小さい頃、は「かみさま」と出会ってしまった。頭から血を被ったような赤い紋様の入った、白橡の髪。振り向いてを見た瞳は、虹の色をしていた。山菜を入れていた籠を落としてしまったのは、その特異な外見に驚いたからではない。神社の裏で座り込んでいたその男は、人を食べていたのだ。
「ああ……」
 千切れた腕を口元から離し、その男は柔らかな笑みを浮かべる。「麓の村の子だね」と言って立ち上がった男から、目が離せなかった。きっと逃げなければいけないのに、逃げられない。凍りついたように、足が動かない。の目の前までやって来た男が、穏やかな笑みを浮かべてを見下ろす。その口元は、べったりと血に濡れていた。
「こっちに入ってきてしまうなんて、運の悪い子だ。可哀想に……」
「……だ、れ、」
「うん?」
 男の肩越しに、地面に散らばる人の体が見える。この男は人を食っているのだ。も、食われてしまうのだろうか。死の恐怖を前に掠れた音を立てた喉を撫でて、男は目を細めた。
「可愛いね、純粋で綺麗な目だ」
「……?」
「君は可愛いから、殺してしまうのは惜しいなぁ。十三の歳になったら迎えに行くよ」
 首筋に、ぐっと爪を立てられる。チリッとした痛みに顔を顰めた次の瞬間、の目の前から男の姿は消えていた。散らばっていたはずの、死体すらなく。慌てて籠を拾い上げれば、採ったばかりの山菜はすっかり萎びてしまっていた。
『十三の歳になったら迎えに行くよ』
 男の声が唐突に蘇り、背筋にぞわりと寒気が走る。こわい、と思うままに駆け出して、一目散に家に帰った。養父の鱗滝はを迎えるなりひどく驚いたような、それでいて泣き出しそうな顔をしていたが、それもそのはず、は三日も行方知れずだったらしい。山菜を採りに山に入ったまま、獣に襲われたか足を踏み外したかで死んだとさえ思われていたのだ。けれどが神社であった出来事を話すと、鱗滝は顔色を変えた。話が広まり、村中が騒然として。「あの子は神様に魅入られてしまった」と、村長や神主まで出てくる騒ぎになった。山の神社に封じられている神さまは、人を喰らう存在なのだそうだ。その日からは、山に入ることを禁じられた。神さまに連れて行かれてしまうと大人たちは口を酸っぱくして言ったし、も逆らう気はなかった。今でも鮮明に思い出せる、血肉の臭い。目の前で笑った神さまの口から覗いていた、鋭い牙。十三になったら食われて殺されてしまうのが怖くて、鱗滝に泣きつきもした。首筋につけられた爪痕は何年経っても消えないままで、まるで目印のようなそれを包帯を巻いて隠している。
「十三になったら、」
 嫁に行けと、鱗滝は言った。遠い遠い、山を幾つも越えた向こうの村。鱗滝の縁者のはからいで、は遠い村に嫁ぐことになった。それが明日のことである。十三歳になった今日は、家族と過ごす最後の日だった。嫁入りには少し早い歳かもしれないが、相手はの事情も知った上で受け入れてくれるらしい。鱗滝にも結婚相手にも感謝しなければと、は晴れ着を見ながら思った。今日まであの山に入ることもなく、あの「神さま」と再び会うこともなく生きてこられた。村を出るためには船を使うらしく、あの山を通ることもない。安堵にも似た気持ちが、不安と綯い交ぜになって胸を満たしていた。は十三の歳を迎えられた。何事もなく。この村を出て、もう二度と帰ってこられないだろう。
「……?」
 ふと、肩をとんとんと叩かれる。鱗滝にしては珍しい行動を不思議に思い振り向いたは、凍りついたように目を見開いて動けなくなった。
「――やあ、迎えに来たよ」
 赤い紋様の入った、白橡の髪。虹色の虹彩。あの日が見た姿と何一つ変わらない「神さま」が、目の前に立っていた。思わず目を疑ったが、確かにそこにはの記憶通りの「神さま」がいて。殺されると、咄嗟に頭にそんな言葉がよぎった。逃げ出したいのに、足が動かない。包帯を解いての首筋に指を這わせた「神さま」は、自らの残した爪痕を愛おしげに撫でた。
「綺麗になったね、ちゃん」
 はくはくと、ただ開閉するだけで何も音を発さない口。神社の裏で人の血肉を貪っていた姿が脳裏を過ぎって、動かない体がカタカタと震えた。あの日見た肉片に、もなってしまうのだろうか。せめて息の根を止められるまでは這いずってでも逃げたいのに、まったく体が動かないのだ。どうして名前を知っているのかだとか、どうでもいい疑問が浮かぶ。
「結婚の準備がしてあるのはいいね、とても良い。きちんとちゃんを俺の元に送る用意をしてくれたのだね」
 違うと、震える喉で紡いだ音は声になっただろうか。晴れ着を手に取った「神さま」は、それをに被せてにこりと笑う。「可愛いね」と目を細めて、をぎゅっと抱き締めた。
「大丈夫、何も怖くはないよ。怯えなくていいからね」
 大きな体躯にすっぽりと覆われて、息ができなくなる。呑まれるように、意識がとぷんと闇に沈んだ。

ちゃんはね、俺のお嫁さんになるんだよ」
 神さまの名前は、童磨というらしい。神社で目覚めて逃げ出そうとしたを呆気なく捕らえて、にこにこと語った。殺して食べるのではないかと問うたに、「そんなことしないよ」と童磨は首を横に振る。部屋の隅で自分を守るように縮こまって警戒心を露わにするに、童磨は苦笑した。
ちゃん、俺のことが見えるもの。殺してしまうのは勿体ないよ」
「……?」
 童磨いわく、「こちら側」に迷い込む人間こそたまにいても、姿をはっきりと認識して声を聞ける人間はいなかったのだそうだ。一方的に懇願されることに飽いていた童磨は、なら自分の話し相手になってくれると思った。けれど幼いうちに連れて来てしまうのも可哀想だと思ったから、十三まで待った。爪痕は、所有印でもあったらしい。神さまが見えるほど「こちら側」に近い存在が、他の怪異に手を出されることのないようにと。だから危害を加えるつもりは無いのだと、「安心して」と穏やかな声で囁いて童磨はを抱き竦める。大きな体に包み込まれて、けれど安堵は湧かなかった。すりすりと頬を押し付けられ、腰を撫でられ、寒気にも似た感覚が背筋をぞわりと震わせる。家に帰りたい、そう絞り出した声に童磨はにこにこと笑みを浮かべるばかりで何も答えてはくれなかった。
ちゃん、温かいね」
 するりと、帯を解かれる。何をするのかと慌てて手を振り払おうとするけれど、あっさりと抑え込まれて押し倒されてしまう。脚を掴まれて、大きく開かされて。腹に顔を寄せた童磨に、やはり食われるのではないかとはぐっと唇を噛み締めた。
「……ッ、ひゃあっ!?」
 べろりと、厚い舌が太腿を這う。思わず上擦った声を上げてしまったは、捕食される恐怖に涙を滲ませた。ぬるぬるとした感触が、足の付け根を何度も往復する。弄ばれているような気色の悪い感覚に、これならいっそひと思いに齧りつかれた方がましなのではないかとさえ思えて。けれど童磨は、肉を噛みちぎることもなくただ太腿を撫でたり舐めたりを繰り返す。意図が掴めず混乱しているをよそに、童磨は広げさせた脚の間をまじまじと見つめていた。
「綺麗な色だね、おいしそう」
「っ、」
「けど、やっぱり小さいなぁ。よく慣らしてあげないと」
 そう言うなり、童磨は脚の間をべろりと舐め上げた。自分でも触れないような場所を舐められて、は悲鳴混じりに「やめて」と懇願する。あらぬ場所に童磨の舌が触れるたび、得体の知れない感覚にぞわりと体が震えた。嫌悪だとか羞恥だとか、そういった感情が溢れて涙がぼろぼろと零れる。ぬちぬちと、童磨の舌先が中に入ってくる。きっと少しずつ食われてしまうのだと、は身を震わせた。びくびくと震えるの太腿を両手で抑え、童磨はの股間に頭を埋める。にゅるりと蠢く感覚が怖くて気持ち悪くて身を捩らせても、却ってそのせいで気色の悪い感覚は増してしまう。じゅるじゅると音を立ててそこを啜られ、の体は大きく跳ねた。ひんひんと情けない泣き声が、歯を食いしばっても口から漏れてしまう。いつ噛みつかれるかと思えば怖くて、じわりと股の間を濡らしてしまって。神さまだとか不敬だとかそういうことは頭から飛んでしまい、は童磨の頭を掴んでぐいぐいと押し退けようとする。けれど体格差のせいかびくともしない童磨は、くすりと笑うとより執拗に股の間を舐めた。唾液とは違う液体がどろりと湧き上がる未知の感覚に、は目を見開く。それを啜って「おいしい」と笑う童磨の息が吹きかかって、肌がぞわぞわとした。
「ここはね、赤ちゃんの部屋の入口なんだよ」
 だから大切にしないと、そう嘯いて童磨は指でくぱりと割れ目を拡げる。自身でもろくに見たことのない場所にある穴を、ひとつひとつ指先でなぞってはおしっこの穴だの赤ちゃんの通り道だのとに聞かせていく。死にたいほど恥ずかしくて、脚を閉じようと懸命に力を入れるけれど逆に開かされてしまう。「こっちは、」と童磨が何かをつつくと、大袈裟なほど体が跳ね上がった。
「女の子が触られて一番気持ちのいいところだよ」
「っ、気持ち、い……?」
 童磨の発した言葉と自分の感覚が即座に結び付かなくて、は訝しげに眉を寄せる。「やっぱり初めてなんだ?」と嬉しそうに目を細めた童磨は、指先でくるくるとそこを撫で回した。陰核を撫で擦られてビクビクと身を震わせるを見下ろして、童磨は機嫌良さそうに口を開く。
「俺とちゃんはね、子作りをしているんだよ」
「……え、」
「赤ちゃんができるかはわからないけど……人間はこうやって愛を育むものなんだろう?」
 捕食されているとばかり思っていたのに、童磨の口から出た言葉に理解が追いつかなくては頭が真っ白になる。どうしてかそれはただ食われて殺されるより恐ろしいことのような気がして、思わず手をついて後退る。そんなことをしても逃げられるわけもなく、童磨はの足首を掴んで捕まえるとにこりと笑った。
「大丈夫だよ、ちゃん。怖がらないで」
「や、やだ、」
「優しくするよ? ちゃんは俺の大切なお嫁さんだもの」
 薄い腹をするりと撫でて、童磨は再び割れ目に顔を近づける。かぷりと食むように吸い付かれ、はビクッと背を反らして硬直した。撫で回されて硬くなった突起を、童磨の舌が弾く。弄ぶように舐め回され、吸い上げられ、腰が勝手に震えてしまう。じわじわとぬめりのある液体を滲ませるそこに、童磨の指が触れる。何度か指を割れ目に擦り付けて液体を絡ませた童磨は、ぐちゅっと音を立てて指を突き立てた。
「ひッ、」
ちゃんの中、温かいよ」
 まだ誰も触れたことのない膣道を、無遠慮に指で暴いていく。ひくひくと蠢く粘膜を指の腹で撫で擦ったり、突いたりして狭いそこを拡げる。その間も舌は休むことなく陰核を責め立てていて、触れられるたびにお腹の底が疼くような感覚には腰を浮かせた。何かとても悪いことをしているのではないかという恐怖に押し潰されそうで、離してほしくて童磨の頭を押さえてもまるで自分から恥ずかしいところに押しつけているようになってしまう。指を曲げて執拗に陰核の裏側を突き上げる動きに耐えかねて、膣内はぎゅうぎゅうと収縮を繰り返す。ぶわりと広がった何かに押し流されるように、の頭は真っ白になった。
「……ぁ、」
 何が起きたのかわからず、はびくびくと震えながら目を見開く。体中の力が抜けて、思考が飛んでしまったまま戻ってこない。「いい子だね」と頭を撫でられた気がしたけれど、反射的に体が跳ねただけだった。
「ッ、」
「力を抜いていてね、ちゃん」
 つぷ、と指よりも太い何かを押し当てられる。つぽつぽと、浅いところで抜き差しを繰り返すそれが入り口の襞を捲るように動いた。空気の混ざったぐぷぐぷという水音が響いて、は恐怖に駆られてそこに視線を向けてしまう。おぞましいほどの大きさに膨らんだ陰茎を目にして、は「ひっ」と引き攣った声を上げて絶句した。
「な、なに、いやッ、やだ……!」
「大丈夫、痛くないように挿れるからね」
「入らないッ、そんなのはいらない、やだぁ……」
「暴れないで、ちゃん」
 グスグスとぐずりながら暴れ始めたに、童磨は困ったように眉を下げた。大きな体で覆い被さるように抱き締めての動きを抑えると、そのまま下半身を押し付ける。必死に身を捩らせるの頭を撫でて宥めようとはしていても、硬くなった陰茎で中に押し入ろうとしている童磨に安心できるはずもない。何度かぬるりと割れ目を滑ったのちに、ずぷっと先端が入口を探り当ててしまう。慌てて離れようとしたは、一気に押し広げるようにナカに突き立った陰茎に息を詰まらせた。
「あ゛……ッ!?」
「ごめんね、ちゃん。優しくしたかったけど……」
「いッ……いた、痛い、」
「痛いよね、少しだけ我慢してね。愛し合うだけだから」
 ぶちりと、何かの裂ける音が聞こえたような錯覚に陥る。刺し貫かれたような痛みと、到底入り切らないものを押し込まれている圧迫感。ぎゅうっと身を縮こまらせて苦痛に耐えようとしているをよそに、童磨は腰を前後させ始めた。体格差のある童磨にすっぽりと抱き込まれていてただでさえ息苦しいのに、ずんずんと腹の奥に硬いものが当たってまともに呼吸ができなくなる。ぼろぼろと溢れる涙で視界も霞んで、浅い息を繰り返すことしかできなかった。大きな男の手が、の頭を優しく撫でる。頬や首筋も丁寧に撫でていったその手は、の呼吸を落ち着かせるようにぽんぽんと背中を叩く。そんな優しさを見せるくらいならば今にもの胎を突き壊しそうなその律動を止めてほしいのに、奥を突き上げては入り口まで引き抜くその動きは止まるどころか速くなっていた。
「……きもちいい、」
 何度も腰を打ち付けながら、童磨は吐息と共に呟きを零す。こんなことの何が気持ちいいのかには欠片も理解できなくて、ただ必死に息を保とうとしていた。痛みと息苦しさで意識が飛びそうなのに、失神することさえできない。ふいに童磨が大きく息を吐いて腰を震わせたかと思うと、どぷりとした感触が腹の中に広がった。
「ぁ……?」
 嫌な熱が広がっていくのを感じて、は身を捩らせた。肌を密着させるように腰を押し当てた童磨は、何度か小刻みに腰を震わせる。その度にの中にある硬いものも震えて熱を吐き出して、小さい胎内をあっという間にその熱が侵食していった。ぞわりと、肌が粟立つ。頭がぼうっとしていてもわかるほど、どくどくと注ぎ込まれる熱が怖くて。ぼやけた視界に映る童磨は、頬を赤らめて恍惚とを見下ろしていた。
「おめでとう、ちゃん」
「……、」
「大丈夫、これでちゃんと『お嫁さん』になれたよ」
 よくがんばったね、と童磨はまたの頭を撫でた。言葉の意味がわからなくて、ぞわぞわと体全体が震えるような感覚が怖い。そんなの頬をそっと片手で包み込んで、童磨は半ば独り言のように語った。
「破瓜もして、俺の精を胎に受けたのだもの。もうちゃんは『こっち』の生き物だよ」
「……ぇ、」
「人のままだと、すぐ老いて死んでしまうだろう? ちゃんとお嫁さんになったから、俺と同じ時間を生きられるよ」
 呆然としているをよそに、また童磨は腰を動かし始める。言われたことに理解の追いついていないだったが、今度は痛みだけではない感覚で思考が保てなくなっていた。お腹の奥を突き上げられるたびに、ぞくぞくと体が震える。胎を満たした液体が潤滑剤になって、とろとろと潤んだ襞を擦られると疼くように感じてしまう。を抱き上げて座った童磨は、の反応が変わってきたのを見て取って目を細める。頬に手を添えて口付けられても、振り払う力はには残っていなかった。何度も何度も口付けられ、ちゅうっと唇を吸われる。空気を求めて開いた口を舌で侵され、力なく縋るように童磨の胸を叩く。けれど童磨はの舌に自らの舌を絡め、味わうように吸い上げて。頬に添えられていた手が、首筋や鎖骨を撫でて胸へとたどり着く。淡い桜色の突起を摘んで、くりくりと撫で擦った。
「ふッ、んん、」
 全身に与えられる耐え難い感覚に、は必死に逃げようとして身を捩らせる。けれどもがけばもがくほど、深くまで突き立ったそれが胎内で擦れてしまって余計に泣きたくなってしまう。何とか引き抜こうと腰を浮かせたを、童磨の手が抑えて。ぱちゅんと水音を響かせて、腰を下ろさせられた。ひと息に奥を突かれた感覚に、は息を詰まらせながらも必死に堪える。
「っは、ぅ、」
ちゃんから腰を振ってくれるなんて、積極的で嬉しいなぁ」
 違うと反射的に否定したかったけれど、それは童磨がの腰を掴んで持ち上げたことで言葉にならなくなった。陰茎がずりゅっと膣内を擦る感覚に、の息が止まる。そのままにゅぽっと反り返しで膣口を拡げながら引き抜かれ、また入り口に先端をあてがわれて。ぞくぞくと、知らない感覚がお腹の底から溢れていく。命を奪われるのと同じくらい、この行為は恐ろしくて。童磨の上で何度も腰を上下させられ、お腹の中でずりゅずりゅと硬いものが擦れる。何かの生き物のように腹の中で脈打つそれが気持ち悪くて、けれど少しでも刺激しようものならまたあの熱が弾けてしまいそうで怖かった。痛くて、苦しくて、気持ち悪い。それなのに、ぞくりと震える背筋はまるでそれを喜んでいるかのようでなおのこと恐ろしい。童磨がの腰を掴んだまま、ぐりぐりと最奥に先端を押し付けるように撫で擦る。その刺激できゅうっと中が締まって、また胎内でどぷりと熱が溢れ出した。得体の知れない温い液体が腹を満たす感覚は気持ち悪いのに、熱に浮かされたような甘ったるい吐息が口から漏れて。段々と遠のいていく意識の中、「泣かないで」と頬を撫でた童磨の言葉で自分が泣いていることを知った。
ちゃんは神さまのものになったんだから、もう何も怖がらなくていいんだよ。俺と幸せに暮らそうね」
 の脚は、破瓜の血と童磨の出した白濁液で濡れていた。赤と白の混ざるその色が、神の所有物になった証なのだと童磨は言う。何か取り返しのつかないものを失ってしまったことを恐ろしく思いながらも、疲弊しきったの意識は闇に沈んだのだった。
 
190916
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