようにして撫でた。の乳房は慎ましいけれど、それでも触ればふにりと柔らかい。それに義勇と錆兎が愛でて敏感になったそこは、撫でるだけでも可愛らしい声をに上げさせる。淡い桜色に色付いた突起がつんと誘うように硬くなって、じっとそこを見下ろした義勇はおもむろにふっと息を吹きかけた。生温かい吐息に震えたは、錆兎に舌を絡め取られて艶めいた息を漏らしている。ちゅくちゅくと水音を立てての羞恥を煽るのが好きらしい錆兎に結局似たもの同士だなと思いながら、義勇は小さな突起を指先でそっと押しつぶす。堪えるように目をぎゅっとつぶったに、うずっと胸の奥がざわめいた。くりくりと転がすように撫で回す義勇の指先に、が制止を乞うようにそっと自らの手を重ねる。その手を掴んで唇を押し当てると、が慌てて手を引き抜こうとして。逆に引き寄せて指を咥える義勇に、錆兎がくつくつと笑い声を漏らした。の股の間に手を差し込んだ錆兎は、隠れている陰核を指先で探り出して優しく擦る。の口から漏れる嬌声を呑み込んで、錆兎はくちゅくちゅと割れ目と陰核を指の腹で擦り上げた。びくびくと震えるの腰を抱いてしっかりと抱え込んで、くらりと焦点を失ったの瞳を見下ろす。ふっと微笑んだ錆兎に、の頬が一層熱を持った。
「……んぅッ、」
「意地が悪いな、義勇は」
胸に吸いつかれて声を上げたの頭を撫で、錆兎は義勇に視線を向ける。どことなく拗ねたような雰囲気を纏っての胸のツンとした先端を舐り、義勇も錆兎の触れているそこへと手を伸ばした。くちゅりと音を立てて膣口に呑み込まれた指に、義勇は目を細める。
「あっ、ぎゆ、さま……! さびとさま、だめ、そこ、いっぱいッ……!」
「まだ入るだろう」
「は可愛いことを言うんだな、煽ってるつもりはないんだろうが」
ふたりの指が、つぷんとそれぞれ好き勝手にぬかるむそこに突き立てられる。錆兎の指が陰唇をくぱりと開いて広げ、ひくりと収縮するそこに義勇が二本目の指を入れていく。浅いところをつぷつぷと出し入れしたり撫でたりを繰り返す錆兎の指と、奥まで突き上げる義勇の指には泣きそうな声を上げて制止を乞うけれど。
「心配だな、義勇。はこんなにも可愛らしいから」
「……ああ、そうだな」
どうにもは無自覚に嗜虐心を煽るのが上手いところがある。大きな目に涙を溜めて、必死に許しを乞うて怯える姿。どこもかしこも小さくて脆そうで、守ってやりたいと思う反面泣かせてしまいたくなる。無垢なものを征服するのは、誰だって気持ちよく感じるものだ。どんなに泣かせてもこの手に頬を擦り寄せてくれるとわかっていれば、なおさら。新雪に足跡をつけるのと似通った心地を与えてくれるは、自覚がない分余計に危うい。傷付けないようにしなければと強く自身に言い聞かせなければ、壊してしまいそうだった。
「や、あッ、だめ、だめです、……ッあ!!」
身を捩ったところで、錆兎も義勇ものイイところを知り尽くしているのだからすぐに果てへと追いやられる。体全体をびくびくと震わせて達したにまた手や舌を這わせて、執拗にそこを解していく。ぬちぬちだとかぬぽぬぽだとかわざと聞こえるように水音を立てるふたりの手にぎゅうっとしがみついて、は必死に息を保とうとする。あられもない声が恥ずかしいけれど、声を抑えることも考えられなくて。ぐちゅり、と義勇の指が奥の奥まで突き立てられて、一瞬息が詰まる。ずっぽりと付け根まで指を咥え込んでいるそこに視線をやってしまって、慌てて目を逸らしたもののきゅうっと膣内が収縮してしまったのは隠しようもなかった。
「目を逸らさなくていい、」
「そうだな、せっかくだからもっと見てもいいくらいだ」
錆兎がそっとの頬を抑え込んで、義勇がぬぷっとゆっくり指を引き抜いていく。視線を逸らせないの前で、ひくつくそこが離れがたいとでも言うかのように義勇の指に吸い付いていて。ぬぽっと音を立てて引き抜かれた義勇の指は、てらてらといやらしく濡れていた。義勇の指を淫猥に濡らしているのが何かなど、問うまでもなく明白で。けれど目を背けることもできずにいるの前で、義勇は殊更にゆっくりと指に絡む愛液を舐め取った。物足りなそうにひくひくと蠢く膣口を見下ろして、焦らすように錆兎が指先をその周囲に這わせる。淫らに濡れた吐息を必死に呑みこもうとするを、義勇が軽々と抱き上げて。「いいか」と義勇が短く問えば、視線をさ迷わせた末にはこくんと小さく頷いた。くるりと体の向きを変えられたは、背後から抱きかかえられるようにして義勇の膝の上に下ろされる。ぐずぐずに蕩けたそこにぬちりと先端を押し当てられて「ひうっ」と上擦った声を上げたをゆっくりと下ろしながら、義勇は猛った自身を埋めていく。自重で深く穿たれるのがつらいのか、の膣内はぎゅうぎゅうと縋るように義勇のものを締め付けた。
「あっ、ふぁ……ッ、」
「よさそうだな、」
とろりと潤んだ瞳を見下ろし、錆兎がの頭を撫でた。義勇のものを根元まで呑み込んだ結合部の少し上へと、錆兎は手を伸ばす。待ってとか細い声で懇願したに笑いかけ、陰核を指の腹で擦り上げた。
「ぁんッ!!」
仔犬の悲鳴のような鳴き声で、は喘ぐ。敏感な芽を揉み潰す錆兎の指から逃れようと必死に身を捩るけれど、義勇がの腹に腕を回してしっかりと抱え込んでいる以上逃げられるわけもない。快感に跳ねる体はまるで自ら求めて腰を振っているようにも見えたが、義勇も錆兎も敢えてそれを口に出すことはなかった。の柔らかい尻がぺちぺちと義勇の太腿に当たり、不規則に腰を捩るを突き上げると「ふゃああっ!?」と愛らしい声が開いた口から漏れる。胸の飾りを義勇の手に弄ばれ、最も敏感な花芯を錆兎の指に弄り回され。呆気なく達したのびくびくと蠢く内壁は、搾り取るように義勇のものに絡みついてうねる。それに抗うことなく精液を吐き出した義勇は、自らの子種がの胎を満たしていく感覚にふっと口元を緩めた。とくとくと注ぎ込まれる感触に艶かしい吐息を漏らすの結合部から、収まりきらなかった白濁がつうっと伝い落ちて。糸の切れた人形のようにくたりと力の抜けたの腰を抱え、義勇はずるりと自身を引き抜く。けれどそれで終わりではなく、義勇から受け取るようにして今度は錆兎がと抱き合うように腰に手を回した。
「……あ、」
「もう少しがんばれるか、」
「はい……」
「いい子、」
臀部を鷲掴みにして、ひと息に剛直を突き立てる。幾重にも重なった肉襞がぬるぬると熱く濡れて絡みついて、腰骨から背筋へと駆け上がった感覚をやり過ごして錆兎は息を吐いた。少し動くだけで甘い声を上げるに愛しさと劣情がこみ上げて、手加減も忘れてずんずんと突き上げてしまう。達したばかりのは膣内を擦られるだけでびくびくと震えて、ぎゅうっと錆兎にしがみつく。背後の義勇につぅっと背筋をなぞられて、は高い声を上げて背を反らした。また胸に手を這わされて、くにくにと先端を揉み潰される。背後からぴたりと腰のあたりに義勇の熱を擦り付けられて、ぞくりと腰が震えた。ずっと頭がふわふわするような心地で、譫言のように義勇と錆兎を何度も呼んでしまう。義勇が宥めるように頭を撫でてくれて、錆兎が安心させるように口付けてくれて。安堵を抱けば、理性は溶けていく一方だ。錆兎が吐き出した精液にまた胎を満たされて、ふにゃふにゃとした声が出る。今度は背後から義勇に腰を引かれて、うつ伏せにさせられて挿れられた。ぐぷりと、混ざり合った体液が収まりを失って溢れていく。口元に差し出された錆兎のものにちろりと舌を這わせたのは、もう体が反射のように覚えている動きだった。ゆっくりと口内に押し込まれた陰茎に絡まる液体を、丁寧に舐め取っていく。「ん、」と息を漏らしながら錆兎のものを咥え、義勇に突き上げられるたびにきゅうっと膣内を収縮させた。とろりと理性の溶け落ちた瞳を見下ろして、錆兎は「可愛いな」と呟く。それに同意するように頷いた義勇は、の腹に腕を回して子宮の辺りをすりすりと撫で上げた。
「……う、」
どうやら意識を失っていたらしいと、気怠さを感じながらはぱちぱちと瞬きをして目を開ける。仰向けに寝ていたを、両脇で横になっていた義勇と錆兎が覗き込んでいて。
「~~~ッ!!」
急にこみ上げてきた羞恥に、がばりと布団に潜り込もうとするも義勇がの腕を掴み、錆兎がの頭を抱き込んでしまう。真っ赤になった顔をぐりぐりと錆兎の胸に押し付けると、くつくつと錆兎がの頭の上で笑った。の手を離した義勇が、の胸の下あたりに腕を回して抱き締める。狭い布団で三人でぎゅうぎゅうと密着して、体に熱が篭もっていくのがわかった。
「……お夕飯、作らないと……」
「まだ昼だな」
「もう少し休んでいた方がいい」
苦し紛れに絞り出した言葉も、あっさりと躱されてしまう。諦観にも似た感覚で目を瞑ったは、兄弟子とうまくやれているか心配する鱗滝の手紙に何と返すべきか頭を悩ませるのだった。
190619