「花火、綺麗でしたね」
 鮮やかな色彩の光と、空に轟いた音の余韻。どこかぽわぽわとした表情で義勇を見上げたに「ああ」と頷いた。淡い水色の地に青や紫の朝顔が描かれた浴衣は、涼やかで可愛らしい。鱗滝が選び真菰が着付けてくれたそれはによく似合っていて、思わず見惚れて言葉を失った義勇は錆兎に「そういうところだぞ」と脇腹を叩かれることとなった。幸い今日は夏祭りの見回りから外されていた義勇は、途中で会った宇髄やしのぶたちにからかわれながらもと祭りを楽しんで。が一生懸命掬った金魚は、炭治郎と禰豆子に引き取られていった。チョコバナナやりんご飴、綿飴にたこ焼きと色んな屋台を回ったは満足気だ。花火に魅入っている間に溶けてしまったかき氷を勿体なさそうに見下ろすの手を引いて、義勇は近場の神社へと向かう。そこなら腰を下ろせる場所があるから、薄まったシロップを飲み干すついでに少し休んで帰ればいいだろう。瓶の結露で手を濡らす飲みかけのラムネを、温くなる前に飲んでしまおうという意図もあった。ただ、それだけのつもりだったのだ。

「――……んッ、ぁ……」
 どこからか聞こえてくる、喘ぎ声。祭りの夜に野外で行為をしているらしい男女の声に、義勇は溜め息を吐いた。隣に座るにもその声は聞こえてしまっているようで、気にしていない風を装っているが耳が真っ赤になってしまっている。急くように大きくかき氷の容器を傾けて中身を飲み干していたが、きゅっと目をつぶってこめかみを抑えた。
「……無理に急がなくてもいい」
 頭がキーンとしているだろうのこめかみを、親指の腹でそっと撫でる。びくっと震えたの反応に、義勇は目を瞬いた。
「あっ……その、ごめんなさい……」
「いや……」
 どことなく漂う気まずい雰囲気の中、くぐもって聞こえる誰かの嬌声。もじもじと太腿の上で手を握ったり開いたりするが、チラチラと窺うように義勇を見ながらちびちびとかき氷だった液体を流し込んでいく。確か以前にもこんなことがあったと、義勇はラムネに口をつけながら思った。何となく借りてきた洋画をふたりで観ていたら、少し刺激の強い濡れ場が映し出されて。ジュースを飲んで顔の熱さを誤魔化そうとするの方に目がいってしまって、結局映画の内容など頭に入らなかった。自分だけが気恥ずかしさを感じているであろうことに不安を覚えたが見上げてくるのが可愛らしくて、掠めるように口付けて。肩を掴んで、その場に押し倒したのだったと。
「……ッ、」
 太腿の上のの手を、そっと握る。肩を震わせたには視線を向けないまま、手のひらで小さな握り拳を撫でた。柔らかく握り込んで、指先で触れるか触れないかの強さで肌をなぞる。するりと手首の方まで指を這わせると、頬まで赤く染めたがおそるおそる義勇を見上げた。空になったラムネの瓶を脇に置き、を見下ろして視線を合わせる。
「…………」
 のもう片方の手から、かき氷の容器を取り上げてベンチに置かせる。結露の水滴で濡れた手を握り、不安と期待が綯い交ぜになって泣きそうなの目元に口付けた。両手を繋いだまま、額や頬に次々と唇で触れていく。潤むの瞳が距離の近さに滲む視界でもはっきりと見えて、胸の中でぞわりと仄暗い色をした何かがざわめくのを感じた。食らうような勢いで唇を重ねて、何度も繰り返し柔らかなそこを啄む。ぎゅっと繋いだ手に力を込めたに煽られ、ふにりとした唇を割って舌を這わせた。
「ん、」
 稚ささえ感じるこの声でなければ、義勇は欲情しない。人工的な甘さのまとわりつく舌同士を絡ませて、吸い上げる。くちゅりと唾液の混ざり合う水音が小さく響いて、ぞわぞわと背筋が震えた。小さな舌を舐め回し、熱の篭もる吐息を交わし合う。繋いだ手はもはや水滴だけではなく汗で濡れていたが、互いに手を離そうとはしない。もじ、とが内腿を擦り合わせるのが浴衣越しに妙に艶めかしく見えてごくりと喉を動かしたその時、がさりと大きな音が近くの藪から響いた。
「ッ……!」
 思わずぱっと離れて、の唇を濡らす唾液を手早く拭う。雰囲気に呑まれていたも赤くなったり青くなったりと不安げに辺りを見回していて、ラムネとかき氷の容器をやや乱雑にビニール袋に突っ込んだ義勇はそんなの手を引いた。
「……帰るぞ」
「は、はい……」
 繋いだ手の体温は、つい先ほどのそれよりは低くなっている。の先を歩く後ろ姿も、いつもと変わりない。けれど、その歩調は心做しか早足で。の手を握るその手にも、逃がすまいとしているかのように力が込められていた。
「…………」
 無言の帰り道で、それでも行き場のない熱が繋いだ手に籠っている。どきどきとうるさいままの胸に手を当てて、は必死に自分を宥めようとした。

「あッ、ぎ、義勇さん……」
 玄関の扉を閉めるなり手首を掴んで壁に押し付けられ、は制止を乞うように情けない声を上げる。巾着もビニール袋も床に落ちて、けれどそちらを気にして視線をやる余裕もなかった。いつもは涼やかな目が、熱の籠った色をしてを見下ろしている。汗の滲んだ首筋に吸いつかれ、「ひゃうっ」と色気のない声が出てしまった。逃げるように首筋を反らしたせいで、晒される面積が大きくなる。それを余さず食むように何度も吸い付いては、舌先でべろりと舐められて。珍しく余裕のなさそうな義勇は、の後頭部をぐっと掴むと噛み付くように唇を重ねた。
「んッ、ふっ、」
 周囲を気にせずともよくなったせいか、さっきよりも激しい水音が重なったそこから響く。貪るように口腔を荒らす義勇の息も荒くなっていて、口付けを交わす一方での浴衣の裾を肌蹴させて股に手を突っ込んだ。内腿を掴んだ義勇の手は熱くて、の胸がどくりと大きく脈打つ。するすると皮膚の薄いそこを撫で回されて、逃げるように身を捩ったり脚をばたつかせたりしてしまう。そうやって動くほどに浴衣が肌蹴ていって脚が見えてしまっていることに、ばかりが気付いていない。肌襦袢を着ているためにショーツを身につけていないそこに指を這わせると、そこは既にじんわりと濡れていた。
「あっ、んゃッ……ひゃんッ!」
 滲む愛液を掬い上げ、濡らした指先で陰核を撫で擦る。くにくにと敏感な芽を押し潰されて耐えきれず身を捩らせるだが、壁に押し付けられていては大して逃げられるわけもなく。義勇の指が、執拗に剥き出しの花芯を探る。びくびくと震えるの目はとろんと潤んでいて、理性はほとんど溶け落ちているのが目に見えてわかった。よく濡れたそこから手を離し、代わりに膝を割り込ませる。義勇の浴衣の少しざらついた布地が擦れるのがつらいのか「ぅん、」と堪えるような声を上げたが愛らしい。布地が湿っていくのを感じつつ、膝で割れ目をとんとんと軽く叩いたりぬちぬちと擦ったりを繰り返す。浴衣の上から慎ましい乳房を掌で包み込むように撫で回すと、直接触れてもいないのに硬くなっている突起がつんと布地を押し上げる。指先でそれを押し潰せば、羞恥に泣きそうなが甘い声を漏らした。
「あっ……」
「期待していたのか」
「……ごめ、んなさい……ッ、」
「謝ることじゃない」
 ぐりぐりと膝で秘部を責め立てながら、乱れた胸元に口付ける。剥き出しになった鎖骨にちろりと舌を這わせ、くりくりと浴衣越しに胸の飾りを摘んで揉み潰す。壁に後頭部を押し付けるようにして背を反らしたが、不意にびくりと大きく震えた。
「……ふぁ、あッ……ぎゆ、さん、」
 達した余韻でぴくぴくと痙攣するが、縋るように義勇を見上げて手を伸ばす。その手を握り返した義勇は、割れ目から膝を離して握った手をそこに当てさせた。
「わかるか、
「ひゃッ……」
「こんなに濡れてる」
 くちゅくちゅと、の指を使ってそこを弄らせる。真っ赤になってぽろぽろと涙を零すを見て、どうしてか下腹部に熱が集まった。自分には加虐趣味があったのだろうかと訝しく思う一方で、に羞恥を強いるような行動を取ってしまう。大きな瞳を潤ませるが愛らしくて、赤く染まる白い肌が愛おしくて、つい反応を確かめたくなるのだ。の指を使って解した膣口は、ひくひくと待ち侘びるように収縮していて。自身の浴衣の前を寛がせ、猛ったそれを露出させる。の左脚を掴み、内腿を持ち上げるようにして大きく開かせると、片脚でしか自分の体を支えられなくなったが壁に手をついてバランスを保とうとした。追い詰めているような感覚が自分でも意外なほどに愉快で、ぴとりと亀頭を膣口に押し付けてを見下ろす。神社で口付けたときと同じ、期待と不安が入り交じった表情。そんな顔をされては昂るだけだと、教えてやった方がいいのだろうか。脚は大きく開かされ、崩れ落ちないために必死に手をついているために身動ぎもできない。ふるふると瞳を震わせて義勇を見上げるに思い知らせるように、あえてゆっくりとその先端を沈めていった。
「あッ……ぁ、う、」
 ずぶずぶと、少しずつ埋まっていく。弱いところを擦り、奥まで侵入していく熱。身を捩ることもできないは、与えられる感覚に喉を震わせて小さな喘ぎを漏らす。その喉の震えを、堪えるように目を閉じた瞼の動きを、義勇はただじっと見つめていた。大きく脚を抱え上げた手に知らず力が篭もり、汗が滲む。奥へ奥へと義勇のものを呑み込んでいくのそこから、溢れた愛液が垂れ落ちて太腿を伝った。濡れた襞がうねって絡み付くの膣内は、幼く純粋なの性情と反し淫らに義勇を求めて蠢いている。とろとろと潤った内壁にきゅうっと締め付けられ、義勇は反射的に込み上げた熱をやり過ごして息を吐いた。の顔の横に片手をつき、脚を持ち上げる手にぐっと力を込めて一息に腰を押し込む。子宮口を突き上げられる感覚に、は目を白黒とさせてどうにか耐えていた。
「は、ぅ、」
 奥まで挿入した陰茎を、ぎりぎりまで引き抜く。くぽっと間の抜けた音を立てたそこに、再び熱を突き立てて。ぐぽぐぽとはしたない水音を立てて抜き差しを繰り返す義勇の動きに、はぎゅっと口を引き結んで必死に耐えていた。乱れた浴衣の涼やかな柄が、却って淫靡さを際立たせる。奥まで突き上げては浅いところをずりずりと擦り、逃げるように浮いた腰を追ってぐぷりと更に深く沈める。ずんずんと揺さぶられて泣きそうなにまた口付けて、息を交わし合って。壁に手をつくのがつらくなってきたのか、が義勇の首に抱きつくように腕を回す。甘えるような仕草が愛おしくて、口付けも抽挿も激しさを増していく。くちゅり、ぐちゅりと、粘着質ではしたない水音が玄関に響く。息を求めるように一生懸命口付けに応えるが、義勇の首筋を指先でそろりと撫ぜた。そんなことにさえ興奮は高まる一方で、離さないと言うかのように絡み付いてくる襞に先端をずりゅずりゅと擦りつける。空いている方の手で陰核を摘んで扱くと、可愛らしい嬌声を漏らしては背筋を震わせた。びくびくと痙攣する膣内の動きから限界が近いのはわかっていたが、ぷくりと存在を主張するそこを指先で弾いたり揉み潰したりしながら子宮口を突き上げる。きゅうっと縋るように収縮した膣内の動きに抗わず、義勇は低い呻き声と共に精液を吐き出した。
「……うっ、」
「ふぁ、」
 絡み合うように抱き合った体勢のまま、達したあとの余韻に息を震わせる。精液を胎に受け入れてゆっくりと瞬きをしたの、どことなく気怠げで婀娜っぽい雰囲気にずくりと再び熱が疼く。けれど義勇はずるりと陰茎を引き抜くと、子どもを抱えるようにを抱き上げた。
「……部屋に行くぞ」
「は、い……」
 とろんとした目で力無く頷いたは、愛おしげに義勇の肩に頬擦りをする。今すぐここで押し倒してしまいたい気持ちをどうにか押さえつけて、義勇は部屋へと歩を進めたのだった。
 
190810
「夏祭りで一通り遊んだあと、少し離れた静かな神社で涼んでいたらどこからか他のカップルの喘ぎ声が聞こえてきて変な気持ちになっちゃう推しカプ」
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